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希望が見えたボードン袋,届いたピロー包装フィルム|資材不足を煽る農系ユーチューバーにご注意を
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出荷備品はなんとかなりそう 先日の記事で,農業における必須備品である出荷用のボードン袋やピロー包装フィルムが入手困難になっているという話をしました. しかし,どうやらその危険性は幾分か払拭されてきています. 実はあの後,販売代理店や供給メーカーさんから連絡があったり,実際にピロー包装フィルムも到着し,当面(冬期まで)のあいだは出荷可能状態が確保できることになりました. ボードン袋のほうは入手経路は確保できていたので,ひとまず年内,もしくは年度内くらいはなんとかなりそうです. 政府が「年内は大丈夫.通常の経済活動を続けてくれ」という趣旨のメッセージを出していますよね. ここ数日,前述の販売代理店とかメーカー,あとはホームセンターとか配送業,農協といった方々と情報交換するなかで,いろいろと日本の現状を推察できる点がありました. 結論としては,「なんとかなるだろう」って感じです. ところで,この「農業用資材が不足している」については, 「このままでは日本の農業は崩壊する」とか, 「食糧不足に陥って飢餓が発生する」 などといった言説をネット上で見かけることがあります. まあ,この世界情勢がどんどん悪化して,解決の見込みなく何年も経過するようならその可能性もありますが,当面の間(今年度中くらいの見通し)は,そんなことはなさそうなので,このブログを読んでくれている皆様におかれましては冷静になってください. たぶん,地獄絵図みたいな事態にはなりません. ただ,食料価格が高騰してしまう可能性は高いです. なんせ,生産コストがシンプルに上がってしまっているからです. でも,食料が入手困難になるような事態は考え過ぎかと思います. 先日の記事でも書いたように,スーパーマーケット等での「販売方法」に工夫が必要だったり,市場や卸,小売店なんかとの流通方法に対する融通や調整が必要になる可能性があるくらいかなと. 「農業用資材が不足している」というのは,半分正しい この話題について,もうちょっと深掘りしておきましょうか. 上述したように,他業種の方々と情報交換するなかで分かってきたことがありますので,そこから私なりに組み立てた理屈です. まず,「農業用資材が不足している」「このままでは農業ができなくなる」「食料が供給できなくなる」と煽っている人たちですが,彼らの言っている状況はたしかに存在します...
混迷を深めるボードン袋,届かないピロー包装フィルム
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いよいよ出荷備品が底をつき始めたよ もしご興味がありましたら,通販サイト等で農業用の出荷備品である「ボードン袋」などを検索してみてください. Amazonとか楽天とか,モノタロウとか. そこでは出荷備品の受注がストップしていたり,異様に高い値段がついていたりします. ついに,収穫物を消費者に届ける部分にも深刻な物資不足が及んできたようです. とはいえ,まだこの程度なら,家庭菜園の延長でやってる農家とか,小規模農家に影響が出ている段階です. 私達みたいに,専門的に農業経営をしている者は,農協とかメーカー・代理店から,大量生産用の専門的な出荷備品を仕入れています. 具体的に言えば,ピロー包装フィルムですね. そっちの方はまだ夏まで納入可能の連絡は受けてるんですけど. はい.その連絡は受けてるんですけど. でも,納入予定日が近づいているのに,事前連絡が入ってこない. もうそろそろ連絡がきてもいい頃なのに. なんか不安になってきます. 以前,ロシア・ウクライナ戦争の時も同じようなことがあったんですが,それの二の舞いになりはしないかとビビっています. 出荷備品がちょっとでも途切れると,一気に経営ができなくなりますので. まあ,あの時はまだ「納入日に遅れが出ている」っていう状態だったので,品物が無いという状況ではありませんでした. しかし今回は,「遅れ」ではなく「無い」という事態になりかねません. もし納入不可とかになったら,7月くらいで資材が底をつくので営業ストップになってしまいます. こんな時は,困ったときの農協頼みというわけで,そろそろ農協で組合員と意思疎通を図る会合をもたないといけないかな,と思っています. うちの組合は会合をもちたがらないので,私なんかが会長とか農協担当者とかに発破をかけないといけないかも. 内容としては,商品包装と出荷方法に関する融通です. それを市場とか卸,小売店と調整して,いざという時には出荷方法とか流通方法を大きく融通してもらう心構えをしておいてほしい,という感じかな. JA高知県もバカではないと思うので,各部署や組織全体としてなにかしらの動きや準備などは進んでいると思うんですが,いまいち信頼しきれないところがあるんで心配です. 私達キノコ業界としては,今のところ,栽培から収穫まではOKなんですけど,出荷ができなくなりそうです. 冒頭,ボードン...
