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井戸端スポーツ会議 part 56「始まったスポーツ界の内部告発」

ようやくスポーツ界に蔓延るハラスメントが告発されるようになりました. 昨日も,体操競技でそれがありましたね. ■ 宮川、協会からパワハラ受けた 18歳「勇気」の主張 (毎日新聞 2018.8.31) なにか一つの象徴的事件から,一気に火が回る人間社会の典型とも言えるでしょう. これからこういう話はドンドン増えてくるので,その世界にいる私としても気を引き締めておかねばなりません. これは「日本大学アメリカンフットボール事件」に端を発した感のある流れですが,それまでにも日本のスポーツ界は『燃焼剤』を溜め込んでいました. ハラスメントに関する内部告発を促進した直接的な事件といえば,レスリングの伊調馨選手周辺で起きたトラブルでしょう. その後も,選手がコーチを訴える流れは,同じく日本大学のチアリーディング部のトラブルで促進されました. もともと,「日本のスポーツ界」が碌でもない環境であることは,日本人皆が薄々感じていたことです. 学校の部活動をはじめとし,プロ野球,Jリーグ,大相撲といった世界を少し覗いたことがある人からすれば,この世界には表向きの顔と裏の顔があること.さしずめ芸能界とかアイドルと似たような世界だということは気が付きます. マラソンの代表選考がいい加減だったとか,大相撲で暴力事件が起きてもうやむやになるとか,柔道で日常的にセクハラ・強姦が起きていたとか,たくさんの野球選手がやりたい放題してたけど揉み消されていたなどなど. 他にも,結構な数の元有名スポーツ選手が落ちぶれたり,犯罪に手を染めていたというのも定期的に聞く話ですね. もっと言えば,日本のスポーツ界が(おおむね)碌でもない人間の集まりだからこそ,人々は安心して彼らをヨイショして持ち上げることができていたのです. サーカスを見るようなものですね. いえ,これは別にサーカスやスポーツ,芸能界が下賤なものだと差別したいわけではありません. 人間とは,そうやって華々しく映る者の光と影,その盛衰を見て楽しむ文化があるからです.良い悪いの話ではない. もしスポーツ界が碌でもない人間の集まりじゃなかったら,人々は安心して彼らをヨイショなど出来ません.だって,スポーツ界がまともだったら,それを見ている自分が惨めで仕方ないじゃないですか. つまり, 自分よりも劣っている(と見

老兵は死なず

いろいろバタバタしていて,ちょっと時期を逸しましたが「この季節」らしい話題を一つ. お盆といえば「終戦の日」ですので,先の大戦の話です. 今回,お盆で里帰りしていた際に父から祖父のことで話題になったことがありました. 祖父は10年近く前に亡くなったのですけど,その亡くなる直前,病床に際して父を含む何人かにそれまで話していなかった戦争体験を口にする機会があったそうです. それが「ノモンハン事件」. 今年の8月15日は,NHKのテレビ番組で「ノモンハン事件」について取り上げていました. ■ NHKドキュメンタリー「ノモンハン 責任なき戦い」 (NHK) そしたらそこに,私の叔父から父に電話がかかってきて,「親父が派兵されていた所の事をやっている」と言うのです. 父たちにとっては,やっぱり重大な関心事なのですね. 祖父は先の大戦では,陸軍の一兵士として中国大陸と東南アジア地域に派兵されていたそうです. 南方での戦闘については,私も直接祖父から生前にいろいろと聞かされていました. 戦車を潰すことにかけては自信があったそうで,これについては以前このブログで記事にしたこともあります. ■ 即席対戦車爆弾 しかし,北方であるノモンハンの話は初めて. 実際,父たちも祖父がノモンハンに派兵されていたことは,ずっと聞かされておらず,亡くなる直前にようやく聞かされたとのこと. 私も今回,初めて父からこの話をきかされました. ノモンハン事件というのは,満州国とモンゴルの国境線をめぐって起きた,日本とソビエト連邦による軍事衝突です. ■ ノモンハン事件 (wikipedia) そして,日本軍が惨敗し,「北進」を諦めて「南進」へと舵を切り,太平洋戦争へとつながるきっかけとなった重要な出来事でもあります. その戦場の真っ只中にいたのが祖父でした. 祖父がずっとノモンハンの話をしなかったのは,日本軍の戦い方があまりにも杜撰で,地獄としか言えない戦場だったからだそうです. 「とにかく無謀な戦いだった」というのが祖父の評価であり,ここでの戦いは自分の家族に話せるものではないとして,ずっと控えていたとのこと. ノモンハン事件については,特にウヨク系の人たちから「実は,損害は日本軍よりもソ連軍の方が大きかった」という解釈がありま

