2014年9月27日土曜日

細かすぎて伝わらない大学HPオモシロ「最近のニュース」選手権

今日は,かなり需要の小さいニッチな記事です.
大学ホームページの「最近のニュース」において,なさそうで実際のところ類似したものが多々見受けられる「ちょっとイタい」ものをリスト化してみました.
今後はこういった「最新のニュース」をアップする大学が増える可能性もありますので,そういう見方をしてもらっても良いかもしれません.

なお,大学ホームページ全体のことであれば,
をご覧ください.

ちなみに,今回は「危ない大学」を炙り出すためのものではありません.
単に「シュール」であることを楽しもうというものです.

我々としては,大学HPのこういう「最近のニュース」を見るたびに,何とも言えない面白さが込み上げてくるのであります.
この面白さが全くわからない人もいるでしょう.いえ,圧倒的多数の方々が「へ?だから何?何が面白いの?」ってなるものです.
でも,これらを見るたび笑いを堪え切れない人もまたいることは事実であります.
それって大学HPで出すことなの?
誰に需要があるの?
どうせ「『最近のニュース』の更新頻度を上げろ」って言われたから,無理やりネタを放り込んでみたんじゃないの?
自己アピールのためとは言え,いくらなんでもやっつけ過ぎだろそれ.
というシュールさを醸しています.

つまり広い意味において,
「どのような意図があってその記事を書いたのか」を推測したり追体験するところにその面白さがあるのです.

以下に示しました,大学HPにおける「最近のニュース」のタイトルで笑えた人は,きっと一緒に良いお酒が飲めると思います.
逆に,「何がどう面白いのか全く分からない」という人は,頭の中がまだ「民間感覚」だったり「Facebook的」なのだと思います(批判してるわけじゃないですよ!).

では,
『細かすぎて伝わらない大学HPオモシロ「最近のニュース」選手権』

1)学内のトイレがすべてウォシュレットになりました
※写真付きだとなお面白い

2)耐震化工事業者に関する入札情報を更新しました

3)特大バスが納入されました
※内装の写真があればなお面白い

4)バスを本学のカラーに塗り替えました
※撮影角度が異なる写真が2枚以上だとなお面白い

5)公用車にプリウスが追加されました
※環境に配慮している文言があればなお面白い

6)学園祭が無事終了しました
※開催案内はされていないことが面白いための条件

7)公開セミナー「◯◯」が無事終了しました
※事前の開催案内はされていないことが面白いための条件

8)体育館の照明がLEDになりました
※体育の授業風景写真があるとなお面白い

9)学生が校内の大掃除をしてくれました
※エプロン姿にホウキを持っての集合写真があるとなお面白い

10)学生が禁煙キャンペーンで学内を練り歩いています
※ノボリを掲げて歩いている写真があるとなお面白い

11)本学学生が◯◯町の◯◯祭りにボランティアとして参加してきました

12)本学学生が◯◯町の◯◯祭りに参加して感謝状をいただきました
※感謝状を手にした学生の写真があればなお面白い

13)本学教員◯◯先生が,◯◯市より感謝状をいただきました

14)短期留学プログラムに学生が参加しています
※観光旅行記のような本文であればなお面白い

15)留学体験報告会を開催しました

16)福祉実習で本学学生が車椅子を体験しました

17)防災訓練が実施されました
※満面の笑顔で逃げまっている写真があるとなお面白い

18)◯◯入試の受付が始まりました
※推薦型の入試であることが面白い条件

19)本学バレーボール部がインカレ出場決定!
※インカレの仕組みを知っていることが面白い条件

20)本学ダンスサークルがYouTubeで人気です

21)youtubeに本学のCM動画が掲載されています

22)◯号館のトイレは現在使用できません

23)◯号館と◯号館の間は工事中につき通行できません

24)学内水道工事が始まりました

25)◯号館の窓の修理が終わりました

26)本学のTVCMが完成しました

27)本学学生の手でTVCMが作られました!

28)本学学生の◯◯君が◯◯ボランティアで感謝状をもらいました

29)本学卒業生の◯◯氏が◯◯で入賞しました

30)本学卒業生である◯◯氏がテレビに出演します!

31)本学卒業生である◯◯氏がテレビに出演していました!

32)就活セミナーへの参加学生数が増加しています!

33)就活セミナーが盛況でした!

34)インターンシップ報告会を実施しました

35)学内ファッションショーを開催しました
※掲載している写真に学生の顔が写っていないければなお面白い

36)学生たちがネイルアートに挑戦しています!

37)皆既日食観察会を開催しました
※近所の小中学生を招いているとなお面白い

38)図書館では便利な使い方を優しく説明してくれます
※そのくせ時間帯指定されているとなお面白い

39)オープンキャンパスが盛況のうちに無事終了しました

40)オープンキャンパス来場者数が◯◯人を突破!

41)オープンキャンパスで◯◯氏のトークショーが開催されます

42)運動会を開催!教員チームが優勝しました

43)FD活動が実施されました
※教員がグループワークをしている写真があるとなお面白い

44)授業評価アンケートで「プレミアム」レベルの教員が20%増えました

45)学内サーバーのトラブル復旧を学生がサポートしました

46)業務用製氷機が業者から納入されました

47)本学オリジナル・ドリンクを販売中!

49)MOS(MSオフィスの資格)のセミナーが開催されました

50)MOSの取得者が20%増加しました!

51)MOSの受験生が40%増加しました!

52)本学学生のMOSの合格率が激増!

53)スポーツリーダー資格取得3年連続20名以上!

