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3月, 2019の投稿を表示しています

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大学生を相手に初めて授業する人が準備しておくべき3つのこと|【その3】私語を絶対にさせない環境にする

【その2】 成績評価の判断材料を厳格に決めておき,それに対応した授業を展開する,の続きです 今回は, 【その3】 私語を絶対にさせない環境にする について解説します. 全体を整理しておくと, 授業を担当する上で重要なことは,この3つです. 大学で授業することが初めてでビビってる人や,既に1年やってみたけど失敗し,ちょっと悩んでいるという人は確認しておいてください. 【その1】15週分の計画は予め具体的に決めておく 【その2】成績評価の判断材料を厳格に決めておき,それに対応した授業を展開する 【その3】 私語を絶対にさせない環境にする ←今回はこの話 実のところ,上記のことは「大学授業の基本」として,たくさんの書籍が販売されています. この記事で興味をもったら,その詳細については以下を御覧ください.       【その3】 私語を絶対にさせない環境にする 「私語対策」は,大学教員にとって典型的な課題とも言えます. 小教室でのゼミ形式であれば対応は簡単. 教員側にも聞こえてくるので, 「おいそこ,うるさい」 と気軽に指摘できます. ところが,問題なのは大教室です. マイクを使ってしゃべる時間が長くなってしまうと,どうしてもヒソヒソ話を始める学生が現れます. 教壇に立っているこちらには聞こえなくても,その周囲2mくらいにとっては迷惑な行為になっていることが多いわけです. 私もかつて,授業内のリアクションペーパーや,授業評価アンケートに, 「周囲の学生のヒソヒソ話が気になって授業に集中できなかった」 みたいなことを書かれたこともあります. これについて大学教員の立場からすると, 「だったら前の方に座れ」 とか, 「君がその学生に注意すればいいだろ」 と言いたくなるのですが. じゃあ,私語を指摘し合っている一般社会人がどれほどいるか,というと,それは頼りないわけです. 私だって,学生の立場であれば,そんな学生に「私語をやめてくれ」と言えるか怪しい. 大人になった今とか,友達同士ならまだしも,全然知らない学部学科の,しかもヤンキーやギャルみたいな奴だったら,面倒になることを避けてしまうかもしれません. ですから, 教員側が私語対策をしなければいけない部分はある と思います

大学生を相手に初めて授業する人が準備しておくべき3つのこと|【その2】成績評価の判断材料を厳格に決めておき,それに対応した授業を展開する

【その1】 15週分の計画は予め具体的に決めておく,の続きです 今回は, 【その2】成績評価の判断材料を厳格に決めておき,それに対応した授業を展開する について解説します. 全体を整理しておくと, 授業を担当する上で重要なことは,この3つです. 大学で授業することが初めてでビビってる人や,既に1年やってみたけど失敗し,ちょっと悩んでいるという人は確認しておいてください. 【その1】15週分の計画は予め具体的に決めておく 【その2】成績評価の判断材料を厳格に決めておき,それに対応した授業を展開する ←今回はここの話 【その3】 私語を絶対にさせない環境にする 実のところ,今回紹介していることの詳細は「大学授業の基本」として,たくさんの書籍が販売されています. この記事で興味をもったら,その詳細については以下を御覧ください.       【その2】成績評価の判断材料を厳格に決めておき,それに対応した授業を展開する 前回の, 【その1】15週分の計画は予め具体的に決めておく でお話したように,授業全体の計画を事前に立てておくことが大事です. そして,この「事前計画」は,教員だけでなく学生とも共有しておく必要があります. 「教員と学生との間で共有された事前計画」から外れてしまうと,学生は一気に授業から関心を失います. それだけでなく,ひどい場合には教員に対する人格攻撃にまで発展することがあるので注意が必要です. それは,どれだけ教員が優しく丁寧に対応しようと,どれだけ下手に出て甘々に対応しようと関係ありません. ここを勘違いしている教員が, 「こっちがこれだけ親切に対応しているのに,どうして舐め腐った態度をとってくるんだ!」 とキレることになります. しかし,悪いのは私たち教員側です. 考えてもみてください. 自動車教習所で,習ったこともない運転方法を突然課され,上手くないから今回はハンコ無し,なんて対応をされたら生徒は怒りますよね. そこで丁寧に説明しても生徒は納得いかないでしょうし,甘く対応したら舐めてきます. 次の日からは,意識が高い生徒は気合を入れるでしょうが,普通の生徒は学習意欲を下げるか退学します. それと一緒です.

