2016年4月24日日曜日

続・みんながんばれ(このおぞましき震災対応)

さて,前回の記事を踏まえて結論に入ります.
みんながんばれ

熊本で震災が起きてから10日が経ちました.

当時子供だった私にとって「震災」として鮮烈だったのは阪神淡路や奥尻島で,最近だと新潟中越と東日本というのがありますが,その度に日本国政府の対応がいろいろと問題視されるニュースも同時に見てきたわけです.

何から何まで完璧に対応できるわけなどなく,必ず反省点を残すのが普通で,むしろその反省点を踏まえて次に来る震災に対応しようとすることが大事になってきます.

そんなわけで,では今回の熊本地震での政府対応はどうかとネットニュースをチェックしていましたが,どうも中央・東京から遠いからなのか,反応が弱いという印象でした.

「反応が弱い」それ自体が反省点ではないかと思うくらいです.
しかし,よくよくニュース記事を並べてみると,「反応が弱い」んじゃなくて,なにかしらの意図が隠されているんじゃないかと考えさせられます.

震度7の地震が起きて,しかもその後も震度5クラスが10回以上も発生している今回の震災は,只事ではないと捉えるのが通常の感覚ではないかと思うのです.
ところが結構な勢いでのんびり構えている.
これはどうしたことかと思っていろいろ調べてみたら,案の定,こんなネット記事がありました.

「自民党・安倍首相の対応は迅速.やっぱり社会党や民主党とは違う!」と褒め称えるのを目にすることがありますが,そりゃ阪神淡路や東日本大震災の反省から,災害発生時の法律や条例が整備され,以前と比べて,
「初期対応が鍵になるため,その判断がシステマティックになっている」
ことや,
「自衛隊の主体的判断が緩和されている」
ので当然のことです.
仮に今,私とか村山富市,マック赤坂が首相をやっていても初期対応に変わりはありません.つまり,民主党やスマイル党だったらダメで,自民党だったから良いということではないのです.

むしろ問題となるのは,初期対応以降のことです.そこに政府対応の独自性が出ます.

今回の地震はというと,震度7の地震が都市部で発生し,その後も大規模な余震が続き,現地やメディアから被害状況が報告されるものを見れば,「もしかすると,意外とこれはたいした災害ではないのかもしれませんね」では済まされないことは明らかです.
ところが,何日経っても「熊本地震(現時点での名称)」は激甚災害指定されませんでした.

そして昨日23日に熊本で現地視察をした安倍首相は,明日25日に激甚災害指定をするとのこと.

これをみて,自民・安倍支持者はこんなことを言い出すのです.
「激甚災害指定というのは,地方公共団体からの被害報告を受け,発災してから1ヶ月〜2ヶ月後に行われるもの.早い時期に指定したところで今現在行われている救助や復旧には何の足しにもならない」
参考■激甚災害制度Q&A(内閣府)

たしかに安倍・自民叩きありきで批判している輩もいるのですが,ここで問題なのは激甚災害指定が “遅かったこと自体” ではありません.
じっくり腰を据えて調査報告をすることで被災者が減ったり犠牲者が蘇ってくることなんてあるまいし,明らかな激甚災害を,なぜ激甚災害指定せずに2週間近くも判断を引っ張ったのか? という点です.
上述した山口県の豪雨のほか,過去の震災・災害では明らかな大災害であれば詳細な被害報告がなくても直ぐに激甚災害指定されています.

とすると,ここから類推するに安倍首相はこう考えていたとしか思えない.
「発生後すぐに激甚災害指定をしてはマズい理由があった」
もしくは,
「願わくば熊本地震を大災害ではないことにしたい」
そういうことでしょう.そう捉えられても仕方がないではありませんか.

それを裏付けるように,こんな記事も.
15日の段階で蒲島郁夫県知事が「激甚災害の早期指定」を求めていたが、安倍首相はこれを一週間以上無視したあげく、今日になってやっと、週明け25日(月曜日)に激甚災害指定を閣議決定することを表明した http://lite-ra.com/2016/04/post-2182.html
つまり,15日の段階で震災現場から「どう考えても大災害だから,激甚災害指定してください」という要望が出ているのに,あえてそれを25日まで引っ張ったということですね.
なにかのっぴきならない理由があれば別ですが,そうでなければ確信犯です.

激甚災害指定を遅らせたことには諸説あるようで,1つ目は,23日まで激甚災害指定をしなかった理由として,自民党が候補者を出している北海道5区衆院補欠選挙を睨んだアピールをしたかったという説.
つまり,本日24日の北海道衆院補選に合わせて,その前日である23日に現地入りして,そこで激甚災害指定を声高に宣言することで,「被災者から直接現状を聞くとともに、地震対応に全力で取り組む姿勢をアピールする狙い(読売新聞)」があるということ.
熊本地震を「タイミングのいい地震だ」と公言する議員もいるくらいですので,政治家にとっては何かとタイミングのいい話であることは事実なのでしょう.

もう1つは,激甚災害指定をしてしまうと「大災害」であることを認めてしまうことになり,それだと安倍政権に都合が悪いから,判断を引き伸ばして大災害ではないことにできないかずっと思案していたのではないかという説.
なぜ熊本地震を大災害と認めたくないのか?
憶えておいででしょうか.来年4月からの消費税引き上げについて,安倍首相は「リーマン・ショックや東日本大震災のような事態が起こらないかぎり実施する」と言っていたことを.
だからメディアも今回の熊本地震の発生を受け,20日の記者会見で菅官房長官にこんなこ
とを聞いています.
記者:今回の熊本の地震を受けて、消費税を来年4月に引き上げるという考えには変わりないでしょうか。
菅:そこについては、全く現時点においては変わらないということです。
(中略)
記者:現時点において消費税については変わらないとのことですけども、かねてから、リーマン・ショックか大震災のようなことが起きなければ、先送りはしないとのことですが、だいぶ地震の全容が見えてきた今、今回の地震については東日本大震災のようなものには当たらないとお考えでしょうか。
菅:経済の好循環を力強く回していく、ここに政府として全力を取り組んでいるわけでありますから、そうした状況ではないというふうに判断しています。
菅義偉官房長官、熊本地震 は「大震災級という状況ではない」(ハンフィントンポスト)
ところが,いくらなんでも大災害過ぎて,どうにもこうにも取り繕えなくなった.
どうせ激甚災害指定することになるなら,いっそ,24日の衆院補欠選挙に合わせて利用してしまえ.
そんなところなのかもしれませんね.

何がおぞましいかって,徹頭徹尾,政府与党の都合で震災対応をしているということです.
そこに一切の邪念がない.否,邪念しかない.

安倍政権は,自分たちのやりたいことが予め決まっていて,しかもそれをなんとかゴリ押しできないかと必死のようです.
つまり,前回の記事で言う「ガンガンいこうぜ」状態なのです.
あまりにもガンガンいこうとし過ぎて,被災者支援よりも自分たちの理想国家実現のほうが大事.先に目標達成ありきで,それ以外の現実を無視してしまっている.
ようするに,環境に合わせた抑制がきいていないのです.こういうのは身体運動科学やスポーツ科学においても重要なテーマとされていますが,それはまた別の話.

「いのちだいじに」を徹底しろとは言いませんが,せめて「みんながんばれ」という姿勢で取り組んでもらいたいものです.

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