54)地域の方から大きくてかわいいテーブルを頂きました
※そのテーブルを前にして集合写真を撮っているとなお面白い

55)迷子の子猫がキャンパス内で人気です
※写真が掲載されていなければなお面白い

56)◯号館にあったツバメの巣からヒナが飛び立ちました!
※なんの脈略無くアップされるとなお面白い

57)本学オリジナルキャラクター「◯◯」のきぐるみが完成しました
※そのきぐるみを着てポーズをとった写真があるとなお面白い

58)本学オリジナルキャラクター「◯◯」が皆さんをお迎えします
※たとえばオープンキャンパスとか

59)図書館の書庫が増築されました

60)講義中に倒れた教員を学生がAEDで助けました


とまあ,そんなところでしょうかね・・.
大学のホームページの「最新のニュース」を,こういった視点から眺めてみるのも面白いものですよ.


2014年9月20日土曜日

昨今の大学用語辞典

最近,適菜収 著『日本をダメにしたB層用語辞典』というのを読んでみました.
何から何まで首肯できるということではありませんが,なかなか面白いものでしたよ.


この本を読んだだけでは,適菜氏が言いたいことは伝わりにくいかもしれません.その他の著書も合わせて読んでみることをオススメします.
文章をそのまま受け取ると,「茶化してフザケてる」と思われてしまうかもしれないので.

そんなわけで,私もこれをマネて「昨今の大学用語」に関する辞典を作ってみました.
全部書ききれた感は無いので,また続編を出すかもしれないです.
以下の記事だけ読んでも私が言いたいことは伝わりにくいかもしれません.最下段に示した記事も合わせて読むことをオススメします.

※謝辞
この辞書を作成するにあたって,何名かの大学教員の協力を得ました.記して感謝の意を表します.

『昨今の大学用語辞典』

【ICT】(1)授業の質を上げることができるツールだと勘違いされているもの.(2)糖質制限ダイエットや風船ダイエット等に取り組む人と類似した議論が展開されているもの.

【アクティブラーニング】(1)学生の思慮または自己言及の機会を奪うための手段.(2)何かが積極的になったように見える消極的な学習.

【危ない大学】学生を「顧客」,教職員を「社員」と見做す大学.経営難の大学とは同義ではないことに注意.

【アメリカからの圧力】言い訳.その実,できればいっそアメリカ化したいという屈折した願望があったりする.

【一流大学】何がどう一流なのか示されることはないが,なんとなく偏差値と入試倍率で片付けられる概念.

【一本釣り】公募にかけずにコネと人脈を通じて採用すること.大学側としては最も安全で能率的な教員採用方法であるが,大局が見れない者からは妬みを買う.

【イノベーション】(1)後になってみたらプラマイゼロ,たんなるバカ騒ぎ・から騒ぎだったという評価がつくだろう事について,現在進行時においてその事を高評価する言葉.(2)「フランス革命」と同様,いつからか無条件に「良いことだ」と勘違いされた言葉.(3)どこかで誰かが言ってたから,つられてとりあえず言ってみた言葉.意味もわからず多用される.

【英語教育】(1)各大学・各教員が必要に応じてやればいいこと.(2)植民地化政策のこと.宗主国からの支配を求めて股を開くことと同義.(3)日本の教育界のコンプレックスの現れ.

【AO入試】一般に流布されているほど悪い入試ではない.

【FD】(1)成果が出ない労力の意.「骨折り損のくたびれ儲け」とも言う.(2)自分たちの大学の強みと弱みを見つめる行為.(3)学生に私語をさせないために行う教員対象の勉強会.

【オープンキャンパス】お見合いと同義.相手の本当のところは知り得ないイベント.

【おみやげ】オープンキャンパスでもらえる物.毎度,オープンキャンパスのアンケート等で「参加して良かったと思ったもの」の上位に必ず入るコンテンツ.よって大学としてはそこに注力を始めるが,まともな頭脳があれば「おみやげ」によって学生募集につながるわけがない事くらい分かりそうなもの.

【学生目線】(1)学生の現役就職を目指すこと.(2)その場の盛り上がり,賑やかさを考えること.⇒本来は「学生の将来を考えること」であったもの.

【カタカナ】(1)日本の教育者が好むもの.(2)当人としては使用するたびバカにされている自覚は若干あるが,それでも思わず口から出てしまう強力な依存性を有する.

【きぐるみ】「危ない大学」では教職員が着用することが多い.各種イベントで学内を走り回っている.

【キャリア教育】利己主義者養成教育のこと.

【教員評価制度】(1)運営陣に気に入られていると高くなるもの.(2)運営陣に気に入られていると気にしなくていいもの.(3)運営陣を気にしなければならないもの.(4)大学に愛着がなくなれば気にならなくなるもの.

【グローバル化】(1)文部科学省に言われたから取り組むこと.(2)隣の大学がやってるから取り組むこと.(3)一般人にとっては大した関心事ではない.というか実際のところは知られていない.(4)「世界」に追いつけ追い越せとばかりに,反グローバリズムが芽吹いた「世界」に向けて日本の大学が今さら食いついてしまった周回遅れの残念な思想.

【研究】論文数のこと.

【高校訪問】(1)約3年後に学生募集を停止することになるであろう大学しか効果のない営業活動.(2)情緒不安定な経営陣から言われたから取り組むこと.(3)隣の大学がやっているから取り組むこと.(4)小旅行のこと.

【個人研究室】職員室を採用している危ない大学においては,大学監査があった時だけ用意されるモデルルーム.

【コストパフォーマンス】[ 就職率 ÷ 学習時間 ]のこと.これが高いほど喜ばれる.[ 生活時間 ÷ 学習時間 ]を指す場合もある.

【最近のニュース (new!)】大学ホームページのトップページに置かれている「最新情報」が掲載されるコーナー.更新頻度が高い大学ほどイタいとされる.

【3月末入試】経営難大学において実施される,浪人予備軍・残党狩り.主だった大学が合格発表を終えきる3月末に行う入試を指す.

【資格・免許】「足の裏の米粒」とよく言われる.取らないと気持ち悪いが,取ったからといって食えるわけではない.

【自主的に学ばせる授業】矛盾.

