2017年7月22日土曜日

加計学園問題は,どのように言い訳すればよかったのか

先日の記事の続きにします.
先の記事はこちら■今治・加計学園問題について

加計学園問題に揺れている安倍政権ですが,このブログでは事件発覚当時から何度も繰り返しているように,これはスキャンダルではありますが「うまいこと言い逃れできるはずの話」です.
ダメダメな言い訳に終始して,火に油を注いでいるのが現政権.

安倍支持者におかれましては,きっとヤキモキしながら次第を見つめていることでしょう.
では,どうすればいいのか?
安倍支持者としては,どのような情報を拡散すれば反安倍論者を黙らせることができるのか?
そのヒントをお話ししましょう.

まず,この事件は脱法ではありますが違法ではありません.
きちんと手続きを踏んで,今治市に獣医学部を持つ大学またはキャンパスを設置することになり,それに加計学園が正式な手順をもって決定した.全く問題ない話です.

唯一あるとすれば,渦中の人である前川前次官が言うように,「加計学園ありきで今治市に学部設置が進んだプロセス」ということになります.
つまり,「行政が歪められた」ということですが,これについて安倍支持者としてはこのように反論しましょう.

「それがどうした」と.

今治市に獣医学部を設置するという計画は,国家戦略特区です.
国家戦略特区については以下のサイトで確認できます.
国家戦略特区(首相官邸HP)

そこでは,国家戦略特区の会議運営規則や会議資料をPDFで見れます.
国家戦略特別区域諮問会議(首相官邸HP)

議長は内閣総理大臣:安倍晋三です.
そして,運営規則にはこうあります.
(議事)
第4条 会議は、議長が出席し、かつ、議員の過半数が出席しなければ、会議を開き、議決することはできない。
2 議事を決するに当たり、議長は出席議員全員の同意を得るよう努めなければならない。
3 前項の規定にかかわらず、全員の同意を得られない場合には、議長が会議の議論を踏まえた上で、議事を決する。
4 会議は、その決定するところにより、会議に付議される事項について直接の利害関係を有する議員を、審議及び議決に参加させないことができる。

(緊急時の特例)
第5条 議長は、会議を招集した場合において、議員の過半数が出席することが困難であり、かつ、緊急に会議の審議及び議決を経ることが、会議の目的 達成のために必要と認めるときには、前条第1項の規定にかかわらず、会議を招集し、会議は審議及び議決を行うことができる。
要するに,議長である総理大臣が「いい意味でも,そうでない意味でも,やりたい放題できる」ということです.もともと,そういう趣旨のもと作られた制度です.
事実,第1回諮問会議の議事録には,国家戦略特区に対する認識が以下のように述べられています.
岩盤規制の改革及びそれに相当する抜本的な税制改革に、総理主導で突破口を開き、経済成長を実現すること
ですから,総理大臣の好みがダイレクトに反映される制度なのです.
であるからして,そもそも「行政が歪められた」という指摘そのものが当てはまらないわけです.だって,この国家戦略特区というのは,それまでに行われてきた行政を「歪める」ことに意味があるのですから.
だからこそ,「行政が歪められた」としても,それへの反論は,
「それがどうした」
ということになります.

ところが現在,安倍支持者は本件をこのように擁護しています.
「四国・今治市に獣医学部が設置されるのは,1980年代からの長年にわたる陳情を総理が国家戦略特区として汲み取ったからであり,何の問題もない.事実,元愛媛県知事の加戸氏も参考人答弁として感動的な話をしてくれている.マスコミはそれを報道していない!」

ですが,これでは前川前次官が指摘している,
「私は,四国や今治市を特区として選ぶことを問題視しているのではありません.加計ありきで進んだプロセスを『行政が歪められた』と言っているのです」
ということへの反論としては弱いのです.
というか,的外れです.国会参考人招致でも,そんな的外れな質疑をしていた議員もいました.

安倍支持者には猪突猛進型が多いので,これらの何がどう問題なのか分からない方々も多いことかと思います.性懲りも無く「四国には獣医学部が必要だったんだ! 獣医学会は利権まみれだったんだ! だから安倍総理は問題ないんだ!」と叫び続ける人があとを絶ちません.

前回記事で詳細を述べたように,今回の「今治市に獣医学部を設置する」というプロセスが加計学園ありきであったことは,その道の人間であれば十中八九「真っ黒」であると読み取ります.
いえ,それが悪いと言っているわけではありません.よくあることですから.

むしろ問題なのは,安倍総理個人の好みが反映される国家戦略特区という制度の決定事項について,公平で慎重な議論を経た上で決定しているかのような擁護をする安倍支持者の姿勢です.

国家戦略特区の第1回諮問会議の議事録にはこうあります.竹中平蔵有識者議員の発言です.
第一点はやはりスピード感。そもそもなぜ特区をやるかというと、全国展開が難しいからとにかく先にやろうと。したがって、特区が遅ければ特区の意味がないということ にもなります。
考えるよりも行動しようというスタイル.
だからパパッと決めてしまったのでしょう.

でも,ここで気になるのは,そんなに「スピード感」を重視したいのであれば,なぜ学部新設を望む大学を誘致したのだろうか? という点です.

「四国に獣医師を充実させる」という目的のためにスピード感をもたせたいのであれば,既存大学の獣医学部の定員を増やし,四国での獣医開業を優遇すれば済むはずなんです.
学部新設したら,一期生が卒業するまでに最短で6年かかります.さらに,研究所や教育機関としてのノウハウを蓄積させるのに10年くらいは必要ですから,それが(申し訳ないけど,「危ない大学」の一角である加計学園グループの)岡山理科大学に期待できるとは思えません.
既存大学の卒業生を四国で働かせるように誘導する方が,最も早くて安全で確実です.

