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井戸端スポーツ会議 part 54「やっぱりスポーツは社会を投影する」

何度か「井戸端スポーツ会議」と称して書いてきたテーマに「その社会の有り様はスポーツに表出する.または,スポーツへの取り組み態度が社会に影響する」というものがあります. 例えば,以下の記事でそんなようなことを書いてきました. ■ 井戸端スポーツ会議 part 9「スポーツ分析のような選挙分析」 ■ 井戸端スポーツ会議 part 25「戦争に負けた国(日本)がとるべき態度」 ■ 井戸端スポーツ会議 part 44「スポーツの精神が大切なわけ」 サッカー・ワールドカップに湧いている日本. そこで,やっぱり日本の現状を象徴するかのような一幕がありました. もともとサッカー・ワールドカップは,その国民性が現れると言われることもあり,今回の一件はとても興味深いものです. その出来事とは以下のようなもの. ■ 日本の“時間稼ぎ” 「フェアプレーに反する」 ポーランドで批判相次ぐ (産経新聞 2018.6.29) サッカー日本代表が28日のワールドカップ(W杯)ロシア大会ポーランド戦終盤で時間稼ぎに終始したことに対し、ポーランドのサッカー界からは試合後に「フェアプレーに反する」などと批判が相次いだ。 主に1970年代に活躍した元代表選手のルバンスキさんはテレビで「最後の10分間はひどかった」と日本代表を酷評。決勝トーナメント進出のためにボール回しを続けた日本代表からボールを奪おうとしなかったポーランド代表にも「がっかりした」と語った。 また、同国サッカー協会のボニエク会長も同じテレビで「リードされている日本代表が自ら負けを選んだ。こんな試合は初めてだ」と指摘。「試合とは呼べない内容だった」と批判した。 どうしてそんな事態になったのかというと・・・, ■ 日本が決勝T進出 警告の差でセネガル上回る (毎日新聞 2018.6.29) 同組のもう1試合でコロンビアがセネガルを1-0で降した結果、日本はセネガルと得失点差、総得点で並び、直接対決も引き分けだったが、警告数の差で上回って2位となり、2010年南アフリカ大会以来、2大会ぶり3度目の1次リーグ突破が決まった。 つまり,同時刻に行われていた試合「セネガル vs. コロンビア」において,セネガルはコロンビアに負けるだろうと予測し,危険なプレーに出される「警告」の数で勝負しようと考えたからです.

歴史的ということらしい米朝首脳会談(の補足)

歴史的ということらしい米朝首脳会談から一週間が経とうとしています. 会談のすぐ後に書いた記事が以下でした↓ ■ 歴史的ということらしい米朝首脳会談 その後,いろいろと続報が入ってきたので,これを交えて会談を再検証してみたいと思います. 上記の記事の趣旨としては,その冒頭に書いたとおり・・, (今回の会談について)我々としては,アメリカと北朝鮮の間で交わされる話に一々反応していてもしょうがない.両者はお互いにとって都合がいいことを話し合うわけですから,その他の国々の将来について考慮するわけがありません. 肝心なのは, この会談が日本にどのように影響するのか? ということ.そこだけ考えてればいいんです. ということで,その上で今回の会談については, 今後,日本にとって本当に危険なのはアメリカからの要求だと私は思います. そりゃもちろん,アメリカは今までも危険な国でしたが,今後の北朝鮮問題では,明確に日本と韓国を「囮」もしくは「餌」として使ってくることは目に見えています. (中略) 「北朝鮮の暴走」をロシア,中国,そして北朝鮮自身が押さえ込み,逆にアメリカはそれを望むという構造が始まった. 実際,今までもそうだったわけですけど,これまでと違うのは,アメリカがそこで日韓をこれまで以上に「餌」として利用するようになったことにあります. もちろん絶対的な自信があるわけじゃないですが,子供の頃から見聞きしてきた国際政治に関するニュースのパターンから察するに,上記みたいなことになるのだろうと私なりに心構えをしているところです. 政治的駆け引きの当事者(国家元首とか官僚とか)ではないので,私達としては裏事情のみならず,表事情すら分かりません. ですから, 物事の評価は私達の身に降り掛かってくるものやリスクからでしか判断できない. であれば,今回の会談の結果は日本や日本人にとって非常にヤバいものではないかと捉えたくなるわけです. 過去記事にもしましたが,「この話の裏には日本が大逆転するシナリオがある」とか「今回の合意は罠を仕掛けたようなもの」,もしくは「ジャブを打っただけ」などといった,自分の世界観に沿ったような希望的観測はしないほうがいいでしょう. ■ 「じゃあ,代わりは誰かいるのか?」の愚 ■ まだ言ってる「じゃあ,代わりは誰かい

