2010年1月13日水曜日

政権交代まで:ダイジェスト


劇的な政権交代から半年近くが経とうとしています.
とても大きな出来事でしたので国民の関心も非常に高かったのですが,学生と話していると今回の「政権交代」までの動きがどのようなものか知らない人が多いようです.

「山が動いた」と形容される自由民主党の下野までの歴史.
政治番組等では周知の事実として取り上げたり,知らないことをいいことに いい加減な情報を流したりしています.

たしかにニュースや情報番組を見るだけでは不十分だと思います.
ここは一つ,昨日と同じように さらりと戦後日本の政治をおさらいしましょう.
知ってて損はないと思いますので.


第二次大戦が終了した1945年に「日本自由党」が結党されます.この党が最も強い党でした.
党首は今の日本の総理である鳩山由起夫の祖父である鳩山一郎です.
第一党である日本自由党の党首である鳩山一郎,自動的に総理になる予定だったのですがGHQがイチャモンをつけてきてポシャります.
そこで急遽ピンチヒッターを務めたのが吉田茂です.
吉田茂はサンフランシスコ条約の締結や日米安全保障条約を結ぶなど,戦後処理をうまく成し遂げたことで有名です.

この時代の野党はと言うと,「日本共産党」と「日本社会党」が有力でした.
ちなみにこの両党はその後ずっと党名も政治主張も大きく変えずに今日に至っています.
(日本社会党は現在「社民党」と名を改めているが)

日本自由党はその後,「民主自由党」,「自由党」などと名前を変えながら吉田茂が総理を務めあげていきますが,バカヤロー解散や造船疑獄といった事件により吉田茂の支持率が下がります.
こうしたことを背景に,1955年,最大勢力である自由党と,日本自由党から追放された鳩山一郎が党首を務める「日本民主党」が結党して保守本流の一大政党をつくります.
これが「自由民主党(自民党)」です.

一方の野党はと言うと,自民党に対抗できる党は日本社会党くらいのものでした.
つまり,自由民主党と日本社会党による二大政党制になったのです.
1955年から始まったこの政治体制,これが有名な55年体制です.

でも実際は二大政党というのは名ばかりで,日本社会党は自民党を突き落として政権交代できるほどの力も意気込みもなかったというのが実情で.巷では1.5大政党制などと揶揄されていました.こうして自民党を中心とした戦後政治が進みます.
(今でもそうだが,)社会党は理想主義に訴えて反対のための反対を唱え,一方の自民党はそれを聞き流しながら現実的な戦後復興をするという,ある種の “民主主義ごっこ” を続けていたというのが実際のところです.←これ,戦後政治の重要なポイントです.

強大勢力を誇った自民党ですが,時を追うごとに内部分裂も進みます.
90年代,いよいよ自民党から離党して独立した政党をつくる議員が大量発生します.小沢一郎や菅直人,鳩山由紀夫などはこうして自民党から離党した議員です.
90年代初頭は,こうして自民党から離党した議員による小党(新党さきがけ,太陽党,日本新党,新進党などなど)がウヨウヨ乱立する時代がありました.
この結果,自民党の力は徐々に削がれていきます.

そして1993年,この乱立する小党が連立することにより,非自民党政権である細川内閣が誕生します.実に38年ぶりの政権交代でした.ここに55年体制は終焉を迎えます.
....,
ということで,政権交代というのは実は今回が初めてではありません.
メディアでは「歴史的!」などと煽られていますが,16年前にもあったのです.

その後,自民党は政権を奪還すべく,なんと宿敵・社会党と連立します.
こうして誕生したのが社会党の党首である村山富市を総理とする村山内閣です.
政権を奪還するためとは言え,事もあろうに社会党の人間を総理大臣にするという,最もやってはいけない手段を講じた自民党.国防,安全保障,災害対策,いずれの政策も理想主義に飾られたダメ内閣である事は始まる前からわかっていたのですが.戦後最悪の時代として有名です.

こうして社会党は国民の信頼を真の意味で失い,没落していき今に至ります.
しかし,この一件は同時に自民党の信頼も失う事になりました.
その後の自民党は一党で過半数を取る事ができなくなり,「公明党」と連立することで体制を維持します.これが最近までの自公連立です.

一方,乱立した小党は一つにまとまります.
1998年,自公連立政権に対抗するため,「民主党(旧)」を母体として「民政党」「新党友愛」「民主改革連合」が結党します.
これが今の「民主党」です.

自民党も小泉純一郎を総理として人気を上げてきたのですが,その後は力及ばず,民主党に追い上げられます.
そして,昨年の2009年8月,ついに政権交代となりました.

前述したように,16年前にも政権交代があったのですが,それでも今回の政権交代は趣がちょっと違います.
以前の細川内閣の時は,力の弱い小党がこれでもかとくっ付きまくって連立した政権だったのですが,今回は民主党 一党だけで政権をとったことが大きいのです(国民新党と社民党と連立していますが,これらはコバンザメみたいなものです).

ですので,今回の政権交代の最も大きな特徴というのは,
“自民党以外の政党が自力で政権運営できる政権交代”
というのがポイントなんです.