行った年 来た年|2026
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いよいよ農家に転職して5年になりました. 一昨年,昨年と飛躍の年になっており,結構な勢いで楽しく農業をやらせてもらっています. そんなわけで,今年あたりからはこのブログでも私の農業を話しのネタにできたらと考えています. ここ2年間ほどは「令和の米騒動」ということもあり,農業の話題が世間を騒がせたところです. そして,日本が抱えている問題は「米」だけではなく,農業全体に及ぶことも業界関係者なら承知のことと思います. 私自身,一農家として感じていることや,渦中の状況を共有できたらおもしろいのかもしれません. そんなつもりで更新していけたらと考えています. 高知へお寄りの際は,ぜひ「きのこ」を買ってってください まず,私の主要生産物について. 主にはキノコ栽培をやっているんです. もはや現在ではそんな認識はありませんが,かつて高知県といえばキノコ栽培が有名で,特産品の一つだった時代があります. 我が町の古い錆びついた看板にも「キノコの町・佐賀町(現・黒潮町)」と書かれているものもあり,在りし日の面影がちょっとだけ残っていたりするんです. 最盛期には40軒近くの農家が存在していましたが,現在では4軒. 流通体制や生産技術などの更新が遅れたこともあって,他県に大きく引き離されてしまった感があります. まあ,このあたりの事情については,Uターン組の私ではありますが,ブログで深く触れることは避けときます. なんにせよ,今はパッとしない状態になってるんです. そんなわけで,この状況を脱したいと思ってプロモーションをがんばってきた2年間でした. いわゆる「農協出荷」と言われるタイプの経営だけでなく,小売店に直接出品する販売方法や,飲食店に向けた県外外商に注力してきたわけです. なかでも昨年は飲食店からの注文をたくさんとることができるようになり,ちょっと調子に乗っていい気になってきていやしないかと注意が必要です. というのも,契約してくれている飲食店というのが,なかなかの高級ブランドなところばかりなんです. 言い換えれば,高知の片田舎のキノコなんですから,そういうところからじゃないと価格・送料などで折り合わないのでしょうね. もちろん,それに見合った商品は出している自信はありますよ. というか,この2年間でその自信がついてきたというのが実際のところです. とはいえ,契約や注文をたくさん...
もはやブログ更新のタイミングすら見失って3ヶ月
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生存してますよ 前回の更新後から,急に忙しくなってしまいました. まったくブログに手が回らなくなって早3ヶ月. 今までここを覗きにきてくれていた皆様,大変申し訳ございません. にしても,とんでもない忙しさなのです. こんなはずじゃなかった. と我ながら呆れています. 大学教員を辞めて農業に転職したのも,世間の喧騒から離れ,マイペースでのんびり暮らすためだったはずなのです. ところがどっこい. かつてこれほど忙しくしていたことがあっただろうかというほど. 連日,テレビゲームでいうところのタイムアタックプレイをしているようなもの. いかに1分1秒を削れるかを攻めています. 嬉しいことに,農業経営は上々なのです. 上々過ぎて困っているわけで. まず,うちの商品が首都圏のホテル・レストランで好評です. これは仲介業者や県・町役場の方々の努力の賜物なのですけど,とにかく絶好調! ちょっとビビるくらいの高級店からも注文がくるようになり,なんだか凄い景色になってきました. 卸の人が報告してくれたのですが,最近,全国放送のテレビ番組で,私の商品を使った料理が放送されていたそうです(東京都港区のホテル・レストランの紹介番組だったらしい). 「ありがとうございます.番組見てみます」とお応えしたものの,結局私は見てません. 実際,テレビなんか見てる時間はないのです. とはいえ,こういう番組を通じてなんらかの宣伝効果は期待できますので,良い方向に転がってくれたらいいですね. って思う反面,さらに忙しくなったらいよいよヤバいです. よし,こうなれば事業拡大だ,まずは求人だ,って考えるのですけど,とにかく人手不足が深刻です. のんびりマイペースな仕事をしていた時期には考えもしなかったのですけど,どうやら昨今の日本が深刻な人手不足社会になっている,というのは本当です. 当事者になったら,その深刻さが身に沁みます. 仕方ないので,昨年退職した85歳の人を再雇用して,ギリギリなんとかしています. 今後の展望 現在は,基本的には農協への出荷で経営しています. でも,最近の様子をみるに,自分のところの商品をブランドにして売出しても良いタイミングに来ているのではないかと感じています. うまくいけば,農協出荷より効率性が上がるので,経営は楽になります. 人を雇って彼らに仕事してもらえれば,社長室でコーヒー飲...
「手厚い農家への補助」ってなんですか?
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農家は守られていない っていうことを説明したくても,「どれくらい守られていないのか」を説明するのって難しいんですよね. 逆に,守られてもいないことを,さも,守られているかのように説明するのは簡単です. 適当に理屈や関係性をでっち上げればいいのですから. 今回は,そんな「実は農家は保護されていない」ことを,強力に指摘したニュース番組があったのでご紹介します. とはいえ,いつものアベマプライムです. 驚くべきことに,農家が保護されていないことを指摘しているコメンテーターは,西村博之氏です. この人といい,ホリエモンといい,この方々はしばしば優れた現状認識能力を発揮しますよね. それが今回は米農家や米産業に対して発揮されています. 私としては,ひろゆき氏やホリエモンの語り口は気に入らないことが多いのですが,何事も是々非々です. 先般の記事, ■ 人気のない教員はクビにされて当然なのか? のところでも,ちょっとしたご縁のあったアベマプライムの動画を紹介していますが,そこでもひろゆき氏は結構的を射たことをしゃべっています. 「農家は守られている」というデマを広めた罪 その責任を誰がとれるのか?って思いたくなります. ひろゆき氏が指摘しているのは,「コレコレ云々だから農家は守られているわけではないんです」ということではありません. 「具体的にどのように保護されているんですか?」と問うています. これに,スタジオに出演していた例の「なんちゃらグローバル戦略研究所」の人が説明を開始. でも,実際には保護されていないのですから,トンチンカンな説明になってしまっています. この動画内でも炙り出されていますが,シンプルに,農家って保護されてません. それは諸外国と比べても歴然としています. 保護されているかのような言説がまかり通っている現在,そんな雰囲気で語られているだけなのです. この,なんちゃらグローバル戦略研究所の人は,令和の米騒動で一気に有名人になったんですけど,いよいよ化けの皮が剥がれてきている感があります. 実際のところ,私はこの人,10年くらい前から嫌いです. 著書も何冊か読んだことあるんですけど,思想がちょっと.... ひろゆき氏の「具体的にどのように保護されているんですか?」っていうの,物凄く強力ですね. こういうところ,さすがだなぁって思います. 事実,日本の農家は保...
