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JREC-INの賢い使い方|大学教員を目指している人へ


JREC-INの使い方|基本中の基本から教えます


これまでにも大学教員になる方法を記事にしてきたわけですが,より具体的な方法論について取り上げます.

JREC-INの使い方です.
JREC-IN(科学技術振興機構)

次の段階である「履歴書」とか「業績書」の作成方法は,
大学教員になるための履歴書作成方法
大学教員になるための業績書の作成方法
をご覧ください.

そもそも,JREC-INとは何か?
この記事を検索して来た人は既にご存知かと思いますが,基本中の基本として以下にお示しします.

JREC-INの事業概要のページには,
*JREC-IN Portalは、研究者・研究支援者・技術者等の研究人材のキャリア形成・能力開発を情報面から支援する研究人材のためのポータルサイトです。
*研究に関する職を希望する求職者の情報と、産学官の研究・教育に関する求人公募情報をそれぞれ収集・データベース化して、インターネットを通じて求職者、求人機関双方がそれぞれのニーズに応じた内容を検索・閲覧頂くことが可能です。
とあります.

かつて,大学教員や研究職の求人は内々に行われることが多かったのです.
その理由は,専門性が高すぎるため広く公募したところで,結局は,自分の知り合いや身内の紹介に頼った方が安全で,確実な人材を得られるからです.
研究職員の採用にしても,同じようなものだったのです.

しかし,近年の,特に「大学教員の採用」について,身内同士での採用が批判的に捉えられるようになり,求人をする際には「公募(採用情報を広く知らしめる)」に対する応募制を取ることが求められるようになりました.

2000年代初頭までの大学教員の採用情報は,各大学や専門機関にFAXや手紙で通知が回っていました.
今でもその名残はあります.
しかし,それだと採用情報が行き渡らないことから,JREC-INという「大学教員・研究職専門のキャリア情報サイト」が誕生したのです.


しかし,大学教員の求人に「公募」が多くなったからと言って,それが必ずしも「公募」ではない,というのは多くの人が知っているところです.
前述したように,採用する側の理屈とすれば,どこの馬の骨とも知れない人を公募するよりも,コネの方が安全で確実な人材が手に入るからです.

ここで公募されている求人情報の,圧倒的多数(私の皮膚感覚では,約8割)が既に採用したい人物が予め決まっている状態で出ています.
口先では,
「まだ誰にするか決まっていません」
と言いつつ,実のところ,
「あの人に来てほしいなぁ」
と思っている人はいて,実際にそういう候補者には,
「今度公募出すから,それに応募してくださいよ」
とか言ってるのが常です.


しかし,そうではない公募があるのも確かです.
こういうのを「ガチ公募」と言います.

コネクションのない機関で大学教員になるためには,ガチ公募に引っかかることを祈ったり,有力候補者が辞退することを祈ることになります.


では,実際にJREC-INを覗いてみましょう.

例えば,2019年8月現在のJREC-INを開くと,以下のようなページが現れます.
その検索画面がこちら.

試しに,ここに「スポーツ」と入力して検索みると・・・.





こんな感じで「スポーツ」に関する研究者の求人情報の結果が表示されます.





大学教員の求人が多いですが,それ以外にも民間の研究機関や専門学校,高専,非常勤講師の求人もされています.


ここでは試しに,一番上の「東海大学」の求人情報をクリックしてみます.
すると,以下のような画面が登場します.




求人している部署や,その仕事内容や条件などがずら〜っと並びます.
上図ではその一部しかスクリーンショットしていませんが,ここから下にもっとたくさんの情報が載っています.
具体的には,求人内容の他に,

・研究分野の詳細
・職種・待遇(教授なのか,准教授なのか,といったこと)
・任期あり/なし,任用期間など
・勤務地
・応募資格(必要な学位,研究レベル,必要な教育歴など)
・選考方法

といったものです.

これを見て,自分が当てはまりそうだったら応募するのが,大学教員になる方法の基本中の基本となります.




JREC-INの賢い使い方(1)必要な情報を自動的に受け取る


JREC-INの使い方として,実際に多くの人も用いているのが,
「ユーザ登録」
して利用するものです.

