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銃について


借りて読んだので手元にありませんが,村上春樹 著『1Q84』に以下のような記述があります.
「物語に銃が出てきたら,そこからは弾が発射されなければならない」

たしかにね.

撃たれることがない銃がアイテムとして物語中に出てくる意味がないし,弾が発射されなきゃ銃としてのアイテムの価値がないというものです.
出てきたからにはどこで使われるんだろうという読者の期待もありますから,小説中では銃というアイテム,ギミックが出てきたら必ず発射されるシナリオにあるということです.

『1Q84』での銃の役割は結構大きいですし,その小説でも発射されたかどうかは実際に読んでみてください.


ということで,というわけではないですが,最近,星川武 編『図説 世界の銃』なるものを買って眺めてみました.
銃の歴史から,名銃,珍銃,未来の銃と,銃についての細かいところを解説した本(雑誌)です.

で,以下に銃のうんちくをいくつか...


印象深かったのはAK-47(通称・カラシニコフ)というアサルトライフルについての記述.世界で最もリーズナブルで性能の高い銃.史上,最も人を殺した銃でもあります.
AK-47ができるまでの開発秘話や開発者の想いが載っています.
これを全体的に読んでみて,“性能の高い銃” と言われているのは,破壊力や命中精度ではなく,「信頼性」 だということに気づかされます.

砂漠,寒冷地,ジャングルと,いかなる環境下でも弾詰まりや故障無く扱えることが重要な性能なのだそうです.

カタログスペックが通用しない世界.
野球で言えば,ブルペンエース(練習やW-UPでは最高の成績・パフォーマンスを発揮する投手)などではなく,内容はどうでもいいから,とにかくアウトを3つ獲れる投手が重要だということと一緒です.

拳銃で言えば,リボルバー(弾倉が回転する銃.お巡りさんが持っている銃)は弾数が少ないけど弾詰まり(ジャミング)を起こさないということで現在も重用されています.
あの世界最強の殺し屋・ゴルゴ13(架空の人物)やルパン三世の相棒・次元大介が携帯する銃もリボルバーです.信頼性が大切なのですね.

007ことジェームズ・ボンドが愛用する銃はワルサー・PPK(消音付き)が有名ですが,実は最近の作品ではワルサー・P99(上の写真)に変わってるそうです.
ワルサー社は人間工学的に扱いやすい銃を開発しているそうで,スパイであるボンドが愛用する銃としてふさわしいコンセプトです.
ちなみに,007はダブルオーセブンと読みます.ゼロゼロセブンは間違いです.

ダーティー・ハリーで有名になった銃にマグナム銃というのがありますが,“マグナム” というのは正式には銃の名前ではないそうです.てっきりマグナムという銃があるのかと思いきや,「マグナム」という弾(火薬量が多く,破壊力が高められた弾)を使用できる銃のことをマグナム銃というのだそうで,本来は弾の名前のこと.
ちなみにダーティー・ハリーが使っている銃はS&W・M29という銃です.

ちなみに,そのマグナム弾の中でも最強のマグナム弾(.50AE)を専用に使用できる銃ということで,実質世界最強の銃の名をほしいままにしているのがイスラエル製「デザートイーグル」.
気持ちよくぶっ放せるのでアメリカでは愛好家も多いんだそうです.アメリカ人は狂っているようです.

ワルサー,S&W,ベレッタ,H&K,コルトといった有名な銃の製造会社は全て海外.
では,日本製の銃の性能はと言うと,お世辞でも最低なんだそうです.
戦前の日本製の拳銃には「自殺銃」という,撃って殺した数より暴発で自爆死した数の方が多いという劣悪な銃も開発されていました.敗戦に一役かったようです.
戦後はだいぶマシになりましたが,それでもまともに撃てる銃はなく,自衛隊の訓練では弾詰まりが激しいからってんで,口で「ダダダダダダッ」で言いながら撃ち合っているそうです.マジです.
そんな訓練したくねー!
悲しくなってしまいます.

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