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和田先生のエネルギー安全保障と食料安全保障の記事

さっき,和田慎市先生から連絡がありました.
今年の夏も,「学校教育対談」を開催する予定です.
もしご興味のある方がおられましたら,ご一報ください.
歓迎します.
和田先生とは何者なのか? 学校教育対談とはなんなのか? については,過去記事をご参照のこと.


あと,先日に続いて情報サイト「アゴラ」に和田先生が寄稿されました.
『日本は「資源・食料安全保障」を重視すべきではないか! 』の記事が掲載されたというものです.
日本は「資源・食料安全保障」を重視すべきではないか! (アゴラ 2019.7.2)

エネルギー(資源)安全保障と食料安全保障について啓蒙する記事になっています.




(1)エネルギー安全保障について


原油の輸入ルートとして,日本はその8割をホルムズ海峡を通るタンカーによって輸送しています.
先日発生した「ホルムズ海峡タンカー攻撃事件」は,ホルムズ海峡をエネルギー輸入の生命線としている日本に衝撃を与えました.

エネルギー自給率8%の日本としては,
まず政府が早急にすべきことは、第1に、ホルムズ海峡の安全確保(ペルシア湾岸産油国との協力関係構築とタンカーの警護等)、次に原油輸入先の分散(東南アジア、メキシコ等の輸入割合を増やす)をはかり、並行して省エネ・効率化を進めていくことではないでしょうか。
というのが和田先生の主張です.

これに私なりの見方を追加すると,今回のホルムズ海峡で発生した事件の全容解明が急がれるところです.
誰が何のために起こした事件なのか,それが分からないままに勇み足は避けたいところ.
先日も,そんな記事を書きました.
ホルムズ海峡タンカー攻撃事件の真相究明が急がれる時,日本は安田純平を出国禁止にしていた

何が怖いって,アメリカです.
陰謀論だと罵られることを恐れずに言えば,今回の事件って「ホルムズ海峡封鎖」を招くために起こした事件ではないのでしょうか.
犯人として,特にアメリカが疑われます.

もし「ホルムズ海峡封鎖」という自体になったら,一番喜ぶのはアメリカとロシアです.
両国は,目下,国内の天然ガス(シェールガス)の利益が危ぶまれていて,販売・輸出先を探すために血眼になっています.
なぜシェールガスはカベにぶつかっているのか(東洋経済オンライン 2014.1.24)
ホルムズ海峡封鎖とまでいかなくても,その付近に有事が起きればタンカー航行はままならず,日本に限らず中東からエネルギー輸入している国はアメリカとロシアに頼らざるを得なくなります.

タンカー攻撃事件は,その後なんだかワケワカな状態になっていますし.
事実,日本はホルムズ海峡経由ではない輸入ルートを模索しています.
ホルムズ海峡通らず原油確保へ調達先拡大 石油連盟会長(NHK 2019年6月21日)
石油連盟の月岡会長は、21日の定例会見で、タンカーへの攻撃について、「世界の産業の血液であるエネルギーの供給に脅威を与えたのは非常に残念で、あってはならないことだ」と述べて、懸念を示しました。
そのうえで、「国内に原油を安定供給するため、有事の対応や原油の調達先の多様化を検討している」と述べ、ホルムズ海峡を通らずに原油を確保できるよう、アフリカやアメリカなどで調達先を増やす考えを示しました。
実は,私はかねてより「ホルムズ海峡封鎖」はアメリカが仕掛けると思っていました.
「シェールガスが頓挫している」というニュースが出始めた2014年頃から,そのうちまた中東にちょっかい出すんじゃないかと.
でも,ここまで露骨にやってくるとは思わなかったですけど.
なんなら,トランプ大統領はロシアのプーチンと結託してるかも.あそこも天然ガスで悩んでるから.

まぁ,あくまでも私の妄想・邪推ではありますが.

ちなみに,この「ホルムズ海峡封鎖」への政府対応については,すでに衆議院にて質問・答弁が行われています.
衆議院議員河野太郎君提出ホルムズ海峡が封鎖された場合の国内エネルギー対策に関する質問に対する答弁書(衆議院 平成二十四年五月十五日)
それを見てもらえれば,日本政府は「ホルムズ海峡封鎖という事態を回避するため,アメリカ本土から天然ガスを輸入することを検討する」ことが明記されています.

なんにせよ,命知らずのジャーナリストが,今回の真相究明に動いてくれることを期待しましょう.
まあ,そんなジャーナリストは日本人にいないんですけど.




(2)食料安全保障について


食料自給率が低い日本.
2017年現在の自給率は38%です.

先ほどの原油輸入対策だけではなく、今後日本国民の安全で豊かな生活を維持するためにも、国外的には偏りのない多角的なエネルギー・食料の確保を行うとともに、国内においては自然・再生エネルギ―へのシフトや、農業力を高める施策(新たな食料基地の建設、農業研究・開発への投資など)に地道に取組んでいく必要があると思います。
というのが和田先生の主張.
私もこれには全面的に賛成します.

かつて,私も食料・農業問題についてシリーズで記事を書いていた時期がありました.

上記以外にもあるんですが,代表的なものはこちらです.
2013年の記事なので,もう6年前の話なんですね.


ちなみに,教育問題と同様,私は「農業問題」についても諦めています.
たぶん,上記記事でも述べている「食糧危機」が起きてからのち,日本では「人口調整」が達成されるものと思われます.
そんな事態にならないことを祈っていますが,もし食糧危機が発生したらアウトです.

和田先生も提案されている「対策」にしても,それを実行するモチベーションが日本国民にありません.
政治家にもない.
っていうか,現政府は全力で逆走しています.


多くの欧米諸国では,農家の所得は国がそのほとんどを負担します.
当たり前です.
土地を整備しているのですから,安全保障のひとつなのです.

このあたりの事情は,三橋貴明 著『亡国の農協改革』が詳しいので御一読ください.



日本であれば,島嶼地域や山林の安全保障も必要ですから,漁業や林業も補助して然りだと思います.
でも,それをやらないのが日本です.

和田先生も指摘しているように,日本人の多くが安全保障のことを,「軍事」のことだと思っています.
「安全保障」というと自衛隊の国外活動など軍事面ばかりに注目が集まりますが、エネルギーや食料をどこからどのように安定的に確保するかという「資源・食料安全保障」のほうが、国民にとってはより現実的な問題ではないでしょうか。
たしかにそうなんですが,もしかすると日本人は,まずもって「軍事」のことがパッパラパーなのですから,第一次産業のことを「安全保障」だと捉えていない可能性もあります.


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