2009年4月20日月曜日

先日の「科学について」での言い漏らし


先日の記事で,触れなければいけなかったのに触れなかったことと,その他,言い残したことを書こうかと思います.

「科学とは?」 への回答として “科学的方法を用いた学問” としましたが,では
「科学的方法とは?」
ということに触れていませんでした.

さっさと言ってしまえば,
“科学者や分野によって,それぞれ”
というのが無難な答えなのでしょうが,それではあまりにも身も蓋も無いので,包括的に対応するものを紹介します.

科学的方法については,あのデカルトが示したものが有名です.
厳密に紹介するとなると,難しい用語や言い回しになってしまうので,私なりに咀嚼して示すと,

⑴ 明確に「間違いない」と判断可能な視点かどうか
⑵ 明確に「間違いない」と判断可能な対象であるかどうか
⑶ 単純な知見を解決してから複雑な知見に言及していく
⑷ 見落としがないことを確かめながら知見を構成していく

ということを網羅する営みを「科学」というのだそうです.
分かったような分からないような....

例えば ⑴ と ⑵ ですが,「幽霊」を科学したいなら,そもそも「幽霊」を科学として扱える対象かどうかを考えなければいけません.
「幽霊の体温を計りたい」 なら,これを科学することはできません.なぜなら,まず幽霊が存在することが “明確に「間違いない」” と判断できないからです.

どうしても幽霊を科学したいなら,

⑴ まず「幽霊が存在する可能性はあるか」を確かめ,
⑵ 「存在するならどういう状態か」,を定義し,
⑶ その存在はどのように確かめる(測定する)か,を模索し,
⑷ 測定したなら,その機器や測定値は妥当か,を検討する

といった具合に徐々に展開していくのです.
そうすれば,いつか「幽霊」についての科学的知見が得られるかもしれません.

実際に,「神は存在するか」といったようなことは議論されていますし,エーテルという謎の物質が空間には存在するかどうか(存在しないことが証明された)ということも議論されてきました.
身近な例では,病気とかのウイルスとか細菌とか.
目に見えない,存在が確かめられない物を,いかに 「存在するんだ」 ということを証明するか,といったことと概念としては大差ないのですから.

科学的方法について,ここでの重要なポイントは,「測定」 です.
上記から浮かび上がって来るのが,
科学が対象とできるもの,つまり,科学的方法を用いることができる対象というのは 「測定できる物」 なのです.
なんらかの方法で数値にできることが重要なのです.

話が前後して脱線しますが,,,.
幽霊の存在,ウイルスの存在 云々...と言ってきましたが,そもそも 「それ」 が存在するかどうか? っていうのは,実は非常に難しいテーマです.
では,このテーマに答えられますか?

ヒトは存在するか?

どうやって証明しますか?
できません.できないんです.
存在するということを当然として,というか無理矢理前提にして測定し,科学しているのです.いちいちそんなこと考えてたら,むしろバカかと思われるんで.

バカと天才は紙一重といいますが,幸いなことに天才だったデカルトさんは,このことについてこう考えました.

我思う 故に我あり

有名な一文ですが,ゴッツイ重要な一言なんです.

世の中のありとあらゆる物の存在を証明することはできない.だけど唯一証明できる物がある.それは自分自身の存在だ.なぜなら自分自身が存在するかどうかを考えている自分自身が存在しているからだ.という意味です.深いです.



では,小難しい話は置いといて,現代における科学的方法の具体的な手順はというと,

⑴ 先行研究の調査
⑵ 予備実験・調査,詳しい対象観察など
⑶ 仮説作り
⑷ 実験・調査
⑸ 分析・考察
⑹ 発表・査読

という流れ・方法を踏むことが科学だとされています.

実際の研究現場では,⑴ が ⑸ と一緒になってたり,⑵ や ⑶ については無意識にやってたりといったところ.
⑹ まで至らない研究も多いというのも現場を知っている人は分かってくれるかもしれません.



あと,先日の勉強会で口走ったことに,
「ニュートン力学は厳密には否定されている理論である」
ということについて.
これは物理学で言うところの “厳密には” ということであって,例えば科学の一知見としてはいまだに有用です.
でもこの 「有用」 というのがミソで,ニュートン力学を “利用” することで済まされる分野・研究(まぁ,ほとんどですが)では価値のある理論なわけです.

物理学は一切の矛盾や誤差を認めない分野です.
そういった意味では,現在では 相対性理論 に取って代わられていますが,相対性理論によってニュートン力学が全否定されたわけではありません.
ニュートン力学で十分説明できることであれば,使えば良いのです.

別に宇宙の果てを知りたいわけではないし,日常生活でブラックホールに遭遇しないよう気をつけているわけでもないですし.


また今週も勉強会がありますが,今回はどんな内容なのか楽しみですね.