2012年3月30日金曜日

ノンパラメトリック版Tukey法による多重比較「Steel-Dwass法」

前回はスチューデント化された範囲を用いた多重比較検定であるテューキー法(Tukey法)を紹介しました.
Tukey法はパラメトリックな処理によるものですが,これをノンパラメトリックに処理できないかということで,スティール・ドゥワス(Steel-Dwass法)というものが考案されています.

今回は,Steel-Dwass法をExcelで処理する方法を紹介します.
以前にもノンパラメトリックの多重比較法を
ノンパラメトリック検定で多重比較したいとき
で取り上げましたが,その延長ということです.

その関連記事として,後日,
マン・ホイットニーのU検定(エクセルでp値を出す)
ウィルコクソンの符号付順位和検定(エクセルでp値を出す)
も載せました.ご参照ください.

Tukey法やSteel-Dwass法のメリットは,予め分散分析による有意性の確認をしなくても大丈夫という見解が多く,いきなり多重比較に取り掛かれる強者です.


さっそくやってみましょう.
以下が使用するデータですが,
ノンパラメトリック検定ですから,これを順位(rank)として処理する必要があります.

【 A-B,A-C,B-C 】という3通りの比較をノンパラメトリックとして処理したのが下の図です.
比較する2群でデータを昇順or降順で並べ,それに順位をつけます.
それを再度2群に分け直したものということです.
データに順位を付けて並べ直したら,その順位の数値を合計します.
A-Bの比較であれば,A群は20になっていますね.
ちなみに,2群の内,どちらか一方の群の順位を合計すればOKです.

では次に,Steel-Dwass法に必要な統計量を用意していきましょう.
C列26番目の「E」のところは,

= N数 × (2×N数+1)÷2

を計算します.
例では,N数は「5」ですので,

=5*(2*5+1)/2

と入力しています.
そして,
C列27番目の「V」のところは,

=N数×N数×(2×N数+1)÷12

を計算します.
例では,

=5*5*(2*5+1)/12

と入力しています.
E=27.5,V=22.9
となります.

各群を比較した統計量の計算は,
A群とB群の比較であれば,F列26番目のところに,

=ABS(C8-C26)/SQRT(C27)

と入れています.
その調子で他の2つのところも入れていってください.

A-C比較: =ABS(C16-C26)/SQRT(C27)
B-C比較: =ABS(C24-C26)/SQRT(C27)

ここで出てきた数値を見て有意かどうかを判断するのですが,その比較判断材料である数値は,
【スチューデント化された範囲の表】を使って計算します.
以下に【スチューデント化された範囲の表】を置いておきます.クリックすれば大きくなるので,それを落として利用ください.
上が5%水準,下が1%水準の表です.

※後日,この「スチューデント化された範囲」の表に載っていない値を算出する方法を記事にしました.
スチューデント化された範囲の表の補間
本格的にTukey法やSteel-Dwass法で統計処理作業をするつもりでいるのなら大事なことなので,参考にしてください.


ここで使う数値は,群の数とνが∞のところを見てください.例は3群ですので,3群と∞の部分ということで5%水準の表であれば,「3.31」ということになります.
例では,この「3.31」をC列30番目のセルに入力し,F列30番目のセルに,

=C30/SQRT(2)

を入れて計算しています.
ここで出た数値よりも,F列26~28番目で計算した数値が大きければ,そこには有意性が認められるということになるのです.

ということで,Steel-Dwassの結果は以下の通りです.
A群とC群の比較に有意性が認められました.

さて,前回の
ExcelでTukey法による多重比較
でも触れましたが,このTukey法には算出方法が2つあります.
Steel-Dwass法も然りですので,こっちでも紹介しておきます.


F列26~28番目の計算が異なります.
その計算式は以下のようなものです.
A群とB群の比較であれば,

=ABS(C8-C26)

ということになり,以下,
A-C比較: =ABS(C16-C26)
B-C比較: =ABS(C24-C26)
と続きます.

有意性を判断する数値は,
スチューデント化された範囲の表から3群・∞のところの数値である「3.31」と「V」を使って,

=C30*SQRT(C27/2)

を計算します.
もう一つの算出方法と同様,この数値よりもF列26~28番目のセルで算出した数値よりも大きければ有意性が認められるという寸法です.

以下,結果です.
算出方法が違うだけですので,当たり前ですが結果は一緒になります.


前回のTukey法のところでも書きましたが,Tukey法もSteel-Dwass法も各群のデータ数(繰り返し数)が一緒でなければ計算できません.
ですが,多くの統計処理ソフトでは計算してくれてしまいます.

また,Steel-Dwass法に限らず,ノンパラメトリック検定はデータに順位を付けて計算しますが,同じ数値であればどうするのか?といった疑問もあるでしょう.

機会があれば,紙面をかえてその計算方法をやってみようと思います.

※というわけで,その後,データ数(繰り返し数)が違う群や同順位データが含まれるものでも計算できる方法を掲載しました.
Steel-Dwass法をExcelで計算する方法について,もう少し詳細に
繰り返し数(N数)が異なる群を,Excelを使ってTukey法で多重比較する
こちらも合わせてご覧ください.

