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11月, 2016の投稿を表示しています

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大学教員を目指す研究者がやめるべき習慣

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先日,こんな本が出ていたので買いました. 適菜収 著『男が30代でやめるべき習慣』 このブログでは何度か取り上げている適菜収氏. この本に限らず,氏の著書には共感できることがたくさん登場します. さっそく読んでみたら,過去の私の記事でお話してきたことと重なるところが結構多いんです. せっかくなので今日は,適菜氏の言葉を私の過去記事と共に並べてみました.     適菜氏) 本当のところ「何をやるべきか」なんて誰にもわからないのです.―― 「やるべきこと」ばかり考えていると,つらいどころか,現在を無駄にします.―― やらなくていいこと,やめるべきことを見極めるのが大切です. 過去記事)■ オープンキャンパスの来場者数を想う より 「やったほうがいい」よりも「やってはいけない」を選別することのほうが重要.これは人生何事においても同様です. 適菜氏) 「英語の勉強」をやめる 英語が話せても,ダメなやつはダメ.―― 急に英会話教室に通いだすやつは,布団を売りつけられる老人と同じです.―― 日本人が英会話できない理由は必要ないからです. 過去記事)■ 英語教育は国をあげて取り組むことか? より 他の国々が英語教育に時間を割いているのは,海外に職を求めなければならないほど国内が不安定であり,さらには自国の言語では教育コンテンツが乏しいからです.―― 日本はこれに対し明治初期において,「翻訳」という作業に勤しむことで日本語の語彙を増やし,高等教育に耐える言語にしました.―― 昨今の英語教育を推進する動きというのは,その先人たちの努力を踏みにじるものと言ってもよいでしょう. 適菜氏) 「テレビ」を捨てる テレビを捨てて自由を得よ.―― テレビは手っ取り早くバカになる道具です. 過去記事)■ テレビのない生活のすゝめ より よくよく考えてみたら,テレビって一方的な情報提供ですよね.実は,自分が面白いと思っているものだけ愉しみたい,というワガママを叶えるものではないのです.妙な話です.本能の赴くまま,己の欲望を満たすための行動を取る上では,テレビは障害にしかなっていないのですよ.―― テレビのない生活がどうのこうのというよりも,むしろ「実は,テレビのある生活は苦行ではないか?」というところで検討したほうが興味深いのかもし

豊洲移転問題みたいな問題を考える

先日,自転車がパンクしたので近所の自転車屋に修理に出したんです. 「チューブだけじゃなくタイヤも替えなきゃいけないので,3,500円くらいですかね」 という見積りをしてもらい,自転車を預けてしばらく時間潰し. 予定していた時間に取りに行くと, 「チェーンが弛んでいたので調整しました.硬めのオイルを付けているので最初は動きがぎこちないかもしれません.あと,ブレーキパッドがズレていて,ワイヤーも緩んでいたので,これも調整しています.キーロックの動きが不安定になっていたので錆取りをしてオイルを入れています」 ということで,本来ならこれ全部注文するだけでも3,500円以上するメンテナンスなのに, 「こちらで勝手にやったことなので,料金はいいですよ」 とのこと. 自転車への愛情が感じられる仕事です. こういう仕事人にはお金を出さねばなりません.4,000円払ってお釣りは受け取らないことにしました(って,なんとケチくさい自慢でしょう). さて,このような自転車屋に, 「なんで勝手にチェーンを調整したんだ.ブレーキパッドは本当に直っているのか」 と文句言って, 「明らかに約束と違う.なんなら金は払わないぞ.責任を取れ」 とクレームをつけるのが東京人です. 豊洲移転問題みたいですね. 朝日新聞社のウェブサイトに,豊洲移転問題の推移をまとめたものがありました. ■ 築地市場の豊洲移転問題 (朝日新聞) これまでの一連の流れを確認することができます. で,結局のところ最大の争点は何かというと, 「盛り土で建設する予定だったのに,いつの間にか地下ピットとして計画され建設されている」 ということ,つまり当初の計画と実際の建設状況が異なるということです. たしかに小池都知事が指摘するように,「都の職員に手続き違反と説明不足があった」ことは事実.それにより結構な人数の職員が責任をとらされて減給処分になっているようです. いやいや,それより「土壌汚染」と「安全性」が最大の問題なんだよ! と言い出す人もいますが,この点について「本気」で争点化されることはありません. なぜかと言うと,そもそも現時点で築地市場よりも豊洲市場予定地の方が清潔であり,安全性が高い可能性があるからです.築地市場は元・毒ガス兵器工場跡地ですし,地下には第5福竜丸で

