2016年7月14日木曜日

大学教員になる方法「学生編」

我々大学教員は,本務校以外でも授業をやることがあります.
非常勤講師というやつです.
この仕組み.知っている人は知っている.知らない人は全くもって意味不明.
まあ,それでもとりあえず聞いて下さい.

その非常勤先の授業中.授業はスポーツ実技のテニス.
リーグ形式の試合をやっているなかでゲームの順番待ちをする学生との一コマです.
「先生はここの大学の先生じゃないんですか?」というところから始まって,何気なく「将来の進路」の話をしました.

どうやらその学生は大学教員,もしくは研究者になりたいとのこと.
どうすればいいのか全然分からないので,何かヒントになるようなことがあれば,と聞いていきました.
「ネットでググったらいいよ」と言えば,私のブログ記事に行き着くかもしれないのでそれでも良かったのですが.
大学教員になる方法

彼にも言ったのですが,はっきり言って「運」なんですよね.
たまたま自分の専門と合致したポストが空いて,タイミング良く転がれば着任できるというものです.
狙ってなれるものではありません.狙えるだけの実力があるのであれば,他の仕事をしたほうがいい.
しかも最近はかなり不安定で薄給な世界で,場合によってはブラック企業以上の過酷な職場が待っています.
「教職員用」危ない大学とはこういうところだ

あと,大学教員を目指している人の少なくない数が自殺しているのではないかとされています.
ネット等で調べればそんな記事やデータが出てきますが,実際のところは分かりません.

でも,精神的にかなり追いつめられる状況にはなるようで,それでドロップアウトしていく人はよく目にします.
ですから,意外かもしれませんが,大学教員をやっている人ってかなりメンタルがタフです.
もしくは,ややエキセントリックな性格の人,ある意味鈍感な人っていうか,そういうちょっと変わった人が生き残ることになる.
これは,大学教員になるためのハードルが高く,そして安心して仕事をしていられない環境がそうさせるのかもしれませんね.

それでもこの仕事に就きたいと思うのは,
1)仕事が楽
2)研究活動ができる
というところになるかと思います.

ただ,注意してほしいのは「仕事が楽」について.
「大学教員は仕事が楽で,のんびりやってられる.でも最近は大変になってきたけどね」
などと語っている大学教員がいます.
でも,これは言葉そのままに受け取ってはいけません.

こういう教員には2つのパターンが有ります.
一つは,本人が極めて有能で,本当に「仕事が楽」であるパターン.
もう一つは,全然仕事をせずにほったらかしで,学内では迷惑極まりない教員であるパターン.
十中八九,後者です.

大学教員はトップダウン型の統制を受けていません.個々人の裁量に任されている部分が非常に大きいのです.
ですから,その教員の仕事の一つ一つに「注文」や「批判」がダイレクトに入ることは少ないんです.

そうは言っても人間ですから,普通の感覚なら「忙しくてもなんとか仕事をしなきゃ.周りからの目が怖い」ということで必死こいているのが一般的な大学教員なのですが,一定数,周りからの目を気にしないバカ殿様みたいな教員がいます.で,このバカ殿様みたいな教員は仕事をしなくて済むんです.

しかも,こういう教員こそが「大学教員は仕事が楽だから良いよ」と触れ回る.しかも本人ものんびりしているもんだから,一般人は「あぁやっぱり大学教員は仕事が楽なんだなぁ」と思ってしまうのです.
ですが,こうして「大学の仕事は楽だなぁ」という感想を本人が持つためには,周囲からの冷たく刺し殺すような視線と態度をスルーできるだけのメンタルが求められるんです.
ここんとこ,勘違いされている人が多いので注意が必要です.

それでも大学教員になるっていうなら,君は大丈夫だよ.
って言っておきました.
実際,その学生はきっと良い大学教員や研究者になれます.
教育者として,研究者として必要なものを,彼は既に身に着けている.

テニスのプレーを見ていたらわかります.
彼は高校時代までテニス部で,かなりの腕前を持っています.
ハンデを付けた初級者との試合を見ておりましても,ルールに戸惑う相手を優しく指導し,気分よくプレーできるように気配りします.かといって変に手を抜いたりすることなく全力でプレーし,相手側からは見えない微妙なところのセルフジャッジでも公平にコールする.
こういう人間が悪い大学教員になるわけがないのです.

あとは運に恵まれること.
それを祈るのみです.


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