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やっぱり森友学園とか加計学園問題は議論している場合だった

結果的に,そういうことになりました.
もう1年前の記事になるんですね.過去記事でもこんなことを書いていました.
森友学園問題をまとめてみた
森友学園とか加計学園問題なんて議論している場合だ

ハンフィントンポストが一連の経緯をまとめています.
《3分でわかる》森友学園、財務省の文書「書き換え」疑惑をイチから振り返ってみました(HaffPost 2018.3.12)
鑑定価格よりも安い価格で国有地が払い下げられ、その経緯が問題視されてから約1年。これまで財務省は「価格を提示したこともない」「いくらで買いたいと希望があったこともない」などと国会で説明。決裁文書のコピーも提示した。
ところが、国会に示された決裁文書が「書き換えられた疑いがある」と3月2日に朝日新聞が報道、取引をめぐる決裁文書にはもともと「価格提示を行う」などの文言があったと伝えた。
一連の報道を受けて3月12日、財務省は「決裁文書の書き換えがあった」と認める方針だ。
ウィキペディアにもまとまっています.
森友学園問題(wikipedia)

やっぱりこの問題はクロだったし,安倍晋三も,この事態を終息させることができない政治家でした.
「現在の日本の置かれている状況をみれば,モリカケ問題なんて議論している場合ではない」
などと言い出す安倍信者もいますが,現在の日本の置かれている状況をみれば,モリカケ問題すら政治的手腕によって終息させられない安倍晋三こそが,我が国が抱える最大のリスクです.

今回,「決裁文書の書き換え」という致命的不祥事を認めてしまったので,あとは,この始末の責任をどこにもっていくのか? という話になります.
現時点(3月12日夜)では,政府は「一部の官僚が勝手にやったこと」というシナリオで着地させたがっていると受け取ることができます.

ただ,決裁文書の書き換えという極めて重大な作業を,「官僚が勝手にやった」とするには,それ相応の動機が求められます.
つまり,「9億5000万円の土地を,1億3000万円で売りたくなった理由」です.
これを捻り出せれば,一応は終息に向かうものと思われます.

話をおさらいすると,ゴミの撤去費用として8億2000万円かかるとされており,だから9億5000万円が1億3000万円になったという理屈だったのです.
しかし,このシナリオは既に昨年の時点で籠池氏本人の主張により崩れています.
「3m以深に廃棄物ない」 籠池氏、民進党にメール提出(朝日新聞2017.5.17)
しかも,そのやり取りというのが以下のようなものでして.
学園側が昨年3月に購入希望に切り替えた後、国は撤去費の算定に必要な資料の提出を要求。設計業者は同年4月8日、対応を相談するため弁護士らに送ったメールの中で、提出を求められたボーリング調査結果について、「約3メートル以深には廃棄物がないことを証明している」などと記載していた。
 また、その翌日のメールでも、設計業者は「敷地全体でも無いであろうと推測できる」などとして「じゃあ、そんなに(金額を)引けないですよね……という正論で負けてしまいそうな感じがしてなりません」と弁護士などに伝えている。
 これを受け、弁護士は「裁判になれば負ける要素になるのであれば、それは仕方ない」として、ボーリングの調査結果図を国側に提出することを見送るよう提案。同月10日、設計業者は「今回ボーリング調査に関する資料は抹消いたしました」と報告した。
つまり,籠池氏は「ゴミの撤去費用」を理由に8億2000万円値引きしてもらうというのは,交渉材料であり,しかも嘘であることを自覚しています.
では,籠池氏は国を相手に詐欺をしたのか? すなわち,「ここにはゴミが埋まってるんやから,8億2000万円安くしろや」と言ったのか? という話になります.

実際,昨年度末には,ゴミ撤去を理由に近畿財務局職員へ値引きを迫る音声テープが流出しました.
財務省、「1億3千」の音声データ存在認める 森友問題(朝日新聞2017.11.27)
籠池氏は,明らかにゴミを理由に値引きを迫っています.

