2016年4月23日土曜日

みんながんばれ

前回の記事とは打って変わって,とりとめのない話をします.

ドラゴンクエストというRPGを御存知でしょうか?
プレーしたことはなくても,名前くらいは知っている人は多いかと思います.第一作目が登場したのが1986年で,その後はⅡ,Ⅲ,Ⅳとナンバリングされながら進化を続けます.ナンバリングされているシリーズとしては,現時点で「ドラゴンクエストⅪ」まで出ている日本を代表するテレビゲームです.

私が始めてドラゴンクエストをやったのは中学生くらいの時で,「ドラゴンクエストⅤ」でした.
『ドラゴンクエストⅤ-天空の花嫁-』
シリーズ屈指の名作として知られ,その中でも特徴的なイベントとしては,ゲーム進行途中で主人公が2人の女性キャラクタのうちのどちらか一方と結婚することを選択する,なんていう設定があるのです.
この花嫁の選択はその後のゲーム展開に多大な影響を与えるということもあり,どちらの女性キャラを結婚相手に選ぶのが良いか,能力的にも道徳的にもいまだ議論される人気のゲームです.
『ドラクエ5』主人公の花嫁は「ビアンカか?フローラか?」

そんなの物語の構成上もビアンカ一択だろうと思っていた私ですが,どうやら私の弟はフローラ派のようでして,戦闘能力を第一に選択すればフローラとのこと.こういうところでも兄弟の特徴が出て面白いものです.

実際のところ,結婚相手はどっちでもいいと思っていて,むしろ「キラーパンサーこそ俺の嫁」だったわけですが,私が当時中学生ながらにこのゲームをやっていて気になったのは,ブロンド女か青髪女のどちらを選択するのかではなく,モンスターとの戦闘時に選択することになる「作戦名」です.

このゲーム,戦闘場面で以下のような作戦選択画面が表示されまして,名称に応じた戦い方が展開される仕組みになっています.
・みんながんばれ
・ガンガンいこうぜ
・じゅもんせつやく
・じゅもんつかうな
・いのちだいじに
※事実上の “作戦” ではない「めいれいさせろ」という選択肢もありますが.

さすがに中学生ともなると,世の中のことを多角的に見るようになるもので.
こういうところでの「選択」も理屈をこねたくなる年頃なんですよね.

細かい戦術やゲーム設計上の話は別にしても,「みんながんばれ」が第一候補だろうと思うのです.その次が「いのちだいじに」でしょうか.

逆に私としては,「ガンガンいこうぜ」を選ぶ人の気が知れない.
なんですか,「ガンガンいこうぜ」って.
とてもじゃないですが,まともな知性をもちあわせているとは思えません.「こんな作戦を選ぶ奴,頭がおかしいんじゃないか」と子供ながらに考えていました.

ちなみに「ガンガンいこうぜ」というのは,敵であるモンスターの残りHP(体力ゲージ)や,自分のMP(魔力ゲージ)の残数を気にせず,そのキャラの最大の攻撃を景気よく繰り出すという作戦なのですけど.

荒野や草原,洞窟の中で遭遇するモンスターを前に,ガンガンいこうとしている勇者様御一行なんてあり得ないでしょう.倫理的に考えてもおかしいわけです.

でも,こういう感性って実は非常に大事ではないかと未だに思います.
たかがテレビゲーム,されどテレビゲーム.
おかしいでしょ,「ガンガンいこうぜ」っていう作戦を選ぶ感性.
フローラを花嫁に選ぶより,よっぽどおかしい.

ドラクエで「ガンガンいこうぜ」なんていう作戦を選択する奴は,後先考えずに行動する奴が多いはず.
つまり,「ガンガンいこうぜ」を選択する奴は,きっとスーパーグローバル大学を推進しようとするだろうし,橋下・維新の会を応援するし,TPP交渉に賛成するし,民族や国境にこだわる時代は過ぎ去ったと言い出すような奴である可能性が高い.
もっと言えば,スターバックスではグランデを買い,行列のできるラーメン屋に並び,暑いからってエアコンの設定温度を16度にしようとするのがこうした連中です.

だいたい,作戦のようでいて,まったくもって作戦じゃないのが「ガンガンいこうぜ」なのです.とにかく派手に火力を出せばいいという指示なわけでしょ.つまり,策をろうしているようでいて,まったくもって策を講じていない.

それを「作戦の一つ」として認識している時点で,頭がおかしいとしか言いようが無い.
繰り返しますが,こういうのは作戦ではありません.たんなるお祭り騒ぎのようなもの.そういう態度でモンスターがウヨウヨいる世界を「冒険しよう」とするメンタリティが,当時中二だった私には極めて胡散臭いものとして映ったわけです.

意地でも「ガンガンいこうぜ」は選択肢ないぞ.
そう固く誓ってプレーしたのも,今では良い想い出です.