統計的有意にこだわらないのであれば,
効果量(SE:effect size)をエクセルで算出する
がオススメです.

※後日,こんな怪しいブログよりも信頼性が高いものに触れてもらうよう,
独学で統計処理作業をスキルアップさせるための本
という記事を書きました.参照してください.


エクセルや手計算でTukeyやSteel-Dwassによる多重比較をしたい方は,以下の2冊がオススメです.
 

2012年3月27日火曜日

ExcelでTukey法による多重比較

統計処理ソフトを買えばいいものを,どうしてもExcelで多重比較をしたい人に向けた記事として過去に何本か紹介しました.
エクセルExcelでの簡単統計(対応のあるt検定と多重比較)
ノンパラメトリック検定で多重比較したいとき
Excelで多重比較まとめ

今回は,多重比較の中でも非常に便利な方法とされているテューキー法(Tukey法)を紹介します.

Tukey法は,これまで紹介した多重比較法と違い,統計処理ソフトを用いずにp値を算出することは難しいようです.
5%水準(または1%水準)で有意かどうかを判断する方法だけを紹介します.

例として使うデータですが,以下のようなものです.
A群~D群の4群で,各群のデータの繰り返し数は5です.
ちなみに,この各群のN数(繰り返し数)は一致していないと,今回紹介するTukey法は使えませんので注意してください.

※その後,繰り返し数(N数)が違っても計算できるTukey-Kramer法を記事にしました.
繰り返し数(N数)が異なる群を,Excelを使ってTukey法で多重比較する
こちらも合わせてご覧ください.


「平均」というところは各群の平均値を算出しています.

そして,「分散」というところですが,以下のような関数「VAR」を使って算出しています.
VARという関数で普通に出せます.

そして,G列9番目の数値「227.8」ですが,以下のように,
各群の「分散(VAR)」を平均したものです.

これでTukey法を行う準備は完了.

参考までに,このデータでボンフェローニ法(Bonferroni法)による多重比較の結果も示しておきました.
ボンフェローニ法では,C群とD群の間にのみ有意性が認められています.
前回の記事でも書きましたが,ボンフェローニ法は4群以上の多重比較になると有意性の検出が著しく低下します.
つまり,「~の方が~よりも有意に高い」と言いたいのに,そんなふうにならない場合が多くなってしまうのです(別にいいんだろうけど).
要は,悔しい思いをするということです.

ですから,この “検出力” が高い(それでいて安全な)手法を探しまわることになるのですが,Tukey法はそのバランスが優れているというわけです.


では,そんなTukey法をさっそくやってみましょう.
ボンフェローニの時のように,比較したい群ごとに以下のように入力していきます.
画像にもあるように,A群とB群であれば,

=ABS(C8-D8)/SQRT(G9/5)

なんでこんな関数を入れていくのか,それが分からなくても,とりあえず入力してください.
とにかく上記のようにして入力するのです.

ザックリと解説すると,
A群とB群の平均値の差を出しているのが前半部分.差を出すことに専念したいので,四の五の言わずに「ABS関数」を使って絶対値にしています.
後半部分は,「各群の分散の平均」である「227.8」を繰り返し数の「5」で除し,その平方根をとっています.
そんなふうにして,6通りの組み合わせ全部を計算してください.

「全部計算できたんだけど,この数値にどんな意味があるの?」ということになりますが,実はこれでTukey法の計算は終了です.

おめでとうございます.

あとは,「キュー◯ー3分間クッキング」のごとく,あらかじめ用意しておいた,
【スチューデント化された範囲の表】
に照らし合わせて有意かどうかを判断するだけです.

画像ですので使いにくいかと思いますが,以下に【スチューデント化された範囲の表】を出しておきます.
画像部分をクリックすれば大きくなります(落として印刷して使ってください).

まずこれは5%水準の表.


そしてこれは1%水準の表です.
「スチューデント化された範囲」などのキーワードでググれば,いろいろと出てきますので,そっちを参考にしてもいいでしょう.
Excelに落とせるやつも見つかるかもしれません.

※後日,この「スチューデント化された範囲」の表に載っていない値を算出する方法を記事にしました.
スチューデント化された範囲の表の補間
本格的にTukey法で統計処理作業をするつもりでいるのなら大事なことなので,参考にしてください.


ここでは5%水準の方を見ていきます.

このデータは4群で繰り返し数が5ですから,

群の数:4
ν:5

の部分を見ます.
「5.22」ですね.

ということで,この「5.22」よりも数値が大きくなっている組み合わせのところが有意であると判断します.
実際に例のデータを見てみますと,
となっておりまして,A群とC群,C群とD群のところが「5.22」よりも大きいので有意ということです.


Tukey法の算出方法はもう一つあります.お好みに合わせて使います.

まずは以下のように各群の平均値を組み合わせ毎に引き算して差を算出します.
ABS関数を使って絶対値にしておいてください.
こうして算出した「平均値の差」が有意かどうか調べるんですが,その判断材料を以下のようにして算出します.

4群×繰り返し数5の値である「5.22」を使い,

=F11*SQRT(G9/5)

という計算をします.
すると,このように
「35.24」という値が出ました.

先ほど算出した各群の組み合わせによる「平均値の差」の値が,この「35.24」よりも大きいところに有意性が認められるのです.

