注目の投稿

「ぶらぶら歩き」亡国論

普段どんな運動をしていますか?と聞かれたら,
「そうだなぁ,“ぶらぶら歩く” 程度かなぁ」
と回答する人は多いと思います.

でも,この “ぶらぶら歩く” ということが日本を亡国へと導くものだとしたらどうでしょうか.

今回は,
「ぶらぶら歩き」は日本を滅ぼす
というテーマでお話ししましょう.

「そんなバカな.ぶらぶら歩いただけで日本が滅んでいたら,私は明日からどうやって歩けばいいんだ」
と思われたかもしれません.
まぁ,落ち着いて最後まで読んでください.

実際,日本人はぶらぶら歩くのが好きです.

笹川スポーツ財団『スポーツ白書2011」では,各国の運動・スポーツの参加動向を比較しています.
他の国の人々も歩行運動である「ウォーキング」を好んで行なっていることは事実ですが,日本ではこれを「ぶらぶら歩き」が上回ります.

実は,“ぶらぶら歩く” っていう日本人の志向と嗜好そのものが,日本の危機的状況を象徴しています.

考えても見てください.
そもそもなんですか,この「ぶらぶら歩き」って.
目的もなければ理念もない.
ただなんとなく「歩いている」っていう自覚でもって「私の運動・スポーツの実施状況」ってことにしているところが日本人の危うさです.

これは今に始まったことではなく,具体例として挙げますと,大東亜戦争における旧日本帝国軍のさまざまな作戦にも同じことが言えます.
野中郁次郎ら『失敗の本質』にもあるように,日本人はぶらぶら歩くが如く明確なビジョンを描かずに物事に取りかかるクセがあるようです
落としどころを決めずにぶらぶらと開戦,
なんとなくぶらぶらと始めたミッドウェー海戦,
勝ち目のないガダルカナル作戦をぶらぶらと引き延ばす.

その傾向は今でも健在で,
未曾有の大震災があっても政府は1年間ぶらぶらしているし,
TPPにも明確な目標があるわけでなく,ぶらぶら交渉に入り,
最近は消費税をどうするのかぶらぶらしています.

それもこれも,「ぶらぶら歩き」を好む日本人らしさが出ているのです.

しかもこの「ぶらぶら歩き」,
かなり日本人の運動・スポーツ志向に深く根付いているようです.

上記でも示しましたが,笹川スポーツ財団『スポーツライフ・データ2010』によると,日本人全体としての年間の運動・スポーツ実施率と推計実施人口は,
ということで,推計3500万人以上の日本人がぶらぶらと歩きまわっていることがわかります.

年齢別に見るとさすがに違いがみられるかな?と思ったのですが,
そんな様子は微塵もなく,老いも若きも約30%以上の日本人がそこかしこをぶらぶら歩いているのです.

じゃあどこを歩いているの?
ということですが,日本の「運動・スポーツの実施スペース」の調査結果によると,
道路が第1位.
次に公園や海岸と続きます.
たぶん,ここら辺をぶらぶら歩いていることが推察されます.

ちなみに前述した「実施率」というのは,「1年間のうちに実施したことのある種目」を問うた質問です.

ならば,「定期的に実施している種目」,つまり「愛好種目」は何か?というのも気になります.
「ぶらぶら歩くのは月に何回かだけだよ」というパターンも考えられますからね.
そんなわけで,週2回以上実施している運動・スポーツの回答結果が以下.
「ぶらぶら歩き」がやっぱり1位.
17%の日本人が週2回は定期的にぶらぶら歩いていることになります.
慢性的な「ぶらぶら歩き」です.


次は「今後,どんな運動・スポーツに参加したいのか?」を聞いた「参加希望種目」です.
日本人は既にぶらぶら歩いているにも関わらず,今後もぶらぶら歩きたいのだそうです.

ただ,この希望種目のアンケートというのは “複数回答” でして,最大公約数的に思いつきやすい種目が上位に入りやすいことが考えられます.
ですので,ここでもう少し突っ込んだ調査ということで,
今後,最も参加したい種目を一つだけあげるとすれば?
という質問をぶつけた結果が以下.
それでも「ぶらぶら歩き」は強い.

ここまできたら「ぶらぶら歩き」がランクインしていないアンケート結果が見たくなってくるのが人情です.
年代別でみたらさすがに違ってくるだろうということで,これの年代別結果が以下.
おぉー!やりました.20~30歳代の「最もやりたい運動・スポーツ」は「ぶらぶら歩き」ではないようです.

ん?でも40歳代の4位に「ぶらぶら歩き」がランクイン.
50歳代は3位に上昇.
60歳代では2位になって,
70歳以上でめでたく1位.
どうやら,「ぶらぶら歩き」を誘発する要因は “加齢” の可能性があります.
年齢が高まるにつれてぶらぶら歩くようになるようです.

今あなたにとって「ぶらぶら歩き」は第何希望ですか?と聞かれた時,
「うーん,一番やりたいのは『テニス』なんだけど,その次が『ぶらぶら歩き』かな」
と答えたあなたは運動志向年齢が60歳代です.

さらに調査を進めてみます.
現在やっている運動・スポーツ種目とは別に,今後新規にやりたい種目は?」を問うた質問です.
これにも「ぶらぶら歩き」が2位にランクイン.
たとえ,夏はサーフィン,冬はスノボにいそしみ,普段はフットサルやテニスを日課としているワイルドな人であっても
「やっぱ,“ぶらぶら歩き” ってイイよねぇ!」
というほど魅力ある運動・スポーツなのです.

現時点で約35%の日本人が「ぶらぶら歩き」をしているのですから,さらに追加で10%近い「ぶらぶら歩き」の増加が見込まれます.
日本人の半数近くがぶらぶら歩く計算になります.

おまけに,どうやら「ぶらぶら歩き」は依存性があるようで,「現在やっている運動・スポーツ種目の中で,今後も継続してやりたい種目は?」への回答結果を見ると,
堂々の1位.もうこの光景は見慣れました.
日本人に35%もいる「ぶらぶら歩き者」の半数が今後も継続してぶらぶら歩きたいとのこと.

ここまで日本人に「ぶらぶら歩き」が染み付いているとは驚きました.
これは何かの意識改革が必要です.

以前の記事でも書きましたように,
こういう「ぶらぶら歩き」のような,スポーツというより「運動」にカテゴライズされる種目が活発なのは良い傾向ではありません.

なぜなら,ぶらぶら歩くことで「運動・スポーツ」への欲求が満たされてしまっては,「スポーツ・レジャー」の関連分野への波及効果が小さくなってしまうからです.

例えば野球やサッカーが活発になるのであれば,
球場やコートを改修・新築するために建設業が潤い,
ユニフォームや用具が売れるからメーカーが潤い,
試合やゲームをするからってんで応援が活発になるから外食産業が潤うなど,たくさんの波及効果があるからです.

「ぶらぶら歩き」はその効果が小さいことは容易に察しがつきます.
ぶらぶら歩くだけなら,インフラも用具もスポーツウェアもいりませんからね.


「ぶらぶら歩き」がどれほど危険なスポーツかお分かりいただけたかと思います.
「ぶらぶら歩き」こそが泥沼の大東亜戦争の悲劇を生み,酔っ払い運転のような震災復興活動を続ける根源なのです.

これからの日本人はぶらぶら歩いてはいけません.
ぶらぶら歩いていいのは裸の大将ぐらいのものです.

※ところが,その1年半後,
「ぶらぶら歩き」興国論
なるものを書きました.