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この地に赴任してくる巡査のエピソード

この場所がどこなのかは詳しく教えないけど


今日,雇っているパートの人たち(みんな高齢者.最高齢は81歳)と,この地区・集落にまつわる面白エピソードで盛り上がりました.

なかでも,ここの交番に赴任してくる巡査(おまわりさん)の話がとびきり面白かった.

田舎の交番・巡査にありがちな話ではあるのですが,やはり牧歌的でいいですね.


やることが一切ないから暇でしょうがない


ここ十年くらい,警察その他公務員に対する世間の目が厳しいこともあって,あんまりなことは出来なくなっているものの,それほど厳しくなかった時代(2000年代以前)の田舎の交番は面白エピソードの宝庫です.

まず,事件が一切起こりません.
特に私が住んでいる地域の人たちは,皆様,何もかも自分で完結させてしまうタイプの人が多いもんですから,人の手を借りることを嫌います.
そんなわけで,非常に自律しているので,「事件」になりにくいということもあります.

事件を一切取り扱わなくていいし,地域の皆さんは気さくで楽しいことから,この地区の交番に赴任してきた警察官は,ほぼ全員が「留任」を希望します.

これ,マジです.

仕事するのが,楽しくて仕方ないらしいんです.
いえ,それは正しい表現ではありませんね.

実際,まったく警察としての仕事をしなくていいからです.

朝起きて,自転車でパトロールという名のツーリング.
家々を巡って,おっちゃんおばちゃんと談笑し,交番に戻って一服.
あとはフリーの時間を過ごします.
あ,これも正しい表現ではありませんね,フリーの時間なんてありませんから.

暇でしょうがないから,かつてのお巡りさん達は,フリーの時間ってことにして,いろいろと遊んでいたそうです.
川にいる大型のカニである「ツガニ(一般的にはモクズガニという)」を採ったり,ウナギを採ったり,ウサギを猟銃で捕ったり,山を借りて果物や山菜を採ったり等々.
それはそれは,のんびりと仕事をしていたようです.

だって,事件が起きないから.

あまりにも事件が起きないので,この高知県西部・幡多地域を管轄している中村警察署の署長さんが,
「いくらなんでも何も起こらなさ過ぎだ.何十年もあれば,1件くらい事件が起きないとおかしい」
と言って文句をつけに来たこともあるそうです.

当然,赴任しているその巡査に聞き込みしてもダメですから,地域住民に聞き込み捜査をしたそうです.
当時,中村警察署から警察官が押し寄せて聞き込み捜査してくるもんだから,一体何事かと騒然となったみたいですね.

事件がまったく起きていないわけではないのですよ.
特に交通事故なんてのは,どうしても発生します.

ところが,手続きや報告書類を作成するのが面倒なので,この地区民同士の事故なら,その巡査が,
「当事者同士で示談」
ってことで済ましてしまいます.

何十年か前に,地区で何かの会合があった時に,酒盛りをした帰りにその参加者同士で自動車事故を起こしたことがあったそうです.
飲酒運転プラス衝突事故というわけ.
でも,そのときの巡査も事故をもみ消しました.

何のことはない,この巡査も会合に参加して,酒盛りしてからパトカーで帰ってたんですから.


昼間っから酒盛りを始める


着任してから2年ほどすると,地域にも慣れ,地区の人たちとも仲良くなり,仕事も勝手が分かってくるようになります.
そうなってくると,この地区に赴任した巡査は,昼間っから酒盛りを始めるのです.

もちろん,一人で飲むわけじゃありません.

ここは土佐の高知の山間の地.
結構たくさんの人が,仕事の休み時間に,昼間から酒を飲みながら楽しい席を設けていたりします.

そんなところに「パトロール」と称して訪問してくるのが巡査です.
そしたら,「お巡りさんも一緒に飲んでいきや」とか言われちゃうんですね.
当然,その酒盛りに参加することになるわけですよ.

いろいろな家を巡りながら,そこで酒を飲んで交番に戻る.
それが日課になってきます.

そのうち,地区の会合にも,必要もないのに呼ばれるようになってきます.
そこで一緒に酒盛りをするわけですよ.
で,前述したようなこととになると.

かなり以前(50年くらい前)の話ですが,酔っ払った巡査が,宴会の席で拳銃を子供に貸して空撃ちさせてたことがあるそうです.
今だと全国ニュース&即解雇ですね.

そんなことが何代にもわたって続くもんだから,ある時,この高知県西部・幡多地域を管轄している中村警察署の署長さんが,
「ここの交番に赴任した奴は,みんなアル中になってしまう.どうしたことか!」
と言って文句をつけに来たこともあるそうです.

これ,マジです.

もちろん,この地区の人たちは面倒を嫌うし自律しているから,そんな交番・巡査の実態について巧妙に隠蔽してきたわけ.
これがホントのウィン・ウィンの関係というやつです.


留任のための嘆願書を作成したこともある


こんなに幸せな職場,離れたくないじゃないですか.
だから留任したくなるわけです.
でも,何年かしたら必ず転勤になるんですよ.

かつて赴任していた巡査の一人が,どうしてもこの地区を離れたくないということで,住民の人たちといろいろ結託したことがあったそうです.
なんでも,巡査をその交番に留任させるためには,住民が嘆願書を書くと有効だという話があったらしく,かつて,この地区で署名運動をしたこともあったみたいです.

「この巡査はこの地域の安全と安心に非常に寄与しているため,ぜひとも今少しの期間留任させるよう希望する」
みたいな嘆願書を作って,署名運動して中村警察署に届けたらしいですよ.

これ,マジです.



なんにせよ,事件が起きないのが一番ですね.
まあ,事件が起きてももみ消してるんだけど.

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