エアコンはつけっぱなしでも問題ない

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そういえば, ■ 男子教員と女子学生 の記事で,「欧米の大学(に限らずマンションやビル)では建物内全体を暖房(いわゆるセントラルヒーティング)しているので,冬季でも “学生と二人っきりにならないようドアを開けっ放しにする” ということができるが,日本ではそれが困難」という話をしました. これについて,去年こういう噂がネットに挙がったので,今夏,私の生活をかけてテストしてみたのを思い出したんです. 「エアコン(冷暖房)は,つけっぱなしの方が電気代がお得」 え? そうなの? って思ったので,おそらく専門家と称してよいであろう私の弟に聞いてみたんです. 彼は学術博士(工学)なので. 「世間では知られていないけど,それは本当.気密性の高い建築物ではつけっぱなしにすることが本来の使い方.ちなみに,日本らしい建築物と扱い方をする環境下でエアコンを取り付けることは極めて非効率.日本に限らず前時代の建築物はエアコンがなくても自然空調されることを狙って作られている.また,日本は部屋の窓を全開にして空気を入れ替える文化がある.あれには何の意味もないけど,おまじないとしてやりたがる人が多い.キッチン,トイレ,風呂場の換気扇やドアや窓の隙間など,ほっといても生活をしていれば空気は循環する.都市部や工場地帯で部屋の空気を盛大に入れ替える人がいるが,あれはバカだと思う.内部の空気のほうがきれいなのに.一方,エアコンは気密性の高い建築物において最大の恩恵を得られるような哲学から誕生している.むしろ,密閉状態を作れないところに取り付けるべきではない.24時間換気設備とエアコンを稼働させることのほうが,シックハウス症候群やカビ,虫対策としても有益.というか,繰り返すけどそれが本来の使い方」 とのことでした. 換気設備は24時間回しっぱなしが良いというのは以前コイツに聞いたことがあったのでやっていましたが,エアコンもそうなのですね. だから私もこの夏やってみました,「 8月全日エアコンつけっぱなし実験 」を. 本当は7月からやりたかったのですが,エアコンをつけるほどの日がなかったので,本格的な暑さがくる8月からにしました. 結果です. 24時間31日つけっぱなしていても,電気代は高くなりませんでした. 以下の通り, 7月:3,500円 8月:4,000円

エクセルで大量のデータを等分割して統計処理したいとき

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卒業論文,場合によっては修士論文などのデータ処理でも使えるエクセル・スキルをご紹介します. 大量のデータ群を等分割し,それぞれで平均値や合算値を算出して分析したい場合があります. 例えば以下のようなデータです. 想定されるのは,条件Aと条件B(被験者A,被験者Bなど)において,ある課題をやらせた際の時系列によるパフォーマンス・スコアや心拍数データなどを分析するといった場合です. ところが,ここで困ってしまうのはサンプリングされたデータの数です. 条件Aと条件Bで比較したいんだけど,素直に上図のように並べてしまうと,まるで両者が異なる結果のように見えてしまう・・・. つまり,そこで「困ってしまっている」こととは,「本当はこの両者に「違いが無い」ということを言いたいのに,グラフや表にすると「条件間でデータが異なる」と見えてしまうことです. たしかに,例えば「課題をこなすために要した時間が異なる」ため,その時系列データは条件間で違ってきてしまう.でも,ここで気にしたいのは「課題達成時間」はもちろんですが,その課題を達成する中にあって「変動したデータのパターン」である,という人は少なくありません. これをなんとかしようと,以下を試みる人がいるでしょう. このように,例えばデータを5等分して,それぞれの平均値を算出しようというものです. 条件Aは上図のように,そして条件Bはこんな感じで↓ 条件Bはデータ数が12個ですので,5等分することができません. そこで,ちょっとずつズラしながら平均値を算出. (最後は飛ぶことになりますが↓) こうして平均値を算出し,グラフを作成してみると,こうなります↓ 目論見どおり,条件間で当該データの変動パターンは同じであることが分かります. 今回例示しているデータは分かりやすくするため15個と12個のデータにしていますが,実際こうしたものを前にして困っている状況というのは, データが何百何千とある ,そして, 被験者や条件がたくさんあると いう場合です. しかも,とりあえず5等分してみたけど,やっぱり10等分にした方がいいとか,20等分の方が都合が良かった,なんてことで分析方法を変更しなければならないこともよくあります. つまり, これをいちいち手作業していたら,冗