【実践力】(1)指導者が学習者に対して行う洗脳活動であり,ある行為について,近い将来に役立つという期待値を増大させ,かつその場でわかった気になれる危険ドラッグ.(2)実践すれば身につく力.

【質保証】もはや保証したいものが「質」ではなく「量」になっているもの.

【社会的要望】無視したところで何か問題が起こるものではないが,なぜか無視せずにはいられない者が「対処」「お応えする」と称して暴れまわることで,結局は中長期には社会のためにならない結果を生み出している昨今の流れの原因.

【就職活動】椅子取りゲームのこと.ノリとタイミングを大事にしないとツラくなる.

【授業評価アンケート】全国一斉に莫大な量の上質紙をムダにすること.製紙会社と印刷会社を潤すための公共政策的な思惑があると信じたい.

【情報公開】自慢と言い訳を足して2で割って,その平方根をとったもの.

【STAP問題】類似したことをやらかしている研究者は多いはずなので,全国的に戦々恐々としているであろうこと.

【スパイ】(1)大学の経営者や管理者が,学内情報を集めるために放っている者.教職員だけでなく,学生もその役を担わされていることがある.(2)大学経営陣に擦り寄るために,自主的に行う教職員も多い.

【世界基準化】(1)教育レベルを世界基準まで下げること.(2)新自由主義的な大学経営にとって都合のいい国のシステムに限って採用すること.

【説明責任】非論理的な論理.

【ゼミ活動】学生と教員が一緒になってなにかしらの甘いモノを頬張る行為.

【戦略】キャッチコピーのこと.「戦略」と銘打った委員会やプロジェクトチームをつくるのが昨今の流行.

【卒業論文】大学らしい教育,最後の砦.

【対案を出せ】頭の弱い人が考え練り上げることを放棄した際に用いるセリフ.

【体育】強い理念のもと指導する教員が多いわけではない,学生にとっての休み時間.本来は大学教育において重要な科目.

【体育会(運動部)】(1)学生募集の特効薬.(2)学内イベント要員.(3)地域貢献イベント要員.

【体育館】危ない大学や経営難の大学のホームページやパンフレットで,なぜか過度にアピールされる大学施設.

【大学案内(パンフレット)】読みにくく文字数が多いほど優れた大学であることを示す.

【大学改革】(1)50年後の「一億総白痴化」を目標とした活動.(2)現役の教員や官僚が責任をとらなくてよい合法的破壊活動.

【大学ポートレート】出会い系サイトの「プロフィール」のようなもの.

【朝礼】毎朝行われる謀反者を取り締まる活動.

【哲学】大学で最も学ぶべきこと.現在ではまともに勉強することはなくなったこと.それが何なのかすら説明できなくなった学生や教員も多い.

【図書館】漫画喫茶.

【任期付】2〜5年の任期を用意した教職員のこと.見えにくいところでルサンチマンを生み出し,学生指導にも悪影響を及ぼしている仕組み.

【認証評価】傷の舐め合い.

【博士号】「足の裏の米粒」とよく言われる.取らないと気持ち悪いが,取ったからといって食えるわけではない.

【バス】「危ない大学」を炙り出す象徴.

【バスの免許】危ない大学においては「博士号」と同等の価値を持つ.

【反転授業】 自然科学者からみればただの後出しジャンケン.

【ビジョン】そう言ってる人こそ見えてないことが多い.

【フランス革命】(1)意味もわからずバカ騒ぎをすること.(2)もう既に現代の大学において,「人類史上屈指の愚行」という認識を持っている人は希少.(3)「イノベーション」と同様,いつからかその本質が勘違いされて「良いこと」なっている事.

【プロデュース】「学生指導」をカタカナ語にしたもの.

【フロンティア】「とにかくなんでもいいから何か新しそうな事をアピールしなければならない」という議題で悩んだ末に出した,その答えをカタカナ語にしたもの.

【ホームページ】読みにくく文字数が多いほど優れた大学であることを示す.

【マインド】「〜〜マインド」などと使用される.さして考える力がなくても何か意義深いことを言った気になれる便利な言葉.

【民主主義】(1)無条件に「良いこと」になっている事の一つ.(2)一昔前であれば,脳筋・バカ野郎が集う体育系大学ですら,その禍々しい欠点について学んでいた政治体制の一つ.むしろ,外野からは「体育バカは身分制が好きで,民主主義を知らない」という周回遅れの文句すら聞かれた.今の大学では,よほど意識的な学者が担当する授業でなければ,その本質が説かれず「マンセー」することが多い.

【喜ぶ顔】「学生の――が見たい」などと使用される.おおよそ教育者の,まして高等教育機関に属する者の発言ではない.

【世論】大学経営の方針を決めるもの.本来は無視すべきもの.

【輿論】大学経営の方針に生かされていないもの.本来は耳を傾けるべきもの

【若い力】学内の政治的シワ寄せにより引っ張り上げられた助教や講師のこと.



2014年9月12日金曜日

危ない大学に奉職してしまったとき「授業評価アンケート対策」

ついにこれを取り上げる日が来ました.
学生からの授業評価アンケートに悩んでいる人は参考にしてみてください.

特に危ない大学にお勤めの方々におきましては,お客様である学生からの評判が良くないとペナルティが設けられている場合もありますよね.
繰り返しアンケート結果が芳しくなかったりすると,つまりイエローカードが累積すると,「研修」とか管理職からの「叱責」を受けることになります.
それが任期付教員であれば,契約更新をしてくれない大学もあるでしょう.

「えっ.それって大学の授業の質を高めることにつながるからいいじゃん」
という人もいましょうが,残念ながらそうはなりません.
詳しくは■反・大学改革論2(学生からの評価アンケート)を読んでもらえればと思いますが,今回はタイトルの通り,
授業評価アンケートが教員の評価につながる危ない大学に奉職している先生方
に向けた記事です.
どうしていいか分からず,困り果てて思わずググってこの記事を見つけた人もいるのでしょうか.
※本記事は,要領のいい先生にとっては「そんなの誰でも知ってるよ!」という内容ですが,まぁ,要領が悪くて困り果てている先生向けということで.

