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備蓄米:JAからの出荷29%で,スーパーに並んだのが1.9%ってことはさ....

現時点での報道・ニュースをベースに一考察します.

以下のようなニュースで世間は賑わっています.

3月に落札の備蓄米 消費現場に届いた量 全体の1.9% 農水省(NHK 2025.4.30)
農林水産省は、流通を円滑にする目的で放出した備蓄米の4月13日までの流通状況を公表しました。
それによりますと、3月行われた2回の入札で落札されたおよそ21万トンのうち集荷業者が倉庫から引き取った量は13万7879トン、このうち卸売業者まで引き渡されたのは2万73トンでした。
さらに、卸売業者から小売業者や外食業者など、消費の現場に届いた量は、合わせて4179トンで、落札された備蓄米全体の1.9%でした。


そんなわけで,農水省が怒ってるらしいです.


ちなみに,JA全農のホームページでは,5月1日現在の進捗状況が掲載されています.
論じる上で重要なデータですので,コピペしときますね.

政府備蓄米の販売状況について(JA全農 2025.5.1)

JA全農の政府備蓄米の販売状況について、以下のとおりお知らせします(5月1日現在)。

1.落札数量(※1)       199,270㌧
2.販売先との契約数量     199,270㌧
3.販売先からの出荷依頼数量(※2)
  4月出荷分まで        55,112㌧
  5月出荷分            68,318㌧
  6月出荷分            12,544㌧
  7月出荷分               655㌧
  合計            136,629㌧(進度率 69%)
4.出荷済み数量         56,903㌧(進度率 29%)

※1政府備蓄米第1回・2回入札の落札数量合計です
※2米穀卸からの出荷依頼に応じて増加する可能性があります
※3政府備蓄米第3回入札については、国による「政府備蓄米の買戻し条件付売渡しの契約数量」公表ののちお知らせします

本会は、販売先(米穀卸)と199,270トン全量の契約を完了しており、出荷については、販売先からの具体的な依頼に応じ、最大限に速やかな受け渡しにつとめています。なお、販売先からの納品希望日が集中するなど物理的に出荷対応が難しい場合、販売先と協議のうえ出荷日を調整する場合もあります。


JAが備蓄米を溜め込んで,価格を吊り上げたままにしている?

っていう論調が目立つんですけど,これってどうなんでしょうかね.

たしかに備蓄米の流通に手間取り過ぎな感じはしますが,以前の記事にも書きましたけど,たぶん現場はてんてこ舞いで,対応できずにいるんじゃないかと思うんです.
実際,流通作業に時間がかかっていることが報道されています.
他人事みたいになってしまいますが,頑張ってほしいものです.


ただ,この「JAが備蓄米を溜め込んでいる,意図的に放出していない」という声や批判については,ちょっと冷静になる必要があるかと思います.

そもそも,JAはすでに29%の備蓄米を出荷しているんですよね.
少ないながらにも,一応は約3割のお米は出しているわけです.

だったら,スーパーなどの小売店に並んだ備蓄米が1.9%でした,っていう状況もおかしいんじゃないかとツッコむべきです.
つまり,残りの27%はどうなってんだ!と.

量から考えて,JAが出荷したお米の約7%しか小売店に流していないわけでしょ.
93%の備蓄米が,卸売業者の倉庫にあるってことでしょ.
溜め込んで,意図的に放出していないのは,むしろ卸売業者じゃないかと,私なら思うんですけど.
JAは手持ちの約3割を出しているのに対し,卸売業者は手持ちの約1割しか出していないのですから.

こういう点からしても,ちょっとJAが叩かれ過ぎな気もするのです.


「JAに渡さず,全国の卸売業者に分散して放出するべきだった」
という意見も見聞きすることがありますが,この状況を見る限り,とてもじゃないけど価格低下は期待できません.

「小売店に直接出せばよかったのでは」
という意見もありますが,そりゃ無茶ってもんでしょ.
ただでさえ農作物の流通はギリギリの状態なのに,そこに備蓄米の仕事が加わるとか地獄です.

こう言っちゃなんですけど,そこまでして価格低下させなきゃいけない話でもないと思うんですね,私としては.

「高い,高い」と大騒ぎしてますけど,農家としては,
「お米ってそれくらいの値段がする食べ物ですから」
っていうのが新常識になっても仕方がないと考えることもできるのですから.


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