2016年6月22日水曜日

井戸端スポーツ会議 part 33「野球のコリジョンルール」

今年から日本プロ野球でも導入した「コリジョンルール(衝突ルール)」.
かなり問題視されているようですね.
ご存知ないという方は以下のニュース記事やウィキペディア情報をご確認ください.
誰も得しない? コリジョンルール 審判とプレーヤーの溝も深刻(スポニチ)
コリジョンルールで何が変わった?(スポーツナビ)
衝突ルール(wikipedia)

コリジョンルールとはなにか.
ウィキペディアから引用すると,
(1)走者が捕手に強引に体当たりをすることを禁じる
(2)捕手のブロックと走者の走路を妨害することを禁じる
(3)送球がそれるなど止むを得ない理由で捕手が走路内に入る時も衝突をなるべく避けること

(1)の場合,これらのプレーが悪質な場合は,審判団の解釈により選手に警告や退場を宣告できます.
(2)の場合はランナーがセーフ(ホームイン)になります.

そして,プロ野球でたびたび問題視されているのは,どこからどこまでが「キャッチャーがランナーの走路を妨害したといえるのか」という判断基準です.
つまり(2)と(3)のところで「走塁妨害だ」「いや妨害していない」ってことでもめているんですね.

でもこれって簡単な話です.
「ホーム・クロスプレー」は危険な衝突事故を発生させるのでやめてください.ということです.
ホームベースに向かうランナーに対し,キャッチャーが体を入れて妨害したらセーフになる.それだけのこと.意図的な身体接触が発生する場面を回避するルールなので,「ホーム・クロスプレーは野球の華」と考えている人にとっては「判断基準が不明瞭」などと不平を言うことになります.
けれど,そもそも「身体接触を起こすな」というルールなのですから,これまでの認識を改めてもらう以外に道はない.ルールに慣れるしかないのです.

キャッチャーってプロテクター(防具)をつけているでしょ? あれはランナーとの衝突に対応するためではありません.
本塁の審判(球審,アンパイア)もプロテクターをつけているのと同様,ピッチャーから投じられるボールや,ファールチップ(打ちそこない)のボールから身を守るためのものです.

そもそも,コリジョンルールが登場するより以前から,高校野球のルールでは「キャッチャーがホームベースでランナーの進塁を妨害する」ことは禁止されていました.ちょうど私が現役だった頃から適用されています.
以来,高校野球ではホーム・クロスプレーはほとんど見られません.古くからのファンの皆様はお気づきになられていましたか?
最近(10年くらい)野球を見なくなった私は,ようやくプロ野球でも採用されるようになったんだと,そんな感じで受け止めています.

知ってる人は知ってる話です.このルールが徹底され始めたのは,私が高校球児だった頃からです.2000年頃ですね.
なので今のプロ選手のほとんども知ってて当然の常識でして,混乱しているのはちょっと年配の選手だけのはず.

特段難しく考える必要はなく,私はすんなり受け入れられました.ようするに,
「ボールを持っていないキャッチャーは,ランナーが走ってくる塁線上にいてはいけない」
というルールです.

その新ルールの徹底のために催された講習会を受けた覚えもあります.
講習会を受ける面々の一部にも混乱がありましたが,そこで審判団が言っていたのは,「キャッチャーも普通の野手と同じ扱いになると思ってもらえればいい」というものでした.
一塁ベースをファーストがブロックしてたらおかしいでしょ? それと一緒です.
興味のある方は,
をご覧ください.そこにコリジョンルールのようなものが認められます.

ニュースにもなっている「西武―広島戦」のこのプレーですけど,
2016.6.14 広島対西武 コリジョンルール適用で判定が覆りサヨナラ勝ち!(youtube)これは明らかにセーフです.
ランナーが回り込まなければぶつかるのですから,キャッチャーが走塁妨害していることになります.
たぶんですけど,審判の人もそれまでの癖で「アウト」って判定したんだと思います.判定してからすぐ「あっ,これセーフだ」って思ったことでしょう.
審判も慣れてくれば,即座に「セーフ」と判定するようになるはずです.

コリジョンルールに否定的な意見に一通り目を通してみましたが,どの意見にも100%同意できません.いずれも,賢いとは言えないクレームの類です.
野球の面白さを削ってしまうのでは? という意見にしたって,キャッチャーとランナーがぶつからないだけで,ホームベース上でのボールとランナーの交錯はエキサイティングなことに違いはありません.
サッカーやラグビーのタックルの基準を上げたからって,エキサイティングになるわけではありません.バスケットボールをチャージOKにしたからって面白くなるわけでもない.そんなこと,ちょっと考えれば分かりそうなものでしょう.

本来なら,わざわざルールなんかにせず「キャッチャーも普通の野手と同じように走塁妨害の対象とする」ということで済むことなんです.
ところが,野球をやっている人にもバカや人間性に難のある奴が多いし,なにより「得点が入るか否かの切迫した場面」ですから,そうした警告を聞き入れない人もいます.
おまけに「クロスプレーこそ野球の華」とか言い出す人もいたりすので,だからルール化しなければいけなかった.そう解してもらえればOKかと.

極端なことを言えば,ホームベースに向かってランナーがスライディングするような時代はなくなることと思います.一塁のように駆け抜けるのが普通になるはずです.
キャッチャーにしても,ランナーと交錯する可能性があるボールを無理に塁線上でキャッチしようとしなくなることでしょう.他の内野手がそうしているように.それが健全な姿だと思いますし.

「そう言えば昔,ホームでキャッチャーとランナーが豪快にぶつかってたよなぁ」
っていう話を懐かしく語る時代がくるんですよ.