以下を読んでいただく前に私から一言.
まず,「魅力ある満足度の高い授業」という授業を目指すことは教員として当然のことです.私も頑張ってこれを目指しています.
ところが,この「魅力ある満足度の高い授業」というのは,そうした授業を展開する上での哲学・思想がズレていると,「今そこで受講している学生」が,「今そこで満足する授業」になってしまいやすいのです.
(ま,以下ではその方略を紹介するわけですが・・・)

今そのときは「つまらないなぁ」とか「納得できない」と思っていても,時間が経つことで「あっ,そうか.あれってこういうことか」となることは多いものです.
さらには,その時には内容を受け入れることすら出来きず,聞き入れることなく完全に内容を忘れてしまう授業だってあるでしょう.
でもそれは,学生の側にその授業から発せられる内容を受け取るための準備(レディネス)が不十分であったという場合も多いと思います.私自身,今思えばそうだったと自覚できるものもたくさんあります.
でも,そうした授業が「本当にダメな授業」と一緒くたにされて「魅力のない満足度の低い授業」として断罪されているのが実際のところではないでしょうか.

大学の授業で学生が学ぶことは,各教員が授業で扱うモノに対する「考え方」です.
「経済学」であれば,その教員が「経済」や「経済学」というものをどのように捉えているのか,その「考え方」を学ぶのです.
ときどき,「大学で学んだことは実社会では役に立たない」とか「5年もすれば価値は下がる」などと言われることもありますが,これこそ大学の授業を「何かに役立てるための “パッケージ” を手に入れる場」だと勘違いしている典型です.

大学教員が学生に受け取ってもらいたい事とは,この世界を見つめる上での羅針盤となる「モノの考え方」なのです.
具体的な例で言えば,学生が将来一人で,もしくは誰かと或る “それ” について議論しなければいけない際に,より正しい結論や答えを紡ぎだすための体力をつける時間が大学の授業と言えるでしょう.
それはどのような科目であれ関係ありませんし,何年経っても価値は下がるものではないのです.

誤解を恐れずに言えば大学の授業に「答え」はなく,「考え方」が問われているのであって,それゆえ「教師」ではなく「(答えを探し求めている者)研究者」が授業を行っているのではないでしょうか.

はい,前置きが長くなりました.
「そんな誰でも分かってる事をドヤ顔で言われたところで,授業の評判が芳しくないと先が無いんだ」という先生方にとっては,昨今の大学を取り巻く空気は毒ガスのように感じることでしょう.
というわけで,上の話が無かったかのような「授業評価アンケート対策」を以下よりどうぞ.

授業評価アンケート対策のコンセプト
アンケート項目はいろいろありますが,結局は,
・分かりやすい
・居心地が良い
・受講した成果を実感できる
ことが重要だと思われます.

1)アンケートをとる時の授業は楽しくする
普段の授業とあまりに差をつけてはいけませんが,学生が比較的「有意義だった」「楽しかった」と思える取って置きの内容にして,その直後にアンケートをとれば高得点が期待できます.
感のいい学生は「アンケートがあるから今日の授業は楽しかったんだ」と思うでしょうから,そのさじ加減には気をつけてください.逆効果になってしまうかもしれません.
ちなみに,私は敢えてこの作戦とは逆のことをしています.というのも,それを狙っているんじゃないかと思われるのが気に入らないからです.
でも,特にそこら辺を気にしないのであれば効果的であることに違いはないです.

2)すぐに役立つ内容を盛り込む
硬派な先生からしたら「ふざけんな!」というものでしょうが,今の大学教育では「すぐに役立つ授業」に対する魅力は大きいのです.
とにかく授業を「すぐに役立つ」ものになるよう気を配ります.もの凄く気を配ります.とことん気を配ります.めちゃめちゃ気を配るんです.
これについては,「そうなんでしょうけど,私が受け持っているタイプの科目では無理なんですよ」というステレオタイプな言い訳をする先生方がたくさんいます.
はい.それは全くもって正論ですが,残念ながら危ない大学では通用しません.
無理やり「すぐに役立つ」ネタで授業を埋め尽くすのです.今どきの大学では学術性よりも目先の利益が優先されるのですから.

3)就活に役立つ内容を盛り込む
すぐに役立つだけじゃなく,就活に役立つ内容にすると学生の食いつきは抜群です.
例えば私の場合はこんな感じ.
体育の授業では,何かのタイミングに学生を1人〜3人ほど皆の前に出てきてもらって話す機会を作ります.準備体操とか仕切り役とか,優勝者の一言コメントみたいなヤツです.
もっと具体的に言えば,例えば脈略無く前に出てきてもらって突然「はい.なにかやって」って言います.たいてい,学生は気の利いた事をやることはできません.そこですかさず用意しておいたネタを放り込みます.
鉄板はジャンケンゲーム(詳細はレクリエーション系のサイトや書籍で).「大勢の前に立たされて,『なにかやって』って言われることだってあるぞ.そういうの聞いたことあるだろ.そんな時のために,これを覚えておくといいぞ.何の準備も用意も無くても,その場を盛り上げられるからな」って.
それで学生は,「へぇー.おもしろーい.しかも役に立つぅ.覚えとこぉ」って.
そういうのをちょいちょい挟んでいくんです.授業への満足度は高まります.
※なお,「先生,あの時に教えてもらったやつが役に立ちました.ありがとうございます」ってことになったのは本当です.あながち悪いことではないのかもしれません.

