2018年7月5日木曜日

大学が置かれた現状を再確認

大学教育に関するニュースがたくさん出てきた今日このごろ.
実は切実な問題である・・,
の話でもしてみようかと,女子大での仕事経験のある私は考えていたのですけど,もうちょっと「世間の賑わし度」の高い方から取り上げます.

昨日からのニュースで出てきたコレ↓
東京医大理事長が便宜依頼、学長と息子合格指示(読売新聞 2018.7.5)
文部科学省の私立大学支援事業を巡る汚職事件で、受託収賄容疑で逮捕された同省前科学技術・学術政策局長の佐野太容疑者(58)(4日付で大臣官房付に異動)に対し、東京医科大学(東京)の理事長が支援対象の選定で同大に便宜を図ってもらえるよう依頼していたことが関係者の話でわかった。その見返りとして、理事長と同大の学長は、佐野容疑者の息子を同大に合格させるよう学内に指示していた。
各業界には,これといった証拠がないことや,それを公に晒すと自分の身も危ないから口にされていないだけで,よくある悪巧みというものが存在します.
今回の話もそれです.

当然ながら,そんな話題ですからその他の大学さんたちは以下のような反応になる↓
他大学「ありえない」選定の名誉欲しさに焦り?(読売新聞 2018.7.5)
私立大学の支援事業を巡る受託収賄事件で、問題となった事業の対象に選ばれた他の大学からは「あり得ない事件だ」と驚きの声が上がった。東京医科大は2016年度に落選しており、翌17年に選定された際には大学のホームページでPRしていた。専門家は「『選ばれた大学』という名誉欲しさに、焦りがあったのでは」と指摘している。
絵に描いたようなカマトトですね.
何度も例に出している,「高校野球の特待生は違反です,に対する反応」と同じ類のもの.
プロ入り前の選手に対する,スカウトからの「食事代(という名の賄賂)」なんかもその一種です.

あのさぁ,それが横行していることなんて,最初から知ってたでしょ? ってことなんですよ.
実際,このニュースが出てきた時,私はこんな大騒ぎになるとは思いませんでした.
やっぱり,その時々の世間の関心や嗜好が大きく影響するんでしょうね.
たしかに,よくよく聞けば大問題だし,それでいてしょうもない話なのが印象的な事件ですけど.

最近話題になっている学校・大学スポーツの「危険なラフプレー」についてもそうです.
あんなの,競技スポーツ経験者からすれば,そこら中で発生していることなんて知っています.
課題としなければいけないのは,頻発しないようにするためのシステム作りや工夫,発生した際の当事者に対する対応方法や処分の手続きについてでしょう.
カマトトぶってセンセーショナルに報道するのはやめてほしいですね.

今回の事件ですが,当然ながら,多くの大学が同じような不正をしているわけではありません.
こういう悪巧みをするのは,一部の大学経営陣や官僚だけであろうことは申し添えておきます.

それに,大学にはこの手の話題が好きな人がいるんです.
「選考に有利になる方法がある」とか,「あの人は文部科学省のお偉いさんと仲がいいから,助成金とか支援金の選定で鉛筆を舐めてくれる」とか.
政治的に動くことを得意とする教員や職員が,これぞ私が生きる道とばかりに目を輝かせる話題.
彼らにとっては,そうした政治的駆け引きやパイプの太さ,コネクションへの造詣の深さがステータスなんです.

別に,政治的に動く教職員を悪く言うつもりはありません.彼らの多くは,節度と法律を守って仕事しているのだろうし,そうやって政治的に活躍してくれる教職員がいないと組織というのは機能しませんから.

上記の新聞記事では,「専門家は『選ばれた大学』という名誉欲しさに、焦りがあったのではと指摘している。」とありますが,私見としては,「焦り」ではなく「政治的な活躍をこじらせた」可能性も高いと思うんですよ.
というのも,私はこういう類の大学トラブルは「大学としての名誉」よりも,「個人的なプライド」によって発生することをよく見てきたからです.

多くの教職員は,むしろ焦ってなどおらず,「いかにのんびり過ごすか」「いかに研究に打ち込めるか」「いかに学生を成長させるか」を重要視しています.
ところが,そうした「のんびり」とか「研究」とか「教育」に自分の存在意義や役割を見出だせず,政治的な活躍によって大学内での地位を確立している教職員がいて,そんな彼らが輝ける機会というのが今回のような場面だったわけです.
そういう意味では「焦り」もあったのでしょうけど.いずれにせよ個人的なものです.

問題なのは,こういう個人的なプライドや存在価値の発露が,大学運営に対し強力に影響している現状です.
もちろん,こうした人間関係と政治的な力学が大学運営において働いていることは以前からありましたが,その影響力が年々増加していることを肌で感じます.
どんどんヤバくなっていきますね.もう手がつけられないほどに.

※なお,こうした事態に対し,私はもう諦観しかしていません.
「もはやこれまで」とはこのことです.


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