セクハラ教員と被害学生

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さて,前回の続きです. ■ 男子教員と女子学生 大学における教員と学生の艶っぽい事情について,具体例を挙げてご紹介してきましたが,これが何かのトラブルになると艶っぽいなんて言ってられない泥沼な話になっていきます. 教育現場での出来事ですから,たいていニュースとして,少なくとも週刊誌のネタとして世間様を騒がせます. 学校や大学は世間体を大事にしますので,教員と学生による男女関係のもつれは極力避けようとするものです. 教員と学生の間には「採点評価」を伴う力関係が働きますし,なによりその採点評価に「公平性」が求められますので,同じような主従関係と考えられる「上司と部下」「雇用主と雇用者」「依頼人と請負人」といったものとは質的に大きく違います. 例えば,「この授業で彼女の成績が良いのは,先生が彼女の彼氏だからだ」という目で見られてしまうのは避けられませんからね. これは,「あの政治家が日本の国益を損なうことを提案し,中国に甘いのは,その政治家が中国国籍だからだ」という目で見られてしまうのと同様です. 教育や政治というのは非常にデリケートなのです. 「教員にセクハラなどの性犯罪が多い」 という話があります. これは間違いです. 「そんなバカな! 教員が生徒に手を出した.盗撮したっていうニュースがたくさん出てるじゃないか」などと本気で言ってる人は,もう手遅れでしょうが,まともな学術教育を受けることを強くお勧めします. このブログでも紹介させていただいている和田慎市先生の著書でも「教員の犯罪率の低さ」は取り上げられていますし,毎年発行されている犯罪統計でも,教員は職業人口を分母とした比率でみても性犯罪(わいせつ)は低い職業であることが知られています. ■ 平成24年の犯罪 (警察庁) もっと言えば,毎日大量の女子生徒や女子大生と濃密に接しているにも関わらず,これだけの性犯罪の低さを保っている事自体が凄いことだと思っていただきたい. 現在,教員を担う者の多くには,教育者としての資質が備わっていると考えるのが自然です. ここで言う資質というのは,「性欲を我慢することができる」ということだけを指すのではありません. 私の場合は「色恋沙汰に極度に鈍感」という資質を持っているようですが,それ以外にもよく見られるパターンとしては, 1)

男子教員と女子学生

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「男の先生と女子学生との間で,怪しい関係になることってあるんですか?」 という質問を良く受けます. そうならないよう日々配慮しているのが大学内部ではあるのですが,どうしても人間らしい一面は出てきてしまいます. 「女性の先生も,男子学生と何かあったりしないんですか?」 などということで,同僚の中でもこの手の話題で盛り上がることがあります. 映画やドラマの設定や展開としても,「男子教員と女子学生の恋愛関係」というのは頻出します.それが基で結婚まで向かうという噂も耳にしますね. では実際はどうなのかというと, 結構あります . あるから,予防と火消しが慎重に行われるのです. これは教員と学生に限らず,医師と患者,弁護士と依頼人なんかもそうだと思います. 目指すべき目標を共有する関係では,自然と信頼感が宿って親密になっていくものです. かく言う私も,自覚はないけどそんな状況に陥っていたことがあるらしい. 前任校を出る際,卒業生の一人からこんな話を聞きました. 「先生って,その後◯◯さんとはどうなんですか? これからは遠距離なんですか? めっちゃ気になります!」 ◯◯さんというのは,その学生と所属ゼミが同じだった女子学生で,友人というほどでもないけど知った仲だったわけです. その後? 遠距離?どうなんですかって言われも,どういうこと? って聞き返したら, 「だって,◯◯さんは先生のこと狙ってたでしょ.学生の間では有名でしたよ.だから,あの後どうなったんかなぁって」 ですって. ぜんぜん身に覚えがない話だったのでパニクりつつ驚いていると, 「先生,それはいくらなんでも鈍感すぎます」 当時,◯◯さんとその学生は,卒業論文のテーマの都合で私が指導することになっていたのです. 必ずしも所属ゼミの担当教員が論文指導するわけではない,というのは大学内部ではよくあることです. そんなわけで,この2人は研究計画,データ分析,論文執筆といったことをするため,私がいつも仕事をしている研究室に頻繁に出入りしていました. 「◯◯さん,先生の研究室にいつも行ってましたよね.しかもずっといるし.私が来たときには既にいて,私が帰ったあとも残ってる」 でもね,こちらに言わせればそれは「勉強熱心なまじめな学生」という評価で