農林中央金庫2兆円の損失と米価の関係について
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ちょっと旬が過ぎた話題かもしれませんが,まだよく分かっていないという人のために 未だにネット内で見ることがあるコメントの一つに,これ↓があります. JAは「金融事業に手を出して赤字を出している」「資産運用での損害を補填するために米価を吊り上げている」 実態としては,逆です. JAの「代表的な仕事(役割)」の一つに,米や青果物などを農家から集荷して, 市場で販売する,というものがあります. しかし,この事業は赤字なのです. なぜ赤字なのかというと,「農家から集荷して販売する」という作業にかかるコストよりも,その手数料が安いからです. 当たり前のことですが,そういうことです. じゃあ手数料を高くすればいいじゃないか,と思われるかもしれませんが,そんなことしたら農家の負担が増えます.これも当たり前のこと. JAは農家を守るために組織されている団体ですから,そんなことはなるべくしたくありません. 勢い,「だったら米や青果物の付加価値を高めて価格に転嫁できるように努力すればいいじゃないか!」と言い出す人もいますが. あのー,ちょっとちょっと,今はその「価格」が高すぎるということで騒ぎになっているんじゃないですか? JAが販売価格を上げる努力をしちゃったら,消費者の負担が大きくなるってことですよね(我々農家としては嬉しいのだが,皆さんは嬉しくないよね). じゃあどうすればいいか. シンプルに考えれば, 集荷販売サービスの赤字を補填する事業を展開できれば,農家と消費者の負担はそのままに,JAの機能を維持することができる はずです. そこでJAが考え出したのが,農家(より正確に言えば,組合員・准組合員)から預かっている口座預金を元手にした資産運用です. その額,約150兆円とされています. そのうちの100兆円を農林中金が運用していて,JAの赤字を補填をしています. で,最近,この農林中金の資産運用が失敗したというニュースが話題になったわけですね. これが槍玉にあがっているんです. いろいろなところで, 「JAは農林中金がやらかした2兆円の損失を補填するために,米価格を操作している」 という陰謀論みたいなのが広がっていますよね. この言説を見聞きした人もいるのではないでしょうか? しかし,これはネットニュース等のコメント欄だけで見るもので,テレビや大手ネットニュースメディアでは取り...
ようやく「足」を運んで取材した情報が出てきたようです
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とても腑に落ちる情報を提供しているジャーナリストの人がいましたので,皆さんに共有です. ■ 【緊急配信】小泉進次郎大臣の備蓄米放出の裏でとんでもない事実が発覚しました(須田慎一郎の虎ノ門ニュース) (YouTube 2025.6.7) 先般,今の日本に米価高騰の原因をまじめにエフォート高く取材している人がいない...,という記事を書いたところでした. ■ 報道・ジャーナリストの方々にお願い|ちゃんとまじめにエフォートを上げてコメ流通現場を取材してください どいつもこいつも,どれもこれも,適当な情報を適当に流しやがって,と不満だったのです. ちゃんと流通現場に足を運んで取材した形跡がなく,どっかの専門家から聴いたとか,チャットGTPかなにかで調べただけなんじゃないかと疑いたくなる情報しか見当たりません. そしたら昨日,上述したYouTube記事を発見. 覗いてみたのですけど,なかなか詳しく取材されていて,どうやらデータ解釈も丁寧にされているようです. 私が身を置いている農業現場からしても,かなり腑に落ちる内容となっております. 詳細は動画をご覧いただくとして,動画内で紹介されていることをまとめると以下のようになります. 今回の米価格の高騰は,2020年の新型コロナウイルスにおける飲食店の営業自粛に端を発する. 営業自粛により,卸業者に極度の米余り状態が発生し,流通でダブついた. 当然のように米価格は暴落し,これにより生産者は2021年から主食米の栽培をやめて,補助金の出る飼料米に切り替えた. その結果,2022年収穫米から米不足が始まった. 翌年2023年は,猛暑などの気候の影響を受け,主食用として流通する米の量がさらに減少. 2024年,そうした状況下で南海トラフ地震臨時情報が発表されたことで米の買いだめ行為が発生し,小売店から米が消える状態が恒常的に発生. その後は,卸業者から小売店に流れる米が不安定になり,米価高騰に拍車がかかった. ということのようです. 取材した須田慎一郎氏は,これら一連の結果を招いた責任は農水省と農水族議員にあると断じています. なぜなら,農水相は2019年以降の米流通の動向を把握していたはずであるし,しかもその間には,小売店や卸から農水省や農水族議員に対し,米不足と危機についての陳情などが入っていたそうです にも関わらず,これらを無視した...