先に紹介した算出方法とは計算の手順が違うだけで,同じものが得られます.


最初に示したボンフェローニ法の多重比較結果と比べてみても,Tukey法の方が検出力が高いことがわかります.


次回は,SPSSを使わずExcelでノンパラメトリック検定を行う方法を取り上げます.
ノンパラメトリック検定で多重比較したいとき,と合わせて見てもらえれば全てイケるようにしてみたいと思います.


※その後,繰り返し数(N数)が違っても計算できるTukey-Kramer法を記事にしました.
繰り返し数(N数)が異なる群を,Excelを使ってTukey法で多重比較する
こちらも合わせてご覧ください.

※統計的有意にこだわらない検定もあります.
効果量(SE:effect size)をエクセルで算出する

※後日,こんな怪しいブログよりも信頼性が高いものに触れてもらうよう,
独学で統計処理作業をスキルアップさせるための本
という記事を書きました.参照してください.
とりあえず,手計算で多重比較をしたい方は,以下の2冊がオススメです.
 

2012年3月26日月曜日

キネティックチェーン(運動連鎖)

キネティックチェインKinetic chain「運動連鎖」として知られる理論を表したイメージです.

Google画像検索をかけると結構出てきますが,大きくてさっぱりとした図が見つかりにくいので私が出しておきます.

自由に使ってください.

いずれもPNG形式の背景抜きで,文字なしも用意しております.


上の2枚は理想的な運動連鎖のイメージで,下の2枚は不適切な運動連鎖のイメージとして用意しました.

理想的な運動連鎖とは何か?この図は何が不適切なのか?を説明してあげてください.

詳しい説明や解釈はこのブログではやりません.
テキストや論文を読めばOKなはずですし,他の人がブログで解説してますので,そっちを見てください.

既出情報に興味はないと思いますので,私としては皆さんの資料作り,スライド作りのお役に立てれば幸いです.


2012年3月23日金曜日

筋パワーの勉強でよく見るグラフ [力-パワー関係]

スライドに使える画像シリーズです.

今回は非常に有名で,しかも私も思い入れのあるグラフです.
スポーツ科学を勉強したことがある人なら,必ず見たことがあるかと思います.



「最大パワーは最大筋力の30~40%で発現する」
ということを説明したり示すのにピッタリのものです.
Kaneko (1970)の報告[ The relation force, velocity and mechanical power in human muscle: Res.J.Phys.Ed ] をもとに作成しました.


1枚目は,以降のグラフがどのような見方をすればいいのかを説明するためのものです.
これがないと,初見の人はわかりづらいことが多いので.

「最大パワー」というのは,運動の「速度」と発揮した「筋力」の乗算が最も大きくなった所のことを言います.


2枚目は,男女の生のデータをそのまま示したグラフで,4枚目は最大筋力を100%として相対化したグラフです.

4枚目からは,男女ともに最大パワーは最大筋力の30~40%の時に現れるということが読み取れるかと思います.


すべての画像をPNGにし,背景透明化をしています.

数値だけ残して,文字を消しているものもありますので,好みに合わせて利用してください.





2012年3月21日水曜日

運動速度と最大筋力の関係 「力―速度関係」


パワポのスライドに使えそうな画像シリーズです.

今回は等尺性収縮の際の最大筋力と,最大運動速度を100%とした両者の関係性を表したのグラフ.

「力―速度関係: Force-Velocity relationship」と呼ばれているもので,ÅstrandとRodahl(1986年)が報告したものから作図しています.

運動速度が高まると,発揮できる筋力は下がり,
逆に伸張性収縮のように “引き伸ばされながら” 力を発揮しなければならない状態であれば,等尺性収縮時の筋力よりも大きな筋力が発揮できる.
ということを示すのに都合が良いグラフです.

何かの時に使用してください.

例のごとく,文字を抜いた図も用意しております.

あと,このファイルはPNG形式による背景透明化を施していますので,何かとご自身で修正をかけてご使用ください.

2012年3月20日火曜日

そうだ 中国、行こう。

本学の海外研修のひとつに,
「中国の素晴らしさを経験してもらう」
という目的と趣旨のものがあります.

先日まで,その海外研修の引率として中国に渡っていました.
昨年も地震直後のこの日程でした.
当時のブログ記事は
マスコミの無恥
です.
あの時期から,すでに1年が経ったのですね.
あっという間でした.

今年も行き先は上海.
大都会のど真ん中にある高級ホテルに宿泊です.

長引く円高と固定相場による低い人民元の為替レートによって,高級ホテルにも安く泊まれます.

そんなこんなで,高級感がある割に渡航費が安いことも手伝って学生のウケは良い研修です.


私は学内で最も下っ端なうえに引率の “補佐” という形で参加していますので,研修内容や流れ・趣旨といった事にあれこれ口出しすることは避けていますが,やはり「中国」ということで言いたいことはあるわけで.



この1週間ほど,自分自身のブログを更新はもちろんのこと,閲覧も出来ない状態でした.
それもこれも,Googleが中国から検索事業を撤退しているためです.
GoogleマップやGmail,Google カレンダーは使える状態ですが,ブログやWeb検索のページは開きません.