テレビのない生活の音楽

私の自宅にはテレビがありません. テレビを見なくなって,かれこれ15年になります. そんな話を先日しました. ■ テレビのない生活を15年送ると ■ テレビのない生活のすゝめ そして,テレビのない生活に特段のメリットや恩恵があるわけではないことも,そこで述べてきた通りです. テレビのない生活とは,不便なわけでも自慢できるものでもない,実際のところどうでもいいものです.まだまだ珍しい存在なので,レアキャラとしての価値があるくらいでしょうか. 珍しい話題なので,せっかくですからもう一つ記事を書いておこうと思いました. 似たような境遇の人,これからそうなる人にとって参考になるかもしれません. 「テレビも新聞も見ずに.どうやって世間のニュースを知るんですか?」 という疑問を持つ人もいるようですが,これについては上述した過去記事でも述べたように, 「特に問題を感じない」 ですし,そもそも, 「いち早くニュースを知ったところで,正しい判断ができなければ意味がない」 ということをお話しましたね. さて,この “ニュース” 以外によく聞かれるのが, 「最近のブームとか音楽とかどうやって知るんですか?」 というものです. たしかにこれは「知りません」.知るつもりもないし. テレビやラジオを中心としたコマーシャルを展開する分野からは,完全に取り残されます. 「AKB48」というアイドルがいることを最近知りました.私の中でアイドルと認知しているのは「安室奈美恵」とか「華原朋美」あたりが最後になります. あぁ,他にもそう言えば「モーニング娘」ってのがいたな,って感じです.でも,彼女たちについては高校の同級生が熱心なファンでしたが,ちょっと気持ち悪くてついていけませんでした. そう・・. ついていけませんでした,テレビに映っている世界に. 今思えば,テレビが故障したのも僥倖だったのです. テレビがなくなると,流行りの音楽,すなわちテレビから流れてくる音楽が無くなります.途端に「最近ブームの◯◯」っていうものへの関心もなくなるんです. 不思議なものです. なので,音楽への興味も足かせが取れたように自由になりました. なんというか,本当の意味で「気の向くままに音楽を聞けるようになった」のです. 最初のうちは,映画を見ること

卒業論文と統計学と大学教員と

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このブログの読者は,大きく分けて3タイプ. (1)大学おもしろネタ記事を読む人 (2)教育関係の記事を読む人 (3)統計学の記事を読む人 です. (1)の代表的記事 ■ 【やってはいけない】卒論・ゼミ論を1日で書く方法 ■ こんなホームページの大学は危ない (2)の代表的記事 ■ 反・大学改革論 ■ 大学改革論を考える上での良書 (3)の代表的記事 ■ エクセルで相関係数のp値を出す ■ エクセルExcelでΧ二乗検定を ■ 卒論・ゼミ論で統計学的有意差が出ない時に読むブログ記事 熱心なご意見をくれるのは(2). 匿名で新聞の取材を受けたのも(2)です. (1)は自分自身も厭世的に楽しんでいる感じです. 一方, 閲覧数が一番多いのは,実は(3)です . メールのお問い合わせもこれが一番多い.     本ブログは,実のところ「 エクセルだけで無理やり統計解析する手法を紹介しているブログ 」として日本ではちょっとだけ有名です. 極めてニッチではあるものの,『エクセル』というアプリケーションが衰退しない限り,このブログも需要があるものと推測されます. 大学教育において参考にされている節もあるようでして,短期間に集中的に(数百回単位で)某大学名を冠したサーバーからのアクセスが見られたりします. きっと授業などで「このブログ記事を参考にしながら課題をこなしなさい」などと学生に指示されている可能性があります. 日本の大学教育のお役に立てているようでしたら望外の喜びでございます. 最近,リアル界で同僚の大学教員から「統計学」に関する質問を受けました. 卒業論文を指導している上で,統計処理でよく分からない点があるとのこと. で,こんなことを聞いてくるんです.「このWebサイトに書かれていることを,そのまま使って良いものかどうか?」ということで, ■ 相関係数の差を検定したいとき というブログ記事を見せられました. ・・ん? これ,どっかで見たことあるぞ.と思ったら,私の記事でした. 「私が書いたブログなので」 って言いたくなりましたが,「いやぁ〜,そうですねぇ.パッと見じゃわからないんで,ちょっと詳しく読んでみますね・・・,・・・うん,先生,この記事は大丈夫だと思いますよ!