4)笑っちゃうくらい簡単な内容にする
ある意味で究極の「この授業の内容が理解できた」です.
元来,理解できたかどうかに度合いとか尺度なんか無いはずですよね.「理解できた」と感じたとき,それはその人が考えることをやめたときに他ならないのですから.そうでしょ.
マジメな話はさておき,授業評価アンケートに困っている先生方って,大学の授業を難しく考え過ぎなんです.
学生が理解しにくい,もっと言うなら,危ない大学に来ている学生なんかでは「理解しようとすらしない」内容を授業で展開してもダメです.
「おいおい,それってヤバくね?」って思うくらい簡単にするくらいがちょうど良いのです.
「これがテストに出まーす」って言いながら,さも重要そうな事のように演出して,めっちゃ簡単なことを覚えさせるのです.あっ,これが最重要ポイントですね「演出をする」.
理解できた気にさせればOKです.自分が本当に理解できているかどうかなんて,学生の側が判断できるわけないでしょ.
「いやいや,それじゃそもそも大学に来た意味が・・」
というところでしょうが,危ない大学でそれを言ってはいけません.

5)笑っちゃうくらい簡単な小テストにする
最終テストはどうでもいいです.授業評価アンケートには関係ないから.
授業期間の途中で行われる簡単な小テストは,学生に「この授業の内容が理解できた」と思わせる具体的な作戦です.
記述式のテストが良いでしょう.選択式問題は作るのが大変です.穴埋め問題だと点数を誤魔化すことができないので却下.レポートだと学生の負担が大きいので,授業評価アンケートに響きます.
ということで,なんとでも書けそうな記述式問題に回答させて,ガッカリさせない程度にそれっぽい点数をつけて返却するのです.

5)日常的に触れる事と授業内容をリンクさせる
「すぐに役立つ」とか「就活に役立つ」と似ているのですが,つまり,今そこで展開されている授業が,今の学生自身にとってどういう価値があるか認識できる伝え方にする,ということです.
授業で扱われている知識が自分自身の事として認識できないと,授業を聞く価値がないと思うようになり,何をやっているのか意味不明ということになって,結果,授業評価アンケートに響きます.

6)断定する
ようするに「答え」を教えていくのです.これが唯一絶対的な「答え」だ,と.
もっとも,冒頭でも述べたように大学の授業は「答え」としての知識を伝えるところではありません(一部の授業を除く).
それがなんとなく身に沁みている先生方としては,どうしても “言い切る” ことができない.すると学生からは「なんだか回りくどいし,モゴモゴした感じがする面倒くさくて分かりにくくて眠い授業をする先生」という評価になります.
少々オーバーなくらいに面白おかしく断定的な物言いをするのです.
お手本はワイドショーなんかによく出ているタレント教員達です.彼らのようにいい加減な物言いをします.

7)グループワークをさせる
履修者の人数にもよるのですが,グループワークは授業評価アンケートの点数を高める上で効果的です.
やり方についての詳細は,それを扱ったウェブサイトや書籍にあたってください.
と言っても,肝心の大学・高等教育ならではの学びはほとんど期待できないのですが,この際どうでもいいでしょう.
そもそもグループワークが注目されているのは「授業評価アンケート的」なもののスコアを高めることができるからです.授業評価アンケートの点数アップに効果があるのは当然です.

8)雑談できる時間を設ける
90分間,ずっと講義をすることで授業評価アンケートの点数を高めることは困難です.
グループワークにも通じることですが,ようは学生自身が自由にできる時間が確保されれば,授業の居心地が良いことにつながります.
「ちょっと休憩」と言って5分くらい普通に雑談させるも良し.
テーマを与えておいて「それについて隣の人と話し合って,この用紙に書いて提出してくれ.一緒に話し合った者の名前を書いて出すように.点数に影響するぞぉ」と言って小規模グループワークをさせるのも良し.この場合,その場で簡単に発表させてもいいですし,次回に優れたものを公開してもいいでしょう.
私語ではなくワイワイガヤガヤできれば,それだけで授業評価アンケートには好影響です.

※ここで,「私語」を止める方法をご紹介しておきます.私語に悩む先生も多いでしょうから.
「静かにしろ!」と叱っても学生は私語をやめません.叱ってもダメなんです.
一番最初(第一週の開始時)が極めて肝心です.「初回だから・・」とか,「まだ気にならない程度の私語だから・・」と甘く見てはいけません.
私語だと気がついた時点で,“叱らずに”,黙って私語が収まるまで待ちます.例え小さな私語であったとしてもです.
私語をしている学生の方を向いて,10秒くらいなら黙っておきましょう.
どうしても収まらない場合,「おい.気づいてくれ」と落ち着いた口調で言います.
これを2〜3週ほど繰り返せば,大抵の私語はなくなっていきます.
多くの先生方はこの「黙って待つ」ことができないのです.10秒って以外に長いですからね.
私も当初は,わざとらしさと恥ずかしさ,それに手持ち無沙汰を感じていたのですが,そこを我慢してやります.
私語がダメな理由をその都度説明するとウザい先生ですし,威嚇するような態度をとる必要もありません.
私語がやんだら,抑えた笑顔で「ありがとう」と言えば,逆恨みされることも少ないです.

9)映像メディアを乱用しない
なにかにつけてビデオ上映をしたがる先生がいます.自分で説明することに自信がない先生がやってしまいがちな罠です.
あと,60分もののビデオを流しておけば,残りの時間は感想文的なレポートを書かせて授業1時間分を楽できるっていう算段もあるのでしょう.
ですが,何の脈略もないビデオ上映は授業評価アンケートには逆効果ですので,大変かもしれませんが通常の授業のほうが安全です.
むしろ,動画を使用するのであれば,以下のようにします.

