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秘密なのだそうな


ロンダ・バーン 著『ザ・シークレット』

アマゾンのレビューでやたら評価が高かったので試しに買ったのが1年前.ふと思いついたので私なりのコメントを.


てっきり装丁の雰囲気からダン・ブラウン 著『ダ・ヴィンチ・コード』 のバッタもんだと思っていましたが,内容はいたって如何わしい自己啓発本でした.
本の印象としては,きれいな装丁だという点以外は特に感じるところはありませんでした.
強いてあげれば,新興宗教ってこういうもんかな,と.こういうのに絶賛レビューを書いている人が “宗教” に引っかかりやすい人なんだな,と思ったぐらいでしょうか.

当時,「引き寄せの法則」 とかいうのが流行っていたそうで,それをこの本で初めて知って,「へ~」.
“引き寄せ” っつっても,「あなたが願えば,それが叶う」 とか,そんなむちゃな,という感じのことが延々と書き綴られています.

偉人たちが実践していた “秘密” をあなたも実行することで,人生が豊かになる,という趣旨ですが,偉人たちの “秘密” って言ってもよくある名言集と変わりなく,偉人達の生き方を紹介しているに過ぎないと私は受けとめたのですが.特別な秘密ではないかなと.

この本に書いていることをまとめると,

ポジティブシンキングで人生が豊かに!

といったところでしょう.


私なりに興味深かったのは,著者が 「プラシーボ(疑似薬)効果」 について言及している箇所.
本物ではない薬(プラシーボ)で本物の薬と同様の効果が現れる,とし,これを 「引き寄せの法則」 が発揮されたいい例,だと言ってのけています.

これについて,よく分からん博士とか先生がいろいろコメントを寄せています.
治ると願えば叶うのだそうな.健康を引き寄せてるんだって.
なんという新解釈.

宇宙に心を開けとか,自分は完璧だと思えとか,笑えば難病が治るとか...
ダメだこいつら.なんとかしないと.

プラシーボをそう解釈するとはなかなか.
ものは言いよう.これ,ちょっといただきですね.

なんつってもこの本,べらぼうに売れてますから.世間の人々は信じるんでしょう.
覚悟を決めれば,いろいろと “ある意味” 勉強になりますから,ためになる本ではあるのかも.

でも最悪の読後感が襲ってきますので,理系の人は読まない方が無難です.