入学試験クツこれ

大学教員と靴の話です. 別に入学試験に限った話ではありませんが,大学教員の仕事には「足音」のしない靴が求められます. 受験生の迷惑にならないよう,足音のしない靴を要求されるからです. センター試験の割当作業も始まった今日この頃.足音のしない靴の準備も始まります. 足音もしないし,履き心地が非常に良いので長年愛用している革靴のシリーズがあります.かれこれ3足くらいリピートしています. それがこちら↓ 「スニーカーの履き心地」という商品コンセプトは伊達ではありません. 革靴なのに全力ダッシュや反復横跳びもできます.これなら10kmくらい走っても大丈夫でしょう. 安価で高性能,且つ,そこそこ見た目も安っぽくないのがいいですね. 欠点はそのクッション性の高さからくる「靴底の消耗の早さ」くらいのものです. でも,これは履き心地とのトレードオフになっているかと思います. 大学教員のなかには,革靴なんてたまにしか履かないという人もいるかと存じます. そんな人にもオススメします.履きなれていなくても疲れません. 実は私も,あらたまった状況がない日はランニングシューズなどのスポーツシューズで出勤しています.研究室内では基本サンダルですし.授業にだってサンダルで行くときもある. 最近,同じアシックス系列が出している「ランウォーク」っていう革靴を買いました. それがこれ↓ 靴にこだわりのない私のような者としては,目ン玉が飛び出るような価格ですが,ずっとテクシーリュクスを買っていて,いつかこれを履いてみたいと思っていたので奮発しました. これがまた非常に履き心地がいい.あと,足音も小さいので満足しています. 今は,ブラックの「ランウォーク」,それにブラウンの「テクシーリュクス」を履き分けています. お高い革靴はメンテナンスも大変ですが,このタイプの革靴ならそんなに難しくありません. とは言え,それなりのお手入れをしていれば,こういう1万円未満の革靴でも高級感が出てきます. お手入れにも一工夫入れることを推奨します. 学生の頃は「革靴」なんて縁がなかったのですが,高校時代には野球をやっていたので「本革製のスパイクシューズ」を使っていました.これも一つの革靴です. 用具にお金をかけたくないと思っていましたが,スポーツ店のオッサ

入学試験あれこれ

この仕事してますので,大学入試の試験監督をやることがあります. センター試験とかも. ずっと座っているのも退屈なので,巡回監視がてら受験生の解答用紙を覗き込んで見て回ることがあるんです. 以前,「歴史」の試験監督をしていたら, 「聖徳太子の十七条憲法にも示された『三宝』をそれぞれ述べよ」 という問題がありました. そんなに難しい問題じゃないし,漢字1字で回答する指示があるので,受験生のほとんどは「仏・法・僧」と書いていたのですけど,中には珍解答があったりする. 例えば,以下のようなもの. 「金・銀・銅」 オリンピックですね. 思わず吹き出して笑いました. 咳払いで誤魔化しましたが,こういう回答をする人はむしろ将来有望です. 他にも, 「父・母・子」 きっとこの受験生は心の優しい人です. 三宝が解らなかったということで,その子なりに3つの宝を挙げてみたのでしょう. 成績が悪くたって,特別枠でぜひ入学生させたい. 「米・麦・魚」 食いしん坊ですね. それにしても,どうして最後が「魚」なのか. 「米」「麦」ときてるんだから,あとは「豆」とか「粟」とかになるんじゃないかと. もしかすると,栄養バランスを考えて動物性食品を選んだのかもしれない. だとすれば気配り調整のできる人物です. 試験中ずっと気になって仕方ありませんでした. 終わったらその受験生に, 「どうして最後が魚なの?」 って尋ねようかと思ったくらいです. 「人・物・金」 何人かいましたよコレ. ポピュラーな間違いです. 近代社会に毒された若者をみているようで,なんだか切なくなりました. 「心・技・体」 切羽詰まってなんとなく思いついた三文字熟語を書いたのでしょうか. とは言え,どうしてこれを「三宝」だと思ったのか. 書くにしても想像力を働かせてほしいものです. でも,最近の大学も学生募集に切羽詰まって「なんとなくの思いつき」で始めたんじゃないかという入試がたくさんあります. その結果,毎月のように入試です. 一昔前に大学生だった人で,それでいて現在まで教育関係に触れていない人は驚くと思いますが,大学によっては8月〜3月まで毎月のように「◯◯入試」って感じで色々な名称の入試が展開されているんです.

