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授業評価アンケート論 2025|チャットGPT
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前回の続きです
近々,「教員を評価する」というテーマでインターネット番組が配信されるそうで.
その番組制作者さんから取材および出演依頼があったので....,ということをきっかけに「授業評価アンケート」について論じているところです.
大学における授業評価アンケートの問題点を取り上げたのが前回記事でした.
今回は,じゃあこの問題をどうすればいいか? について主に述べていきたいと思うんですが.
その前に.
最近は「チャットGPT」なるものが世界各地で猛威をふるっており,多くの業界でその有効性が話題となっています.
実際,私もそこそこ使っています.
私は農家なので,最初のうちはかなり限定的な使い方しかしていませんでした.
ですが,慣れてくると物凄く有効なツールであることが分かってきたのです.
これはこれで面白いので,もうちょっと使い込んできたら「農業向けチャットGPTの使い方」みたいな記事を連載してもいいかなと計画しています.
さて,前回の記事では主に,私の過去記事,およびオールナイトディスカッションをした先輩教員との間で出てきた話題を取り上げたんですけど...
この「大学における授業評価アンケート」について,チャットGPTに聞いたらどうなんだろうと思って,使ってみたんです.
そしたら,私なんかに取材しなくても十分なんじゃないかと思うくらい,授業評価アンケートについての評判,批判,経緯,将来像が出てくる出てくる,わんさかと.
やっぱ恐ろしいツールだな,これ.
私が普段聴いてる「朝日新聞ポッドキャスト」でも,記者の人たちがチャットGPTを使って取材活動を効率化できている,っていう話をしていました.
それを今回,私もなんとなくイメージできた感じです.
ただ,チャットGPTにも弱点があります.
それは,当然のことですが「ネット上にアップされているテキストメディア由来の情報以外は出せない」というもの.
この授業評価アンケートについても,チャットGPTでは私が前回記事でまとめた「問題点」のまとめ方と同じにはなりません.
それは「無難な評論」であり,血肉の通った生々しい匂いのする評論ではないんです.
そういう点が,やはり実際に当事者から取材しなきゃいけない部分でもあるのでしょうね.
特に,授業評価アンケート活動の最大の問題点と私が考えていることは,
文部科学省からお金をもらうために仕方なく取り組んでいて,それは大山鳴動して鼠一匹な活動だとわかっているのに,誰もこの活動をやめて建設的なものへとアップデートしようという意志がない
という点なのですが.
なお,チャットGPTに聞くと以下のようになります.
**チャットGPT**
-
評価の限界と偏り
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学生の満足度が主観的かつ一時的であり、授業の教育効果そのものを正確に測れていないという指摘がある(例:Marsh, 2007)。
-
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評価が教員の行動に与える影響
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評価を意識するあまり、教育内容よりも「人気取り」に傾く危険性があるとされる(例:Boring, Ottoboni, Stark, 2016)。
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アンケート設計とデータ活用の課題
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質問項目が曖昧・一様で、教員の特性や授業の多様性を正しく反映できていないとの批判がある。
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結果が十分に教育改善やFD(Faculty Development)に活かされていないとの分析も多い。
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多面的評価の必要性
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アンケートだけでなく、学習成果・同僚評価・授業観察との組み合わせが必要とされる(例:Aleamoni, 1999)。
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制度的・文化的背景の影響
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教員の評価に対する抵抗感や、大学側の活用体制の未整備が、制度としての実効性を妨げているという指摘もある(日本国内の研究より)。
-
はい,極めて優秀なレポートですね.
凄いです.
おそらく,上述した私の指摘点を,オブラートで何重にもくるんだものが「5. 制度的・文化的背景の影響」の部分になるのだと思います.
たしかに,公式な場に提出するレポートであれば,チャットGPTの方が適切です.
また,その他の1〜4の部分についても,前回記事の中で取り上げているものと同じです.
書き方が違うだけで,指摘している内容はほぼ一致していることが分かると思います.
じゃあ,どうすればいいか
これについて,まずはチャットGPTに聞いてみました.
質問の仕方としては,「授業評価アンケートをうまく活用できている大学の共通点を分析してほしい」というものにしてみました.
そしたら,うまく活用できている事例を列挙したあと,以下のような総括をしてくれています.
授業評価アンケートの活用がうまくいっている大学は、「アンケートを取ること」ではなく、「結果を意味ある行動に結びつけること」に注力しています。
つまり、評価→分析→支援→改善→公開という循環的プロセス(PDCAサイクル)を教育の中に組み込むことが成功の鍵です。
なんとも優等生な回答です.
でも,これでは事態は好転しません.
なぜなら,そんなことは20年前からずっと言われてきているのに,ほとんどの大学がそうしないまま現在に至っている現状をみれば明らかです.
20年前からずっと言われてきている,っていうのは本当です.
私が院生の頃から,ずっとそんなことを言ってきてます.
なのに,ぜんぜん改善の気配がないままです.
なので,チャットGPTにこのように尋ねてみました.
「授業評価アンケートがうまく活用できている事例があるのに,大学全体ではなぜ長年にわたって改善しようという動きが弱いのか?」
そしたら,こんな回答をしてくれます.
**チャットGPT**
とても本質的なご質問です。
たしかに、授業評価アンケートをうまく活用して授業改善につなげている大学は存在しますが、それでも大学全体としての活用がなかなか進まず、「改善の動きが鈍い」と感じられる背景には、いくつかの構造的・文化的な要因があります。以下に、主な理由を整理して解説します。
1. 形式的・義務的な運用に陥っている
多くの大学で、授業評価アンケートは「やることが目的化」しており、結果をどう使うかという視点が弱い。
実施はしているが、教員への還元や改善支援が実質的に行われていないケースが多い。
→ 例:「回収率○%」「実施済み」だけが管理指標になっている。
たしかに、授業評価アンケートをうまく活用して授業改善につなげている大学は存在しますが、それでも大学全体としての活用がなかなか進まず、「改善の動きが鈍い」と感じられる背景には、いくつかの構造的・文化的な要因があります。以下に、主な理由を整理して解説します。
と言って,以下のような解説をしてくれました.
