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田舎暮らしを始めた私による,「田舎暮らし」について

「 田舎暮らし」そのものに価値を見つける必要はない


今年で首都圏での仕事・居住をやめ,田舎暮らしをはじめて半年が過ぎました.
尤も,私としては実家に戻っただけなので,慣れる慣れないの話ではなく,以前から手伝いをしていた家業を継ぎ,普通に生活をしているところです.


ところで,よく「田舎暮らし」というライフスタイルについて議論されることがありますよね.
過去記事でも,そんなライフスタイルに関する論評をしたこともあります.
田舎暮らしへの失望に失望

・・・,この記事,2年前に書いたやつだけど,読み返してみたら結構面白いですね.
興味のある人はどうぞ.

この記事では「田舎暮らしは失望することも多い」という主張に対して,
「それは地方・田舎社会が悪いんじゃなくて,移住者の社会的スキルの不足によるものだ」
という趣旨のものでした.

でも,別に田舎暮らしの方が都会暮らしよりも価値が高いと言いたいわけでもないし,都会暮らしが悪いと言いたいわけでもない.

結局のところ,人間というのは住みやすいところに住めばいいと思っています.
私が実家のある「田舎」を生活の拠点にしているのも,単純にここが住みやすいからです.
それについて今年記事にしたこともありますので,興味のある人はこちらもどうぞ.

この記事では「土地が身体化している」などと難しいことを話していますが,要するに,本能的に感じる暮らしやすさが大事ってことです.
その本能に従って生きていくことが結構重要なポイントではないかと思います.

だから,田舎暮らしが良いとか,都会じゃなきゃダメっていう話ではないのです.


これについて,我が意を得たりの意見表明をしている人がいました.
最近,私が注目している柴咲コウさんです.
そのYouTubeチャンネルの投稿動画で,そのことを話しています.

タイトルが「ファームで植樹体験♪北海道を巡る旅#7」ってことになってますが,これ,もったいないタイトルですね.
「次世代型ライフスタイルの提案」っていうくらい攻めたものにした方が,ファン以外の人の視聴も促せるかもしれません.
(ちなみに,残念ながら私は柴咲コウのファンじゃありません...)

なんか怪しいコミュニティ開発をしているように見えるので,あたかも左翼運動のように見えちゃいますが.
たぶん,そういう活動ではないと思います.


曰く,「田舎暮らしと都会暮らしの,どっちが良いのか?」っていう判断ではなくて,「どちらの生活もしましょう」っていうライフスタイルです.
つまり,二拠点生活.

私もこの考え方には賛同できます.

柴咲さんたちは北海道で農園を作っているようですが,これは「東京(羽田)―北海道(千歳)」の交通インフラが整っていることが強みと考えています.
ゆくゆくは,柴咲さんも北海道移住を検討しているようですし.


これは現状での話ですが,将来的なことを考えれば,日本はもっと交通インフラ整備を進めるべきでしょう.
少子高齢化,人口減少社会であれば,なおのこと交通インフラが重要になってきます.

通信販売とその配達インフラも発達してきているので,もはや「都会じゃなきゃ/田舎じゃなきゃ手に入らない」という状態ではなくなってきています.


私がいる四国についても,当初の国土計画なら「新幹線」が通っているはずだったし,高速道路も張り巡らされていたはずでした.
ところが,ぜんぜんそうなっていない.
「見捨てられた地域」と言われているくらいです.

鉄道や道路の整備について,よく,
「人がいない地域に敷設しても無駄になるだけ」
というものがありますが,これはもはや犯罪的なバカ思考です.

鉄道や道路というのは,その土地・地域を発展させるために敷設するのであって,発展しているところに敷設するものではありません.
それを後回しにしたり怠った地域は,例外なく近代化が遅れ,現代においては可塑になっています.

とりあえず,「シムシティ」でもやって,出直してこいと言いたいくらいですね.


ただ,これについては私の住んでいる地域では一つの逸話があります.
かつて,私たちの選挙区から「吉田茂」という政治家が出ていました.
そう,あの吉田茂です.
吉田茂の選挙区は高知でした.
吉田茂(Wikipedia)


で,そんな吉田茂が当選した頃(1947年頃)に,私の祖父たちがインフラ整備のため陳情したことがあるそうです.
それは,
「高知県西部にも,もっと鉄道を整備してほしい」
というものでした.

ところが,吉田茂はそれに対し,
「そのうち鉄道全盛の時代は終わるから,自動車専用の道路(高速道路を想定)を整備してはどうか」
と返したそうなんです.

これに祖父たち陳情グループは納得がいかず,
「どうして自動車のための道路を整備しなきゃいけないんだ.鉄道こそが地域発展の起爆剤のはずなのに」
と思っていたそうなんですね.
※当時の自動車は性能が悪いので,とてもじゃないけど「時速100kmで走る」なんて考えられなかったし,「一家に一台」の時代がやって来るなんて想像すらできなかったでしょう.

で,結局この地域の人たちは鉄道整備に固執してしまい,鉄道も中途半端で,高速道路は出来ず終いでした.

その後の日本の発展状況をみれば,やはり高速道路の整備の方が良かったのだと思います.

これ,1950年頃の話ですよ.
まだ東名高速道路や名神高速道路の構想が無かった時代のものです.
凄い先見の明ですよね.
やはり,国家百年の計を考えられる政治家というのはいるのです.


歴史の話は置いとくとしても,こうした交通インフラの整備は,今後の日本では「田舎や地方こそ重要」です.
それこそ,国家百年の計をもって.

新幹線や高速道路が未完成の地域は,まずはこれを整備.
その上で,次世代の交通インフラを考える必要があるかもしれません.


そう言えば,上記の動画では柴咲さんがドローンで遊んでいますが,このドローンも将来性があります.

通販の荷物も,軽い物であればドローンで配達してしまえば良い,っていう時代がくるとされています.

身近なところでは,最近では農薬や肥料散布をドローンでできるようになりました.

現在は事故発生率と操縦の難しさ,価格の高さがネックになっていますが,これはテクノロジーと普及度の問題です.
そのうち,人間が操縦なんかせず,AIによる自動操縦になるでしょう.
また,農家の人が購入しなくても,農協(JA)からの貸与や,農家同士での共同購入という手もあります.

私としては近い将来,地域の農協がドローンを複数台所有しておき,農家の要望に応じて自動運転による農薬・肥料散布をする時代が,もうすぐ来るんじゃないかと思っています.
発育状態の確認や,農地の管理(畦が崩れていないか,水の流れが止まっていないかなど)も,飛行作業中にカメラで撮影しておきAIで自動判断させることもできるかもしれない.
そうなってくれば,穀物栽培系(稲,麦,大豆など)の農業は大きく転換する可能性が高いですね.


とにかく,交通インフラや物流ネットワークが発展してくると,
「田舎暮らしか? 都会暮らしか?」
といった選択・判断をする必要がなくなってきます.

その時人々は,
「私はどっちかというと生活拠点は田舎だな」とか,
「都合上,やっぱり都市部に居た方が便利」
といった住居選択をするのかもしれません.

さらに,このコロナ禍で話題になったように,「自宅でも十分仕事ができる」という点から,わざわざ職場のある都市部周辺に住居を構える必要性を感じなくなった人や企業もあります.
これからも,仕事内容の再編などで新たな仕事スタイルが出てくる可能性は高いですよね.


「そんな時代を待たなくても,場所をきちんと検討すれば,現時点でも結構いろいろ出来ますよ」
っていうのが柴咲さんたちのライフスタイル提案なのでしょう.

彼女の今後の活動にも注目していきたいと思います.

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