テレビのない生活のすゝめ

前回の記事は,私がここ15年間にわたりテレビのない生活をしていたという話でした. そこで今回は,テレビのない生活をしてみたいんだけど,その一歩をなかなか踏み出せないという人のために一つ記事を書いておこうというものです. まず,テレビのない生活を私は奨励しません. 本記事の趣旨の根幹を切ってくるようで申し訳ないのですけど,これは本当です. 別にテレビのない生活だからといって良い事があるわけでなく,メリットもデメリットもないので好きにすればいいというのが実際のところ. その上で以下をお読み下さい. 私の実体験に基づいた「テレビを放棄するための手順」です. テレビのない生活:第1段階 テレビの話題をせずに1ヶ月過ごしてみる テレビから得た情報を基にした世間話やトークをしないようにしてみましょう. 意外と問題なく過ごせるものです. ニュースなんてネットや携帯・スマホのアプリから得られるし,ドラマとかバラエティの話題になったら「あ,私その番組見てないんですよ」と言えばいい. そんなことが1ヶ月ほど続けば,周りの人もあなたのことをテレビの話題を好まない人だと認識するようになります. 人の適応能力は優れていますので,あなたにはテレビ以外の話題をふってくるようになるでしょう. 私の場合は,先にテレビが故障したので見れない状態にあり,なのでテレビの話題を避けるようにしていました.最初のうちは「テレビ見てないの?」っていう反応でしたが,そのうち周囲の方も慣れてくるものです. テレビの話題なんてどうでもよくなります. 「営業トークや雑談に影響が出るのではないか?」という懸念もあるかもしれません. でも,それは杞憂というものです. テレビでしか得られない情報なんてほとんどありませんし,テレビ独自の情報なんてカスみたいなものです. 考えてもみてください.テレビで扱っているものを,あたかも世間の一般常識であるかの如く振りかざす奴に,まともな奴はいませんよね.テレビの話題を前面に押し出してくる奴は,たいていバカと相場が決まっています. 営業トークにしたって,賢い人であれば指向性が高いテレビの話題なんかは避け,普遍性の高い話題で勝負します.まっとうな社会人なら,この意味をご理解いただけるかと思います. バカをフィルタリングできるという意味において

テレビのない生活を15年送ると

学生時代からテレビのない生活を送っています. もうそろそろ15年になります. 2005年くらいから「最近の若者の中には “テレビ” を持っていない人が増えてきた」なんてことが言われるようになっていましたが,まさにその時「そうそう,僕もその中の一人」と思っていました. とは言え,そんなに言うほど周囲に「テレビを持っていない」同世代の人がいたわけでなく.なんだかんだで,レアキャラとして認知されていたのもたしかです. 学生生活を始めた頃は持っていたんですよ.でも,途中でテレビ受信機能が故障してしまい,修理するのも買い換えるのも面倒だし,なによりお金がもったいないので放置し,今に至ります. それに,テレビを見るって言っても,そのほとんどが映画を見るくらいだったので,それだったらTSUTAYAとかでDVD借りてパソコンで見たほうがいいなって.思い起こせば,DVDレンタルが本格化したのもこの2000年頃からですね.時代を感じます. その後は映画漬けの学生生活を送ることになったので,私の中では転機だったと思います. さて,テレビを見ずに15年生活するとどうなるのでしょうか. 以下,2000年初頭から約15年間テレビを廃棄した人間の実体験からお話しましょう. (1)テレビドラマと縁が切れる 最近は「Hulu」などの動画配信サイトが充実しているので見る機会も出てきましたが,この15年間はテレビドラマとは無縁でした. だからこの手の話は友人たちとも噛み合いません.どうせ噛み合わないんだから話題になりません.それで損も苦労も一切ないので,特に気になりませんが. (2)芸能人が分からない 以前もネタにしたことがありますが,4年前,前任校の学生たちの前で「AKB48」を「エーケービーよんじゅうはち」って読んでしまい,「フォーティーエイトですよ先生」って指摘されたことがあります.文字で見ることはあっても,音では聞かないですから.それだけ芸能人のことが分からなくなります. ジャニーズだと,最近解散することになったSMAPとかTOKIOが限界です.V6っていう人達がいるのは知ってますが,どんな人達で構成されているのか分かりません. 当然のことながらAKB48もどういう団体なのか知りません.未だに分かりません.最近,AKBが「秋葉原」を指すということを教えても

