2018年1月26日金曜日

寿司を撮る学生とテレビのない学生

卒論研究が一段落したこともあって,ゼミの学生5人と寿司屋で慰労会をしました.
もちろん,皿がベルトコンベアで回っていない店です.
ここは私が普段から利用している寿司屋ですし,周りも騒々しくないので落ち着いて慰労会ができます.
人数を言って「なんか適当なのを」って頼んでおけば,学生が喜びそうなものを用意してくれるのもいいですね.

そう言えば,この店は以前にも記事にしたことがありました.
最近の自宅周辺の外食事情
私が学生の頃も,卒論とか修論が終わったら先生が寿司屋で慰労会をしてくれていたので,これは私にとっての伝統みたいなものです.

肉や油物がダメな私としては,寿司がベターな選択になります.
2年生や3年生だと,「肉にしましょう! 肉がいいです!」とか言われて焼肉屋につれていくことになり,煙たい思いをしながら油対策に苦心する.酔ってきたら大声出して騒ぎ出す.
そう考えると,寿司屋のほうが学生も大人しくなってくれることもあって気分もいい.

学生としても,余程裕福な生活をしている者でない限り,寿司下駄に並べられた寿司に感動してくれます.
それはそれでいいのですけど,何を血迷ったのかスマホのカメラで寿司をパシャパシャ撮りだす,だけならまだしも,バッグから一眼レフを取り出してシャッターを切り出す奴もいる.
そのあとSNSに投稿するつもりみたい.「インスタ映えするから」だそうです.昨年の流行語大賞にもなりましたね.
こちらとしては静かに真顔で「おい,やめろ.単位出さないぞ」と叱りつけることになります.

いや,むしろこれが現代の大学教育において,最も大事な卒業基準なのかもしれません.
寿司屋で写メ撮ってSNSに「慰労会ナウ」って投稿するような奴に単位は出さない.
それだけでもできれば,この国の社会はもうちょっとマシになるでしょう.

寿司食いながら話題になったのが,「最近,テレビを見なくなった」というもの.
しかも,5人中3人が「自宅にテレビを持ってない」と言ってました.
テレビ不要論が浸透しているようで嬉しい限りです.

この学生の中には,1年生の頃に,なんかの授業中に私が「学生の頃からテレビを持っていない」ことを喋っているのを聞いて,「テレビっていらないんだ」と思い,それ以来テレビを捨てた人もいます.
他の学生が「え!テレビ持ってなかったの?」って聞いてるところからして,学生にとってテレビの話題がコミュニケーションの材料になることはないようです.

「最近,テレビを持たない人が増えてきた」という噂を耳にすることはありますが,なんだかんだでテレビの普及率はほぼ100%です.
カラーテレビの普及率現状をグラフ化してみる(2017年)
若年者と単身世帯でテレビを持っていない人が多い傾向にありますが,これは今現在の特徴ではなく,昔から若者と一人暮らしにはテレビを持っていない人が一定数いたのです.

つまり,「最近,テレビを持っていない人が増えてきた」というのは,テレビを持っていない者同士が知り合い,「あなたも持っていないんですね!」などと話題にする機会が増えてきたということなのかもしれません.
かつては「テレビを持つ」ことは豊かになることの象徴であり,その後は「普通」になることの象徴でした.
ところが,最近ではテレビが「豊かさ」や「普通」を意味するものではなくなってきた.
それだけに,テレビを持っていないこととは,別の豊かさや普通を求める象徴としての話題を提供している.そんなところなのかもしれませんね.

ゼミって考え方が似ている者同士が集まるものですから,それで研究室を希望してきたところもあったりするんでしょう.だから私のゼミ生の「テレビ不所持率」は高くなる.
なお,面白いことにテレビを持っていない3人は,スマホで寿司を撮ろうとしなかった.
これには相関関係がありそうだなと思います.