2009年5月26日火曜日

殴り合い人生


万人の万人に対する闘争

これが人間社会の本質であると述べたのがトマス・ホッブズです.

なんでこんなことをいきなり...と申しますと,以前取り上げた記事
に通じることなのです.

久しぶりに読書をテーマにしたものを書こうと無理矢理引っぱり出してきました.


ホッブズは著書である 『リヴァイアサン』 で,この 「万人の万人に対する闘争」 という表現により,人間社会が自然状態にあった場合,全てのヒトが互いを敵対関係とみなし混乱状態にあるはずだと述べているのです.

つまり,人は生まれながらにして役割や地位,能力に差があるわけではない,
という, 一見 えーこと言うてるやん と感じられるところから出発し,

だとするならば,

互いが平等であるならフェアに競争できる状態にあるわけであるからして,
全ての人間は殴り合う状態におかれることが自然な状態なのだというわけです.

ヒトは争う事が自然である

という,映画とか小説とかドラマなんかでよくある,ステレオタイプでダークな主張はココが原典です.

以前 紹介したマトリックスやTVゲームの内容に通じるというのは コレなんですね.


ではなぜヒトは殴り合わずに混乱状態を避けることができるのか?
ということに対しホッブズは,
「強力なパワーを持った存在がそれを食い止めている」
のだとします.

その強力なパワーを端的に表した存在,
それこそが 「国家」 なのだとします.

そしてホッブズはこの 「国家」 を 「リヴァイアサン」 に例えているわけです.

ホッブズが比喩に用いた 「リヴァイアサン」(上の写真) というのは,旧約聖書に出てくる途方も無く巨大な怪物のことで,そら恐ろしい存在であり,ヒトが恐れ(畏れ)ている存在です.
大昔のヒトは,リヴァイアサンによって災害や天災が起きると考えており,ゆえにヒトの行動が制約されているとも考えていました.

人間社会も一緒で,ヒトが混乱なく生活できるのは国家が国民を法や罰によって縛り,強力な権力で威圧しているからだというわけです.

学校とかでも,クラスを放っておいたら混乱状態にありますが,先生という存在がリヴァイアサンになり統率がとれた状態にあるということで.

部活ならキャプテンや監督,ヤクザなら組長といったところでしょうか.

リーダーや怖い人がいると統率がとれるということは感覚的にも分かるんですけど,ホッブズの考えが偉大なのは,
その理由として 「ヒトは自然な状態だと敵対関係にある」 として “ヒトの自然状態” を定義したところにあるのです.


この国家も “国家間” になると話は現実的になります.
すなわち,

万国の万国に対する闘争

ってなことで,殴り合い状態,つまり敵対関係による紛争・戦争が起きるわけなのです.

人同士の混乱を抑えるのは国家が最大単位になる,というのがホッブズの考えですが,
では国家間の混乱を抑えるのは何か,
となると,それは現在でいえばアメリカ合衆国,一昔前ならソ連とアメリカということになっているのでしょうか.

実際そうだから仕方ないという考えもあるのでしょうが,これは非常に危険なことでして,
実はアメリカの政府関係者の中には,
「世界の秩序を守るのは我々なのだ」
と本気で考えて各国に軍隊派遣して戦争おっ始めているというからたちが悪い.

これ,どっかで聞き覚えないですか,
そう,あの暗黒騎士さんの考えそのものです.

イスラムは愚かな劣った文化だからUS仕様の民主主義を教えてあげよう,幸せに暮らせるように.
と余計なお世話をしてるわけすね.

ならどうすればいいのか?
というと,それが分かれば苦労しないわけでして.

とりあえず,敵対関係を築いてりゃいいんじゃね.という「不安定な世界こそが平和」という考えに私は戻ってくるのです.

ここから先はかなり複雑になるので,また次回 『構造主義』 について取り上げる時があればその時にでも.