体育学的映画論「夢」

前回は現在上映中の 『カメラを止めるな!』 の感想を少しだけ述べましたが,詳しく論評するのはネタバレを含むことになるので,もっと後になってからとします. ひとまず,「カメラを止めるな!」は,私は好きな映画です.三谷幸喜の「大空港2013」とか,「ラヂオの時間」みたいな作品は嫌いではありません. 漂う空気も,実写版パトレイバーである「THE NEXT GENERATION パトレイバー」と類似性があったりするので,こっちも好き. いずれも追って論評したいと思います. で,全然作風が違う映画ですが,さっき, 黒澤明『夢』 を見たんです. 私は今,猛烈に感動しています. ■ 夢 (wikipedia) ネットのレビューでは,結構賛否両論なんですね. たしかに,そんな感じの映画ではある. つまらないっちゃ,つまらないもん. 映画って,ある程度のクオリティを超えてくると,あとは好みの問題になってくるように思います. 万人受けする作品,映画通に受ける作品,熱狂的ファンに受ける作品などなど.そこからさらに細分化した後は,個人的嗜好になっていくものです. 今,物凄い人気を博している「カメラを止めるな!」にしたって,たぶん映画通にしてみれば「過去にもこういう作品はあった」とか言うんだろうけど,その時代との融和っていう要素もあると思うんです.いろいろ書きたいことはありますが,これについては,また別の機会に. さて,「夢」ですが,これはその時代の空気との融和とは無関係な作品です. 黒澤明の映画は概ねそういう作品が多いとは思いますけど,これは特にそう. 黒澤明本人が見たとされる夢を映画化したものとされていますが,その映像は鳥肌が立つほど綺麗で,まさに「夢の中の出来事を映像化したらこうなりました」というもの. 8つのエピソードから成るオムニバス形式の映画です. 特に少年時代のエピソードとして出てくる映像は,「小さい子供にとっての自然や伝統慣習の見え方」が見事に現れています. たしかに,私も子供の頃にはこういう夢を見ていた覚えがあります. 例えば「日照り雨」のラストシーンである「花畑と山にかかる虹」の映像は,田舎育ちの私にとっては背筋が凍るような既視感.それは懐かしさと怖ろしさが同時に込み上げてくる複雑な感情. 雨上がりの土と花と緑の匂いも

学校教育対談(5回目)

和田慎市先生との学校教育対談の季節になりました. 昨日,都内某所で開催. これで5年目となります. 過去の対談はこちら↓ ■ 学校教育対談 ■ 学校教育対談(2回目) ■ 学校教育対談(3回目) ■ 学校教育対談(4回目) 和田先生は,学校教育現場について現場目線での情報発信をしている方です. 著書はこちら↓     ホームページも作成されていますので,こちらも御覧ください. ■ 先生が元気になる部屋 (和田慎市ホームページ) あと,先日はiRONNAにも記事を掲載されていました. ■ 「ズボン脱がされてもイジメじゃない」それってどうなの? (iRONNA 2018.5.3) この対談も5回目ですが,当初は和田先生との2人だけだったのが,次第に参加者も増えていきまして,さて今回はと言うと,なんと私のゼミ生までもが参加しました. 今年の教員採用試験を受けている学生で,一次試験を突破して次は二次という状況. その学生も他大学の教採仲間を一人連れて来てくれたので,かなり広範囲の会となったわけです. 彼らとしては,教員採用試験の参考(特に面接など)になればという考えもあったのですが,教員の仕事を現場目線で,且つ,俯瞰的に捉えておきたいというのが参加を決めた動機. 楽しいことばかりではない職場だと分かってはいるものの,それをより詳しく聞いておきたいと考えたようです. そんな彼らにとって,和田先生との対談はとても有意義な時間になったようです. 教員の仕事の大変さを知りたいということで,いろいろなトラブルや職場での「あるある」の話もしたのですが,そうはいってもこの仕事の魅力とは,そうしたネガティブな部分を含めたものと言えます. 「私はこの仕事を通して何をしたいのか?」 ということがしっかり見つめることが大事です. それは他の仕事においても同じでしょうけど. その時に和田先生もおっしゃっていましたが,トラブルを起こしたり反抗的な生徒は嫌いじゃない,ということ.私もこれには同感です.大学生にも同じことが言えます. 別にトラブルを起こしたり反抗的な態度をとる生徒こそが「良い生徒」だと言っているわけではありません.そのあたりを勘違いされることが多いので注意が必要です. 小説や映画,アニメなどでも「反抗的だけど,