中国がこういう事態になっていること,けっこう学生は知りません.
知っといた方がいいと思うんだけどなぁ.

せっかくの海外研修ですから,ここはひとつ,中国の現実を学生に教えにゃならんと,GoogleではなくYahooでのWeb検索.
「中国 チベット」
と入力して出てくるサイトをクリックすると “eroor” と表示されることを見せました.

「え!?どうして!?」
という反応が出るのが,ある意味残念.
本当の意味での国際関係の勉強の必要性を切に感じます.


あと,学生は実際に上海の街を歩いていますが,そこで何を見た(視た)のかも大事でしょう.
観光気分で街を歩くだけでは,海外研修の意味が薄れると思うんです.

日本円で何十万円もするスーツを売っているブティックのすぐ隣に物乞いが座っているという “不思議な” 状態.

華やかで活気のある通りの裏は,鼻をつまんで通りたくなる異臭漂う淀んだ空間.
「格差」をまざまざと見せつけられます.

実際,中国経済は「進むも地獄 退くも地獄」な状態になっています.
つまり,人民元を変動相場制にして打って出るか,このまま何もせず圧政で国民を押さえ込んで耐え忍ぶか,です.

現在の状況で変動相場制にしてしまうと間違いなく人民元高になってしまうため,安い人件費を武器にしていた輸出産業がダメージをくらい,失業者が増え,デフレになり,崩壊が始まります.
アウトです.

では,このまま国民を中国得意の圧政により押さえ続けることができるかというと,これも難しいのではないでしょうか.
Googleが撤退したとは言え,インターネットの普及は進んでいますし,中国政府に批判的な言論が増えていることは事実です.

研修中にも出会ったのですが,やはり中国とは言え,知識人には反・中国共産党の人が少なからずいるようで,今は表立って活動はしていないものの,こうした方々の言論が国民の不安や不満と相まって滲み出るのも時間の問題かと思われます.
これもアウトです.

こうした部分を研修中に考えながら過ごしてもらえると,より良い機会になるのになぁ,と考えていたのですが.
んー....


見た目の部分としても,
上海,特に外灘(ワイタン)の夜景が派手なのはたしかですが,それも一部だけ.
一カ所に集中的に光を集めた,という感じ.

私も住んでいる関西,大阪や神戸の夜景のほうが,やっぱり綺麗ですよ.
てっきり,上海の派手さに勘違いしてしまいがちですが,冷静に比べるとわかります.
贔屓しているわけではありません.ホントです.

日本の夜景は “隅々まで輝いている” という表現がぴったりです.
まんべんなく街灯,電灯,自動車灯の光で充ち満ちています.

こういうところからして,国の経済的格差の特徴が推し量れるというものです.

日本に帰ってきて,夜の湾岸線や阪神高速を通っていて感動しました.
あぁ,やっぱり日本は凄いなぁ,って.

とは言え,やっぱり “魅せ方” については海外にならうべきだとも思います.
神戸あたりの町並みも,“魅せ方” にこだわれば外灘みたいにできます.
背伸びしているわけではありません.ホントです.
日本はただ,夜景や街の魅せ方にセンスの欠片もない,というだけです.


学生たちが何を学んだのか?
けっこう大事なところですが,研修の趣旨が「中国って素晴らしい」ということを感じてもらうという,悲しい結論・結果ありきのものですから,私が求める「アカデミックさ」は期待薄です.

世の中,どうにもならないことがあるかもしれないのですが.
私も青二才なのかもしれないのですが.
それでもやっぱり大学教育ですからねぇ.
なんとかしたいですねぇ.

2012年3月8日木曜日

「ぶらぶら歩き」亡国論

普段どんな運動をしていますか?と聞かれたら,
「そうだなぁ,“ぶらぶら歩く” 程度かなぁ」
と回答する人は多いと思います.

でも,この “ぶらぶら歩く” ということが日本を亡国へと導くものだとしたらどうでしょうか.

今回は,
「ぶらぶら歩き」は日本を滅ぼす
というテーマでお話ししましょう.

「そんなバカな.ぶらぶら歩いただけで日本が滅んでいたら,私は明日からどうやって歩けばいいんだ」
と思われたかもしれません.
まぁ,落ち着いて最後まで読んでください.

実際,日本人はぶらぶら歩くのが好きです.

笹川スポーツ財団『スポーツ白書2011」では,各国の運動・スポーツの参加動向を比較しています.
他の国の人々も歩行運動である「ウォーキング」を好んで行なっていることは事実ですが,日本ではこれを「ぶらぶら歩き」が上回ります.

実は,“ぶらぶら歩く” っていう日本人の志向と嗜好そのものが,日本の危機的状況を象徴しています.

考えても見てください.
そもそもなんですか,この「ぶらぶら歩き」って.
目的もなければ理念もない.
ただなんとなく「歩いている」っていう自覚でもって「私の運動・スポーツの実施状況」ってことにしているところが日本人の危うさです.

これは今に始まったことではなく,具体例として挙げますと,大東亜戦争における旧日本帝国軍のさまざまな作戦にも同じことが言えます.
野中郁次郎ら『失敗の本質』にもあるように,日本人はぶらぶら歩くが如く明確なビジョンを描かずに物事に取りかかるクセがあるようです
落としどころを決めずにぶらぶらと開戦,
なんとなくぶらぶらと始めたミッドウェー海戦,
勝ち目のないガダルカナル作戦をぶらぶらと引き延ばす.

