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大学教員になるための履歴書作成方法
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履歴書の作成方法を具体的に伝授します
大学教員になるシリーズの今回は,「履歴書作成方法」です.
「具体的に伝授します!」とは言ったものの,実のところ特別なポイントはありません.
ですが,大学教員になろうと考える人のなかには教育業界向けの履歴書作成に不慣れな人もいるでしょうから,基本的なところからご紹介します.
その他の大学教員になるシリーズはこちらをどうぞ↓
■大学教員になる方法(強化版)
■大学教員になる準備
■JREC-INの賢い使い方|大学教員を目指している人へ
■大学教員になるための業績書の作成方法
「大学教員になるシリーズ」をまとめたページもあります↓
■大学教員になるためのページ
一般的な履歴書とは,こういう奴です
大学教員の求人(公募)への応募で求められる「履歴書」のフォーマット(書式)は決まっていません.
「決まっていない」というのが困るところでもあります.
ただ,多くの場合は「本学が指定するフォーマットで出せ」というパターンです.
求人サイトであるJREC-INなどで公開されていますので,そちらをダウンロードして使用しましょう.
たいてい,エクセルかワードのファイルで用意されています.
そして,「本学が指定するフォーマットで出せ」の場合は,そのフォーマットの一部に,
「◯◯大学教員個人調書」
とか,
「 様式A-2」
などと入力(印字)されているので,どこかの大学で使った履歴書を他の大学でも使うというのは厳禁です.
そんな不注意なことをする人はいないと思いますが,念の為.
さて,そんな各大学でフォーマットが決まっていない履歴書ですが,たいてい似通っています.
そのほとんどが,文部科学省が用意している「大学教員用個人調書」のフォーマットに似せて,あとは各大学の独自性のあるスタイルにしているのです.
大学によっては,文部科学省の様式をそのまま採用しているところもありますし,
「文部科学省のフォーマットをダウンロードして使え」
と指示をしている大学もあります.
実際に文科省のHPで手に入れたい場合は,こちらをどうぞ.
■申請・届出書類作成の手引、記入様式など(文部科学省)
(グーグルなどで「大学 文部科学省 個人調書」と入力してもダウンロードできます)
エクセルファイルで作成されており,以下のようなスタイルです.
(エクセルのスクリーンショット画像をそのまま載せています)
最初はどの項目も「3行」しか記入できないようになっていますが,行を増やしたければ,以下のようにして行を「挿入」します.
最初の状態で「3行しかないから」といって,3行分しか書けないわけではないので注意しましょう.
こういうのはエクセル操作の基本ですし,大学によってはエクセルではなく「ワード」で作成させるところもあります.
なので,ここでは割愛します.
エクセルの履歴書作成(印刷)には注意が必要
特にエクセルに不慣れな人は厳重注意です.
もっと言えば,このエクセルファイルによる履歴書や業績書の作成は,一部の外国人教員からはひんしゅくを買っています.
「外国人である私たちに,日本語での重要書類をエクセルで作成させるな!」
とのこと.
私の飲み仲間でもある外国人教員の一人は,
「そもそも,エクセルは書類作成のアプリケーションではない!」
と断じた上で,
「ただでさえ日本語入力が難しいのに,エクセルだと思い通りの入力・印刷結果にならない.日本語バージョンだと尚の事,ちゃんとセルに入力したと思っても,印刷したらズレたり消えたりする.そんなことなら,最初から印刷させずに,メールで送らせてくれよ!」
とブチ切れていました.
私は彼をなだめながら,
「でもね,◯◯さん.日本の大学教員は,エクセルを使った書類作成の仕事が普段から山のようにあるでしょう? きっと,エクセル作業がきちんとできるか否かが,応募書類の段階で試されているんですよ」
と言いました.
我ながら面白いことを言ったような気もしましたが,実のところ,本当にそういう部分があるんじゃないかと思います.
エクセルの履歴書をきちんとミス無く作成できないと,現在の大学教員としては即戦力になりません.
以前勤めていた大学では,そんな「エクセルが使えない教員」の面倒をみるのに疲れました.
やれ,枠線が描けないだの,文字が消えるだの,シートの切り替え方もわからない状態では,大学教員としては邪魔でしかない.