農業問題と教育問題の語られ方
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どちらも経験した身として 5年前まで大学教員をやっていて,その後は農家に転職しました. 教育業界と農業界のどちらにも携わった者として思うのは,いずれも国家や社会を構成する重要なインフラや役割を担っているだけに,その語られ方が乱暴になりがちということです. 乱暴な物言いをするだけなら「熱のこもった主張」として看過することもできましょうが,たいていの場合,当該事案についてあまり御勉強されていない人がデタラメなことを言ったり,悪意はなくてもトンデモな話を展開したり,悪意をもって改革しようとする輩が蔓延ることが難儀ですね. 5年前までは,教育問題について,なかでも大学改革論のデタラメっぷりを糾弾するブログの一つとしてPVを稼いでいたのが私です. 例えば以下の記事がその第一作.もう13年前の記事です,懐かしいですね. ■ 反・大学改革論 その後,いろんな記事をフザケ半分で書いたりもしました. ■ 「教職員用」危ない大学とはこういうところだ ■ こんな大学の教員は危ない part 1 なかでも,こちらの記事は一時期スマッシュヒットして,某掲示板でもとりあげられて有名になりました. ■ こんなホームページの大学は危ない ちゃんとまじめに書いた記事もたくさんあります. 例えばそのいくつかがこちら. ■ 絶対理解してくれない高等教育論 ■ 大学教育を諦める 農業問題もブログ記事にしてきました. ■ ちょっと本気で農業のこと(食料自給率と食料安全保障) ■ もうちょっと本気で農業のこと(問題の本質は農業をバカにしていること) ■ もうちょっと本気で農業のこと(農家が農業をしないわけ) これを書いていた12年前は,まさか自分が農家をやることになるとは,20%くらいしか想像していませんでした. 当時は「大学改革」の嵐の真っ只中でしたが,農家に転職してすぐ,今度はこの令和の米騒動が巻き起こりまして,なんとも騒がしい人生を歩んでいると我ながら思います. 私は米の専業農家ではありませんが,先日記事にしたように,今後は農業全体における離農・衰退問題と,そこから発生する食文化衰退問題が喧々諤々の議論になるであろうことがほぼ確定的です. ■ 米価高騰問題は嚆矢にすぎない|農業全体が結構やばいのかも,少なくとも私の身辺では 皆さん,米価高騰問題に気を取られていてはいけませんよ. 米だけが農業問題ではない...
JAが米の流通を邪魔しているっていう話について
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ようやくまともな取材が出てきたと思ったら,ユーチューバーの仕事だった 鳥取県で大規模米農家をやっている農業法人トゥリーアンドノーフの徳本修一氏が,JA全農とっとりの職員から,この令和の米騒動について取材している動画がアップされています. ここで直接見ることはできないので,リンク先のYouTubeに行って見てみてください. ■JAは本当に悪なのか? JA全農とっとり 県本部長と徳本修一がガチ議論 https://youtu.be/sK2fDbqtbps?si=k-o2SCYdJM7RvTzp 動画内でも言及されていますが,とにかくメディアやジャーナリストが農協の活動について直接取材しない. したとしても理解できていない. そのくせ,どうでもいい部分を切り取り報道する. っていう状態だそうです. ご愁傷様です. その一方で,徳本氏も指摘しているように,どうしてこんなにメチャクチャでデタラメな専門家による解説や,ジャーナリストによる報道が跋扈しているのに,全農側からの反論やメディア露出がなされないのか? それには「いろいろあって」という感じで動画内では濁されていましたが.... なんにせよ,そんな中でようやくまともなJAと米流通に関する解説動画が登場です. ただ,メディアの方々についてもちょっと擁護すると,この動画内で語られているところから察するに, どれだけ取材したとしても,あまりにも農業に門外漢過ぎてガチでまったく理解できず,世間に適切な発信をすることができずにいる っていう状態なんだろうなと思います. なんていうか,「農業」のことを1ミリも,1ミクロンも,1ナノもイメージできていないから,何が大切なことで,何を伝えなきゃいけないのか,冗談抜きでぜんぜん分からないんだと思う. メディアに登場する専門家とかジャーナリストも,なんていうか,JAに対する個人的恨みみたいなものや,とりあえずJAを「敵」にしておけばウケがいい,って感じでデタラメをばら撒いている感じですよ. 特に酷いのが,令和の米騒動で各種メディアにひっぱりダコの,なんとかグローバル戦略研究所とかいうところに所属してる例の「専門家」です. 彼はJAになんの恨みがあるのか知らないですけど,昔からJAを叩く芸で食べてる人です. とりあえず,「JAが備蓄米を溜め込んでいる」という意味不明な言説について,その内実を詳細...
前回記事に関連して|県内で販路拡大中
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最近のニュースとして. 新しい農水大臣である小泉進次郎氏が,備蓄米を随意契約にて格安流通させると言っています. どうせ大したことない,っていうかほぼ不発になるでしょうから,この話については特に何も関心はありません. (一応理由を簡単に述べておくと,流通している米の量に対して,備蓄米の総量が少なすぎるので,一時的に安いものを強制的に流通させたところで,あっという間に飲み込まれるだろうな,と.っていうか,そういうのは備蓄米放出のニュースが流れ始めた3月くらいからさんざん言われてきたのですから....,まあいいや) そんなことより,自分とこの話です. 今日,自宅からやや遠い地域の「道の駅」に出向いて営業活動をしてきました. 自宅近くエリアにある道の駅には何年か前から出品しているので,もっと販路を拡大しようという計画. 私のところの商品を出品できないか,の交渉です. 地場産品店というのは,本当にその周辺地域で生産したものしか取り扱わないところもあるので,断られることもあるんです. 以前交渉したお店では,まさにこの「地元生産品ではないから」ということでダメだった経験があります. その時は電話で問い合わせたんですが,もしかしたらこの「電話」だけだったからダメだった可能性もあると思いまして. なので,事前アポ無しの商品サンプル・資料を持ち込みで飛び込み営業にしてみました. そしたら,OKの返事が. ただね,対応してくれた人曰く, 「むしろ,ちょうどこちらから出品をお願いしようという予定でした」 ということで,お互い渡りに舟な状況だったのです. なので,飛び込みでサンプルを持ち込んだことが功を奏したわけではないようで... なんにせよ,私の商品を出品したいという希望が先方さんにあるという状況が,私にとっては嬉しい話ではないですか! ちょっとずつ知名度が上がっていることを実感しています. と同時に,そのお店の事情もお聞きすることになりまして. どうやら,地場産品コーナーに出品してくれる農家が,ここ数年で激減してきているのだそうです. なので,道の駅側から出品者を探す段階に入ってきているようで,まさにちょうど今年から地場産品コーナーの刷新をはかったところだった,とのこと. もともと,この「道の駅」は県内でも有名な地場産品コーナーを持つ,指折りの人気スポットなんです. なので私としても,...