井戸端スポーツ会議 part 39「日本のスポーツの定義に物申す」

いまさら感満載ですが,この手の話がなかなか我々の業界でも話題に上らないので,私ではちょっと畑違い(領域外)なところもありますが,一応スポーツの専門家の一人ですのでこのブログを使って発言しておきたいと思います. 2011年にスポーツ基本法という法律ができました. ■ スポーツ基本法 (wikipedia) ■ スポーツ基本法(平成23年法律第78合)条文 (文部科学省) この法律が作られたことによる影響は一般に考えている以上に大きく,これにより「スポーツ」という我々にとって身近な文化的営みを「法律」によって取り扱うようになったわけです. それまでにも「スポーツ振興法(1961年)」という法律がありましたが,これは1964年開催を控えた東京オリンピックに乗じて「オリンピックも開催されることだし,とにかく日本にスポーツを振興していきましょう」という,ある種の “ノリ” で始めた経緯があったものです. こういった法律を作る上で,当然のことながら問題になるのは「 スポーツとは何か 」という点です. 「スポーツ振興法」では,「こまけぇことはいいんだ」とばかりに,皆がなんとなく「これってスポーツだよね」って捉えていることを振興すれば良かった.でも,今回のスポーツ基本法では,「基本」って言っているくらいですから,スポーツとは何か明確にしておく必要があります. ところが,過去記事でも事ある毎に触れていますが,この「スポーツとは何か」という問いは非常に難問なのです. ましてや「スポーツ sport」という用語は輸入品ですので,日本人にとってのスポーツとは何かと考え始めたら,一筋縄ではいきません. 勢い,「そもそも日本にスポーツなんて無いんだ!」などと言い出す青臭い学生,もしくはトンチンカンもいます.でも,これはこれで間違いです. 例えば「科学(サイエンス)science」という用語も輸入品ですが,では日本に科学という営みは無かったのかと問われれば,そういうわけではありません.これと一緒. スポーツ基本法においても「スポーツとは何か」に関する記述がありますが,「これが日本のスポーツです」と明記することは(巧妙に)避けられています. とは言え,それらしい記述はスポーツ基本法の「前文」に出てきます.それがこれ↓

体育学的映画論「ローマの休日」

先日,『デスノート Light up the new world』っていう酷い駄作を,こともあろうに映画館で大金をはたいて見てしまいました. ■ 体育学的映画論「デスノート Light up the new world」 駄作にも駄作なりの「見方」があるというのがその記事の趣旨でしたが,それでも駄作は駄作です.あれほどの駄作,作ろうと思ってもなかなか難しいんじゃないかと思ったりします. なので,今度は口直しに名作映画を見ることにしたのです. 動画配信サイトであるHuluに,名作として有名な『 ローマの休日 』があります. ■ ローマの休日 (wikipedia) なんだかんだで,実はまだ一度も見たことがない映画でした. 不朽の名作と呼ばれるからには,それなりの見どころがあるものと期待して,この際に見ることにしました. で,感想ですけど, ビックリするぐらいの名作 でした. いろいろな現代映画を見てきたつもりですが,ようするに “映画” って1953年の『ローマの休日』で完成していたんですね,ってことを思い知らされます. その後に作られた映画というのは,結局のところ『ローマの休日』の派生作品と言っても過言ではありません. ありとあらゆる映画らしい演出や展開が,既にこの作品で出来上がっているのです. 20代後半くらいになって,クラシック映画と呼ばれる作品を見るようになりました. それまでは,古い映画を見ても「退屈だなぁ」と思えど,面白いとは思えなかったからです. まあ,自分で言うものなんですが,若いうちはそんなものではないでしょうか.子供だったり二十歳そこそこの奴が,「クラシック映画が好きだ」なんて気味が悪いですしね. そうは言いましても,昔からクラシック映画の良さを全く知らなかったわけではありません. 大学2年生の頃,英語の授業で『 風と共に去りぬ 』を教材として見せられたことがあります. 担当教員としては,体育しか知らないバカで勉強へのモチベーション・ゼロであった我々のため,少しでも「英語」に親しんでもらおうという苦肉の策だったのでしょう. 私たちとしても,とてもじゃないですが授業で取り上げてもらわなければ「風と共に去りぬ」なんて映画を自発的に見るような連中じゃないし,長い目で見たら非常に有益な教育だったと思います.

