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若い頃のイタズラ列伝|就活資料ってどこまで資料請求できるのか?

コンビニのアイスコーナーの中に入って寝転んで写メって,別にかわいい話じゃない?

あの例のニュースが流れた時,多くの人がそんなふうに思ったんではないかと.
私もそのうちの一人です.

「けしからん!」と怒りまくっている人もいましたけど,自分たち自身の胸に手を当てて,若い頃を思い起こしてみれば,形は違えど何かしらそんなことをしてたりするものです.

そんな話を今日はしてみたいと思います.


私が学生の頃,友人同士で過激なイタズラをしては笑い合っていましたね.
特に私達の仲間内ではよくやっていました.

そうした中でも,今でも思い出し笑いをしてしまうエピソードが以下のようなもの.


大学2年生の頃だったと思います.
ある日,授業を受けるために教室に入った私は,仲間同士で座るエリア(そんなエリアが各教室で固定化されるものです)まできて着席します.
すると,後ろから声をかけてきた友人がいました.
彼は数枚のハガキを私によこしながら,こう言います.
「なぁなぁ,ここの資料発送先のところに,孫悟空の住所を書いて.とにかく書いて」と.

「孫悟空」というのは,今回のイタズラのターゲット.
そいつは,あの国民的マンガ・アニメ「ドラゴンボール」の孫悟空のように,
「オラ,腹減ったぞ」
「しんぺぇねぇ,でぇーじょーぶだ(心配ない,大丈夫だ)」
といった話し方をするので,アダ名が「孫悟空」なのです.
ちなみに,私は彼のことを「カカロット」と呼ぶこともありました.

数枚のハガキを受け取った私は,とりあえず渡されたハガキに孫悟空の住所を書き写していきました.
そのハガキというのは,当時の就職課とかにドッサリ置いてある,リクルートだかマイナビだかの「資料請求用ハガキ」です.

時代ですよね.
今となってはネットの中で済ましてしまうことですが,当時は「ハガキで就活のための資料請求」みたいなことをしていました.

そのハガキの「資料発送先」の部分に,孫悟空の下宿先の住所を書くというものなのですけど,周囲を見渡すと,どうやらこの作業をしているのは私だけではありません.
授業そっちのけで,そのエリアに座っている友人たち数名が,黙々とカツカツカツとボールペンを走らせ,孫悟空の住所をハガキに書いている状態でした.

全部で何枚なのか,わからないくらい大量だったことは覚えています.

主犯者いわく,
「こういう資料請求って,大量のハガキを送って請求しても,その分の資料を送ってくれるのか知りたい」
っていうことらしい.
せっかくなので,イタズラがてらに孫悟空を生贄にしようというわけ.

そして授業後,私を含む共犯者全員からハガキを回収した主犯者は,その大量の資料請求ハガキを,まるでかつての年中行事「年賀状投函」のごとくポストに放り込んだのでした.


しばらく経ったある日のこと.
私はその日,孫悟空と遊びに出る予定だったので,そいつの下宿先に向かっていました.
もう日も落ちてすっかり暗くなった時間,そいつの下宿先まで自転車を走らせていると,ポケットの中で携帯電話が鳴り出します.

自転車を止めて携帯にでてみると,それは孫悟空からでした.
「てぇーへんだ.おい,オレんちがヤベェことになってっぞ」

パニクっているのが携帯のスピーカーからもよく伝わる口調です.
「ホント,マジでヤベェんだ.今日はオメェと遊んでる場合じゃねぇぞ」

ひとまずそっちに行くから,ということで向かいます.

そいつの下宿先に到着すると,もうすでに外観がおかしい.
彼の住むアパートの前にダンボール箱(おそらく120サイズ程度の大きさ)がズラリと並んでいます.
壁に沿って,4段✕5列みたいな感じで.

で,そのダンボール箱を横目に彼の部屋まで来て,インターホンを押す.
彼がドアを開けたら,思わず笑ってしまった.
部屋の中が,完全にダンボール箱で埋め尽くされているんです.

あのね,大げさでもなんでもなく....,

部屋がダンボール箱で隙間なく埋め尽くされているんです.


まるでリアル・テトリスみたいな.
今ならリアル・マインクラフトって感じか.

私,それですぐに察しました.
あっ,これ,例のあれだ.って.

だから頑張って笑いを堪え,真顔になってこう言います.
「おい,カカロット,お前,これどうしたんだ?」って.

うん,ダメでしたね.
耐えられずに笑ってましたけど.

彼はこう言います.
「今日は朝からずっと宅配便がひっきりなしに来て,ダンボール箱をいっぱい置いて行くんだ.ヤベェ,マジでヤベェ.なんかヤベェことになってっぞ」

死ぬほど笑いたいところですが,なんとか堪えて話を合わせます.
「おぉ,そうか,すげぇな」って.

部屋のなかに入ってみると,なんとか移動できる幅が確保されてるだけで,あらゆる空間がダンボール箱です.

部屋では2人で,これからどうする?どうしようもねぇ,ってか住めねぇ,とか話してました.

....と,そんな時に彼の携帯電話が鳴り出します.
話の感じから,どうやら宅配業者からのようで,今から自宅に荷物を搬入したいのだが,在宅かどうかを問い合わせているようです.

