2009年7月15日水曜日

1Q84


つい今しがた読み終えました.

村上春樹 著『1Q84』
一度読んだだけではわからない部分もありましたが,素直におもしろい作品であったことはたしかです.
職場の同僚から勧められまして,発売当初は 「いつかは読んでみよう」 と思っていたのですけど,貸しくれるってんで早速読んでみることに.

久しぶりに仕事もせずガッツリ小説と向き合った3日間でした.


なんでも,著者の村上春樹氏はオウム事件の裁判を傍聴しながらこの作品の構想を練ったそうで,随所にその影響がみられます.

新興宗教集団とそれにまつわる事件の構成など,オウム事件を彷彿とする部分が多く,なにより2人の主人公が置かされる状況がオウム事件を引き起こした被告人と類似します.

信じて疑わなかった日常の常識が覆えること.逮捕され,取調べを受けていくなかで,日常の宗教活動と世間の常識に乖離があることを知らされる.殺人すら(洗脳とはいえ)犯してしまう自らの精神状態とに混乱が生じるのです.


ところが,彼らはそれでも教祖である朝原への帰依をやめることはできないのだそうです.

朝原にそれほどの影響力があったのか,それが心理学的にどんなメカニズムなのかは知る由もありませんが,『1Q84』 の作中にはこのような言葉があります.

「入口はあるが 出口はない」

一度シフトしてしまった世界からは抜け出すことはできない.

クライマックス...,主人公の一人が自殺をはかる場面からは,オウム事件の被告人が現実と向き合った際の苦悩,「この自分を取り巻く世界」 への “ケジメ” への願望,そして元の “常識的常識の世界” に戻れない諦めにも似た複雑な心境とが重なります.