ただ,この外国人教員が訴えていた「エクセルでの履歴書作成の注意点」は,エクセルに不慣れな人であれば要注意です.
PC画面上では問題なくても,印刷すると意図通りになっていないことが多々あります.
分かりやすいミスであれば発見も用意ですが,印刷したあとに細かな部分にも注意を払って確認してください.
今回の記事では,「自由に作成してください」という履歴書を想定しています
応募書類としての履歴書は,作成方法が事細かく指示されているものが楽だったりします.
逆に,「自由に作成してください」というものの方が,初心者を惑わします.
しかし,「自由に作成」だからといって考え込む必要はありません.
基本をしっかり守ることが大切です.
フォーマット(書式)から自由作成?
「フォーマットは指定しないから,自由に作成しろ」
という指示があったりします.
しかし,それに騙されて好き勝手なフォーマットを作ってはいけません.
前述したように,大学側としては文科省のHPで入手できる例の「大学教員個人調書」のフォーマットを使ってくれるものと思っています.
■申請・届出書類作成の手引、記入様式など(文部科学省)
「大学 文部科学省 個人調書」で検索しても出てきます.
一番無難なのは,それをダウンロードして使うことです.
たまに「どこかに写真を貼っておけ」と指示される場合もあります.
このご時世に顔写真を要求するとは時代錯誤も甚だしいと思いながらも,それにはちゃんと従いましょう.
例えば,前述した文部科学省のHPからダウンロードできる履歴を「写真」を貼れるように改変したのがこちらです.
エクセルの操作がちゃんとできる人であれば,これくらい簡単に可能なはずです.
逆に言えば,この作業ができない人は,今後,大学教員になっても苦労します.
最後に留意点を一つ.
文部科学省でダウンロードできる履歴書には,「連絡先(電話番号 メールアドレス)」
が入っていませんので,それを追加してください.
私は「月額基本給」のところを消して「連絡先」に変えていました.
応募情報として明らかに不要な部分ですから.
全体的な「書き方」について
履歴書の部分で大事にしなければいけないことは,
正直に,正確に,分かりやすく書く
ということです.
一昔前ならいざしらず,最近の大学や教育機関では「履歴書の確認」がかなりシビアにされています.
そして,人事担当になってしまった教員は,その履歴書の確認調査が面倒で大変なので憂鬱になるのです.
大学によっては,その確認作業を職員さんが手伝ってくれるところがありますが,
「教員人事は命がけ」だから!
という慣習と理由によって,その作業を全部,大学教員がやっているところは多いですね.
その作業が煩わしいと考える大学では,
履歴書(他の業績書なども)の信頼性チェックを企業に外注しているところもあります.
それだけ熱心に信頼性チェックをしているんです.
その理由としては,ご案内の方も多いかと思いますが,
昨今の教育機関に対する世間からの風当たりが強いことと,
教員人事は学内の政治力学が働くからです.
妙に「盛った履歴」を作成するのは一発アウトの可能性がありますので避けてください.
全部が全部とは言いませんが,例えば「出身大学」とか「職歴」,「社会的活動」「賞罰」などで採否を判断することは,ほとんどありません.
よほど特殊な人事でない限り,賞罰や社会的活動が全くなくても大丈夫です.
もちろん,逮捕歴があるとかは別ですよ(^_^;)
そもそも,初めて大学教員になろうとする人や,教育歴が無い人にとっては,全然書くことができない部分もあります.
「書くことが無くて,空欄になってしまうので不安」だと思い,無理してどうでもいい事を記入する方がよっぽどダメです.
そんなことよりも,大学教員用の履歴書では,
そこに書かれている履歴に,一切の間違いがないか?
が問われます.
言い換えれば,履歴書の部分は,大学教員としてはアピール(加点)ポイントではないのです.
どうしてもアピールしたいというのなら,強いて言うなら,
確認作業が簡単になるよう記述されているか?
というところでしょうか.
人事担当の先生が,その履歴書を読んで確認することが簡単であれば,それだけ好印象になります.
書類作成能力が高い人だと思ってくれますから,プラスにはなってもマイナスに働くことはありません.
