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やっぱワックスはいるわ

ワックス不要論・必要論を実際に検証してみて,実感したことを述べます


白馬八方尾根でスキー
で取り上げた話題に「スキーにワックスは不要ではないか?」というものがあります.
例えばネットではこんな記事があります.

スキーのワックスについて質問です(ヤフー知恵袋)
スキーワックスは不要という事?(趣味人倶楽部)
スキーのワックスがけは無駄ですわよ(個人サイト)


簡単にまとめれば,「最近のスキーのソール材料は性能が高いため,ワックスをかける必要性がない.
むしろ,ワックスをかけることで細かいチリを拾いやすくなるため,悪影響の方が大きいとする実験データもある」ということ.


以前から気になっていたことですが,この度,実際にそのあたりに着目して試してみようと思ったわけです.

で,スキーについてはこの2年間一切ワックスをかけずに滑ってみました.
その結果,以前記事にした2月の白馬八方尾根のあとも,妙高とか湯沢に行っているのですが(トータルで6日),ワックスをかけなかったからと言って滑りにくくなった感触はありません.

スキーではそんな感じだったので,ではスノーボードではどうなのか? というところで,今シーズンからスノーボードについてもワックスをかけずに滑っております.

今シーズンのスノーボードは,1月と3月に入ってからのトータル5日ほど.
さっそく「ワックスが必要」ということを実感しました.


スノーボードの初心者&緩斜面滑走には「ワックスが必要」


1月にスノーボード研修会に行った時は全く問題なく滑れたんです.
けど,3月に入ってからが問題でした.
先週と今週,日帰りでガーラ湯沢(石打丸山&湯沢高原)に行っているのですけど,先週は雪が降ってフカフカのコンディション.

ただでさえ新雪で滑りにくいのに,ワックスをかけていない私の板は,明らかに周囲の人たちより滑っていない.
具体的には,ガーラ湯沢・北エリアのビクトリア・リフトから降りてすぐのコースへ向かう緩斜面が滑らない,滑らない.
全く滑らない.

ピョンピョン跳んで勢いをつけないとすぐに止まってしまう.
私よりおぼつかない足取りのスノボ初心者の人たちが,綱渡りか産まれたての子鹿のような姿勢でゆっくりコースへ向かっているのに,私だけ必死に勢いをつけたり摩擦を減らす努力をしなければならないんです.

ただ,この「滑らない」という状況は緩斜面だけで感じるものです.
斜面に角度がついてくれば,それこそコースに入ってしまえば,まったく問題なく滑れます.

結論的には,スノーボードにワックスは必要です.
上級者はわかりませんけど,特に私のような中級者から,きっと初級者には必須だと思います.

何に問題が出るって,緩斜面で滑ってくれないのですから,ワンフット(スノボを片足で滑ること)で移動する場面でも滑ってくれません.
なんせ,これがメチャクチャしんどい.

それに,初心者は緩斜面で滑ることが多くなりますので,そこでストレスなく滑ることができないと,どうしても疲労がたまりますよね.

ある程度の検証滑走が終わったら,さっさと滑走ワックスを塗ってやりました.
使ったのは,ガリウム社のGENERAL-Fっていうポピュラーなスプレータイプの滑走ワックスです.


そしたらまあ,滑る滑る.

けど,ネット記事にもよくあるように,このスプレータイプの滑走ワックスは,「リフト2〜3本で効果がなくなる」というのも本当のようです.

リフト2〜3本というほどでもないにせよ,1時間ほど滑ったら,やっぱり滑らなくなってきます.
緩斜面にきたら,またピョンピョン跳ばなければ進んでくれなくなるんです.


そこで,古来より効果が実証されている「ベースワックス生塗り」をやってみます.
やり方は簡単,固形のベースワックスをソールの全面にゴリゴリ擦り付けるだけ.

ポケットに持参していたのは,これもガリウム社のベースワックス,VIOLETです.


これだけでも十分滑ってくれたのですけど,今回はこれに,上述したスプレータイプの滑走ワックスを追加で塗ってみました.

なんでも,
「ベースワックス生塗り後に,滑走ワックスを上塗りすれば,ベースワックスの滑りが持続しやすい」
という話を聞いたからです.

その理屈としては,滑走ワックスには油を溶かす溶剤が入っているので,生塗りしたベースワックスを溶かして板に定着させる効果があるのだとか.
実験データがないので,本当のところはわかりません.

でも,1日滑るだけなら,これで十分だと思いますよ.
昼頃にこの処置をして,夕方5時近くまで滑走性は落ちませんでした.

スノーボードは,スキーのようにストックがないしスケーティングできので,緩斜面で滑りが悪いとリフト周辺の移動が大変になります.
なので,スノーボードはワックスをしっかりかけておくことをオススメします.

今週は自宅でしっかりワックスがけしておいた板で滑ってきたのですが,その甲斐あってストレスなく楽しめました.


一方,スキーではワックスはどうしても必要なものではないと思います.
ワックスをかけた方が滑走性は上がるのでしょうけど,滑走性が無ければ無いなりに滑ることができるので,タイムを競う競技志向の人でない限り,ワックスがけは自己満足の世界かと.

スキーではストックがあるし,スケーティングできるので,ワックスがないことによる緩斜面での不便さはスノーボードほど感じません.
今の所,長距離のスケーティングが必要なスキー場に行ったことないので.

最後に,スキーでもスノーボードでも
「ワックスがかかっていないと滑りにくくて転んでしまう」
という記述をネット上で散見するのですが,これはワックスは関係ないでしょう.

転ぶ人は,ワックスがかかっていても転びますよ.
たんに,体重の載せ方が悪いだけです.
そこにワックスの影響が入る余地はありません.

むしろ,上級者コースや非圧雪のところに行けば,ワックスでどうこうなるような摩擦抵抗のコントロール下にありません.ちょっと考えたらわかるはずです.

つまり,ワックスがかかっていないことによる滑りにくさが原因で転倒しているようなスキルレベルでは,上級者コースや非圧雪のところには入れないということです.
たぶん,日が当たっているところと影のところの雪質の違いでも転倒しちゃうんじゃないかな.

私が「スノーボードにはワックスが必要」というのは,スノーボードでは緩斜面が滑らないとストレスが,特に精神的ストレスがたまるからです.