画面の右側に,以下ようなユーザメニューがあります.
その「新規登録」から登録することができます.

※余談ですが,さすが研究者情報サイトですね.
「ユーザー」ではなく,「ユーザ」と表記しています(笑).
こういうところにこだわっているのが微笑ましい.


新規登録したら,こんな画面が現れるので,そこから登録を始めてください.



そして,「求職者情報登録」をすることで,求人機関に対してアピールしたい情報を公開し,求人機関から照会メールを受け取る仕組みがあるのです.

その「求職者情報登録」の画面とは,以下のようなものです.

しかし,これは大学教員の求人ではほとんど機能しません.

当たり前ですが,大学側から,
「あなたが適切な人材だと思うので,うちで採用させてもらえませんか?」
などと言ってくるわけがないのです.

そんな照会メールが来たとしても,同様のものを,あなた以外に何十人にも送っています.
もっと言えば,有力候補者であれば学会やイベントなどで直接声をかけられているはずです.
こんな登録情報だけで大学教員は採用されません.

ですから,「大学教員だけ」に絞って就活をしている人は,上の図で示したユーザーメニューの中段にある「マッチングメール設定」だけでOKです.


「マッチングメール設定をクリックすると,以下のような画面が出てきます.

そして,この画面で自分の専門分野や希望職種を選びます.
ここで設定した条件に見合った公募情報だけを,メールで受け取ることができます.
いちいちJREC-INのページにきて,毎度毎度,検索をしなくても良いというわけです.


ここでは試しに,「いずれかのキーワードを含む」のところに,「スポーツ」「体育」と入力してみました.

他にも,「すべてのキーワードを含む」や「キーワードを含めない」といった選び方ができます.
しかし,詳細は後述しますが,「すべてのキーワードを含む」や「キーワードを含めない」への入力は不要だと思われます.

この画面をずら〜っと下げていくと,メールで受信する条件として,他にも「勤務地」や「職種」「任期の有無」があります.

そこには,以下の図のような選択肢があります.

ちなみに,「職種」については,大学教員を目指しているのであれば,機関の長や研究員,技術者などは外したいわけですから,「教授相当」「准教授・常勤専任講師相当」「助教相当」をクリックしておけばOKです.

大学教員になると言っても,いきなり常勤専任の教員になる自信がなければ,全部にチェックを入れておいても良いでしょう.
特に,「研究員・ポスドク」や「非常勤講師相当」で採用されれば,そこから常勤専任の教員になれる道が拓ける場合があります.
あと,分野によっては「専門学校・小中高等の教員相当」も有力候補です.


登録すると,以下のようなメールを受け取れます.

上記の条件で実際に受け取ったメールが以下です.
メールの文字データだけを引用してきました.

***以下,メールの本文*************

JREC-IN Portalより、ご登録のマッチング条件に合った新着求人公募情報をお知らせします。

※公開中の情報が更新された場合も含まれますので、ご了承ください。
※新規情報には[NEW]、更新情報には[UPDATE]が表示されます。
※URL欄に[→サイト名]が表示された情報は、連携する外部求人サイトから提供されたものです。求人の詳細は、各サイトの求人ページへジャンプし表示します。

---【求人公募情報】---

----------
No. :1
データ番号 :D119072280 [UPDATE]
更新日 :2019年08月01日
機関名 :東京工業大学
タイトル :助教公募(工学院システム制御系)
研究分野 :工学 - システム制御工学
複合領域 - 健康・スポーツ科学
複合領域 - 人間医工学
職種 : 助教相当
勤務形態 : 常勤 (任期あり)
募集終了日 :2019年10月15日
URL : https://jrecin.jst.go.jp/seek/SeekJorDetail?fn=4&id=D119072280&ln_jor=0&top_btn=1
----------
No. :2
データ番号 :D119072341 [NEW]
更新日 :2019年08月02日
機関名 :大分大学
タイトル :教員公募【大分大学 教育学部 芸術・保健体育教育講座(保健体育)】
研究分野 :複合領域 - 健康・スポーツ科学
社会科学 - 教育学
職種 : 教授相当
准教授・常勤専任講師相当
勤務形態 : 常勤 (任期なし)
募集終了日 :2019年09月17日
URL : https://jrecin.jst.go.jp/seek/SeekJorDetail?fn=4&id=D119072341&ln_jor=0&top_btn=1
***以上,メールの本文*************


条件が「スポーツ」「体育」に関する求人で,「教授,准教授,助教」といった大学教員に関する職種のメールだけが,ほぼ毎日届きます.