というわけで,本件は「籠池氏がゴミ撤去を理由に,9億5000万円の土地を1億3000万円で購入した詐欺事件だった」という着地点が見えてきますが,これではあまりにも官僚がバカ過ぎる話です.
だって,官僚としても「じゃあ籠池さん,ゴミが出てきたというのなら,実際にそのデータを見せてくださいよ.本当に8億2000万円もかかるんですか?」とか言えばいいのですから.

これについて,本件を籠池―財務局ラインで企てた土地売買とみる人のなかには,
「今回の事件は,産廃や同和問題を抱えている曰く付きの土地を,森友学園に安く売りつけることで,両者のウィン・ウィンを図ったのだ」
と考える向きもあるのですが,それは認められないことになります.
上記の音声テープのやり取りから見えてくるのは,近畿財務局としては「土地を安く売ろうとはしていない」ことです.

そんな中,ここで「不正のための伝家の宝刀」として有名な「タイトなスケジュール」が出てきます.
「いろいろ問題があるかもしれないけれど,急いでいるんだから仕方がない」
「スピードを重視しなければいけないから,細かいことは抜きにして進めよう」
これが実は結構強力なんです.社会に出て仕事をしている方であれば,よく分かるのではないでしょうか.
そういう話が出てきたら,高い確率で表沙汰にはなりたくない,真っ黒な事案です.
それこそ,取り交わし文書や決裁文書を改竄・訂正する事案ですね.

森友学園問題でも,やっぱりこの「タイトなスケジュール」がキーワードになっていました.
ちなみに加計学園版を以前記事にしたことがあります.

このブログを書いている本日(3月12日)に財務省から出てきた「決裁文書」には,以下のような文章がありました.
近畿財務局から森友学園に対し、資料提出を速やかに行うよう要請したところ、森友学園から(1)当初計画していた本年7月の大阪府立審議会への諮問を本年12月に変更したいので、その前提で対応してほしいとの要望とともに、(2)豊中市との開発協議を急ぐ必要があるため、大阪府が小学校新設に係る設置計画書を受理した段階で、近畿財務局から豊中市に「森友学園との本財産の契約を締結することを証する」旨の文書を提出してもらいたいとの要望あり。
ニュースでも度々取り上げられていた,「開校を急いでいた」という話ですね.
でも,「急ぐ」って言っても,官僚としてはそんなもの「急がず着実にやってください」と言えば済むことです.
かなり昔の記事で大学設置について記事にしたことがありますが,そこでも取り上げたように,教育機関の設置は慎重に条件をクリアしていく作業が必要になります.
大学設置不認可について,大学教員として言いたいこと
ですから,開校を急ぐ理由がよほどのものでないと,審査を粗くはできません.

で,実は,上記の文章には続きがあります.
それがこちら↓
なお、打合せの際、「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた。」との発言あり。
その他,書き換え前後の文言がこちらに紹介されています.
財務省、森友文書の報告書に安倍昭恵氏の名前 消された文言はこれだ(HaffPost 2018.3.12)

もちろん,この「安倍昭恵夫人からの言葉」は,籠池氏がついた嘘かもしれません.
安倍昭恵夫人の発言をでっち上げて,土地購入をゴリ押ししたとも考えられる.

ただ,いくらなんでも,売買契約に関する文書の中に,首相夫人の発言を書き込むのはいかがなもんでしょうか.
あんな文章が入ったものを回されたら,役人としては印鑑を押しちゃいますよ.押さない選択肢なんて無いじゃないですか.
私の想像以上に,露骨な忖度誘発行為です.

しかし,繰り返しになりますが,この夫人の発言が本当かどうかは分かりませんし,それによってどのような影響があるのか未知数です.
場合によっては,それこそ官僚が勝手に夫人の発言をでっち上げたのかもしれないし.

森友学園問題の次の焦点は,この辺りになるかもしれませんね.