その傾向は今でも健在で,
未曾有の大震災があっても政府は1年間ぶらぶらしているし,
TPPにも明確な目標があるわけでなく,ぶらぶら交渉に入り,
最近は消費税をどうするのかぶらぶらしています.

それもこれも,「ぶらぶら歩き」を好む日本人らしさが出ているのです.

しかもこの「ぶらぶら歩き」,
かなり日本人の運動・スポーツ志向に深く根付いているようです.

上記でも示しましたが,笹川スポーツ財団『スポーツライフ・データ2010』によると,日本人全体としての年間の運動・スポーツ実施率と推計実施人口は,
ということで,推計3500万人以上の日本人がぶらぶらと歩きまわっていることがわかります.

年齢別に見るとさすがに違いがみられるかな?と思ったのですが,
そんな様子は微塵もなく,老いも若きも約30%以上の日本人がそこかしこをぶらぶら歩いているのです.

じゃあどこを歩いているの?
ということですが,日本の「運動・スポーツの実施スペース」の調査結果によると,
道路が第1位.
次に公園や海岸と続きます.
たぶん,ここら辺をぶらぶら歩いていることが推察されます.

ちなみに前述した「実施率」というのは,「1年間のうちに実施したことのある種目」を問うた質問です.

ならば,「定期的に実施している種目」,つまり「愛好種目」は何か?というのも気になります.
「ぶらぶら歩くのは月に何回かだけだよ」というパターンも考えられますからね.
そんなわけで,週2回以上実施している運動・スポーツの回答結果が以下.
「ぶらぶら歩き」がやっぱり1位.
17%の日本人が週2回は定期的にぶらぶら歩いていることになります.
慢性的な「ぶらぶら歩き」です.


次は「今後,どんな運動・スポーツに参加したいのか?」を聞いた「参加希望種目」です.
日本人は既にぶらぶら歩いているにも関わらず,今後もぶらぶら歩きたいのだそうです.

ただ,この希望種目のアンケートというのは “複数回答” でして,最大公約数的に思いつきやすい種目が上位に入りやすいことが考えられます.
ですので,ここでもう少し突っ込んだ調査ということで,
今後,最も参加したい種目を一つだけあげるとすれば?
という質問をぶつけた結果が以下.
それでも「ぶらぶら歩き」は強い.

ここまできたら「ぶらぶら歩き」がランクインしていないアンケート結果が見たくなってくるのが人情です.
年代別でみたらさすがに違ってくるだろうということで,これの年代別結果が以下.
おぉー!やりました.20~30歳代の「最もやりたい運動・スポーツ」は「ぶらぶら歩き」ではないようです.

ん?でも40歳代の4位に「ぶらぶら歩き」がランクイン.
50歳代は3位に上昇.
60歳代では2位になって,
70歳以上でめでたく1位.
どうやら,「ぶらぶら歩き」を誘発する要因は “加齢” の可能性があります.
年齢が高まるにつれてぶらぶら歩くようになるようです.

今あなたにとって「ぶらぶら歩き」は第何希望ですか?と聞かれた時,
「うーん,一番やりたいのは『テニス』なんだけど,その次が『ぶらぶら歩き』かな」
と答えたあなたは運動志向年齢が60歳代です.

さらに調査を進めてみます.
現在やっている運動・スポーツ種目とは別に,今後新規にやりたい種目は?」を問うた質問です.
これにも「ぶらぶら歩き」が2位にランクイン.
たとえ,夏はサーフィン,冬はスノボにいそしみ,普段はフットサルやテニスを日課としているワイルドな人であっても
「やっぱ,“ぶらぶら歩き” ってイイよねぇ!」
というほど魅力ある運動・スポーツなのです.

現時点で約35%の日本人が「ぶらぶら歩き」をしているのですから,さらに追加で10%近い「ぶらぶら歩き」の増加が見込まれます.
日本人の半数近くがぶらぶら歩く計算になります.

おまけに,どうやら「ぶらぶら歩き」は依存性があるようで,「現在やっている運動・スポーツ種目の中で,今後も継続してやりたい種目は?」への回答結果を見ると,
堂々の1位.もうこの光景は見慣れました.
日本人に35%もいる「ぶらぶら歩き者」の半数が今後も継続してぶらぶら歩きたいとのこと.

ここまで日本人に「ぶらぶら歩き」が染み付いているとは驚きました.
これは何かの意識改革が必要です.

以前の記事でも書きましたように,
こういう「ぶらぶら歩き」のような,スポーツというより「運動」にカテゴライズされる種目が活発なのは良い傾向ではありません.

なぜなら,ぶらぶら歩くことで「運動・スポーツ」への欲求が満たされてしまっては,「スポーツ・レジャー」の関連分野への波及効果が小さくなってしまうからです.

例えば野球やサッカーが活発になるのであれば,
球場やコートを改修・新築するために建設業が潤い,
ユニフォームや用具が売れるからメーカーが潤い,
試合やゲームをするからってんで応援が活発になるから外食産業が潤うなど,たくさんの波及効果があるからです.

