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新型コロナの陽性者が急増しているらしい

こういう話は医者に聞かないほうがいい


「根拠はないけど,この感染者増加はGoToトラベルが原因だ」などと,トチ狂ったことをメディアの前で言い出す人が出てきました.
新型コロナウイルスの感染が急拡大していることについて、日本医師会の中川俊男会長は18日の会見で、政府の旅行支援策「GoToトラベル」が「きっかけになったことは間違いない」との見解を示した。
中川氏は感染拡大とトラベル事業との関連性を問われ、「『GoToトラベル』自体から感染者が急増したというエビデンス(根拠)はなかなかはっきりしないが、きっかけになったことは間違いないと私は思っている。感染者が増えたタイミングを考えると関与は十分しているだろう」と話した。

「きっかけになった」
「関与している」
などという玉虫色の表現をしていますが,こういうのを医師会長ともあろう立場の人が,メディアの前でしゃべるのはダメだと思うんですけど.


あのですね,意外に思うかもしれませんけど,「医師」って実は研究者じゃなくて技術者に近いところがあるので,存外,科学的な話に弱い人が多かったりします.
これはちょうど,自動車の仕組みについては,「ドライバー(医師)」よりも「設計士(研究者)」の方がよく知っていることに似ています.
もちろん,医師免許を持って,医師の仕事をしながら,研究者をやっている人もたくさんいることもご承知おきください.


私もこっちに帰ってきて,周囲の人たちによく言うのが,
「テレビとかで,医者のコメントは話半分に聞いといたほうが良いですよ」
というものです.

そもそも,医者は新型コロナのことに詳しくありません.
当たり前です.
だって,新型コロナなんだから.

知らない病気のことについて尋ねられたら,
「厳重注意してください」
「とにかく活動を控えてください」
としか言いようがないのです.
だって,この病気のことに詳しくないんだから.

感染症対策の専門家でもないんですから,本来ならこういう人たちに,未知のウイルス感染症のことについてコメントさせるのはダメだと思うですよ.
世のため社会のためになりません.

でも,「医者だから」ってことでコメントさせる風潮がありますよね.
これ,今回の新型コロナ騒動が終わったら,日本社会として反省会を開いたほうがいいと思う.

医師免許を持っている持っていないに関係なく,「ウイルス感染症対策」とか「統計学」の専門家に話をうかがうべきです.


念の為,誤解しないでください.
私はなにも,「この感染症の急増には,GoToは無関係だ」と言っているわけではありません.

そうではなくて,根拠がないのなら,「根拠がない」とだけ言えばいいということ.
どうしてそれ以上に,自分の「願い」を差し入れる必要があるのか.
それが混乱と誤解と風評被害を生むことになるのに.


これは,「マスクの感染症予防効果」についても同様です.
マスクの着用が感染症予防に効果があるかどうかという話で盛り上がった時期がありましたね.
で,当時は「根拠はない」ということになっていました.
であれば,「根拠はない」とだけ言えばいいんです.

ところがこの,「根拠はない」という表現が,「効果がない」と受け止められてしまうことが多いんです.

実際には,今でも「はっきりとした根拠はない」という状況だと思います.
よく,「マスクに効果があるという実験結果が出た」というニュースを見ますが,どうやらそれらの実験から解釈できるのは,限定的な効果のようです.

どういうことかと言うと,新型コロナやインフルエンザというのは,主に空気中に漂うウイルスを吸い込んで感染するわけではないからです.
もちろん,それが感染源の一つではあるものの,圧倒的に「ウイルスが付着した食品の摂取」と,「ウイルスが付着した手指」による体内への取り込みがメインです.

感染者がマスクをしていたとしても,そのマスクに手を触れてから何かに触ったら,その時点で感染源を増やしていることになります.
同様に,非感染者がマスクをしていたとしても,ウイルスが付着した手指でマスクを触れば,そこからウイルスをガンガン吸い込むことになります.