米価高騰問題は嚆矢にすぎない|農業全体が結構やばいのかも,少なくとも私の身辺では
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タイトルの件ですけど. この話は農業界では日常的に言われていたことではありますが,今回の米騒動によってその危険性がさらに現実的になったことです. もともと,「米」は農業の世界では「足りている」「余っている」とされていたものでした. これは昨今のニュースで耳タコな話だと思います. なので価格下落を防止する目的で「減反政策」がとられていたわけです. この際,この政策の是非は論じるものではありません. とにかく,「米はずっと生産過剰気味で,余っているから安くなっていたのだ」ということは事実だったわけです. ところがそれについて,2023年度あたりから怪しい状態になっていた,という見解を見聞きすることが多いですよね. 減反政策(2018年以降は「事実上の減反政策」)が続いてきたことによって,ついに需要に対してギリギリの生産量になってきていて,これに「猛暑などの天候要因による流通米の減少」とか,「高齢者の体力の限界による離農」などが一気に重なり,米不足と米価高騰という形で現出するに至ったと. しかし考えてみれば,こうした現象はなにも「米農家」に限ったことではありません. 農業全体が抱えている現象です. つまり,なにかの拍子に,キャベツでもニンジンでもナスでもトマトでもピーマンでも,どれでも価格高騰や品不足は起きる可能性はあります,っていうか,すでに時々起きていますよね. 米と違って,その他の野菜というのは価格高騰とか品不足なら,「買う量を減らす」とか「食べない」といった対処ができていました. ですが,ガチで「無い」っていう状態になることが十分に考えられる事態になってきているのです. 特に私のブログとか読んでくださっている方々は,きっと研究者とか大学生とかが多いことでしょう. そんな皆様におかれましては,ぜひこのヤバい状況に覚悟をもって向き合ってもらいたいと思います. 当初,おそらく馬鹿騒ぎのような報道からスタートするでしょうけど,気を確かにもっていただき,冷静に事態の把握に努めていただきたいものです. 事業継承できない,つまり次世代の担い手がいない農家・農業事業者は多いものです. 多くは高齢者なので,あと何年も続けられないという状態です. そして,爆上げが続く生産コストに,心が折れる事業者も多いことでしょう. 米農家が典型ですが,「兼業農家」の場合はほぼボランティア状態で生産...
JAを目の敵にしている農家とは
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JA擁護と捉えられかねない記事を連投しているわけですが,繰り返しになりますが私はJAについては是々非々です. その必要性は理解しているし,実際のところお世話になっているし,その存在にとても助かってもいます. ただ,もっとこうしてくれたらいいのになぁと不満というか要望みたいなものもあったりするわけで. その一方で,農家のなかにはJA(農業協同組合)を目の敵にしている人もいます. 結構います. JAなんて悪の組織だ,必要ない,アイツらのせいで日本の農業がダメになっている,などと罵倒する農家も多いものです. そうした声を聞いたり,批判の様子を目のあたりにすると,てっきり「なるほど,農家にとってJAというのは,敵対的な存在という側面もあるのだな」と解釈してしまう人もでてくるでしょう. しかし,事はもっと複雑だし,本音の事情は表に出しにくいものであったりします. 今回は,そうした「JAを嫌う農家」について,農家の一人として,顔を出して表立って堂々とは喋れない,だけど実際のところこういう事情があるんですけどね,っていう話をしてみます. JAを嫌う農家は,大きく分けて3タイプ. (1)JA職員の不正行為を知っている,または理不尽な対応に怒っている人 (2)JAと競合関係にある農業企業の人 (3)農業の技術力および経営能力が残念な人 (1)については,むしろ「JAが嫌い」というよりは,単純に人間関係や仕事上のトラブルと言っていい話です. 私からすれば,JAという組織云々の問題ではないと思います. 学校のいじめ問題を,「学校内でのトラブル」と捉えるのか,「一般的な犯罪行為」と捉えるのか,みたいな違いです. ? むしろ分かりにくいって? そうですね,例えばコンビニのローソンとかで,バカな店員がアイスクリームの冷凍ケースに入って寝転んでる様子を写メしてSNSにアップした,みたいな話があったじゃないですか. あれを見て,「これだからコンビニの店員はダメなんだ.ローソンは悪の組織だ,ローソンはさっさと潰れろ」って言っているようなのが,この(1)のタイプの農家です. 気持ちはわかるんですが,アイスクリームの冷凍ケースに入ってバカをやる店員がいたことと,ローソンというコンビニ・企業の存在意義とか社会的悪影響とは,直接的にはつながらないですよね. これと同じで,JA職員がJAという組織のなかで悪行...