でも,誤解しないでください.
「できるだけ省略しろ」
と言っているわけではありません.
これまでのあなたの履歴を全て網羅した上で,その履歴の確認が簡単になるように工夫して記述しましょう,ということです.
そういう意味で,履歴の確認が難しいものを省略するのは間違いではありません.
例えば,大学教員用の履歴書に必ずある「学会および社会における活動等」の部分について.
あなたが実際に所属している「団体」や,取り組んだ「イベント」であっても,それをインターネットや学会データベースなどで簡単に確認ができない場合,この確認作業が物凄く手間取ります.
現代社会では,有意義で公式な団体やイベントであればインターネット上に公開され,学会データベースに登録されるのが普通です.
ですから,その記述があなたにとって重要な事実であっても,人事担当にとっては「そんなに有意義な活動ではない」と判断され,保留またはネガティブ評価になります.
履歴書に書こうと思っていることを,一度インターネット上で調べてみてください.
ネット上で調べられないようなものであれば,履歴書としてのアピール効果としてはマイナスにはなっても,プラスになることはありません.
書くだけ無駄(邪魔)です.
もちろん,インターネット上で調べられなくても重要な活動歴だと思われるものはあります.
そういうものは「教育研究業績書」や「着任した場合の抱負」といった書類で詳細にアピールしましょう.
履歴書に書く必要はありません.
履歴書チェックする立場としては,面倒が増えるだけですから.
余談になるかもしれませんが,この点について戦略的な話をすれば,
「これまで自分が関わったイベントや団体活動は,インターネット上にアップしておく」ことが大切だということでもあります.
図々しいと思われても,あなたが本気で大学教員になることを目指しているなら,
講師活動であれば「講師:〇〇」と名前入りで公開してもらう.
何かの団体活動をしているのであれば,役員名としてネットで公開してもらう.
といった証拠を残しておくのです.
もちろん,個人ブログではなく,その組織や団体の公式サイトにアップしてもらう必要があります.
学歴の書き方
詳細な書き方は,それぞれの求人やフォーマットによって異なるものの,
「ここまで書いておけば不足がない」
というレベルは存在します.
まず,どこまでの学歴を書くべきか? ですが,優先すべきなのは,そのフォーマットの指定です.
「最終学歴だけ書け」と指定されているのに,高校の卒業履歴から書いていたらハネられます.
何の指示もなければ,高校卒業から書きましょう.
以前,教員同士の人事の会話で,
「大学卒業の履歴から書いていた人がいたけど,高校の履歴に問題があるのか?」
と疑っていた人がいました.
私は最終学歴だけでOKだと思っている人間ですが,その大学の履歴書が「自由作成」であれば,そこを気にする人がいることもたしかです.
念の為,高校卒業から書いておくのが得策です.
ちなみに,高校を卒業しておらず,「高等学校卒業程度認定試験」を経て大学に入学したという人もいるでしょう.
それはマイナスになるのか? と心配する人もいるかもしれませんが,大学教員の求人では全く問題になりません.
むしろ,特別な能力のある人かもしれないと思って,注目されます.
何の指示がなくても学位は詳細に書きましょう.
例えば最終学歴として,
2019年3月|◯◯大学大学院 博士後期課程 修了(学位:◯◯博士)
と書く人がいます.
「自由に作成しろ」という指示であれば,これはこれで間違いではありませんが,履歴書として正確な表現ではありません.
できるだけ以下のように詳細に書いてください.
2019年3月|◯◯大学大学院 ◯◯研究科 ◯◯専攻 博士後期課程 修了
取得学位:博士(◯◯◯)◯◯大学大学院
大学によっては「学位論文タイトル」まで書かせるところもありますが,そこまで書くのは煩雑ですから一般的ではないにしても,とにかく詳しく書くのです.
ちなみに,表記の仕方については,上記を完全にコピーしてはいけません.
ご自身の正確な書き方は,各大学・大学院の「学位記」や,学歴の通知書などに掲載されています.
それをしっかり写してください.
学位の表記方法については,ウィキペディアの「学位の表記方法」に従って書くと無難です.
どうしてもというなら,履歴書への書き方を大学事務に問い合わせることが確実です.