マスクの効果を調べたという実験では,こうした「使用上よく見られる状況」の要因は観察しきれていません.
あと,マスクと顔にわずかでも隙間があれば,効果はほぼ無くなるという報告もあります.
マスクを着用している際,終始完全な状態でいられる人なんてほぼいません.
それに,完全な状態にするためにマスクの位置を直そうとすれば,その時点でマスクに手を触れることになります.
その指にウイルスが着いていたら,ベットリとマスクにウイルスを塗りつけることになるんです.

だから,依然として「手洗いが最も有効」「顔(目・口・鼻)を触らない」と言われているのです.

そんな実施上の注意点なども考慮すれば,いっそのこと「マスクをした方が危険」とも言えることになります.

実際,スウェーデンのコロナ対策担当者は,そういう趣旨のことを述べています.
マスクをしているからと安心して,ベタベタとウイルスを撒き散らし,そして取り込む行為をしやすくなる可能性があるからです.
感染再拡大のスウェーデン、対策主導の疫学者がマスクの効果を疑問視(ニューズウィーク 2020.8.31)

結局,上記のようなことを総合的に考慮しなければいけませんから,
「マスクに新型コロナの予防効果があるかどうかについて,まだ根拠がない」
としか言えないのです.

もちろん,これは「マスクに感染症予防効果がない」と言っているわけではありません.
分からない,根拠がない,と言っているのです.

今後,私達の社会は「根拠がない」ことと「意味がない」の違いを,明確に使い分けられるようにするべきでしょう.
これからの時代には,必要なリテラシーだと思います.



この半年間,一体何をしていたのか?


さて,そんな感染者(実際には陽性者だろうけど)が急増しているわけですが.

私としては,GoToとの関連について,それが「原因」かどうか,「関与している」かどうか,「きっかけ」かどうかなんて,いずれも興味がありません.

なぜって?
だって,夏からGoToを始めた時点で,これにより「感染者が増加する」ってことは折り込み済みの話だったはずだからです.

覚えておいででしょうか?
思い出しましたか?
そうでしたよね?

感染者が増加するけど,経済を止めたらもっとヤバいことになるから,ってことで始めたのがGoToです.
それをここに来て,出川哲朗バリに「ヤバイよヤバイよ~」って言ってるのは滑稽というもの.

GoToで感染者が増加するから,それに対応できる医療体制を整えるっていうのが国や各自治体の対策だったはずでした.

で,その医療体制の変化ですが.
特設サイト新型コロナウイルス(NHKホームページ)
によると,以下のようになっています.

全国の新型コロナ対応ベッド数について,GoToキャンペーンが始まった7月22日以降として,
8月4日時点では「20314台」.
9月6日時点では「26370台」.
10月30日時点では「26878台」.
そして,11月17日時点では「26934台」とのこと.

・・・・,ほとんど増えてねぇ!

ってことになります.
9月からは完全に横ばいです.

むしろ,GoToやっても感染者が増えない,っていうか,減ってるから大丈夫だろうとばかりに放置した感があります.

ですけど,医師会の会長がどう言おうと勝手ですが,この手のウイルス感染症というのは「季節(気温と湿度)」との関係が強いとされていますから,
「今年の冬対策が急がれる」
という提言もたくさん見聞きしましたよね.

ところが,それをやってこなかったというのが現状なんです.

もちろん,全くの無策というわけではないでしょうけど,十分なものとは言えません.
冬に向けて医療体制を充実させるっていう話は,一体何だったのかと.

それもこれも,結局は「お金の出し惜しみ」をする政府の罪としか言いようがありません.

GoToやってもいいんですよ.
むしろ,私としては推奨しています.
オリンピックもやればいい.

けど,それにより感染症が増加する危険性もついてまわるのですから,当然,その対応も一緒にしなければいけなかったはずです.
これが研究者とは異なる,政治家としての判断なのですから.

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