報道・ジャーナリストの方々にお願い|ちゃんとまじめにエフォートを上げてコメ流通現場を取材してください
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片手間でやってるだろ! ぜったいそう. 間違いない. もしくは全くトンチンカンな取材してるか,結論ありきの都合のいいファクトだけを拾い集める取材をしているか. ヤフー・ニュースとかグーグルニュース,YouTubeなどに上がってくる「米高騰問題」の報道は,どれもこれもクオリティが低くて酷い. 例えば「備蓄米は流通に手間取ってて届かないらしい」っていう話にしても,なぜどこの報道機関もジャーナリストも,直接その流通現場に行って,担当事務員とか作業員とかトラックドライバーといった関係者に取材しないんでしょうか? もう1ヶ月くらい経過してますけど,まだ取材中なのかな? だとしても遅すぎでしょう. 「備蓄米の放出が遅い!」などと言ってられないくらい,そっちのほうが遥かに遅いわ. JAと卸の2〜3事業者と流通関係者くらいでいいから,備蓄米に関わっている人100人くらいに聞いてみればいいじゃないか. そしたら現状と実態がどんなものかわかるでしょ. 例えば,私のところに流れてくる流通現場の「噂」は,ほぼ農水省・農水大臣およびJAが説明している内容と同じようなものです. つまり,作業が特殊で手間取っている,そもそも卸売業者からの注文が少ない,運送業者が見つからない,精米に時間がかかる,などなど. その説明が本当なのかどうか,実際にそういう状態なのか確かめる取材でいいから,それすればいいんじゃないかな. ニュースサイトやテレビのニュースで流れているのは, 「農水省やJAはそのように説明していますが,これは本当なのでしょうか? ◯◯さん,これについてどう思われますか?」 などとスタジオにいる素人のコメンテーターに話をふってみたり, 「これについて,専門家の◯◯氏に話を聞いてみました.それによると...」 といった感じのものばかり. まじめに取材しろや! とまぁ,そんなふうに罵倒したいわけではありません. 所詮,農業問題なんてそんなものとも言えるのでしょう. 取材に時間をかけて真実追求したところで,あまり実りがないものと思われているのかもしれません. そんなことより,彼らとしては現状を煽って煽って,視聴率とかPVとか稼ぐのが仕事なのでしょうし. あんまり厳しく責めても詮無いです. でも,これを最初にやってのける報道機関があったら,それは相当な能力ある組織と記者だと思いますから,評価爆上げにな...
米価高騰の身も蓋もない解決法|なんだかんだでこれしかない
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まだまだ続くよ令和の米騒動. 米価高騰に歯止めがかからないまま現在に至ります. 原因はほぼ特定されてきています. さまざまな報道を総合的にみるに,根本的な「米不足」が最有力ですね. 現状で誰かを責めても仕方ありません. JAや卸売業者を指して「隠し持っている」のかどうかは別にして,そもそも日本にお米の絶対量が足りていないのです. なので小売に流す量も少ないので,必然的に価格は高騰します. 結構な勢いで足りていないのですから,備蓄米を放出しても意味ありません. ニュースで耳にタコができるくらい聞き飽きた「米の総生産量:679万トン(2024年度)」ですが,それに対し放出できる備蓄米の総量は100万トン. 実際には備蓄米の全部を放出できるわけないので,せいぜい半分の50万トンでしょうか. だとすると,50万トン/679万トンですから,流通量を最大で約7%増加させるだけに過ぎません. 明らかに焼け石に水です. 皆さん,もっと落ち着いて冷静に考えてほしいんですけど,たかだか7%くらいの量が入ってきたからって,価格変動に影響があるとお思いですか. まして,量は最大で7%なのであって,実際には1〜3%くらいの可能性が高い. 現在お店に並ぶお米の袋を想像してみてください. 10個のところが11個に.50個のところが52個になるくらいのものです. そんなもので米不足が解消するわけないですよね. 米を買わなければいい 米が高いのですから,米を買わなければいいのです. そうすれば,米の価格は落ち着いてきます. 「このままでは米離れが進む!」 と言っているくらいなのですから,いっそ前倒しでしばらく米離れしてはどうでしょうか. というか,農家としての実感では,米の生産量はしばらく増やすことはできません. 中長期的には増やせると思いますけど,ここ数年でドカッと増やすことはできないのです. 米を作る人も,どんどん減っています. 今年からやめるという人も,私の身の回りにも増えてきました. かくいう,私のところもそうです. 今年から自家用米は作らないことにして,知人からの購入と,あとはパンをメインにすることにしました. 自家用米を主目的にしたとしても,費用がかかり過ぎるし,労働力が見合わないのでやってられません. しばらく米以外のものも主食にすることを検討すべきです. そもそも,業務用のお米は十分...
備蓄米:JAからの出荷29%で,スーパーに並んだのが1.9%ってことはさ....
