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体育学的映画論「四月物語」

もう7月ですが,「四月物語」を見てみました.Huluでやっていたので.
四月物語(wikipedia)
ちょっとしたロマンス映画ですが,田舎から都会に出てきた大学生の姿をよく捉えていると思います.あと,ホントに4月だけを映した物語です.
主人公は女子学生ですが,境遇が似ていることもあって,私にも共感できるところが結構あります.

あと,松たか子が演じる主人公が「東京の大学」に進学した理由なんですけど,それってのが私の高校時代の社会科の先生と同じなんです.
その進学理由が劇中で明かされた時,妙に親近感(?)をおぼえました.
「あっ,これって◯◯先生と同じだ・・」ってね.

思い出してみると,その時もその先生がナントカっていう映画?小説?と同じだとか言ってたような気がします.時期的にもこの四月物語(1998年)だった可能性が高い.
「いやいや,そんな理由で大学進学なんかしないだろう」と思われる人は多いかもしれませんが,案外そういう女子学生はいるのかもしれませんね.
ちなみに,その先生は “成就” しなかったそうです.

私としては,たぶん数年前までなら嫌いな部類の映画だったんですけど,歳をとったのでしょうね.こういう映画が見れるようになった私自身に驚いています.

いえ,面白い映画ではないんです.強いて言えば興味深い映画です.
なんでもない場面を映し出すだけで,こんなに引き込めるものかと感心します.
と同時に,これってのは見る側が大学生生活を経験している人じゃないと難しいのかなぁとも思ったり.

これが制作された1998年っていうと,私はまだ高校生ですが「大学生といえばこんな感じ」と違和感なく見れます.その後すぐ私も大学生でしたから.
でも,この1998年というのは今年入学した大学1年生の多くが生まれた年なんですよね.
確認するまでもないですが,19年前です.

私達の年代が1980年頃に制作された映画を見て感じる古臭ささと同じものを,今の学生たちは2000年頃に制作された映画から感じ取っているのかもしれませんね.
今の学生にとって「四月物語」みたいな青春ものは,80年代生まれの私達にとっては「時をかける少女(1983年)」とか「Wの悲劇(1985年)」を見せられるようなものでしょう.たしかに時代を感じます.
松たか子がこの20年間で変わったように思えませんが,それは原田知世や薬師丸ひろ子が35年経っても変わらないと思う人と同じかもしれません.

最近,こういう時代感覚を面白く感じるようになりました.
「十年一昔」と言いますが,10年前と言えば第一次安倍政権でしたし,東京マラソンが初めて開催されたのもこの年です.
私もすでに大学院を卒業して研究者になっていて,あれよあれよという間に30歳を越えました.
でも,この10年で何か大きな変化があったようには思えないんです.そういうものです.

今年の1年生に聞いてみたら,この次の年の2008年に開催されたオリンピック北京大会は記憶にあるけど,その前の2004年アテネ大会は認識できていないのだそうです.
北京大会は9歳頃,アテネ大会は5歳頃だったのですから,そりゃそうでしょう.