10)授業内容と合致した非常に短い動画を利用する
その時間の授業で取り扱う内容と合致した動画を,数分程度に短く編集or操作して見せます.動画はダラダラと流しっぱなしにするのではなく,授業の進行に沿ってピックアップしていきます.
故に,自作映像の場合は動画編集技術がないといけないですし,既存メディアであれば予めどこをどう見せるか周到に準備しなければいけません(っていうか,それが教員の務めか).
私がやってみた例で言えば,「身体」とか「人間」に関するテーマを授業で取り上げた時は,『イノセンス GHOST IN THE SHELL 2』というSFアニメ映画のワンシーンを見せて,その難解なセリフ回しに関する解説をしながらSF映画と体育スポーツとの関連を楽しんでもらいました(我ながらこれは結構イケました).
他にも,私が学生の頃にお世話になったスポーツ史の先生の場合は,古代ローマの剣闘士の様子について映画『グラディエーター』を見せながら “演出して観客を魅了する仕掛けとは何か” を解説していました.やっぱりこういう方法はウケがいいです.
先生方のなかには,映画1本120分丸々全部,2週間かけて上映し,そこで考えたことをレポートさせる方法をやってしまう人がいますが,これは最近の学生にはマズいです.
ポイントとしては,あくまで動画は授業を進めるツールとして利用することです.その動画(映像作品)自体を楽しませようとすると,見透かされたり,その思惑とは逆の効果が出てしまいます.

11)しゃべり方,板書やスライドの示し方も一応気をつける
なんだかんだで重要です.授業評価アンケートの項目になっている場合も多いですから.
気にしておくと良いでしょう.
まあ,これについてはいろいろな書籍が出ているので,それを参考にしてください.


真っ当な授業をしたい.出来ている.という人にとっては全く意味のない記事だったかと思いますが.
それでも,上記のようなことに手を出さなければいけない人がいるようでしたら,参考になれば幸いです.


授業評価アンケート対策のための書籍
     


その他の危ない大学対策は,
危ない大学に奉職してしまったとき「スパイ対策法」
危ない大学に奉職してしまったとき「イベント企画対策」
危ない大学に奉職してしまったとき「高校訪問対策」
危ない大学に奉職してしまったとき「教員評価制度対策」
危ない大学に奉職してしまったとき「新学部・学科名の候補を出せと言われたとき対策」
危ない大学に奉職してしまったとき「本気の高校訪問対策」

関連記事


そんなフザけたことより大学教育とは何かを知りたい場合はこちら
  

2014年9月8日月曜日

井戸端スポーツ会議 part6「スポーツとニーチェとドラゴンボール」

男子テニスの錦織選手がUSオープンの決勝戦まで駒を進めたというニュースが入ってきました.
しかも現世界ランクNo1のジョコビッチを破っての決勝進出.これも凄い.
決勝の相手はチリッチ選手とのこと.ぜひとも好勝負を期待したいものです.

ということで,というわけでもないのですが,今回は井戸端スポーツ会議といきましょう.

過去記事でもちょっとだけ触れていたことを少し詳しく云々してみたいと思います.
過去記事の内容がなければチンプンカンプンの記事になりますので,端折って説明しておきます.
ヨハン・ホイジンガが「ホモ・ルーデンス」で述べた,
「人間は遊ぶことで文化を発展させてきた.文化が発展していく原動力は「遊び」である」
という議論について,「スポーツ」の要素を抽出して話をしてみると,
「人間はスポーツすることでも文化を発展させてきた.そして近年はこの「文化のスポーツ化」が,良くも悪くも「文化を遊ぶ」こと以上に強まっている」
という議論ができるのではないか.
で,この「文化のスポーツ化」の喫緊の例としてグローバリゼーションがあり,そもそもスポーツという活動の本質に「グローバリズム」があるという話が,
です.こちらもどうぞ.

ここで気になるであろう「遊びとスポーツの違い」ですが,実は専門家の方々の中でも猛烈に難しいテーマでして.
ではこのブログ,つまり私はどのように捉えているかというと,両者を厳密に区別しているわけでも区別できるものでもなく,「スポーツ」は「遊び」という営みを構成する仕組みの一つと考えています.
過去記事においても,スポーツとは「なにかしらのルールを作って,そのルールのなかでスコア(順位・得点)を獲得する」活動であると書きました.
これはつまり,スポーツとは遊びの中でもこうした「なにかしらのルールを作って,そのルールのなかでスコア(順位・得点)を獲得する」という要素を抽出した活動だと捉えられるわけです.

故にスポーツは,「遊びでやってんじゃないんだよ!」言いつつ,冷静にそれを眺めてみたら極めて「遊び」にしか見えないという矛盾を抱えた営みになっています.

長い前置きでしたが,ここから記事タイトルの話に入ります.

「遊びでやってんじゃないんだよ!」と言いつつ遊びにしか見えないもので,ただひたすら強くなろう,相手(過去の自分)より上を目指そう,技や身体を究極まで高めようという活動.それがスポーツです.
遊びでやってないはずなのに,「お金のため」「有名になりたいから」「権力が欲しいから」といった発言は厳に慎まれます.スポーツはお金や名声のためにやっているものではないことが求められるからです.
たしかに,現実問題としてお金や名声を得ている場合もありますが,これはメジャースポーツやビジネスとして成り立つスポーツ競技においてのみ言えることです.
多くの場合,自分の生活や経済状態を犠牲にしてでも,アスリートは自身の能力の限界に向けて邁進しています.そうした生活に不安を抱くアスリートもいましょうが,それでも納得してやっている.そういう人の方が圧倒的に多いのです.
「力」をストイックに,且つ,貪欲に求めながらも,本人たちは至って楽しんでいる活動.それがスポーツなのです.

こうした姿は,マックス・ウェーバーが『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で述べた,「禁欲的だとされるプロテスタントが,なぜ金儲けに走るのか」という論点を,これをさらに逆さまにして「スポーツ」の観点からも説明できるのではないかという野心も出てきます.
スポーツとは「統一ルール下におけるスコアの獲得」でしたね.つまり資本主義とは,獲得すべきスコア(金)に正当性が見出されたことによって,彼らは至って禁欲的に「スポーツ」をやっていると言えなくないだろうか?ということです.