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現時点での報道・ニュースをベースに一考察します. 以下のようなニュースで世間は賑わっています. ■ 3月に落札の備蓄米 消費現場に届いた量 全体の1.9% 農水省 (NHK 2025.4.30) 農林水産省は、流通を円滑にする目的で放出した備蓄米の4月13日までの流通状況を公表しました。 それによりますと、3月行われた2回の入札で落札されたおよそ21万トンのうち集荷業者が倉庫から引き取った量は13万7879トン、このうち卸売業者まで引き渡されたのは2万73トンでした。 さらに、卸売業者から小売業者や外食業者など、消費の現場に届いた量は、合わせて4179トンで、落札された備蓄米全体の1.9%でした。 そんなわけで,農水省が怒ってるらしいです. ■ JA全農 政府備蓄米出荷は落札分の29% 農水省が供給拡大求める (NHK 2025.5.2) ちなみに,JA全農のホームページでは,5月1日現在の進捗状況が掲載されています. 論じる上で重要なデータですので,コピペしときますね. ■ 政府備蓄米の販売状況について (JA全農 2025.5.1) JA全農の政府備蓄米の販売状況について、以下のとおりお知らせします(5月1日現在)。 1.落札数量(※1) 199,270㌧ 2.販売先との契約数量 199,270㌧ 3.販売先からの出荷依頼数量(※2) 4月出荷分まで 55,112㌧ 5月出荷分 68,318㌧ 6月出荷分 12,544㌧ 7月出荷分 655㌧ 合計 136,629㌧(進度率 69%) 4.出荷済み数量 56,903㌧(進度率 29%) ※1政府備蓄米第1回・2回入札の落札数量合計です ※2米穀卸からの出荷依頼に応じて増加する可能性があります ※3政府備蓄米第3回入札については、国による「政府備蓄米の買戻し条件付売渡しの契約数量」公表ののちお知らせします 本会は、販売先(米穀卸)と199,270トン全量の契約を完了しており、出荷については、販売先からの具体的な依頼に応じ、最大限に速やかな受け渡しにつとめています。なお、販売先からの納品希望日が集中するなど物理的に出荷対応が難しい場合、販売先と協議のうえ出...
さらに前回記事の補足|JAを介した農作物の価格の妥当性について
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前回の記事で書き忘れていたこととか,冗長になるのではと省略してしまったことを書きます. 以下の, ■ 備蓄米を放出しても米価が下がっていないこととかについて ■ 前回記事の補足|JAを介した農作物の価格について という2つの記事の補足ですので,上記を読んでいないと理解不能なところが出てきますので,そちらもお読みください. まず,米価高騰による「米騒動」ですが,その「犯人」として名指しされている存在として,政府,財務省,JA,悪徳卸業者,転売ヤーなどがあります. そのなかでも「JA(農業協同組合)」については,実態としての仕組みを理解していない人がトンデモな理屈をつけて批判しているのを見かけますので,■ 前回記事の補足|JAを介した農作物の価格について という記事で補足しておきました. ただ,そこで書いた内容だけだと不十分かと思いましたので,もうちょっと理解を深めてもらうために,さらなる補足をしておきます. またここで今回も予防線を張らせていただきますが,私はJAの回し者ではありませんし,JAを擁護したい立場の者でもありません. どちらかというと,JAさんにはもうちょっと経営努力というか,仕事を頑張ってもらいたいなと注文をつけたいくらいです. ですが,まったく意味不明な批判をされているのを見ると,さすがに適切な議論や考察の妨げになるだろうと思い,なるべく農業関係以外の方々にも,その実態を知っていただければと考えて筆をとっている次第です. もっと言えば,前回の記事にもしたように,JAに出荷している農家の方々のなかにも,JAを介した農作物の価格設定と支払いの仕組みを知らない人がいたりするもんですから. さて,■ 前回記事の補足|JAを介した農作物の価格について でお話ししたように,JAに出荷した農家がJAを介して受け取る金額は,市場で決まった商品価格による販売金額のことです. より詳細に言えば,その販売金額から,JAの集荷・販売手数料を差し引いたものを受け取っています. なお,米の場合は一般の野菜・果物とは少し違います. 米農家が受け取るお金については,上記記事の中で紹介している, ■ 『令和のコメ騒動』(2)コメ価格の一般的な決まり方 食料自給率と安全保障 第11回 (三井総合研究所コラム) というネット記事でも解説されていますが,ここでは農林水産...
前回記事の補足|JAを介した農作物の価格について
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前回の記事では,栽培・流通・販売という一連の流れに詳しい農業法人の方を招いた,日本記者クラブでの記者会見の様子を紹介しました. その内容を聞いていただければ,現在の米騒動への理解度がだいぶ高まりますよ,というものです. 端折って言えば,米の価格は当面の間下がることはないだろうし,備蓄米の放出は(現状の政策と仕組みでは)価格低下への影響は微々たるものでしかないし,むしろ不安定化するとさらなる高騰を招きかねないというものです. ただ,この状況というのは,米に限らず日本の食料品価格を考える上で重要なきっかけとなっているのかもしれません. そこで今回は,前回でも少しだけ私のJA(農業協同組合)に関する現状の補足を入れましたが,この「JAを介した農作物の価格決定のプロセス」について,その現状を補足したいと思います. 前回の記者クラブ会見動画を紹介したのは,「これを見てもらえれば理解できる」というものだったので,今回も「これを見てもらえれば...」をご紹介します. 他にも詳しく解説している記事はあるのかもしれませんけど,以下が良いのではないかと思います. ■ 『令和のコメ騒動』(2)コメ価格の一般的な決まり方 食料自給率と安全保障 第11回 (三井総合研究所コラム) 一般論は上記記事に譲るとして,これについて一農家からの意見をいくつか述べていきます. 特に,世間一般に流布している「噂」との乖離とか,もっと言えば,なにかと目にする「JAに対するマイナス評価や不満」の発信ですが,そうした発信がされる背景や,実態とのズレを取り上げます. ※なお,私は農協の組合員ですが,農協所属の職員ではありませんし,近しい身内に農協の者はいません. よく,こんな話を聞きますよね. JAが農作物を安く買い叩いているので,農家が困っている JAは農家から安く買い取っているのに,供給量を調節して高く売っている というものです. 特に今回の米騒動でよく耳にするようになりましたが, もともと農業に携わる人達からもよく聞かれる話 でしたね. いわゆる,「JAが日本の農業を衰退させている」論の典型です. これは私としては,かなり実態とのズレがある話だなと思っています. 特に,上記記事を読んでもらえると理解できることですが,「栽培・流通・販売」の一連の流れを手掛けている方々からすると,「おまえは一体何を言ってるんだ...