百歩譲って,一刻も早く四国に獣医学の拠点を作りたかったんだとしましょう.
ですが,そこでもやっぱり「なぜ獣医学のノウハウを持っていない加計学園だったのか?」という点が不可思議です.
1校のみの開学が条件だと言うならなおのこと,国家戦略特区としての権力を使って獣医学の有力大学を「今治キャンパス」として誘致するのが常識的な判断ではないかと思います.

千歩譲って,加計学園のようにノウハウの無い獣医学部でも,それを補うための「補助金を潤沢に注入し,優遇政策を施せばなんとかなる」とも言えます.
ですが,それってどうなの?って気になりませんか.なおさら,本当に加計学園でよかったのか? ということになりはしないか.

まとめると,
1)四国に獣医学部の大学が必要だった?: 仮に必要だったとしても,新規の学部設置を望む大学は好ましくない.やはり加計学園ありきだったのではないか?
2)一刻も早く四国に獣医学の拠点が必要だった?: 新規の大学である理由はなく,四国内での開業を優遇したり,研究所を設置した方が早い.わざわざ加計学園を採択したのは,やはり加計学園ありきだったのではないか?
3)加計学園は長年にわたり獣医学部を申請していた?: 長年にわたり申請していたからと言って採択されるものではない.1校のみ採択される希少な条件下で,ノウハウの無い加計学園が選ばれたのは,やはり加計学園ありきだったのではないか?
4)愛媛県は長年にわたり獣医学部を望んでいた?: 加計学園の採択決定には無関係のはずのこと.関係があったとすれば,それはそれで問題.

安倍支持者は,これらの疑問点を払拭する言い訳を考えなければならないことになります.
そしてその言い訳とは,「それがどうした」と相手を突き放すものであり,「国家戦略特区は,安倍総理の意図が反映されるものですから,結果が伴えばプロセスはどうでもいいのです」と毅然とした態度をとることにあります.

もちろん,「これにより結果が出なければ,私・安倍晋三は,国民の生命・財産を弄び,人生を愚弄した罪をその命に代えても償う所存です」とかなんとか言って大見得切ることも必要です.それなりに演出すればカッコよく映ると思います.

私としては,「スピード感」に焦点を絞って言い訳すればよかったのではないかと考えています.
「四国に獣医学の拠点を作る」とか,「長年にわたり地元からの陳情があった」などと言い出すから泥沼にはまったのです.これは最もダメな言い訳です.

どうしてダメかというと,これらの理由だと「きちんとした獣医学部」を作らなければならなくなります.でも,今回はそうではありません.かなり杜撰な獣医学部なのですから,杜撰な計画であることに目を瞑ってもらうような言い訳である必要があるのです.
見る人が見れば明らかな「脱法行為」なのですから,口元にご飯粒をくっつけて「僕食べてないよ.だって,お腹空いてないもん」などと摘み食いの言い訳をしてもダメなんです.そこはむしろ,どうしても摘み食いしなければならないほど切迫した空腹状態だったと言った方が,ねちっこく追及されることは避けられます.

つまり,国家戦略特区ではスピード感を重視しているから,そのためのスケジュールを組んで,そこに応募してきた大学を選んだだけだ.ということにすればよかった.
なんだったら,「早い者勝ちでした」ということにすればいい.
「んなアホな!」「それこそ杜撰だ!」と言われるのでしょうけど,それが追及を受けにくい言い訳です.

ところが,安倍総理や特区関係者,そして安倍支持者の多くは「公平で思慮深く計画した審議の結果だったのだ」という言い訳を最初にしてしまいました.これが問題だったのです.これで後に引けなくなりました.
公平性と計画性の高さで勝負したら負ける話なのですから,最初から「不公平で無計画なところがあったかもしれないが・・・」という方針で守れば,もっと善戦できたと思います.

「どんな事業者でもいいから,とにかく『大学』である必要があって,一刻も早い拠点づくりのため,開学するスピードを最も重視した」というものであれば,あとはなんとでも言い訳がつきます.

「加計学園ありきだったのではないか?」という指摘についても,
「はい,そうです.そういう側面があったのかもしれません.ですが,口蹄疫問題や鳥インフルエンザ対策などのため,拠点づくりのスピード感を重視し,2018年4月に今治市で開学できることを最重要として進めてきたところ,これに対応可能な事業者は加計学園だけでしたので,当該学園と事前に打ち合わせていた部分があることは確かです.国民に不信感を抱かせてしまい,申し訳ございません」
などと言い逃れできます.

「総理の友人が理事長だ」という指摘についても,
「事前打ち合わせする中で,加計学園には2018年4月開学に向けて急いでもらうことになり,かなり御無理をお願いいただく部分がありました.その点,理事長が総理の御友人でもあることから,そうした部分に目を瞑ってもらったところがあります」
とでも言っておけばいい.
スピード重視のために,行政を歪めたんだと言い訳する寸法です.
「スピード重視」というのは便利な言葉で,たいていのバカはこれで納得してくれます.政治に限らず,大学の新規事業計画においても頻出するキーワードですね.

もちろん,私はこういう形での大学学部設置は断固反対です.
でも,そこまで目くじら立てて長引かせる話でもありません.
まともな獣医学部のキャンパスとして成長するよう,優遇措置を講じてもらうこともやぶさかではないと思っています.
まあ,期待薄ですけど.

何度も言いますが,この問題の本質は「しょうもないスキャンダルを終息させられない政権」であり,そんな政権がまともに国家運営できるとは思えない,ということです.


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