さらにもう一つ,こうした姿で連想するのが漫画・アニメの『ドラゴンボール』の主人公たちです.
※ドラゴンボールの詳細やあらすじは割愛します.国民的漫画だと思いますので.
彼らにとっては,「力」こそが全て.相手よりも上を目指そう.過去の自分よりも上を目指そう.技や身体を究極まで高めよう.という意思が作品の随所に散りばめられています.
そうした「力」への貪欲な姿が描かれる一方で,彼らは戦いを楽しんでいます.地球滅亡の危機や,残虐非道な敵であったとしても「フェアな戦いじゃないとダメだ」と言い出します.「えぇ!こんな場面でそんなこと言うの?」という描写がたくさんありますよね.
まさにスポーツの精神を濃縮したような光景が『ドラゴンボール』では展開されるのです.

さらに,彼らは当初は敵同士であっても仲間になっていきます.例えどんなに極悪非道なキャラであっても,しかもその素養が失われていなくとも仲間になっていくのです.「おめぇ,悪ぃ奴だけど強ぇな」と言って「また一緒に戦おうぜ」という流れになっていきます.これってスポーツでよく見る光景ですよね.
ただし,仲間になっていく条件が一つあり,それは「フェアプレーができる者かどうか?」です.
物語の進行上「善」とか「悪」とか言い出しますが,つまりは「フェアプレー」できるキャラは仲間になっていき,そうでない者は仲間にはならない.生死をかけた暴力的な戦闘や,「正義」から外れた理不尽な選択を主人公がとることもあるのですが,その主人公側に一貫して流れる思想は「飽くなき力の追求と,フェアプレーによる戦い」なのです.
「飽くなき力の追求と,フェアプレーによる戦い」という思想が受け入れられるのであれば,人種や民族の壁を乗り越えられる.これもまさに「スポーツ」ですよね.

『ドラゴンボール』で描かれているのは,こうした人間が「スポーツ」を尊ぶ側面を抽出した姿ではないでしょうか.

ところが,ハリウッド版『ドラゴンボール』では,こうしたドラゴンボールらしさが全くと言っていいほど考慮されていません.
※そもそも私がこの記事を書こうと思ったのは,先日このハリウッド版『ドラゴンボール』を見る機会があって,その出来の悪さに驚愕したことに起因します.

ハリウッド版『ドラゴンボール』でも,主人公の孫悟空が登場します.
オリジナルの孫悟空と同様,どこか抜けていてバカっぽいところは一緒です.ところが,ハリウッド版孫悟空は本当にただのバカなのです.明らかにオリジナル孫悟空の「バカさ」を履き違えています.
ただひたすら力を追い求めようという「スポーツ」らしさは無く,ハリウッド版の彼が力を欲しがった理由は「女にモテたいから」でした.なんという卑しい理由でしょう.
さらにハリウッド版の主人公たちは,ただひたすら「悪」だとされるピッコロ大魔王を倒すという「正義」を貫きます.なんという勧善懲悪でしょう.
これは私が知っている『ドラゴンボール』ではありません.

たしかに,オリジナルの孫悟空は一見バカです.でも,彼やベジータといった「サイヤ人」に投影されているのは,ただひたすら力を求め続けるアスリートの姿のはずなんです.
悪を倒すためとか,正義とは何かといったことではなく,とにかく力を求めて生活していくこと,それ自体に価値があるという生き方です.
そうして彼らは「超サイヤ人」へと覚醒していくわけですが.

超サイヤ人ならぬ「超人」を目指したという意味において,さらには「スポーツ」との類似点が指摘できるのが,ニーチェの「超人思想」ではないでしょうか.
ニーチェは人間の本質の中にある「スポーツ」を尊ぶ精神を,別の形で汲みとったのではないかと思えるフシがあります.

ニーチェの「超人思想」.それは,人間本来が持つ根源的な欲望は「力への意思」だという考え方です.
ただひたすら強くなりたい,究極を得たいという「力」への素直な欲望が,人間の本質だとニーチェは説きました.
もちろん,ニーチェは髪や体が金色に光りだすまで力を求めよと言ったわけではありません.
「力を求める意思を自覚し,それから目をそむけない」という生き方をすべきだと説いたのです.

もし我々が「超チキュ―人」を目指すとしても,なにも10倍の重力下で修行したり,ハンマーを持ってサルを追いかけなくても構わないそうです.
ニーチェが説いたのは,絶え間ない自己研鑚です.ひたすら究極を目指して身体を鍛える.勉強をする.料理の腕を上げる等々.そういうことです.
それとは逆に,「弱くたっていいじゃないか,どうせ俺なんか・・」という着想になって手を抜いてはいけない.そういうことです.

「超人」であれば,たとえ正義や道徳といった価値観が崩壊してしまったとしても,たとえ「神が死んだ」としても,自分自身で生きる価値を見出だせるはずだ.それがルサンチマンに陥らず,前を向いて生きていくことが出来る人間なのだというのです.
これってようするに,毎日鏡の前で「なぜベストを尽くさないのか」って問いかけて生きましょう,ってことでしょうか.言うは易く行うは難しですね.

『ドラゴンボール』の孫悟空も,相手が悪でこちらが善だから戦っているわけではありませんでした.「魔」という字の入った道着を着た仲間がいるくらいですから.彼にとっては「力」を追い求めることが全てであり,そうした中にあって正義や道徳といったものは勝手についてくるものになっています.

スポーツとは,人間が純粋に「力」を求める本質が現れた活動と言えるのではないでしょうか.そこに「政治性」を入れたがらず,逆に「道徳性」を求めたがる理由も見出だせるかもしれませんが,それはまた別の機会に.

スポーツ指導者の方々におきましては,ニーチェの「超人思想」を引き合いに出して選手指導をしてみるのも面白いのかもしれませんね.


