2009年6月16日火曜日

夢のような現実


村上春樹の小説を読むようになって何日か経ちました.

今日読み始めたのが この『国境の南、太陽の西』です.

作中にあったエピソードに,“夢のような現実,奇妙な出来事” として
「見知らぬ男に声をかけられ,喫茶店につれていかれて札束をつかまされた」
というもの.

札束はくれませんでしたが,実は私にも似た経験が有ります.


高校時代,福岡大学の入学試験のために博多駅に降りたときの事です.
今日泊まるホテルはどこにしようかと,駅構内にあったビジネスホテルの看板を覗いていました.高校の先生曰く,博多はビジネス街だから,ホテルはいろいろとある.泊まる場所は行ってから駅で見つければいい,ということだったので.

今ならネットでパパッと見つけて予約するんでしょうが,当時は駅前インフォメーション・コーナーで宿泊場所の電話番号見つけて予約するような状況でした.

ホテルを予約し終わり,まだまだ夕方にも早いような時間帯だったのでどうやって時間をつぶそうか考えていたところ,唐突にも60歳くらいのおじいさんに声をかけられました.
定年退職して間もないようで,弱々しい印象.
「君,学生だね?高校生? どこから来たの?」
みたいな事聞いてきたので,ものすごく警戒して答えてたんですけど(たしかその時は愛知出身だ ということは言わず,ニセの出身地を答えた気がする),そのうち,
「何もすることがないなら,時間があるなら チョッとそこの喫茶店でコーヒーでもおごろうか?いろいろ若い人と話をしたいんだよ」
なんてこと言い出すじいさん.

すぐそばの駅構内のド真ん中の壁が無いオープンな喫茶店だったし,そこまで屈強そうなじいさんじゃなかったので,
ま,いっか.
てなことでOKしてコーヒー&ケーキをごちそうに.
どう考えてもTVのドッキリっぽくないし,喫茶店とグルになって何かたくらんでそうでもないし,何か暴力的な手段に出るにしてはヒト気が多すぎる場所だし,ってことで,じいさんとしばし談笑.
自分の身の上については 「福岡大学の入試に来た」 ということ以外はウソばっかりついてたように思います.

その時どんな会話だったかというと,
...ん〜,たしか入試で合格できる確率とか,最近の高校生の考え方とかだった気がする.
「君は多分合格できるよ」
とか,どんな根拠から言ってんのか知りませんが,そんなこと言ってました.

そのうち,
「泊まるところは決めてあるの?」
なんて言うから,決めてます,と応えたら,
「じゃあ,晩ご飯をごちそうするよ」
なんてこと言い出すじいさん.

博多にきたからにゃ,やっぱモツ鍋だよ,ってことで,じいさんが行きつけのモツ鍋屋につれていかれました.
路地裏のものすごくアットホームで,ビジネスマンばかり集まってるモツ鍋屋.
「行きつけ」「路地裏」というところで,最警戒状態で付いて行きました(って,付いて行くんかい,と思われるでしょうが).いつでも反撃できるよう体勢を整え,逃げ道を確保するよう,気づかれないようにルートを確認.

結局,博多っぽい威勢のいいおばちゃんがやってる雰囲気のいいモツ鍋屋でして,これまたメチャクチャ旨い.
ビールをすすめられましたけど,未成年だったことと,反撃・逃走する際に酩酊状態により運動機能が低下することを避けるために拒否しました.

モツ鍋以外にも単品でいろいろと美味しいものを出していただき,フェーズ6で警戒しながらも博多の食文化を満喫.
モツ鍋屋のおばちゃんには,とりあえずその場では,じいさんの甥っ子が博多に来てる,ってことになってて,なんだか雰囲気で私もその流れに乗って甥っ子を演じてて.

どれくらいごちそうしてもらったのでしょう.結構な額だった記憶があります.

そのままじいさんとは別れ,
「入試がんばってね」
と励ましてもらって私はホテルへ.
ホテルへの道中,これまた何かあるかもしれないと,ヒト気のある場所を選んで歩き,尾行がついているかもしれないのでコンビニとかビルとかに入っては追っ手がないことを確認しながら向かいました.

ホテルに着いてからも,足早に部屋に入り,ロックをかけてその日は絶対に部屋の外にはでないことに.次の日の朝も福岡大学までは警戒しながら向かったのでした.

その後,そのじいさんとは会う事も無く,無事 入試を終えて帰宅.
いったいなんだったんでしょう?
我が人生 最大の謎の人物です.


え? 福岡大学の入試結果ですか?

不合格です.