歴史的ということらしい米朝首脳会談

最近のニュースがこれ一色です. なので本ブログでも取り上げてみることにしました. 歴史的とされる今回の米朝首脳会談ですが,誰にとって「歴史的」なのか,そこが私には興味深いところです. ちなみに,この米朝会談は「北朝鮮にとって有利な内容で合意した」などと評価されるのを目にしますが,そんなことはこの際どうでもいいのではないかと思います. なぜなら,アメリカにしたって自分たちに都合のいい条件で合意したに決まっています. 我々としては,アメリカと北朝鮮の間で交わされる話に一々反応していてもしょうがない.両者はお互いにとって都合がいいことを話し合うわけですから,その他の国々の将来について考慮するわけがありません. 肝心なのは,この会談が日本にどのように影響するのか? ということ.そこだけ考えてればいいんです. 会談直後のニュースがこちら. 北朝鮮有利で合意したという解釈は,以下のような点から導かれています. ■ 北朝鮮、非核化を約束 声明に具体策盛らず (毎日新聞2018.6.12) 両首脳は米国が北朝鮮に「安全の保証を提供」し、北朝鮮は「朝鮮半島の完全な非核化に対する揺るぎない約束を再確認」する共同声明に署名した。しかし、日米韓が求める北朝鮮の「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」は言及されず、非核化協議のスタート地点に立ったとの位置付けにとどまった。 あれだけ「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」に拘っていたのに. あっさり抜け落としたんですね. 「完全な非核化」と表現されていますが,でもこれは例の「CVID」ではなく,「CVIDになることを目指す(ただし,時期については今後検討)」という,極めて曖昧で適当な内容なのです. その一方で,「CVIDになることを目指す」ことに合意する代わりに,北朝鮮は「安全の保証」を受け取ったわけでして. つまり,北朝鮮としては「非核化に向けたポーズ」さえしていれば,アメリカからの軍事行動を回避できることを意味します.故に北朝鮮大勝利ということ. 上記のニュース記事にはこうもあります. 会談後の記者会見でトランプ氏は「完全非核化には技術的に長い時間がかかる」と述べた。両国は今後も合意の履行のための協議を継続することになっており、来週にもポンペオ国務長官やボルトン

井戸端スポーツ会議 part 53「サッカー日本代表2」

「2」というくらいですから,「1」もありました. もう4年前なんですね. ■ 井戸端スポーツ会議 part 3「サッカー日本代表」 前回大会の時に書いた記事でした.2014年になります. サッカー日本代表に関する話題がないものだから,すっかり今年がワールドカップの年であることを忘れていた今日このごろ. ところでどこで開催するんだっけ? あぁロシアか. そんな感じだったところに,代表監督であるハリルホジッチの解任劇によって,一気にサッカー日本代表のニュースが増加. 関心が高まって良かったですね. むしろ,日本サッカー協会としてはサッカー・ワールドカップの話題作りのためにワザと燃料投下したのではないかと思うくらいです.だとすれば非常に高度なテクニックですね. サッカー日本代表が普段どんな評価を得ていたのか知らないんですけど,ここ最近の体たらくぶりにサッカー・ファンが怒り心頭であることが窺われます. 直近の話題としては,5月31日のガーナ戦で惨敗し,昨日(6月9日)のスイス戦でも完敗だったとのことで. ワールドカップ直前のこの状況で,ワールドカップに出場できなかったガーナに手も足も出なかったことから,日本代表を見限るコメントに溢れかえっている状態です. まあまあ,皆さん落ち着きましょう. 過去記事でも書いたことを繰り返すことになりますが,あれからたった4年しか経っていないし,メンバーや新戦力も大きく変わっているわけじゃないので,同じことが言えると思います. そんなわけで,詳細は■ 井戸端スポーツ会議 part 3「サッカー日本代表」 を読んどいてください. まず,「日本代表はアジア枠だからワールドカップに出場できているだけで,世界にはもっと強いチームがいる」というのはその通りです.実際,ガーナの方が日本代表より強いのでしょう.もしかするとスイスより強いかもしれない. でも,そんなことを言い出したらキリがありません.サッカー・ワールドカップのルールに則って出場できているのだし,これはチャンスなのでそれを活かすことを考えればいいだけのこと. しかもサッカーは,他のスポーツ種目と比べて大番狂わせが起きやすいとされています. 逆に,テニスやラグビー,バスケットボール,あとは格闘技なんかが番狂わせが起きにくいですね. 一般的に,「ミ

体育学的映画論「万引き家族」

例のパルム・ドール受賞作. 今日が公開初日. ちょうど都内で仕事があったので,その帰りにレイトショーで観てきました. ネットでは,本作の監督をした是枝裕和氏がウヨクから嫌われていることもあって,「きっと反日サヨク映画に違いない」と,公開前からネガキャン三昧だったことでも有名な作品です. 実際に観た感想としては,全くもって反日でもサヨクでもない映画です. ウヨクの皆さんも,安心してご覧頂けることと思います. 【以降,ネタバレと思われる内容を含みますので,ご注意ください】 とは言うものの,私としては本作の予告映像以上の「ネタ」は無かったと捉えていますので,以下を読んでから本作本編を観てもらっても大丈夫だと思いますが. (だって,予告で物語の全容は全て開示されてますから) さすがパルム・ドール.丁寧な作りです. どうしてそんな展開になるんだ. そうじゃないだろ. なぜこんな行動をとる? ・・といったツッコミ所が見当たらず,日本における貧困層の暮らしを舞台とした家族ドラマを描いています. 公開前は「貧乏生活のために万引きをすることを肯定しているのではないか」という(映画を見もしないで)批判がありましたが,本作ではそんなことを描いているわけじゃありません. むしろ逆で, 万引きを肯定してはいけないことに目覚めていく少年・祥太の姿 を撮っているんです. さらに言えば,そのための押し付けがましい演出がないのも素晴らしい. それだけに展開が単調に映るので,レイトショーということもあってか,私の周囲の観客数名はいびきを掻いて寝落ちしていました. さすがパルム・ドール.一般大衆にはハードルが高い. 唯一の「押し付けがましい演出」は,柄本明さんが演じた売店のジジイが少年に対してとった言動ですが. それ以外の部分が徹底して抑制されているので,売店のジジイがとった「万引き少年に対するさりげない行動」がとても際立つんですね. 少年・祥太役の子役も良かったですが,なんと言っても安藤サクラさんの怪演でしょう. 池脇千鶴演じる取調官との対話が特にすごい.取調官の言っていることが事実なだけに,その事実を突きつけられて苦しむ「母親になりたかったわけではないが,本当はなりたかった女