2011年3月21日月曜日

マスコミの無恥

観測史上最大規模の地震が日本を襲いました.
被災された方々にお見舞い申し上げます.

私はというと,地震が起きて間もなく,大学の用事で先日まで中国・上海に滞在しておりました.
あの原発事故により次の瞬間にはどうなることかと日本中が緊張感に包まれる中,関西空港から日本をあとにしたわけです.

日本にいる外国人に帰国指示が出始めた時期でもあって,関空の国際線はごった返しており,手荷物検査とか出国手続きなんかに時間がかかりました.
「やべぇ,搭乗に間に合わないかも」と焦ったりもしましたけど,なんのことはない,ほとんど全ての便が遅れて出ている状況です.

さて,
今回の地震でもっともイライラしたのは,東京電力でも民主党でもなく,やっぱりマスコミでした.
「どうせこんなことになるだろう」とは思っていましたけど,いざそれを目の当たりにするとウンザリします.
一言でいえば,マスコミの無恥です.無知でもあり無恥なのです.

東京電力とか官邸の会見がそれを象徴しています.
地震や非常事態,原子力発電に関する勉強もせず会見に挑み,余計な事言うわりに肝心なことを聞かず,極めて非建設的な会見をしています.

あれじゃ記者じゃなくてクレーマーではないですか.
ちょっと調べりゃ中学生でもわかることを,東電職員とか大臣にいちいち聴くまどろっこしさ.
まどろっこしいだけなら “バカだなぁ” で済むんだけど,そこからやれ「説明が明確でない」だの「ちゃんと応えろ」だの文句言い出すんだから始末に終えません.

記者達としては,「重大な内容だから,正確な事を担当者である職員とか大臣から聞いているんだもん」という建前でいるんでしょうけど,そんな仕事なら素人でもできるっつうの.

「爆発が起きましたが,どうなっているんですか?」
「放射線量が2000μSvということですが,どのような影響があるんですか?」
あのね..,
担当記者なら調べとけっての.
先生に質問する小学生のごとく,幼稚で単純な回答を求める記者たち.


つまりこういうことだと思うんです.
「我々記者は非常事態や原発事故のことを知らない素人である “国民を代表” しているのだ.不安を抱える “我々” を安心させる回答を用意しろ」
とね.

本来なら “報道の専門家集団” であるはずの人たちが,国民の代表という立場を利用して,“素人である国民” の側に立って,いつの間にやら素人のような活動をする集団になっちゃってる.

そりゃあ東電職員や官邸の側も,明確で国民を安心させる言葉を使って会見することは大事ですが,完璧な報告というのは難しい.
だから,報告が終わったら記者からの質問コーナーが用意されているのです.
そこで素人丸出しの質問を投げているようでは,大事な会見の場を無駄にしているようなものです.

何度も言いますが,「自分たちは素人である.素人である私たちに専門家のおまえらが正確な情報を出せ」という態度であれば,記者はいらないのです.
TVカメラとマイクを1台ずつ用意して,ただ会見を映すだけで良い.

東電や官邸から出される情報を報道しているのは当たり前だけど「報道機関」なのであり,それによって聞き手が困るのであれば,それは報道機関にも責任の一端があるのです.
非常事態に関する明確で有益な情報を引き出せなかったのであれば,そこに集まっていた記者達に能力が無かったのです.
会見内容を咀嚼して意義のある情報を出せなかったのです.

ネットに出ているニュースをみても,結局は会見内容を垂れ流しているだけではないですか.
こうしたニュースの節々からは,東電や官邸に対し「明確でない」とか「先見性がない」といった印象を与えたい気持ちが滲み出ていますが.

それに何の意味があるのでしょう.
救助活動は続けられており,原発事故を大惨事にしないよう手を打っている.
事実はそれだけです.

報道の専門家であるのなら,「明確でない」と感じたなら明確に書けばいい.「先見性がない」というなら先見性のある記事を書けばいい.
だけど書かない.
責任をもって書けないから.素人の側である立場を守りたいから.

なんか,だいぶ前に書いた “暗黒騎士” の言葉を思い出します.
「いや,違う.被害者でいる方が楽なのだ.弱者だから不平を言うのではない. 不平をこぼしたいからこそ, 弱者の立場に身を置くのだ. 彼らは望んで『弱者』になるのだよ」

それがマスコミの無知であり無恥なのです.
情報を発信する責任があるという意識が報道機関から感じられないことが非常に問題なのです.