大学生を相手に初めて授業する人が準備しておくべき3つのこと|【その1】15週分の計画は予め具体的に決めておく

初めて授業をするのは怖いですよね 大学の数がどんどん増えて全国800校を超え, その授業を担当する人も,専任教員以外に非常勤講師も増えてきました. これから大学の授業をしなければならない初心者教員もいるのではないでしょうか. 大学の授業は,中学・高校の授業や,ピンポイントでの講演やセミナーとは異なる点が多々あります. てっきり同じものだと思ってやってみたら,最初の5〜6週はなんとかできても,後半に大変な思いをしたという人もいるかと思います. それは,「大学生相手の授業」としての準備が足りなかったらかもしれません. 今回は大学教員になるシリーズとして,今回は実際に授業をする際に気をつけておくべきポイントをご紹介します. なお,他の「大学教員になる」シリーズはこちらです. ■ 大学教員になる方法 ■ 大学教員になる方法「強化版」 ■ 大学教員になる方法「感想版」 ■ 大学教員になる準備 約10年の大学教員歴と,実は学内表彰も受けたことがある私が,大学の授業を担当する上で必須のスキルを解説します. 授業を担当する上で重要なことは,この3つです. 初めてのことでビビってる人や,既に1年やってみたけど失敗し,ちょっと悩んでいるという人は確認しておいてください. 【その1】15週分の計画は予め具体的に決めておく ←今回はこの話題 【その2】成績評価の判断材料を厳格に決めておき,それに対応した授業を展開する 【その3】 私語を絶対にさせない環境にする これら3つが守られていない授業は,一生懸命やったとしても学生からの評価は, 「なんか面白かったような気がするけど,フワッとしていて覚えていない」 とか, 「熱意があって優しそうな先生だったけど,実のところイラッとしたし,ムカつく」 といった授業になってしまいます. かつての私も,そんな評価を受けていました. 実のところ,上記のことは「大学授業の基本」として,たくさんの書籍が販売されています. この記事で興味をもったら,その詳細については以下を御覧ください.       今回は, 「その1:15週分の計画は予め具体的に決めておく」 です. 【その1】15週分の計画は予め具体的に決めておく 大学の授業を担当する上で

体育学的映画論「運び屋」

前回の記事, ■ 井戸端スポーツ会議 part 57「イチローが引退:頭を使わなくてもいい野球になりつつある」 で,イチロー選手が言及したかったのだろうと推察される話として,「セイバーメトリクス」によるゲーム分析と選手評価のことを挙げました. で,その話が理解しやすいオススメ映画としてブラッド・ピット主演の『 マネーボール 』をご紹介したのですけど,これに関連してもうひとつ,この昨今のメジャーリーグ業界を扱った映画に,クリント・イーストウッド主演の『 人生の特等席 』があります. ■ 人生の特等席 (wikipedia) 『マネーボール』は,セイバーメトリクスによるスカウティング業界のイノベーションを好意的に捉えている映画であるのに対し,『人生の特等席』の方はと言うと,そのセイバーメトリクスによって立場が失われつつある老いたスカウトマン(クリント・イーストウッド)に焦点を当てています. あんまり言及しちゃうとネタバレになってくるので詳細は控えますが,『人生の特等席』は,「人の目によるスカウティングの重要性」と,「メジャーの世界にもスカウトマンを含めた人情味が必要」をテーマにしています. それ以外の部分でも,いろいろちょっとステレオタイプが過ぎる脚本の映画に思えますけど,クリント・イーストウッドが主演する映画なので気になりません. 絵に描いたような,「時代の変化に抗うアメリカの頑固ジジイ」をみせてくれています. イーストウッドが演じる何気ない仕草一つ一つのクオリティが高い.それを眺めているだけで十分に満足できる映画です. そもそも,この映画は野球選手のスカウティングではなくて,父娘関係が主要なストーリーではあるのですが,それらを通して「古き良きアメリカのスポーツ」,そして「社会」を論じていることに違いはありません. と同時に,これがセイバーメトリクスによって失われつつある「古き良き野球」なのではないか,そして,それがイチロー選手のいう「危機感」の正体ではないかと考えさせられたりするんです. 過去記事でも言及していますが,その国・社会の在り方は,その国や社会のスポーツに投影されるからです. ■ 井戸端スポーツ会議 part 54「やっぱりスポーツは社会を投影する」 というわけで,『人生の特等席』で論じられていたことを,スポーツではな