「ぶらぶら歩き」はその効果が小さいことは容易に察しがつきます.
ぶらぶら歩くだけなら,インフラも用具もスポーツウェアもいりませんからね.


「ぶらぶら歩き」がどれほど危険なスポーツかお分かりいただけたかと思います.
「ぶらぶら歩き」こそが泥沼の大東亜戦争の悲劇を生み,酔っ払い運転のような震災復興活動を続ける根源なのです.

これからの日本人はぶらぶら歩いてはいけません.
ぶらぶら歩いていいのは裸の大将ぐらいのものです.

※ところが,その1年半後,
「ぶらぶら歩き」興国論
なるものを書きました.

     

2012年3月3日土曜日

「スカイ・クロラ」小説と映画を比較してみた

原作・森博嗣,映画監督・押井守『スカイ・クロラ』

原作小説も映画も,どちらも好きな作品です.
結末や「世界観」が微妙に違うのもいい味が出ています.
※でも原作者の森氏いわく,「“世界観”って何のこと?」とのことですが(森博嗣 著『自由をつくる自在に生きる』より)

けっこう有名な作品なので,これを分析比較したサイトやブログも多いのかと思います.
それらでどんな考察や解釈をしているのか,見ていないまま書いちゃうので,以下の記述は重複するところもあるかもしれません.

普通にストーリーの違いを比較している人は多いかと思います.
ここはひとつ,2人の作者が “作品に込めた想い(みたいなもの?)” に違いがあると感じましたので,それを私なりに比較してみました.

ということで,
小説と映画はもちろん,お二人がそれぞれの作品について語った,もしくは関連があるのではないかと思われる著書を持ち出してきました.

まずは映画.
押井守氏が映画公開に先駆けて出した『凡人として生きるということ』によると,

「『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』は,今の僕が若者に向けて放つメッセージである.映画監督としては精一杯に本質をえぐり出し,若者たちの置かれた状況を映画に投影したつもりだ」

とのこと.

で,その若者たちの置かれた状況というのは,どんな状況なのかというと,

「昔の若者は判断できないから,何でもかんでも,無分別に手を出し,挑戦した.それで何度も失敗し,そこから学んでいった.今の若者は無判断なのは同じだが,何に対しても手を出さなくなった.これでは,学ぶ機会さえも自ら放棄してしまったも同然である.すると,彼らは一生オヤジにもなれず,年だけは取っていくのに,中身はいつまでものっぺりとした若者のままでいることになる.」

ということなのでしょうか.
この記述はスカイ・クロラに言及している部分ではないのですが,押井氏の「若者論」なのでしょうし,実際に映画で訴えたかったことだと私は汲み取っています.
また,

「何連敗,何十連敗してもいいではないか.何度も負けても,勝負を続ける限り,いつかはきっと一勝できる日はやってくる.」
「どんな結末を迎えるにしても,何もせず,すべてを保留した生き方より,はるかにそれは豊かな人生だったといえるだろう.」

というのは,映画でのラストのドッグファイト・シーンとして表現されているのかもしれません.


実は原作者の森博嗣氏については,私は小説ではなくその他の書籍を先に読んでいました.
上記で紹介した『自由をつくる自在に生きる』や,『大学の話をしましょうか』『喜嶋先生の静かな世界』などです.

同じ大学教員,そして研究者として森氏の考え方に共感する部分が多く,参考にさせてもらっていました.
以前にも
などで記事にしております.

なので,件の小説『スカイ・クロラ』とか,『すべてがFになる』などのミステリー小説を読んだ時は,「森先生の考え方が滲み出ている,“らしい” 小説だなぁ」というのが私の印象なのです.

新書やなんかで先に森氏の “考え方” に触れていたからかもしれないのですが,映画と小説は似ているようで,かなり決定的な部分で異なるのではないかと感じました.

ではどこが違うのかというと,この「子供のままであり続けることを宿命づけられた“キルドレ”」という設定に込められたテーマです.

押井監督の映画『スカイ・クロラ』は,「いつまでも子供のままでいるな」といったテーマであるのに対し,森先生は「いつまでも子供のままでいたい」というテーマなのではないかと.

小説『スカイ・クロラ』を読み解く上で重要だと思われる森氏の著作として『喜嶋先生の静かな世界』をあげておきましょう.

「つまらない雑事ばかりが押し寄せる.人事のこと,報告書のこと,カリキュラムのこと,入学試験のこと,大学改革のこと,選挙,委員会,会議,会議,そして,書類,書類,書類・・. —中略— 今は,いろいろなことを考える.それは,大人になったとか,一人前になったとか,バランスの取れた社会人になったとか,家庭を持ち,人間として成熟したとか・・・,そういった言い訳の言葉でカバーしなければならない寂しい状態のこと.僕はもう純粋な研究者ではない.僕はもう・・・.」

この『喜嶋先生の静かな世界』における主人公のモノローグ,「スカイ・クロラ」シリーズの登場人物である草薙水素のモノローグと凄く重なるんです.

以下はスカイ・クロラシリーズの『ナ・バ・テア』での草薙水素のモノローグです.

