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頭が良くなる方法


水をたくさん飲めば頭が良くなるのではないか,という考えのもと研究室の学生が実験に取り組んだのですが,うーん,まぁ,複雑な結果となりました.

水を飲んだら頭が良くならないわけではないのです.良くなる可能性はあります.
なんでかはわかりませんけど,少しでも頭の働きを良くしようと思ったら水を飲むことをオススメします.飲まないよりはマシです.
卒業論文,修士論文をまとめている学生諸君は常日頃から水をしっかり飲みましょう.

あと,まだ疑わしいレベルの実験報告ですが,高濃度酸素を含む空気を吸入するのも良いと言われています.これは,“脳のオーバークロック” と題して 夏目大 訳『Mind パフォーマンス Hacks ―脳と心のユーザーマニュアル』 にも紹介されています.



“オーバークロック” というのは,パソコンのCPUを製品規格以上のクロック数に改造することで,発熱,不安定,機器破損のリスクを受容しながら行なうマニアックな手法です.
これに引っ掛けて,脳の通常以上の働きを期待することを “脳のオーバークロック” と表現しています.
今のところ,高濃度酸素の吸入による人体へのリスクは低いと思いますが,その効果も怪しいですけどね.
最近は酸素もコンビニで売っている時代です.活用してみてはどうでしょうか.

ジョン J. レイティ 著『脳を鍛えるには運動しかない』 では,文字通り身体運動や体力トレーニングによって脳の働きを改善することができることを紹介しています.
スポーツ・体育の分野に身を置くものとしては,運動指導をする上で強力な味方です.

実際,身体運動によって脳の働きが活発になることは数多く報告されています.
本の中では,とある高校で朝,授業前に運動を取り入れたらテストの成績が改善された例を紹介したり,動物実験や人体実験など学術的なデータを織り交ぜながら信頼性の高い考察を展開しています.
それらを丁寧にまとめてくれていますので,非常に参考にしやすい本.運動指導をする時に重宝するネタが満載です.


身体運動が脳に良い影響を与えるということですけど,よくよく考えれば運動やトレーニングをすれば身体に酸素をよく取り込むことになりますし一石二鳥ですよね.
これに水分補給を入念にすれば文句なしということになります.

それに,「水分をたくさん摂れば・・・」 という報告と「酸素をたくさん吸入すれば・・・」という報告も,水分摂取によって血液粘度が低下して循環が良くなり,結果的に脳への酸素供給量が増加するといったメカニズムが推測されます.
そんな実験もレビューもありませんので私の完全な推測ですけど,調べてみても面白いかもしれません.どうやって調べるかわかりませんけど.


ところで,そもそも「頭が良い人間」とはどのような人か? ということも重要です.
頭が良くなるには目標設定が必要ですからね.

で,その「頭が良い」ということについては,「つなげる能力」ではないか,という意見があります.
つなげる能力っていうのは,端的に言えば「たとえ話が上手いこと」です.
池谷裕二・糸井重里 著『海馬』 において,気鋭の若手脳科学者である池谷氏と,コピーライターの糸井氏が脳について対談しています.

そこでは,学習能力や単純な知能では人間の頭の良さは評価できないとし,頭の良い人というのは “説得力がある人”,“意外なもの同士をくっつけて考えられる人” のことではないか?,というやりとりがあります.

頭の良い人の代表である宗教や思想の開祖であるソクラテス,孔子,ブッダ,キリストといった面々は,いずれもたとえ話の上手い人たちです.
難しいこと,つまらないことを平易な表現でやさしく説明できる能力,意外性のあるたとえ話を使って説得力ある表現ができなければ,世界中の人々に慕われることはできません.

以前に紹介したブッダのたとえ話を使った言葉を以下に,

孤独に歩め,悪をなさず,求めるものは少なくあれ
林の中の象のように

上段の話だけだと つまらない小言になってしまいますが,下段の “林の中の象のように” というたとえ話で,なんだか関連性がなさそうだけど解るような気がしてしまいます.
しかも,たとえ方がとても上品.

こんな表現ができるような人になりたいものです.


ということで,頭が良くなるためには,
“水をたっぷり飲んで,有酸素運動として林の中を独りでウォーキングする”
という結論に至りました.