**チャットGPT**
1. 形式的・義務的な運用に陥っている
多くの大学で、授業評価アンケートは「やることが目的化」しており、結果をどう使うかという視点が弱い。
実施はしているが、教員への還元や改善支援が実質的に行われていないケースが多い。
→ 例:「回収率○%」「実施済み」だけが管理指標になっている。
2. 教員側の心理的・実務的な抵抗感
「評価される」こと自体への心理的抵抗感。
教員の立場からは、「学生の気分」や「人気」に左右される評価を信頼できない・重視しないという声も根強い。
多忙な中でアンケート結果をじっくり読む余裕がない、改善に時間や労力をかけられないという実態も。
「評価される」こと自体への心理的抵抗感。
教員の立場からは、「学生の気分」や「人気」に左右される評価を信頼できない・重視しないという声も根強い。
多忙な中でアンケート結果をじっくり読む余裕がない、改善に時間や労力をかけられないという実態も。
3. 大学の組織体制の未整備
授業評価の結果を分析する専門部署がない、あるいは機能が弱い。
教員に対してフィードバックを行ったり、改善を支援するFDセンター等の活動が十分でない。
教員個人任せになりやすく、制度的なサポートが欠如している。
4. アンケートの設計や分析手法の質的限界
「わかりやすかったか」「面白かったか」など、表層的な項目に偏りがち。
自由記述の活用が難しく、定量データのみを漫然と確認して終わる。
学生の記入も形式的で、**回答の信頼性が低い(適当・無回答など)**という課題がある。
5. 評価結果と人事・教育改革との連携不足
授業評価が教員評価やカリキュラム改革に直接的に反映されていない。
そのため、教員側も「やっても変わらない」と感じ、改善のインセンティブが働かない。
また、結果を公開しないことで、学生にも意味が伝わらず、関心が薄れる。
授業評価が教員評価やカリキュラム改革に直接的に反映されていない。
そのため、教員側も「やっても変わらない」と感じ、改善のインセンティブが働かない。
また、結果を公開しないことで、学生にも意味が伝わらず、関心が薄れる。
6. 「成功事例」の共有不足と一般化の難しさ
先進的な大学では成功していても、他大学に横展開する仕組みがない。
成功には人的資源・財政・文化など複数の条件が絡むため、他大学での再現が難しい。
かなり現状をまとめてくれています.
そう,たしかにこういう状態なんです.
(つまり,ネットにアップされている授業評価アンケートに関するレポートや論文には,こういうことが書かれているのです)
あらためて,じゃあ,どうすればいいのか? ということですが.
チャットGPTには「授業評価アンケートの課題を踏まえて,大学の授業の将来像を大胆に描いてみてほしい」と尋ねてみました.
そしたら,こんな回答になりました.
**チャットGPT**
1. 個別最適な授業が当たり前に
AIが学生一人ひとりの理解度や興味に合わせて教材や進度を調整。
「わからない学生に合わせる」授業ではなく、全員に最適化された学びが実現。
2. 学生と教員が一緒に授業をつくる
シラバスや教材設計に、学生が初めから関わる。
授業後には学生からのフィードバックが即座に反映され、内容がその場で進化。
3. AIとデータで授業を評価
授業後のアンケートではなく、学習の変化や思考力をAIが自動分析。
投稿、質問、テスト結果、議論の内容などから、実際の学びの深さを可視化。
4. 教室の枠を超える学び
リアルな教室と、VR空間・メタバースが融合。
世界中の学生・専門家と一緒に、仮想空間で実験・討論・体験。
世界中の学生・専門家と一緒に、仮想空間で実験・討論・体験。
5. 教員の評価は「どれだけ学生を成長させたか」
点数や人気ではなく、学生の変化・社会的影響・プロジェクト成果などで評価。
「教育の本質」で教員が評価される時代に。
そうそう,これこれ.
概ね私も同意です.
おそらく,10〜20年後くらいにはこういう授業になってきているだろうな,と思っています.
もっと直近で,現状改善のアイデアはないかチャットGPTに尋ねてみましたが,出てきたアイデア中に私と同じ意見のものがありました.
それは,「対面とオンラインの最適融合」です.
対面とオンラインを使い分けた授業展開
これについては,かなり以前に過去記事で取り上げたことがありました.
その記事はこちらです.
授業評価アンケートの課題を踏まえたものとして,
そもそも,教員自身の授業量を減らせばいいのではないか
というコンセプトの改善策です.
具体的には,講義動画であったり,昨今流行りのゲーミフィケーションを用いた学習システムを用意し,学生は授業としてこれに取り組みます.
そして,その学習システムをやっただけでは理解できなかったことを,教員との対面の時間を用意して補足していくというわけ.
教員としては,毎回毎回学生たちを前にした授業をやらずに,学生からの質問に受け答えることが主な仕事になるでしょう.
私は,授業評価アンケートの形骸化を改善させる見込みはないと思っています.
なんせ,20年以上にわたって何の改善もなかったんですよ.
今から何かが起きると思うほうがおかしい.
それよりも,次のステップに進んだほうが絶対いいと思うんです.
そして,その方向性は「授業をやらなくて済むようにする」というものが適当ではないでしょうか.
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