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忘れられない不思議な人々(7)「ごきブラ」の3人

「ごきげん!ブランニュ」の赤井英和,トミーズ雅,太平サブロー


関西以外の人はご存知ないかと思いますが,関西ローカルでかつて,「ごきげん!ブランニュ(通称,ごきブラ)」(朝日放送)というバラエティ番組がありました.
2001年から2016年まで深夜枠で放送されていたようです.

とは言うものの,私は見たことないんですけどね.

で,この番組に出演したことがあります.
10年くらい前のことです.


きっかけは,大学に,
「レギュラー出演者の3人(赤井英和,トミーズ雅,太平サブロー)の体力測定をする企画があるので,その監修をしてほしい&可能であれば出演してほしい」
という依頼が舞い込んだからです.
その依頼を(勝手に)承諾してしまった大学が,
「じゃあ,誰にこの仕事お願いしようか」
ってことになって,それでうちの指導教員に泣きついてきたのが発端でした.
(バラエティ番組への出演なんて,誰もやりたがらないから)

うちの指導教員も,最初は断っていたんですが,しつこく泣きついてくる広報室の職員(それなりに仲が良いし)に根負けして,とりあえずテレビ局からの企画を聞いてみようという話なりました.
まあ,この時点で断ることはできなくなるわけですけど.


それで,朝日放送(関西では「ABC」と呼ばれることが多い)から企画を担当するプロデューサーが研究室へ訪問し,企画書を出して説明したんです.
一人じゃ手に負えない(一人じゃこっ恥ずかしい)と思ったうちの先生は,番組にもうひとり同行することを提案し,その相方として私を呼び出します.

先生から「ちょっと来てくれ」と呼ばれて研究室に行ったら,30歳代の女性プロデューサーが企画説明に来ていました.
てっきり,テレビ番組のプロデューサーって中高年の人がやっているものだと思ったら,意外と若い人がやってるんですね,って思いました.

プロデューサーは説明を始めます.
「お二人は,『ごきげんブランニュ』という番組をご覧になったことはありますか?」
と切り出してきました.

私と先生は顔を見合わせ,
「いえ,知りません」
って答えました.

ホントに知らなかったから.
私なんか,うちにテレビが無いし.
先生は早寝早起き派なので.

プロデューサーの方,結構残念そうでした.
というのも,「ごきげん!ブランニュ」は関西ではかなり有名な深夜番組で,深夜なのに視聴率が10%を超える怪物番組だったらしいんです.
自分の番組に自信があったんでしょう.


A4用紙で3枚くらいの企画書をいただいたんですが,そこに番組の企画内容が簡単にまとめられていました.
へぇー,これがテレビ番組の企画書というやつかぁ,って興味深かったです.


そんなこんなで,テレビ番組の収録に付き合わされることになりました.

収録は,朝の8時から大阪市内の陸上競技トラックのある公園で行いました.
そこで,出演者に文部科学省「新体力テスト」をやるっていう企画です.

「スタジオか体育館でやればいいのに・・・」って思いましたが,やっぱり見た目が大事らしいんですね.

そして現地に入ります.
手軽な体力テスト方法ではありますが,それなりに準備が必要なので,これに取り組んでいると,出演者の3人が集まってきます.

最初はトミーズ雅さんが登場.

この人,テレビ番組や漫才では元気にしゃべくり回る人なのですが,カメラがまわっていないと沈黙の人でした.
なんにもしゃべらない,むしろ,暗い人なんです.
待機中は,芸人・タレントのオーラを全く消し去ってしまっています.

で,カメラが回り始めると,途端にハイテンションになる.
お笑い芸人さんて,こういう人がいるんですね.


次に太平サブローさんが登場.
入ってくるなり,プロデューサーやディレクター,カメラマンやその他諸々のスタッフ陣に,ペコペコと頭を下げて一人ひとり挨拶して回ります.

そのうち,うちの先生に気づいて,一際丁寧に挨拶.
「このたびは番組に出演していただいて誠にありがとうございます」
などと,テレビ局の人以上に懇切丁寧に挨拶してくるんです.

で,そこから少し離れたところで,体力テストの準備をしていた私にも気づいたようで,わざわざ小走りでこちらまでやってきて,
「君も今回手伝ってくれるんやな.ありがとうな.お世話になります!」
って.

太平サブローさんって,メッチャ良い人じゃないですか!
私の中では好感度爆上げです.


最後に,開始間際に滑り込みでやってきたのが赤井英和さん.
朝一で東京から新幹線で来たらしい.
新大阪からはタクシーを飛ばしてきたとのこと.

しかも,東京で朝まで飲んでたと言ってました.
つまり徹夜.
新幹線に乗る前には,ワインボトル1本空けたみたいですよ.

だから赤井さん,完全に酔っ払ってるんです.
近寄るとかなり酒臭い.
そして顔も赤い.赤井だけに.

こんな状態で,あと数分後から収録なんですけど,大丈夫なんだろうかと思いました.

それでも赤井さん,うちの先生を見つけると丁寧にご挨拶.
というのも,実は赤井さんは,うちの大学の事務職員と関係があってですね.
うちの先生に,
「先生は◯大の方とお聞きましたが,事務の◯◯さんはお元気でいらっしゃいますでしょうか? ◯◯さんに宜しくお伝えください」
と,物凄く恐縮した面持ちで挨拶してました.

こういうの見ると,体育会系のつながりって面白いなと思います.


バラエティ番組って,収録現場ではそんなに面白くないんです


それが率直な感想です.
あとで編集とかして,面白くするみたいですね.

収録中,私は体力テスト結果をすぐに解析・分析するためにいました.
例えばスタッフや出演者の人が,
「今,赤井さんは立ち幅跳びが◯mだったけど,これってどんな値なの?」
聞いてきたら,それをいろいろな観点(平均値とか年齢別レベルとか)から答えるわけです.
これを聞きながら,発言内容とか笑いのネタとかを作っていくという感じ.

意外としっかりやってるんだな,って思いました.
やっぱり,いい加減なことをしゃべると視聴者からクレームが入ることがあるので,それなりに気にしてるらしいです.


そんなやりとりをしているうち,出演者の3人が先生や私をいじり始めました.
体力テストしかやってないんだから,笑いのネタが尽きてくるんです.

3人とのからみは,それなりに面白かったんですけど,関西ローカルとは言え,そんな私の姿がテレビに出るのは嫌だなぁと思ったので,あの女性プロデューサーの人に「カットしてください」って頼みました.
プロデューサーの方曰く,
「3人とこんなにからめるのは滅多にないことだから,もったいないのに」
ってことですが,それでもねぇ,嫌ですよ.

放送では,3人とワチャワチャからんでるところは,全部カットになっています.
まあ,映像的に面白くなかったからかもしれないけど.


放送後,メールがどっさり来た


いろいろとカットしてもらったとは言え,普通に作業しているところはカットになっていません.

それで高視聴率番組でしょ.
放送が終わった頃に,友人知人から,
「お前,なんで『ごきブラ』に出てるん!?」
っていうメールがどっさり入ってました.

さすが高視聴率番組.
みんな,結構見てるんですね.

それはうちの先生も言ってました.
友人知人から電話やメールがいっぱい来たって.

結局,先生も私も,自分が出てる「ごきブラ」は見てないんですけど,楽しい思い出になりました.

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