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私が赴任していた大学が,今年の入試で撃沈していた件|責任者は責任をとってほしい

まさか,もしやとは思っていたけど・・・


昨晩,その「中の人」とオンライン飲み会をしたんですけど,どうやら私が奉職していたことのある大学が,今年の入試戦線で早々に撃沈していたとのことです.

私がご縁のあった大学はいくつかありますが,どの大学も今年に関しては大丈夫そうでした.
今どき,どの大学もたいてい「入試情報」とかで受験者数や倍率などを公表しています.
先日の記事である,
でも書きましたが,このコロナ禍にあって,むしろ関東に居た頃の大学の学部学科は,受験者数が増加していました.

ですから,今年の大学入試の傾向としては,たしかに受験者数は減少しているものの,大学入試と来年度入学生に及ぼす影響は比較的小さいと考えられます.
これは私が適当にしゃべってることではなくて,専門的に分析しているメディアさんも,そんなことを述べています.
2021年度入試、私立大の志願者数は2年連続の減少、倍率低下が予想される(大学ジャーナルオンライン 2021.2.10)
国公立大学2次試験の出願は受付最終日の15時現在で前年の同時期と比べて4%減少しています。大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の出願者数も前年比96%ですので、最終的な2次試験出願者数は前年より4~5%の減少となりそうです。国公立大学全体で見ると学校推薦型選抜の募集人員が23人減少していますが、総合型選抜の募集人員は1643人も増加しています。その分、一般選抜の合格者数は減少するため、志願者数が減少しても倍率はそれほど変わらないものと思われます。

つまり,コロナ禍にあっても,中堅どころの大学以上であれば,コロナの影響はほぼ無いに等しいのです.


ただ,今回話題としている(以前私が勤めていた)大学は,もともと経営方針がチャラかったので,嫌な予感はしていたんです.

で,中の人に聞いてみたら,やっぱりダメだったらしい.

その人,さっき紹介した,
の記事も読んでくれたようなのですが,
「まるでうちの教授会に出席していたかのような内容だね」
とお褒め(?)の言葉を頂戴しました.

入試担当の先生や職員さんが,
「今年はコロナの影響を受け,どこも軒並み受験者数を減らしており・・・」
と述べていたようです.

いや,そりゃどこも受験者数は減ってるでしょうよ.

けどね...,ってこと.

そもそも,その傾向は今年に始まったことじゃありません.
あと,なんだかんだでコロナの影響もあるとは言え,全国的に顕著な受験者減少となっているわけでもないのです.
むしろこのコロナ禍では,東京を始めとする大都市にある大学が敬遠され,地元志向が強いと分析されており,地方大学にとっては有利な部分もあったのです.


一方,その大学はまさに
「壊滅的」
とのこと.

ずっと減少傾向ではあったようですが,ここに至って大幅減少となったそうですね.

入試担当者の敗戦の弁も,可哀想で聞いてられないほどだとか.
つまり,言い訳が見つからないらしいんです.


どうしてこんなことになったのか?
その話も,
で述べていますが,今一度ここで引用しておきましょう.

「コロナ禍が影響していない」というのは言い過ぎだとしても,このコロナ禍によって高校生や保護者,そして高校教師は,「堅実な高等教育を提供している大学」を選ぶ傾向にあるでしょう.
こういう状態を,教育業界では「安全志向」とか「地元志向」などと表現したがります.
まあ,そんなこと言い出して10年近くになりますけどね.
私が大学教員を始めた2010年頃から,ずっとコレを言ってる気がするんですが・・・.
そんでも,このコロナ禍は,そういう志向を際立たせることになるのは事実かと思います.

で,なかでも「安全志向」と言われても何を安全だと思っているのかって言うと,このコロナ禍においては,「堅実な高等教育の提供」なんですよ.
つまり,
「とりあえずココに入学しておけば,たとえコロナ禍があと数年続こうとも,なんらかの形で大学教育を授けてくれるんじゃないのかな」
っていう意味での堅実性.

言い換えれば,
「なんか怪しい宣伝をしてくる大学だけど,とりあえず自分自身が入れる偏差値の大学に入っとけば,あとはなんとかなるんじゃね?」
的な発想で受験・入学を希望してくれる生徒・保護者・進路指導は少なくなっちゃうということです.

そういう学生層をメインターゲットにしてきた大学が,今年は慌てふためいているのです.


で,慌てふためいているのがその大学というわけ.

だからあれほど言ったのに.

今から何かしようったって,もうどうにもならないですよ.
この状況は,これまでの5年10年が響いているものです.
来年に向けて今から何かできることなんてありません.

大学にとっての「今」は,5年後10年後にようやく結果が見えるものです.


さて,ではこの状況を作ってきた人は誰でしょね? っていう話になります.
すなわち,5年前10年前に大学の舵取りをしていた奴は誰か? っていうこと.

なんのことはない,10年以上前から,経営トップはずっと同じメンツでした.

この人達は,まるでレゲエのリズムにのって陽気にダンスを踊るが如く,ハチャメチャな大学運営をしてきたのです.
最近は「焼きたてパン」を提供するとか言ってました.

いよいよこの大学も末期だなと思っていましたが,本当に末期だった.
今年は定員割れ確実となったようですが,そんなに驚きもありません.


驚いたのは,私達が当時から「大学経営陣の犬」と評していた,とある日和見教員が,なんと経営陣に向かって,
「この事態の責任は誰がとるんですか?」
と発言したことです.

いやマジでこれにはびっくりです.
っていうか,事態はそれほど逼迫しているとも言えます.


案の定,これに入試担当や経営陣もだんまり.
さあ,これからどうするってことで緊張感が高まっているそうです.

その大学の「中の人」も不満を漏らしていましたが,近年,あれだけ「大学ガバナンス改革」を推奨し,権力集中・トップダウン方式の経営に転換してきたくせに,こういう肝心なところで「責任」をとりたがらない責任者が現れたこと.

どっかのブログ記事にしたんだか,小説に書いたんだか忘れちゃいましたけど,かつて私はこんなことを述べたことがあります.

「権力を集中させて,責任の所在を明確にすればするほど,その最高責任者による責任逃れが酷くなる」

そしてこれはたぶん,日本社会の空気においては,さらに顕著になるだろう,と.

まずは日本の政治でこれが発生しましたね.
「私はこの国の総理大臣ですから」などとのたまい,「トップダウンによりスピード感をもって政治をする」ということで,権力集中と責任の所在を明確にした結果,どのような不祥事が起きても,「その指摘は当たらない」と言って逃げ回る政府ができました.

それだけならまだしも,責任をもって取り組まなければならない事からも逃げ回る.
失敗したら自分の責任であることが明々白々な事は,そもそも手も口も出さなくなるわけ.
つまり,責任が明確なのですから,その責任を何が何でもとりたくない心理が働いちゃうんですね.

大学においても,これが発生しているようです.
皆さんのところは大丈夫でしょうか.


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