ニーチェの超人思想についてはこちらが参考になります


お時間があればこちら
 


井戸端スポーツ会議
■ 井戸端スポーツ会議 part 1「プロ野球16球団構想から」
■ 井戸端スポーツ会議 part 2「スポーツ庁の必要性」
■ 井戸端スポーツ会議 part 3「サッカー日本代表」
■ 井戸端スポーツ会議 part 4「自転車は車道を走らないほうが安全だろう」
井戸端スポーツ会議 part 5「グローバリズムはスポーツ」

過去のスポーツ記事
人間はスポーツする存在である
「負けたのに『楽しかった』」はダメでしょうけど.けどね.
簡易版・負けたのに楽しかったはダメでしょうけど.けどね
浅田選手への森元首相の発言
いい人達なんだそうです
スポーツによって災害に強靭な町をつくれる
スポーツで土建国家を復活できる
スポーツは健康になるためのツールではない
しかしもし,偶然というものが一切否定されたとしたらどうだろう
エクササイズからスポーツへ
コンクリートからスポーツへ

2014年9月2日火曜日

エクセルだけで統計処理する卒論・ゼミ論用アンケート調査のオススメ方法 part3

エクセルだけで簡単な統計処理をすることを前提とした,卒論執筆などに需要の有りそうなアンケート調査[作業]を紹介する第3段です.
過去記事は,
エクセルだけで統計処理する卒論・ゼミ論用アンケート調査のオススメ方法 part1
エクセルだけで統計処理する卒論・ゼミ論用アンケート調査のオススメ方法 part2
です.

実際の統計処理作業については,
エクセルExcelでΧ二乗検定を part3
をご覧ください.


今回は,アンケート調査をする上での細かい注意事項をあげていきます.
もうこの記事のタイトルとは関係ない内容かもしれませんけど.

7)回答方法の説明は手を抜かない
前々回の記事に,こういうアンケートの質問例を出しました.
回答者としては「この中から好きな食べ物に◯をつけてもらいたいんだろうな」というところですが,このままでは不十分です.
回答方法についても細かく記述しておかなければ,ちゃんとした回答をしてもらえません.
その場にあなたがいて,そうした質問対応ができるものであればいいのですけど,それが出来ない場合もたくさんあるでしょう.
それに,もし回答中にあなたがいたとしても,回答者としては「いちいち質問するのが面倒くさい」ということで勝手に判断して記入する人だってたくさんいます.
予め丁寧に説明したり回答しやすくしておいたほうが,結果的にあなたが楽できるんです.

上記の例であれば,一つだけに◯をつけて欲しいのであれば,以下のように,きちんとそう書きます.

複数回答してほしいのであれば,それもそう書きます.

回答者も全員が几帳面な人たちではありません.ややもすると,
そんな感じで記入する奴がいます.
「一体どこに向けて◯をつけてんだよ.1,3番なのか? 2,4番なのか?」ということで,がっかりさせられることもあったりで.

なので,そういう事態にならないように,紙面が許されるのであれば,例えばばこうします.

もしくは,こんな感じとか.
「ええぇ! いちいちそんなこと気にしなきゃいけないのぉ?」って思うでしょうが,こういう配慮は結構大事です.

例えば上の例では「該当する番号の空欄(つまり2列目)」に◯をつけず,番号とか項目のところに◯をつける人がでることもあります.でも,それでもこっちとしては回答を判別できるのでOKなんです.
一方,下の例であれば「Q1回答」のところに,番号じゃなくて項目名を書く人も出てきます.でも,こっちとしては回答が判別できるのでOKです.

前回の記事で扱った「順序尺度」の回答についてもそうです.
おさらいしておくと,順序尺度っていうのはこういうの.
その該当する数値のところに◯つけてほしい,というものですが,これもきちんと説明しておかないと,
「そうだなぁ,私,2と3の間くらいかなぁ」なんてことを考えて回答する人も出てきちゃいます.
なのでこれも,
という感じで,しっかり注意事項を明記しておきます.
紙面も許され,もっときっちり説明しておきたい場合なら,記入例を出して説明しておくことも有効でしょう.

こういう「記入例」は,回答者にとって見慣れない回答方法の時にはさらに重要になります.
前回ご紹介したVAS(ビジュアル・アナログ・スケール).
こういうのなんか,「印つけろってったって,どうやって書けばいいのよ?」ということになりますから,こんな感じにします.

正確に記入できるよう誘導しておけば,「ああ,この書き方の調査結果じゃデータとして採用できないなぁ」という事態は少なくすることができます.


次は,アンケート調査用に必ず書いておかねばならないことです.
「もうそんなの常識でしょう」という人だっていましょうが,こと「卒論指導」では大事なので取り上げときます.

8)どういうアンケートなのか.そのデータの取り扱いについての但し書き
一番最初のページとか,調査用紙の頭の部分にこれを書いときます.必ず.
そんな感じの文面を入れとくんです.

調査担当者の情報,連絡先は,可能な限りで書いときましょう.
実際問題として不特定多数にバラ撒いてしまうわけですから,もしあなたが魅力的な人だったりすると,迷惑メールが来たりイタズラに利用されるかもしれません.
そこんとは注意が必要です.この「連絡先」については,指導教員と相談する方がいいと思います.

で,アンケートの最後の部分には,

アンケートは以上です.お疲れ様でした.
最後に,回答欄に記入漏れがないかご確認ください.記入漏れがある場合,調査結果として採用さない場合があります.
調査へのご協力ありがとうございました.

みたいな文面を入れておきましょう.
そうしないと,少なくない人が「この質問にはあとで回答しよう」とか思っちゃってて記入漏れが発生するんです.
アンケートの最後に記述するのがミソです.


今回はここまで.
もし追記することがあれば,また記事をアップしたいと思います.


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エクセルExcelでΧ二乗検定を part3

信頼性係数を出す場合はこちら
信頼性係数をエクセルで算出する

アンケート調査をきっちり勉強したい場合は以下をどうぞ.
 

その他,統計処理のまじめな勉強はこちら
独学で統計処理作業をスキルアップさせるための本