「僕たちは,普通の人間じゃないのだろうか?少なくとも,普通の大人ではない. —中略— きっと僕たちは妬まれているのだ.みんな子供のままでいたかったのに,嫌々大人にならざるをえなかったから,羨ましいのだろう.」

なんか,
その,
この人,ホントに研究者だなぁって思います.
大学の先生とか,研究者ってこういう人が多いんですよ.
すごく分かる気がする.

つまり,「子供(若者)のままでいいじゃないか.それが幸せな人もいるんだし」的なメッセージです.
そして,これが一番重要なんですけど「そういう人たちを理解することも大事だよ(私たちみたいな人も理解してほしい)」と.

『大学の話をしましょうか』でも森氏が自ら引用しているのですが,『喜嶋先生の静かな世界』で訴えたかったのは実際ここでして,以下はとある2人の登場人物の会話です.

「でもね,社会の人って,みんな,そういうことを,もの凄く知りたがっているんだよ.君みたいに,構成方程式の一般形がどうのこうのって,そんなことには興味はないわけ.それよりもね,あの人とあの人はどうして仲が悪いの,どうしてあんなに仲が良いの,あの態度はどういうつもりなの,何を考えているの,なにか隠し事をしているんじゃないの,そんなことばっかり一所懸命考えて,一所懸命話し合っているんだよ.おかしいでしょう?絶対おかしいよね.

おかしくはないよ.興味の対象っていうのは,人それぞれ,自由だと思うし.

そう,それが正しい.でもね,違うの.世間の大部分の人はね,貴方みたいな数式ばかり考えている人は,頭がおかしいって思ってるわけ. —中略— みんなが変なんだよ.数式を一所懸命考えている人って,みんなのことを認めているのに,人間の心がどうこうって言う人は,数式を考えている人を認めないじゃない」

という感じ.

以上が小説と映画における “メッセージ” とか “考え方の下敷き” の違いを私なりに妄想したものです.


ただ,このお二人は「自由」ということについては考え方が似ているようで.

上記でも引用させてもらっている森博嗣『自由をつくる自在に生きる』押井守『凡人として生きるということ』では,「自由」について語る部分では内容がほぼ一致.

「自由」な状態などない
自由とはつまり「自在に生きる」
ということ

結局,お二人の哲学が,これら著書のタイトルより汲み取れちゃったりするわけです.

森氏は「“変人として” 自由に生きるとはどういうことか」
であり,
押井氏は「“凡人として” 自由に生きるとはどういうことか」
を訴えたいのではないでしょうか.
        

2012年3月2日金曜日

レジャー潜在需要論

前回は公益財団法人 編『レジャー白書2011』 を基に,「運動(エクササイズ)よりもスポーツを活性化させるべきだ」ということを紹介しました.
エクササイズからスポーツへ

自ら率先して実践せねばならない,ということもあって,昨日は同僚の教員と共にスキーに行っておりました.
遊びではありませんよ.研修です.
スポーツ復活計画 さしあたってスキー
の記事でも述べましたが,スポーツの活性化のためには質の高い指導を提供すべきです.
本当ならばスキー・スクールや指導員にお金が回るようにするのが良いのでしょうが,今の私達ができるのは,私たちがスキーの魅力を伝えられる者になることです.


さて,
ついでなので,この『レジャー白書2011』の統計データを基にした分析を続けてみましょう.

今回は『レジャー白書2011』の本文にも紹介されている「参加希望率」と「潜在需要」を取り上げて,面白可笑しく...,失礼しました...,興味深い分析をしてみようと思います.


まずは「参加希望率」.
この白書において,今後参加したいレジャーを聞いたのが「参加希望率」.
これは,「現在やっていないが将来やってみたい」 もしくは 「現在のその活動を今後も続けたい」 という質問への回答を合算したものです.
今の日本人が,どういうレジャーを求めているのか把握できます.

以下は,その「参加希望率」の上位20種目のランキングです.


上位3種目は国内旅行,ドライブ,海外旅行.
現在,日本人はどこかに行きたい衝動に駆られているようです.

私も白川郷とか四国村とか国宝めぐりをしていますし.
気軽に日常を離れることができる旅行系は強いですね.

同じ旅行系に入れてよいかどうか分かりませんが,気になるのが20位の「帰省」.
どこかに行きたいだけでなく,「帰りたい」と希望している人が26%いるのです.

というか,そもそもこれは “レジャー” なんでしょうか.

もっと気になるのは,上位20種目にスポーツらしい種目がないこと.
17位のジョギングも,マラソン出場とか本当の意味での気晴らしなど,好きな人にとってはスポーツなんでしょうけど.
これはレジャーというよりは 「健康目的で」 という人も多いのではないでしょうか.

あと,日本人は体を動かすよりも「学習(16位)」する方が好きなんでしょうか.ま,いいけど.
あえてテレビゲームには触れません.


これを踏まえて,次は「潜在需要」についてご紹介します.
「潜在需要」というのは,上述した「参加希望率」から,現在参加している割合を表す「参加率」を引いたもの.

潜在需要 = 参加希望率 ― 参加率

つまり,「あの種目をやってみたいなぁ」と考えている人の割合と,現時点でその種目に参加している人の割合の差をみるのです.