電話を切った彼は,私に向かってこう言います.
「ヤベェ,またこのダンボール箱かもしれん....」

10分くらいしたら,ヤマトだか佐川だったか,そんな業者がやってきてインターホンを鳴らしてきました.
私と孫悟空は,もはや居住空間が極めて限られてしまった部屋の中からなんとか這い出て,業者さんに対応します.

宅配業者は笑顔でこう言います.
「今回,かなり大量のお荷物になりますので,お受け取りに際してお客様にもご協力いただければ幸いです」とかなんとか言ってきて,駐車場に走っていきました.

私達も駐車場に出て行くと,ちょうど箱型トラックが「バックします,ピピーッ,ピピーッ,バックします」と元気に発声しながらこっちに向かっているところでした.

観音開きの荷台が開くと,その中には大量のあのダンボール箱が.

それを見た孫悟空の顔が,

  (´Д`;)

だったのを今でも忘れられません.

「もうこれ以上部屋の中には入らねぇぞ...」
ってことで,しょうがいないのでアパートの壁に沿って置いてあるダンボール箱のところに,積み増すかたちで置くことにしました.
引っ越しする人がいるんじゃないかってくらい,山のようにダンボール箱が積まれました.


宅配業者が帰ったところで,あらためて「これ,どうしたんだ? カカロット」ということで事情を聞き取ります.
そしたら彼は,すっかり落ち込んだ感じでこう言います.
「きっとあれだ.トリニティーだ....」と.

説明しましょう.
「トリニティー」というのは,当時,大学生を相手に携帯電話を使って強引な勧誘をしていた教育業者のことです.

これはトリニティーアカデミーという名称で,今調べてみたら「グローバルトリニティー」として現在も引き続き経営しているらしい.
主に英会話教室を展開しているところです.
そのウィキペディアにも,トリニティーの「強引な勧誘」が記事になっていますので,詳細はそちらをどうぞ.

で,孫悟空はその強引な勧誘に誘われて,入学説明会みたいなところに行ったらしい.
実はこの「強引な勧誘」というのが,ちょっとギャルっぽい口調の若いお姉チャンによる勧誘なんです.
その甘い口車に乗せられて説明会に行っちゃうバカな男子学生がいたらしいんです.
その一人が孫悟空というわけ.

ちなみに,その勧誘は私の携帯電話にもかかってきたことがありまして,もちろん私は素っ気無く切っています.

騙された! っていう自覚は説明会に出席しちゃった孫悟空にもあって,しかもそれが,ギャルっぽいお姉チャンに誘われたからっていうのが,あんまり表に出したくない事情でもあります.
実際,私のところにかけてきたお姉チャンも「君に会いたいなぁ」「私,待ってるよ」みたいな感じでした.
こういう手法の勧誘に引っかかった事実というのが恥ずかしいわけですな.

騙された! 悪徳業者だ! っていうことで,孫悟空もその後はトリニティーには関わらないことにしていたようですが,例の説明会でいろいろ聞き取り調査をされちゃっているもんだから,きっとこの「ダンボール箱の嵐」はトリニティーのしわざじゃないかと疑っているようでした.

私は彼にこう言いました.
「そうだ,これ,たぶんそのトリニティーだぞ.だからそんな勧誘についていっちゃダメなんだよ」と.

大きくため息をついた彼は,物凄く困った顔をして,
「あぁ〜〜・・・,そうだよなぁ〜.やっちまったなぁ〜〜〜」
とガックリとうなだれていました.

さながら,ドーハの悲劇でピッチにうずくまる日本代表のようです.

あ,もちろん,この事態の犯人は私達なんですけどね.
トリニティーじゃないんで.
まだ経営してる会社なんで,変な誤解しないで下さいね.


その後ですが.
当然のことですが,まずはアパートの大家さんに怒られます.
どうすんの,これ.と.

ゴミ収集できないそうなので,このイタズラの主犯者が責任をもって,自動車を用意してゴミ収集所に持ち込みで廃棄することにしました.
何往復したか覚えてないくらい,大量のダンボールを積んでは廃棄しています.
で,結構な金額を取られたらしい.

なお,「ジャッジャジャーン」ってことでドッキリ大成功のネタバレをすると,孫悟空は呆れたと同時に,悪徳業者のしわざじゃないと分かって安心したようです.

あとになってみれば,私達の学生時代の思い出の一つになりました.


とまぁ,バカですね.

でも,こういうバカなことをしたいお年頃なんです.


あと,私なりに面白かったのは,当時のリクルートとかマイナビとかって,同じ住所から大量に資料請求があっても,それを素直に受け取って発送してくるんだなって.
もはや,完全自動化されたシステムで資料発送してたんでしょうね.
今でもこういう状態の業界ってあるのかな?


※よい子の皆さんは絶対にマネしないでください

コメント

  1. 懐かしいです
    バブル期に大学生だった私も同様なことをした記憶があります
    それ以前では高校生の時に大学や専門学校の資料請求を仲間同士で送り合ったことも思い出されます
    先方にとっては迷惑だったでしょうがね

    返信削除

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