備蓄米を放出しても米価が下がっていないこととかについて
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いやいや..,値段は下がらないでしょ って感じで,これまで頬杖をつきながら事態を眺めてきました. かつての私なら,PCを前にして本件についてバリバリ記事を書いていたのでしょうけど,そんな気分にならなくなってしまいました. せっかく自身がタイムリーにも農家になっているのですから,教育問題とか大学改革問題などと同じ熱量で書いていてもおかしくないのですが,結構な勢いで諦観しています. もはや米のことなんてどうでもいいからと,自分とこの農園経営を発展させることに注力してきました. そんなこんなで半年以上が経過. とはいえ,このブログをいまだに読んでくれている方々や,わざわざ読みに来てくれている人というのは,こう言っちゃなんですけど,やっぱり知的レベルが高い人達が多いので,それなりのクオリティで参考になる情報がご提供できればいいなと思っています. で,自分が書く代わりに,この令和の米騒動についての的確な解説,もしくは,私達農家が感じている状況と相関性が高い解説をしているネット記事とかYouTube動画はないものだろうかと,ここ数ヶ月の間探しまわっていたのですが,最適なものが見当たらないので困っていました. なんかその,今の日本は,まともに米騒動について報道する気がないんじゃないか? まともに問題提起する人はいないんじゃないか? なんて考えたりもしました. しかし,つい先日こんなYouTube動画がアップされていましたので,こちらを皆さんと共有したいと思います. これこれ,これですよ,農家の感覚に一番近い状況解説をしてくれているのは! YouTubeの時事通信映像センターというチャンネルがアップした,『ノーカット 農業現場からコメ問題を語る』と題したものです. 日本記者クラブの会見映像ですね. 概要欄には, 山形県の農業法人「庄内こめ工房」代表取締役の齋藤一志さんが、日本記者クラブで会見。農業現場の視点から価格が急騰するコメを取り巻く現状や展望などについて語った。 とあります. なぜ今までこういう生産・流通・販売の現場そのものに詳しい人に出てきてもらって,取材や会見企画をしなかったのか? 今更感がヤバいです. 演者の齋藤氏の話一つ一つに,いちいち深〜〜く頷きながら聞けた1時間30分. 関心レベルが低い人にはちょっと長い動画かもしれませんが,これを見れば米騒動の現状と改善策への解...
令和の米騒動について 関係省庁および業界の皆様へ:友人知人への融通契約販売に要注意
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令和の米騒動が収まりません. 農林水産省は,騒動が始まった昨夏から, 「新米が出回りはじめれば落ち着く」 「冬になれば安くなる」 「年が明ければ安定する」 などと言い続けてきましたが,どうやらそんな状況ではないようです. 新米出回っても高いまま コメ価格、11月は6割上昇 農水省は静観 (朝日新聞 2024.12.20) そして今年になると,こんなニュースも出ています. 米価もくろみ外れて高止まり 備蓄米放出、政府が迫られた方針転換 (朝日新聞 2025.1.24) 私が住んでいるところでも,年々減ってきた米作りをしている方々へのお裾分け・直接購入の話が盛んで,スーパーや米屋に並ぶ商品の少なさに困っている人たちも多いものです. 今や,米作りをしている方々は貴重な存在です. 生産地域や生産者の近辺ですら「米がないからどうしよう」などと騒いでいるのですから,農水省の言説に対しては, 「どういうデータを元にしてそんな事言ってるんだ?」 と苛立つところもあるわけで. 昨年から私も農協出荷だけでなく,小売店や卸への直接販売・契約販売を展開するようになった関係で,契約販売を主体にしている米農家さんや,その卸売業者さんたちともコミュニケーションをとるようになりました. そんな方々とお話してみると,昨年の秋頃から2025年度(つまり,2025年秋に収穫するお米の納入先)の契約が恐ろしい勢いで進んでいて,例年なら年明け1月から2月くらいに決まり切っていたのが,今年度は向こうから契約を持ちかけるものが多くて10月上旬には終わってしまったと(喜んで)言ってました. もっと言えば,これは契約販売を主体にしている米農家さんだけではないのです. いわゆる, 「自家用米(自分自身が食べるお米)を主に生産していて,その余剰分(「余り」といっても,実際には自分が食べる分の2〜5倍くらい作っている場合が多い)を,農協や地場産品売り場に出荷して,毎年,半ば自主義務的ルーティーンワークとしてお小遣い稼ぎ程度にしている小規模米農家」 と呼ばれるタイプの農家さんに対しても,この「契約販売」を持ちかける動きが活発なようです. 別にこれは飲食店や食品加工業者だけの動きではなくて,一般家庭からの注文契約も多いようで, 「今,お米が高いでしょう? もしお米を作る予定があったら,来年は私のところにも分けてよぉ」 といっ...