山本有二:鳥無き島の蝙蝠にノミネート

私の地元の方々が推した国会議員の一人が,最近のニュースを賑わせています. 現・農林水産大臣 山本有二氏です. ■ 山本有二農林水産相「冗談」発言を謝罪し撤回。野党は委員会強行に反発し「何度謝っても冗談だ。けじめを」 (産経新聞2016.11.4) 山本有二農林水産相は4日の衆院環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)特別委員会の冒頭で、強行採決に言及した自身の発言を「冗談」と述べたことについて「私の不用意な発言で、再び皆様に大変ご迷惑をおかけしたことを心からおわび申し上げる」と述べ、発言を撤回した。「農業関係者のみなさまに心からおわびする」とも述べた。 山本氏の失言に端を発する混乱から,TPP承認・関連法案採決が延期されております. そんな一連の流れをみて,案の定,こういう推測をする人も現れました. ■ ひょっとして山本有二農水相はTPP反対派ではないのか。 (佐藤健志氏ブログ) はい.私もそう思います. が,その前に地元での話を先にしたいと思います. 山本有二は高知でどのような人物として認識されているのか. 彼の選挙区は高知2区(西部). 私の地元です.地元と言っても高知に選挙区は東西の2区しかないので,高知県西部の声がどれほど反映されているかは怪しいものですが. ともかく, 高知は全国的にも極めて「保守」が強いところです. 実際のところ,日本で最も保守的と言っていい. 現在は,1区から中谷元氏が,2区から山本有二氏が国政へ出ることが確定になっています. たまにしか高知に帰らない私ですが,どう考えてもこの地域でリベラル色のある議員は当選できません.維新とか日本の心がなんとかって言ってる党も一緒です. とにかく “新しい考え方” に懐疑的な人達が多く,何処の馬の骨とも知らない奴を当選させるくらいなら,日本共産党の方がいいと考えるのが高知県民です.「かつて坂本龍馬など幕末の志士を多数輩出した地域とは思えない」などと揶揄されることもあります. 山本有二氏について,私の両親は良く思っていません. 以前,山本氏のことについて話題になった時, 父「結局は中央に媚びる奴.信用できない」 母「肝っ玉が座っていない.もっとシャキッとしてほしい」 とのことでした. 他の地元民の方々も同じ

体育学的映画論「デスノート Light up the new world」

雨雲レーダーを見る必要もないほどの快晴. 朝一番.体育の授業をするため非常勤講師先の大学に到着したら,その大学,今日は全学休講日でした. たまにこういうことをやらかします.あまりスケジュールを管理しない質なのです. でも,午後からその大学の近くで研究会がありまして,今から一度帰るってのも面倒だと思いましたので,なんとか時間つぶしをしなければいけません. その大学の近くの駅前に映画館があったので入ることにしました. ゼミの学生たちが『 君の名は 』っていうアニメ映画の話をしていました.かなり繁盛している作品のようで,この際,せっかくなのでそれを見たかったのですが,なんせ “時間つぶし” のためにと思って見る映画です.選ぶこと自体が面倒なので,適当に入ったところでやっていた『 デスノート Light up the new world 』のチケットを買いました. でもこれ,先週末から上映が始まった新作らしい. 原作である漫画は,大学院の頃に友人から勧められて読んだことがあります.実写ドラマだった『デスノート』も,去年Huluで見たことがあります.知ってる作品の続編を選択するのが吉だと思ったわけです. そして平日の朝一.全然お客さんがいない中で見れました. 【以降,盛大にネタバレしますので,楽しみにしている人は要注意】 事前知識もなく,期待もせず,時間つぶしに見た映画です. 健康診断の日に,朝飯を食ってコーヒーもガブ飲みした血液検査の結果みたいなものと思って読んで下さい. まずは総評. とっても面白くありませんでした. でも,私はただケチをつけるだけの評価で終わらしたくはありません.どんな作品であろうと,何かしら良いところや考察すべき点があるはずだと思って見るものです. 心の底から不快感を禁じ得なかった映画は,ハリウッド版『 ドラゴンボール 』くらいのものです. ■ スポーツとニーチェとドラゴンボール ところで,卒論発表会とか修論発表会の場で「質問」をしてあげることが多い私ですが,聞くところによると,以前助手をしていた大学の学生同士では「発表会で◯◯(私)さんの手が挙がると戦慄」ということになっていたそうです. 私は怖がらせるつもりは全くありませんでした.せっかく学生が研究と発表を頑張ったんですから,少しでも実りあるデ