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読書しなくなった日々


最近,とんと読書しなくなってしまいまして.
以前はまったく読まなかった小説(村上春樹)を少し読むくらい.

今日は気合いを入れ直すために古本屋へ行き,古本屋なのに新書を5〜6冊ほど買い込みました.

アタリの本があればいいのですが...


そんでもって今夜は,その買ってきた本は読まず,以前から読もう読もうとしてて結局ページをめくっていなかった今西錦司 著『進化とはなにか』に手をつけることにしました.

進化論を唱えたのははラマルクやダーウィン(ウォレス)だけではありません.
日本の霊長類学者である今西も独特な進化論を唱えています.その氏が自身の進化論についても語っている著書です.

進化論については,
・ラマルク(用不用)進化論
・ダーウィン(自然淘汰)進化論
が有名ですが,その2つと別の進化論,
・今西(棲み分け)進化論がそれです.

今西進化論では,「種」 に対する考え自体が一般的な生態学とは異なることから自然科学としてみなされていない場合もあるそうです.
氏の言う 「種」 とは,生態や生理が非常に良く似た生物のグループを 「種」 であるとし,これを「種社会」と呼びます.

この種社会はいろいろな契機によって分裂し,“棲み分け” ます.
なぜ棲み分けるかというと,生物はできることなら “競争しなくてよい棲み分け” を選ぶだろうというもの.
わざわざ自分の身を危険にさらしてまで生きようとは思わないということです.

これは,同じ種のカゲロウが同じ川であっても,上流と下流とで棲んでいる場所によって形態が違うことから考えられたそうです.

棲み分けた先で生活を営んでいるうちに,少しずつその場所に適した生理・生態に変化してゆき,あるポイントから同じ種であるとは言えなくなる境界が出てくる.それが種の分裂,すなわち進化なのだとします.

こうした進化のかたちはラマルクの用不用進化論と親和性が高いですが,「種」そのものが競争や環境に勝ち抜くために望んで生理・生態を変化させたということではなく,「成るように成った」 という進化論が今西進化論なのです.

この今西進化論は今の進化論の主流ではありませんが,進化の過程を説明する重要な議論を投げかけました.
つまり進化は,
“競争によって生き残ること”
ではなく,
“とにかく生き残ること”
が根本的なモチベーションになっていると言えます.
ガツガツした競争ではなく,共生が進化の要因になっているという考えは今でも影響を及ぼしています.


現在,進化論の主流はラマルクでもダーウィンでもありません.
自然淘汰という意味ではダーウィンの流れも含んではいますが,木村資生という日本人が提唱した中立進化論が有力です.
中立進化論とは,置かれた環境や競争に,最もどうでもいい突然変異を起こしたものが生き残るというもの.
その環境に有利でも不利でもない変異が生き残る.
まさに 「出ない杭は打たれない」 わけです.
生物の世界も人間社会も,深い...

でも,これについてはまた別の紙面で.

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