学位の表記というのは,あなたが思っている以上に正確性と確実性が要求されます.
そんな重要な部分を,ネット情報と自分の判断だけで記入するのは避けてください.
こんなしょうもない部分で失敗するのは痛いですから.
職歴の書き方
繰り返しますが,正確に,分かりやすく(確認しやすく)記述してください.
こんなところで盛ろうとしても無意味です.
そもそも,審査段階では盛っていないかどうかをチェックされるのですから,盛っている疑いや,確認できない履歴があるとハネられます.
盛ると言っても,どんな事で盛れるのでしょうか?
実は,そんなものは無いのです.
教員の人事では,「大学教員として必要最低限の履歴(学位と職歴)があるか?」を確認するところです.
アピールするところではありません.
考えてもみてください.
採ろうとしている組織は「大学」であり,人事担当者は「大学教員」なのです.
そんなところに,「東京大学卒業」とか「一部上場企業勤務」とか,全くアピールにはなりません.
(そもそも,東大とか早稲田の出身者がそこらじゅうに跋扈してるし)
大学教員としてのアピールポイントについては,別の記事を参考にしてください.
■大学教員になるための業績書の作成方法
■大学教員になるためのページ
所属していた部署を端的に書くだけでいい
細かくどんな役割をしていたかとか,どんな活躍が想像できるかといったステマめいた書き方も不要です.
むしろ,そんな書き方をしていると嫌われます.
(そういう人種を嫌うのが,大学教員という人種です)
遠慮する必要はありませんが,誠実に記述しましょう.
一般的には以下のように書きます.
2013年4月|株式会社◯◯◯ ◯◯部 ◯◯課 ◯◯担当(2016年3月まで)
2016年4月|◯◯大学 ◯◯学部 ◯◯学科 助教(現在に至る)
「自由に作成してください」と指示されているからと言って,妙な書き方はしないこと.
自由に作成の「自由」とは,
「枠線レイアウトとか写真の大きさとか,表記方法について細かなチェックはしないから,普通の履歴書を自由に作成してくれ」
という意味です.
時々,意味不明で奇抜なアピールがされた履歴書が出てくることがあります.
速攻ボツになるのでやめましょう.
その他
年号は西暦がいいか? 和暦がいいか?
これを気にする人もいますよね.
多くの場合,履歴書の作成方法のところに指示がありますが,これも自由である場合は「西暦」を使っておいた方が無難です.
「公文書は和暦が常識だろう」
と思っている人もいるでしょうが,実は現在の公式書類は「西暦」です.
先日のニュースにもなりましたが,政府もその方針です.
■外務省「元号不使用」が波紋=官邸不快感、河野氏沈静化図る(時事通信 2019.4.2)
和暦に愛着がある人には残念ですが,和暦は扱いにくいので大学のようなグローバル組織では嫌われています.
いちいち換算しなければいけないのは殺意を覚えます.
実際,和暦の履歴書や業績書は読む気になりません.
確認作業が何かと面倒だから,いっそのことパスしたくなるんです.
作成する側としても面倒なので,西暦で統一しておくことをオススメします.
「以上」は書くべき?
ここで言う「以上」というのは,以下のように学歴や職歴を書いた最後の行に,右寄せで,「以上」
と書くこと.
下図の右下端に書かれた「以上」のことです.
履歴書作成時の常識・マナーのように扱われていますが,実際のところ気にしている人事担当者はほとんどいません.
むしろ,一般的な就職・転職活動をしたことがない人に大学教員が多いので,そんなルールやマナーを知らない人も多数です.
ただ,最近は大学教員にも「キャリア教育担当者」とか,「民間企業出身者」が増えており,この部分を物凄く気にする先生もいます.
気になることはトコトン徹底するのが大学教員という人種でもあります.
そんな人に当たったらハネられるので,就職転職のルールはきちんと守ることをオススメします.
(昔の大学は適当な履歴書で大丈夫だったようですが・・・)
最後に,文部科学省が用意してくれている「記入例」を貼っておきます.
詳しく読みたい人は,以下のURL,
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ninka/__icsFiles/afieldfile/2010/02/19/1289294_02_1.pdf
をご覧ください.
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