この値が大きければ,今後その種目の参加者が増加する可能性があります.
その「潜在需要」の上位10種目を以下に示しました.
右端が潜在需要の値です.
やっぱり旅行系が強いですね.
海外旅行は実際に参加している人数が少ないので,希望者の多さと相まって圧倒的な潜在需要です.

やっと,というか.
「スポーツ」とまでは言えないかもしれませんが,“らしい” 「オートキャンプ」や「登山」がランクインしています.
9位,10位に水泳,海水浴も入ってきています.

近年のアウトドアブームの影響だろうと考えられているようです.
何かのきっかけを作れば,大きな市場になる可能性はあります.


ここまではレジャー白書の中でも触れられている内容ですので,レジャー白書が手をつけていない独自のデータ分析をしてみましょう.

以下に上位10種目ではなく,下位10種目をピックアップしてみました.
つまり,「現在参加しているんだけど,今後は抜けたい種目」ランキングです.
これから縮小していく市場が予測できるのかもしれません.注目です.
・・・,なんか,いまいちパッとしない結果です.
解釈に困ります.

圧倒的な参加率(“使用率” というほうが適切?)を誇る「パソコン」は,これまた過半数以上の人が投げ出したいようです.
パソコンを使っているというよりも,使われている感じがするのかもしれません.そんな話しをよく耳にしますよね.
私はパソコンがないと困るのですが,世の人々はパソコンから逃げ出したいようです.

「外食」,「飲み屋」,「カラオケ」の潜在需要がマイナスなのは,“付き合い” で参加している人が多いからかもしれません.
参加はしているけど,できれば参加したくない.といった理由でしょうか.

歌うことに一切興味がない私は,世の人々がなぜあんなに「カラオケ」に行くのか不思議でなりません.
そんな人,けっこう多いのでは?

「テレビゲーム」や「ゲームセンター」,「パチンコ」がマイナスなのは,「そろそろ潮時かな?」と考えている人が多いからでしょうか.
あまり人に褒められたレジャーではない印象がありますからね.


せっかくですから,私の専門でもあるスポーツの潜在需要をピックアップしてみます.
潜在需要が高い順に並べてあります.
第一印象は,いろんな意味で「希望がない」.
スポーツ界は厳しいですね.

どうやら,メジャーなスポーツほど「やめたい」人が多いようです.

逆に,潜在需要がプラスのスポーツというのは,やっぱり「お金がかかる」ものだと考えられます.

これは
エクササイズからスポーツへ
コンクリートからスポーツへ
スポーツ復活計画 さしあたってスキー
でも述べてきたように,日本全体のデフレ対策,そしてスポーツ界のデフレ対策をすることで改善する可能性があります.

学校や大学教育機関こそ率先して「お金がかかるレジャー」を普及させるようにするべきです.
文科省あたりがここに助成金を出しちゃうのもいいですね.
事業仕分けしてる場合ではありません.

次代のレジャー志向を決めるかもしれない子供・青年のスポーツをあずかるわけですから.
扱いやすいメジャースポーツに頼るだけでなく,お金はかかるけど興味を持ってくれるスポーツに目が向けさせることで,こうしたマイナースポーツや関連分野が潤います.

大切なのは,「学校や大学の教員だけで指導しなくてもいい」ということ.
助成金が出るのであれば,スキーやキャンプ,ダイビングなどは専門の人にバンバン頼みましょう.
そうしたほうが,この分野の人達が喜びます.

こうしたことは,今後のスポーツ政策として取り組む必要があります.


ラストは,「あのレジャーの潜在需要が気になる」というものをピックアップ.
しょうもないと思えるけど,私の目に止まったものを連連と並べてみました.
やっぱり気になる「帰省」.
やっぱり潜在需要はプラスでした(0.6しかないけどね).

「クラブ,キャバレー」,「ディスコ」なんてのも調査しているようです.
微妙にマイナス潜在需要です.
そもそも参加率が高くないので気にしなくてもいいかもしれません.

「サウナ」という項目もありました.
でもデータとしては面白くありません.

「宝くじ」は,続けたくない人が5%近くも出てきていますが,「サッカーくじ(toto)」の方は同値.
夢を買うよりも,現実をみつめたいのが本音のようです.

「競馬」は顧客が固定されているのでしょうかね.中央も地方も参加率と希望率が一緒です.
関連して「乗馬」というレジャーも見てみましたが,これは市場開拓の余地アリかもしれません.
乗馬って,ある意味スポーツに入りますよね.期待できます.

「囲碁」「将棋」は囲碁に軍配があがりました.
囲碁は6%しか参加率がないのすが,将棋と同レベルの参加希望率があります.
今後は逆転現象があるかもしれません.

ついでに麻雀も.
これもコメントしづらい値です.

最後に「学習」なんですけど,これは一番最初に紹介した上位20種目に入っていた割に,けっこうな人数が「ホントは勉強したくない」と感じているようです.
マイナス5ポイントですからね.

以前,
PIAAC: 国際成人力調査
という記事を出しましたが,その調査結果を見る前から不安がよぎります.

「学習」に参加したくない,ってわけではないのでしょうが.
日本の学力は大丈夫でしょうか.
これまでは楽観視していましたが,ちょっと気がかりです.