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イニエスタに着ぐるみを着せる大学広報

昨日,よく知る大学の先生と夜中まで男2人でサシ飲みしてたんです.
最近は「サシ飲み」をすると言っても対面(オフライン)ではなく,スカイプとかフェイスタイムを使っての「オンライン飲み会」ができる時代です.
この先生とは,こういうオンライン飲み会をもう6年くらいやってます.便利な世の中になったものですね.

話題は「大学広報」になりました.
その先生の大学のホームページがヤバイことになっているとのこと.

さて,このブログの常連さんなら覚えているかもしれませんが,もう6年以上前の記事になってしまいましたけど,
こんなホームページの大学は危ない
というのを書いたことがあります.

2012年時点で,「こんなホームページにしている大学は危ないぞ」という警鐘を面白おかしくフザケて書いたんですが,思いのほか世間のウケが良く,閲覧数があれよあれよと何千何万と増えたのも懐かしいです.

そこに書いていたことの一部は,2018年現在の大学ホームページにおいては「普通」になってきているものもありますが,その多くはやっぱり大学の「危なさ」と相関性がみられます.

そして,件の先生の大学ホームページが,まさにこれにバンバン該当するようなっているとのこと.
実際,私も確認してみたのですが,トップページが表示された瞬間に爆笑するほど「香ばしい大学ホームページ」になっているんです.
思わず「あっぱれ!」って付けたくなるくらい,典型的な危ない大学のHP.

前回の映画の記事と本質的には類似するんですけど,逆の意味で絶妙な構成によって「それじゃない」を作り出している感じ.
これを私達は,「例えて言うなら,イニエスタに着ぐるみを着せてるようなもの」とか,「イニエスタにティッシュ配りさせてるようなもの」と評しました.
つまり,こういうこと.
普通にフィールドでのびのびプレーさせてれば,それだけで『広告』になってくれるのに,なぜか低レベルな広報戦略に巻き込んでしまい,本人じゃなくてもいいティッシュ配りさせて無駄に「イニエスタにティッシュ配りさせてる俺たちって凄くね」というアピールや,せっかくの『イニエスタ』なのにそれと分からなくなる着ぐるみを着せてしまい,一生懸命に広報させることによって『規定通りに頑張ってるぞ』的なものを無意味に演出している状態.
を指します.
実際,危ない大学の広報には,こういうタイプのものが多い.

先日の記事でもお話しましたが,12月から私は片手間ですがYoutubeで動画配信する作業をしています.なりゆきで今流行りのVtuberもやってたりする(なので最近はブログ更新できずにいた).
広告費を使わなくてもこの1ヶ月で結構な再生数(平均して1日3万くらい)を稼げるようになったので,それなりに「世間がどんな動画や情報を求めているのか」とか,「どういう動画だと高評価してくれるのか」が分かってきたと自負しています.
(例えば,誰からも「高評価」されるような動画は火力やメッセージ性が弱いんです.低評価と紙一重のところを突くのがポイントですよね)

近年では,大学もDVDだけじゃなくホームページ上で動画を掲載するようになってきたのですが,そんな私からすると,やっぱり「どうしてこういう動画をアップするかなぁ〜」と頭を抱えるものがいっぱいあります.
件の先生の大学ホームページにも,そんな動画が掲載されてあったので,その話題になったんです.

例えば,文化活動とかスポーツ活動で活躍している学生をピックアップして映す動画がありますよね.
けど,あんなの見ても,高校生はルーティーンとして「高評価」を付けてはくれるでしょうけど,「この大学に入ろうかな」なんて思いませんよ.
今の御時世,こういう動画は「広報のために編集・仕立てられたPV・合成フォトショ写真」としか見てくれません.むしろ,そんな動画を見せるのはマイナスになる.
これが「イニエスタに着ぐるみ」なんです.

一時期,「ステマ(ステルス・マーケティング)」という言葉が流行りましたが,そこまで狙わなくとも,「これは学生募集用の広報です」という色を消すことが重要です.
より具体的に言えば,その動画を見ることで高校生や保護者が得をしたと思わせるものでなければいけません.
めちゃくちゃ当たり前のことですが,これが出来ていない大学広報用の動画は多いです.
一度,ご自分の大学のHPに掲載している動画を見てください.大学サイドが言いたいことや入試・広報課が訴えたいことを載せただけの動画だったり,一部の優秀学生のプロモ動画になっていませんか?
そんな動画を見せられても,大学に親近感は湧かないし,その大学に行くことのメリットや利益が感じられません.

言い換えれば,普通の学生がこの大学で普通に生活するとどういうキャンパスライフになるのか? をステマする必要があります.
HPの動画を見て寄ってくるような高校生や保護者のレベルに合わせなければなりません.失礼な言い方になっているかもしれませんが,広報とはそういうものです.
そして,そこでは「意外と便利なアメニティがある.寮生活だと勉強が充実する.教員との会話が結構アカデミック.アルバイトが斡旋されていて簡単に見つかる」といったところを,それをそれとしてアピールしないように,自然に映すなかで知らせる動画を作るのです.
つまりは,イニエスタには普通にフィールドでプレーしてもらうだけでいい,ということ.

勘違いしてもらっては困りますが,もともと,私はこういう広報用の動画を大学がつくる必要などないと思っています.
そんなことしなくても,大学教育をまじめにやっていればいい状態をつくる方が,なんぼか日本や人類のためになるんですから.