井戸端スポーツ会議 part 57 「イチローが引退:頭を使わなくてもいい野球になりつつある」

ついにこの日が来ましたね. イチロー選手が引退しました. ここ2日ほど自宅を出払っており,このニュースはスマホの速報で受け取っただけでして,先ほどYouTubeで引退会見を見たところです. 28年の現役生活ということで,私が小学生の頃からプロだったことになります. その時に生まれた人も27歳になっている.そう考えると長いですね. 若い人なんか,オリックスのイチローをリアルタイムでは知りません.物心がついた時には,メジャーリーガーのイチローだったのですから. 登録名を「イチロー」にした1994年に200本安打を達成して,プロ野球界が沸き返っていたことが,懐かしくも,ついこの前のような気もします. 振り子打法と呼ばれるあのバッティング・フォームが大ブームになって,私も元々右バッターだったのを,イチローに憧れて左バッターに変えました. 左バッターボックスである利点を活かして,打ちながら走り出すバッティングスタイルはヒットが出やすいこともあり,あの頃から左打ちにした野球少年は多かったと記憶しています. もちろん,それはイチローだけでなく,同時代に活躍してメジャーリーガーにもなった松井秀喜の影響もあり,今では右バッターの方が少ないくらいになりました. ところで,YouTubeで引退記者会見を見ていて,イチロー選手から気になる発言が出てきました. 私が見た引退記者会見の動画はこちら↓ ■ イチロー選手が引退会見「後悔などあろうはずがない」(2019年3月21日) イチロー選手曰く,メジャーデビューした2001年から2019年までの間で,メジャーリーグの野球は大きく変化したそうです. その変化とは,「頭を使わなくてもいい野球になりつつある」ということであり,そしてそれは,イチロー選手だけでなくプレーヤーを含め現場の人たちの多くが気がついており,危機感を持っているとのこと. しかもこの,「頭を使わなくてもいい野球」という「流れ」は,変えられないもの,とも述べています. この問題意識や危機感は,スポーツ現場に携わっている人ならではの意識と感覚でしょうね. 同様の問題は,野球以外のスポーツでも発生しています. 分かりやすいところで言えば,モータースポーツ,特にF1では以前から話題になっています.マシンの性能を高めようと思えばいくらでも高め

教育系ドラマ「3年A組―今から皆さんは、人質です―」を見たよ

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テレビを持っていない私は,世間に出回っている映像コンテンツを見るためにはネットの動画配信サイトを使っています. Huluは契約している動画配信サイトの一つです. 日本テレビの2019年最初の連続ドラマとして,日曜夜10時に「 3年A組―今から皆さんは、人質です― 」っていうのをやっていたそうです. テレビで放映したあと,すぐにHuluでも配信していたようなのですけど,「連続ドラマ」より映画を優先的に見ることが多い私は,「3年A組」は後回しにしておりました. けど,やっぱり「教育系ドラマ」はある種の義務として見ておくべきだろうと思い,全話を放映したあとに,まとめて見ました. 教育系ドラマは,「3年B組 金八先生」とか「学校があぶない」とか,あとは「中学生日記」なんかも含め,その時代の教育問題と社会的な歪みを鋭くえぐり出す良作が多いのでハズレが少ない. たぶん,教育現場を舞台にしたドラマは,脚本家とか監督といった製作者の伝えたいメッセージを具現化しやすいのだと思います.「教員」と「生徒」という関係は,日本人にとって分かりやすく共有しやすい構造を持っているのかもしれません. 最近だと(といっても6年前だけど),「35歳の高校生」あたりが意外と良かったですね. なお,私は教育系ドラマと学園ドラマは明確に分けていますが,その違いと定義については割愛します. もちろん,教育系ドラマも視聴率を稼ぐために一般大衆向けとして作られているのですから,演出とか脚色に無理があるのも否めないですが,「問題意識」についての共通理解を促す上ではとても強力です. その点,「3年A組」はかなりぶっ飛んだストーリーでしたが,これくらいの方がドラマとしての面白さがあるので良かったと思います. 【以降,ネタバレを含みつつ書いていきます】 主人公の美術教師である柊一颯は,赴任した高校で発生した女子生徒の自殺の真相を世に知らしめるため,担任していた3年A組の生徒全員を人質として,学校に立て籠もる事件を起こします. 細かい話や設定は,ウィキペディアなんかを読んでください. ■ 3年A組―今から皆さんは、人質です― (Wikipedia) 「生徒の自殺の原因を突き止める」っていうのが,なんとも世相を反映しておりますね. 結局,柊先生が結論づけた,女子生徒が自殺した原因