メールを見るだけでも,だいたいメボシがつきますよね.

あと,求人情報は「更新(UPDATE)」されます.
上述したメール本文にも,「UPDATE」の情報がありますよね.

これは例えば,当初は職種を「教授相当」だけで出していたけど,大学側の都合が変わって「准教授・講師相当でも採用しよう」と思ったら,それがUPDATEされるわけです.

こういう点は,マッチングメールを登録しておくメリットと言えます.


さて,次にこのマッチングメール設定をする上で,結構重要な点を指摘しておきます.




JREC-INの賢い使い方(2)条件設定にこだわってはいけない


大学教員になることを目指しているのであれば,前述したキーワードや職種といった「採用条件の設定」にはこだわってはいけません.

なぜかというと,その理由は3つ.
(1)大学教員のガチ公募による求人が少ない
求人が少ないところに,絞り込みをしたところでどうしようもないのです.
可能性があるところには全て応募するスタイルでなければ,コネ無し応募はやってられません.


(2)ガチ公募であれば,採用側は専門性の高さよりも「大学教員として相応しいか?」で判断する
大学教員として相応しいかどうかは,書類上のスペックで採用することはせず,教育歴や模擬授業の様子などから総合的に判断しようとします.
専門分野や職種を絞り込むよりも,まずは大学に潜り込むことを優先した方がいいです.


(3)事前の採用条件,それ自体がいい加減
准教授・講師相当で求人していたのに,教授になれた.というホワイトな話がある一方で,任期無しのはずだったのに,事実上の任期有りだった,というブラックな話もあります.
はっきり言って,事前の採用条件なんて信じられるものではないので,そんなところを絞り込んだところで無意味です.
JREC-INのサイトにも掲載されていますが,職種に対する待遇は大学によって完全にバラバラです.
例えば,「助教」というポストが准教授並みの待遇の大学もあれば,一方で,研究員や職員以下の奴隷のように扱われているところもあります.


では,具体的にどのような条件設定が良いのか?

まず,キーワード設定であれば,「すべてのキーワードを含む」や「キーワードを含めない」といった絞り込みタイプのキーワードにする必要はありません.
「いずれかのキーワードを含む」のところに,自分の専門性と強く関連するキーワードを入れておけばOKです.

その後は,実際の仕事内容や担当授業を見て判断することになります.
例えば,前述したメールで送られていた求人の「大分大学」のところであれば,URLをクリックすると以下の情報が見れます.



画面中央部に記載されている「業務内容,担当科目等」を見て,それを自分が担当できるかどうか判断するわけです.

ここでまた重要なのは,大学が求めている「担当授業」と,あなた自身が考える「担当できる授業」は違うということ.

ご存知の方もいるかもしれませんが,
「私は専門外なのに,こんな授業をやらされている」
とボヤく大学教員は結構多いんです.
【注意】ここで例示した大分大学がそれだと言っているわけではありません.誤解無きようお願いします.


つまり,担当科目がガチの専門でなくても大丈夫であるケースがあります.
そのさじ加減は,採用担当者の人たちが決めることなので,求人情報からでは分からないのです.

ただし,担当科目については年々シビアになっており,
「過去にその授業をやったことがあるか?」
「業務として関わったことがあるか?」
といった点をしっかり見てくるようになっています.

よほどのブラック大学でもない限り,適当な人を採用することは少ないです.


キーワード以外として,「職種」や「任期の有無」が絞り込み条件になりますが,この辺りが操作できるところでしょうか.
特に,既に大学教員をやっている人が,次のステップアップを考えているのであれば,「任期の有無」のところを「任期無し」にしておくと,膨大な数の「任期有り」の公募を見なくて済みます.
任期有りだったのが,途中で任期無しの公募になれば,その都度「UPDATE」としてお知らせしてくれるので,問題ありません.


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