2009年2月23日月曜日

卒論発表間近

卒論発表を間近に控え,発表を予定している学生がそわそわしてきています.

夜遅くまで残って作業している学生が多くなってきています.“作業のため” に残っているのか,“青春するため” に残っているのか....夜中に大声で笑ったりはしゃいだりする姿も目に付きますが,若いっていいなぁ,と思う今日この頃です.私は黙々と自宅に篭ってやっていたタチでしたので.
今さっきも学生が一人ここにいまして,発表用スライドについて話し合って行きました.

私はというと,ブログに「そつろんはっぴょうまじか」 と入力して,
「なんで “間近” に変換できねーんだよ!」
と半ギレする深夜の研究室.
自分の漢字力の浅はかさにガッカリです.
(☓ まじか , 〇 まぢか)

世間じゃ漢字能力検定協会が取り沙汰されていますが,必要最低限の漢字力は必要です.特にこういう漢字の 「よみ」 については知っとかないと漢字が入力できませんから.
これにめげずに国民の漢字力を検定し続けてください.

さっきまでココにいた学生の卒論のテーマが 「高校生が抱える不安の要因と性差」 .
アンケート調査による心理・教育系の研究なんですが,これがまた厄介で厄介で.

「安易にアンケート調査して論文を書こうとしてはいけない.あとの処理が大変だから」
と口をすっぱくして言っているのに,学生としては「実験と比べるとアンケート調査は “楽だ” 」 と思ってやるのでしょう.
案の定,彼はどつぼにハマッて見えない出口を探してさまよっています.

何より,私自身が 「アンケート調査」 を利用した研究を扱ったことが少ないので,アドバイスをしようにも的確なものが思い浮かばず,一緒になって悩んでいるのが正直なところ.

“共に学ぶ教育” とか悠長なこと言ってられないほどシンドイのです.

でもまあ,彼の論文の面白い結果としては(調査方法に不備不足があることは確かですが),男子と女子とで不安の強さに違いが見られたこと.
以前から知られていることに,『普段感じている 「不安の強さ」 に性差(男子<女子)がある』 ということですが,今回の調査結果でも同じ結果が得られ,さらに以下のことが分かりました.

男子は,身近に信頼できる人物が多いと不安が小さいのですが,女子にはそれがみられず,信頼できる人物がいようがいまいが男子より不安を強く感じていることです.
逆だと思っていただけに以外でした.
女性は信頼できる人物の有無によって不安が軽減することはないのか?または “信頼できる人物” という存在の定義に男女差があるのかもしれません.
面白いですが,これをさらに調べるにはもっと学術的な論文を読み,追試をする必要がありそうです.


彼の卒論に関わって良かったのは,「教育とこころ」 についてモチベーションを持って勉強できたことでしょうか.
これについては小沢牧子 著『「心の専門家」はいらない』 が非常に参考になりました(彼の卒論とはあんまり関係ないけど...).
学校における “カウンセリング” や “心のケア” について取り上げ,これがそんなに万能な “善い” ものではないという警鐘を鳴らしています.

著者曰く,カウンセリング中,カウンセラーはクライエントの “言葉” を引き出そうとしますが,それはクライエントの自発的な “言葉” を産み出しはするが,それはクライエントの本心から出た “言葉” ではないことに注意しなければならないと説きます.
これは,言葉を引き出そうとするカウンセラーに対して,クライエントが配慮したともいえる 「自発的適応」 が発生した瞬間であり,そこにはカウンセリングをする側と受ける側双方に共通の 「治されるべき状態」 が存在することを示します.

つまり,「対等な関係」 や 「ありのままの状態を受け入れる」 といったことを標榜するカウンセリングではありますが,そうではないというのです.
これは 「カウンセリングが成功した」 という状態が,ある種の自発的に誘導尋問にかかった状態,言い方を変えれば,自らマインドコントロールにかかった状態にあることを指すのではないでしょうか.

これが教育現場でどのような危険性を孕んでいるのか,ということについては,また紙面を変えて書きたいと思います.
今週の水曜日は,例の大学院生勉強会があり,今回は私が担当する番ですので,これについて発表しようかと思います.