2014年8月13日水曜日

万引き容疑者の写真公開について

こういう事件があったので,
まんだらけ、「万引き犯」の写真公開中止 警視庁が要請

で,こんなサイトが有ります.
万引き犯に「顔公開する」と警告、どう思う?

「ダメだろ」
と思いつつ,選択肢を見ると,
「1.やり過ぎだと思う」
「2.妥当だと思う」
「3.分からない/どちらとも言えない」
というもので,「ダメ」という選択肢すら無いことに少し不安を覚えつつ結果を見てみると.
「妥当だと思う」が91.6%(得票数:111.636票)[2014年8月13日現在]でぶっちぎっていました.

今回の記事は,この話題についてです.

これまでにも,近いところですと
続・STAP細胞研究の件
子供の自殺原因「いじめ」は2%,という記事への反応への反応
で似たような話をしてきたので,結局同じようなことなのですが.

万引き容疑で写真公開,そりゃダメです.
罪状や事情,背景といったものが確定していないのに,大衆にこういう刺激を与えてはいけないのです.

推測でしかないのですが,お店側としては,もしかすると写真公開する気なんてなかった,そんなところかもしれません.
だけど,それでも褒められた話ではありません.
ご覧ください.この世間の狂いっぷり.凄いですよねぇ.

こんな中で写真公開なんてしようものなら,喜び勇んで大はしゃぎして,キチ◯イ・モードに突入するに決まっています.
「一億総白痴化」というのは本当なんじゃないかと,最近は本気でそんな気がしている私にとっては,「妥当だと思う」が圧倒的な世論であることを見ると確信に変わっていく思いです.

「万引きはダメだからぁ」とか「犯罪者なんかに名誉も人権も無いんだぁ」という感情が沸き起こることは認めます.
でも,そういう浅はかな感情で評価・判断しようとするところを制するのが,警察という機関が存在する意義でもあります.

もし何かの間違い・勘違いで,実は写真の人物が万引き犯ではないということになったらどうするんですか?
これについては,「それは店側の責任なんだから,店が賠償金を払えばいいんだぁ」
なんていうネットのコメントも見かけます.

もし何かのっぴきならない事情があったり,なかなか表には出せないが深刻な事情があったりしたらどうするのでしょう.
「いやいや,それでも犯罪は犯罪だから」
と言うのでしょうか.

こういう輩は本当に◯◯だと思います.
(◯◯には,あなたが思いついた最大限の侮蔑的表現を入れてもらって結構です)

写真を晒された人の生活はどうなるんでしょう.その家族の人生はどうなるんでしょう.
そういうことを考えられないのですか?っていうか,考えられないから「妥当だと思う」んでしょうけど.

たとえ万引き犯でないことが分かったとしても,それまでにどっかのバカから暴行を受けたり,本人や家族が自殺したり,関係者がいじめを受けたり,勤める会社に迷惑行為があったり・・・.数え出したらキリがありません.
そういう事件が次々と勃発する可能性と,そういう事件を生み出しやすくする社会にしていく危険性について,「妥当だと思う」人はどういう責任をとるのでしょうか.

「え?そんなの私が責任をとることじゃないでしょ」というところなんだと思います.だから「妥当だと思う」んでしょうから.
この手の記事では以前から繰り返していますが,こういう人達は「自分が社会の一員だ」「自分も社会を構成している一人だ」という認識が極めて低いのだと考えられます.

もっと言うと,この写真公開を望んでいる人達は,お店のためを思っているわけでも,治安の改善を望んでいるわけではないのです.
「私を楽しませる話題が欲しい」「誰かが不幸に見舞われていることが嬉しい」
だから,「この話題でこの件にまつわる人物がどうなっていくのか,その顛末を知りたい」という,極めて無責任かつ非建設的な観点から眺めているのだと推したくなるのです.
もしそうでないのであれば,単に思慮が浅いだけです.

そんな事態になったら,警察としてはそれこそ「捜査に支障がでる」どころの騒ぎではなく,社会の秩序や安定性が破壊されてしまうわけですから,「ダメ」と言うことになります.

こんな記事を書くと,
「じゃあ,どうすればいいんだ!万引き犯がのさばるじゃないか」
なんて言い出す人がいるかもしれません.

でも,代わりにどうすればいいのか,なんて話をしているわけじゃなくて,事情も分からず確信も無い人物の写真を,不特定多数の人々の眼前に公開しちゃダメだろって事を言ってるだけでして.

「美味しそうぉ〜」って言いながらウンコを食べようとしてる人に,「ダメだ」って言ったら,
「じゃあどうすればいいんだ!他に美味しそうなものが無いじゃないか」って言われたとしても,こちらとしてはあくまで「ウンコを食べちゃだめでしょ」って言ってるだけ.それと一緒です.

えぇもちろん,ウンコでも食べなきゃいけない事態だってあるでしょう.けど,そういう事態ってそうそう無いわけです.
少なくともこの日本における万引き捜査としては,ウンコでも食べなきゃいけないような事態には至っていない.どうしても何か食べたいなら,もっとマシなものを食べてくれ.と,そういうことです.

だからまずは今まで通りの万引き対策と捜査をやってですね.そして,今後のことを見据えた効果的な防犯と捜査を地道に考案していくしかないんじゃないでしょうか,ということです.

・・・たぶん,多くの大衆は気に入らないはずです.面白くないから.いわゆる「ワクワク感(笑)」がないですからね.
けど,この社会を安定させ,機能させるためには仕方がない事ってあるんです.たとえそれが面白くなくても.