やっぱワックスはいるわ

ワックス不要論・必要論を実際に検証してみて,実感したことを述べます ■ 白馬八方尾根でスキー で取り上げた話題に「スキーにワックスは不要ではないか?」というものがあります. 例えばネットではこんな記事があります. ■ スキーのワックスについて質問です (ヤフー知恵袋) ■ スキーワックスは不要という事? (趣味人倶楽部) ■ スキーのワックスがけは無駄ですわよ (個人サイト) 簡単にまとめれば,「最近のスキーのソール材料は性能が高いため,ワックスをかける必要性がない. むしろ,ワックスをかけることで細かいチリを拾いやすくなるため,悪影響の方が大きいとする実験データもある」ということ. 以前から気になっていたことですが,この度,実際にそのあたりに着目して試してみようと思ったわけです. で,スキーについてはこの2年間一切ワックスをかけずに滑ってみました. その結果,以前記事にした2月の白馬八方尾根のあとも,妙高とか湯沢に行っているのですが(トータルで6日),ワックスをかけなかったからと言って滑りにくくなった感触はありません. スキーではそんな感じだったので,ではスノーボードではどうなのか? というところで,今シーズンからスノーボードについてもワックスをかけずに滑っております. 今シーズンのスノーボードは,1月と3月に入ってからのトータル5日ほど. さっそく 「ワックスが必要」 ということを実感しました. スノーボードの初心者&緩斜面滑走には「ワックスが必要」 1月にスノーボード研修会に行った時は全く問題なく滑れたんです. けど,3月に入ってからが問題でした. 先週と今週,日帰りでガーラ湯沢(石打丸山&湯沢高原)に行っているのですけど,先週は雪が降ってフカフカのコンディション. ただでさえ新雪で滑りにくいのに,ワックスをかけていない私の板は,明らかに周囲の人たちより滑っていない. 具体的には,ガーラ湯沢・北エリアのビクトリア・リフトから降りてすぐのコースへ向かう緩斜面が滑らない,滑らない. 全く滑らない. ピョンピョン跳んで勢いをつけないとすぐに止まってしまう. 私よりおぼつかない足取りのスノボ初心者の人たちが,綱渡りか産まれたての子鹿のような姿勢でゆっくりコースへ向かっているのに,私だけ必死に

大学教員やめます

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6年前にも似たようなタイトルの記事を書きました. ■ 大学やめます この時は勤めている大学を退職し,別の大学に移るだけでした. 今回は「大学教員」その職自体を辞めることにしたんです. 先日,大学の後輩の結婚式があったんですけど,そこで同じテーブルについたのが大学・研究室仲間でした. その中の先輩の一人が「お前,今後はどうすんの?」って聞いてきたので, 「もう教員生活やめるんです」 ってことで本格的に周知するに至ります. 結構な勢いで驚かれていましたけど,私の事をいい加減な進路判断をするタイプではないと思ってくれているようなので,皆様すぐに納得してくれたようです. なお,この件は既に私の指導教員や極身近な人には伝えております. 実際,このブログを定期的に読まれている方であれば,予想できる「私の未来」だったのかもしれませんね. 近年の大学現場が,どれだけ私の教育理念と不適合なのかを語る場として本ブログがあったようなものだからです. 「そんなに嫌なら辞めればいいのに」と思われていた人もいるかもしれませんが,だからという訳じゃないですけど,辞めることになりました. 「こいつ,いつ大学教員をやめるんだろう」と思っていた人もいたのではないでしょうか.   もちろん,理想と現実は違うとか,やりたいことと出来ることは違うとか,何事も我慢しなければいけないことがある,などという考え方もあるでしょう. でも,私としてはそういう考え方はとらないことにしています. 理由は,理屈的にも経験的にも,そういうふうに考えて生活していると物事が悪化するだけだからです. ストレスだけ溜まって,相対的にも総体的にも生き心地が良い環境になりません. これと似たような論理を使って,このブログでは昨今の政治や経済を語ったこともありました. 例えば, ■ 「じゃあ,代わりは誰かいるのか?」の愚 とか, ■ 井戸端スポーツ会議 part 44「スポーツの精神が大切なわけ」 とか. まあ,私という人間の思考と嗜好です. だいたい,6年くらい前から「遠くないうちに辞めよう」と考えておりました. そうは言っても6年経ちましたね. これは遠くないうちに入るのか,遠かったのか. 6年前と言えば,冒頭でも述べた,当時奉職していた大学をやめ