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鳥無き島の蝙蝠たち(9)蔦文也

「さわやかイレブン」「やまびこ打線」と言っても知らない人が多くなってきました.
かつて,高校野球・甲子園大会を11人の部員で準優勝までしたチームがあったのです.
徳島県立池田高等学校・野球部です.
蔦文也はそのチームを率いた監督でした.
四国のスポーツ史としては伝説中の伝説です.
蔦文也(wikipedia)

当時の娯楽と言えば野球だったので,この四国・徳島の山奥にそんな名物チームがあるということは良く知られていたようです.
蔦文也については,私の父もよく話をしていました.父も野球をやっていましたので,池田高校の野球には興味があったのでしょう.

そんな父の蔦文也に対する評価.「野球の指導は一流だが,大酒飲みの呑んだくれ」
どちらかと言うとネガティブな評価をしています.
たしかにその通りです.

ちなみに,我が家は酒を飲みません.
酒を飲む人間を嫌う習性があります.
だから私も実家ではお酒を一滴たりとも口にしたことがありません.
そんな我が家ですから,蔦文也への評価は微妙なところです.

おそらく,今あんな野球コーチがいたらマスコミが叩きまくっていることでしょう.
まして,強豪チームですから尚の事.
呑んだくれコーチなのに良いチームを作るっていうのは,今の御時世受け入れられないのです.
酒を飲みながら「教育」とはけしからん.そんなところでしょう.

ですが,私の恩師もゼミ中にビールをあおっていました.
勧められたので,私も飲んでいました.
4限目でしたから,3時くらいから教室でビール飲んでたってことですね.
部活には,ほろ酔い気分で向かっていました.そのほうが調子が良かったかもしれません.

別の先生の話によると,今から40年前,その先生の指導教官はゼミでウィスキーのグラスを片手にやっていたそうです.
酔ってきたところからが面白い話が聞けるということで,学生たちも特に問題視していなかったとのこと.
今では考えられませんが,そんな時代があったのです.

酒を飲んでダメになる奴がいます.大学教員もしかり.
それはそうなのですが,お酒が入ったくらいが丁度いい授業になる場面があることもたしかです.
酒を飲んでダメになる奴は,酒を飲まなければいいだけのこと.
だいたい,酒を飲みながら授業ができない人は,研究者としても教育者としても落第です.

特にゼミ・演習では,議論することがメインになりますから,合いの手やツッコミがスムーズに展開されることが重要な要素となります.
そのために「お酒」というのは見事に機能してくれるように思います.

酒を飲むとその人間の本質が出ると言います.つまり,酒を飲むと授業ができない人というのは,研究も教員も「サラリーマン」でやっている奴だということを示しているのではないでしょうか.
これはかなり相関関係があると思うのですよ.