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2月, 2012の投稿を表示しています

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エクササイズからスポーツへ

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「運動(エクササイズ)とスポーツの違いはなんでしょう?」 という質問を学生にすることがあります. 「体育とスポーツの違いは?」と続けて問うこともあります. この違いについては「なんとなく」分かったつもりになっている人が多いものの,いざ答えるとなると意外と難しい問いでもあります. その違いはWikipediaや専門書を見ればわかるのですが,ざっと言うと 「 運動(エクササイズ) 」というのは何らかの目的があって(または目的なく)行われる身体運動全般のこと. 「 スポーツ 」はルールや規則に則って行われる遊戯的かつ競争的な身体運動を伴う活動のこと. そして「 体育 」というのは,スポーツや運動(エクササイズ)を用いた(用いることが多い)教育(科目)のことです. 研究者や国によって意味に若干の違いはあれど,上記のような感じになります. ところで,このグラフを出すのはこれで3回目になりますが,今回は「コンクリートから人へ」ならぬ「 運動(エクササイズ)からスポーツへ 」というテーマで一つ書きましょう. どうせだからってんで,もう一枚グラフを用意しました. その他,メジャーなスポーツの参加人数を平成14年(2002年)から平成22年(2010年)まで示したものです. いずれも 公益財団法人日本生産性本部 編 『レジャー白書2011』 からの引用です. 我が国は球技やスキー,水泳といった “スポーツ” が軒並み参加人数を減らしています. 参加人数が減っているものをピックアップしているわけではないですよ. これ以外のほぼ全てのスポーツが参加人数を減らしています. それとは逆に,ジョギングとかトレーニングといった,どちらかというと “エクササイズ” とか “フィットネス” という表現が似合う分野が好調です. フィットネスは私が関わっている分野でもあるため気分はいいのですが,そんな私からして, フィットネス・エクササイズの分野が伸びてスポーツが落ち込んでいるのは,大局的に捉えればスポーツ・レジャーの終わりの始まりだ. と考えているのです. というのも,前回の記事 ■ コンクリートからスポーツへ とつながっているのですが,ジョギングとかトレーニングが伸びている要因の一つとして, 「あまりお金をかけなくてもできる」

コンクリートからスポーツへ

先日(2月22日)の参議院での「国民生活・経済・社会保障に関する調査会」なる場において,京都大学の藤井聡先生が現在の日本における公共事業(公共投資)の重要性を説いておりました. トンチンカンな質疑をする議員もおりましたが,こういうデータに基づく意見が為政者に届くことは大事です. 私も藤井先生のご意見は至極まっとうなものだと受け止めております. 公共事業については私自身も今から2年前,地元・高知の某工科系大学の人々と語り合いまして,その時の内容と激しく一致しておりましたので,意見を同じにする人が参議院の場で発表していることに心強い想いがしました. その2年前の記事である ■ 語り合う日々 でも取り上げましたが,デフレ状態に陥った社会を景気回復させるには公共事業しかないのです. ましてや昨年の東日本大震災で地震の恐怖を改めて実感させられ,劣化したインフラの作り直しや耐震補強も必要であることを再認識させられました. 四の五の言わずに,ドカタのアンちゃんにドリルとツルハシをふるってもらいましょう. 藤井先生もどこかの場でおっしゃっていましたが,こういうことって,その道の研究者間であれば常識なんだとか. 例えば,諸外国に比べ日本は, (1)公共事業が少ない (2)道路が少ない (3)山や谷が多くて建築・建設が難しい(コストがかかる) といったようなこと. ではなんでその「常識」が広まらないのか? なんとなく犯人は分かってきますけどね. こういうのってスポーツ科学の世界でも結構あって,「あまり知られていないけど実際は違うんだよ」というものとして,例えば (1)疲労物質=乳酸 (2)10分以上運動を続けると脂肪が燃え始める (3)柔軟性が高いとケガをしにくい といったようなことでしょうか. これらは全てスポーツ科学では「間違い」ということで常識ですが,未だに信じられていることが多いパチ情報です. 公共事業の話を無理矢理スポーツと関連づけてみますね. これまた地元の話ですが「四国アイランドリーグ」です. 私もまだ学生時代だった2005年に立ち上がったプロ野球独立リーグです. 発足当初は運営陣の見通しの甘さが指摘されていましたが,実際にそうで,地元の私から

エクセルExcelでΧ二乗検定を part2

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前回の■ エクセルExcelでΧ二乗検定を の続きです. 今回は「期待度数(期待値)」の部分を少しいじった分析方法を紹介します. ところで, 大学の入学試験において学科によっては「実技試験」が課されることがあります.スポーツとか音楽とかデッサンなどが主なものでしょうか. 実は,実技試験の点数のつけ方は(きっとどこの大学も)結構しっかりしていて,受験者数が少数であったとしても,配点の分布は「正規分布」させるように指示があります. 「正規分布させる」,というのは,上の図のようなベルカーブを描いた度数に受験者人数を分布させるということです. まあ,実際にはベルカーブを描いたように末広がりには行きませんが,人数をそれに近しいようにさせます. 例えば,100点満点中で採点するのであれば, 100~80点を1割 79~50点を4割 49点~20点を4割 19~0点を1割 といった人数(度数)になるよう受験者を振り分けながら採点します. なぜなら,こうしておかないと大学・教員の裁量ひとつで偏りのある学生募集につながることになってしまうからです. 例をあげると,ある先生がスポーツ実技試験の中でも 「サッカー部にとって欲しい学生がたくさん受験していた」 という理由で,サッカーの実技を希望した受験生全員を100点にしてしまう,という事態が起きてしまうかもしれません. これでは公平な入学試験とは言えません. そうならないように,例え受験生全員が甲乙つけ難いスーパー・アスリートであっても,機械的に正規分布させるような採点を行ないます. 一昔前ならわかりませんが,最近はこのようにして採点します. 高校の先生や保護者によっては,「先生の力で,うちの子の点数をちょっと・・・」などと頼む人もいますが,残念なことに現在ではそれはできません. 最近の大学はスキャンダルに怯えていますので,外部の目もさることながら,内部の目がしっかりと光っています. 以下の記事を読んでも不安がある場合や,元の作業ファイルで確認したい場合は, このリンク先→「 統計記事のエクセルのファイル 」から, 「エクセルでχ二乗検定(2)」 のエクセルファイルをダウンロードしてご確認ください. 今回紹介するΧ二乗検定は,こうした“あらかじめ

エクセルExcelでΧ二乗検定を

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以前の記事にも書きましたが,人生において卒論でしか統計処理をすることがないであろう学生に,RだとかSPSSの使い方を教えるのは面倒です. なので Excelだけでなんとかさせよう という企てです. 「X(エックス)二乗検定のやり方を教えてください」 と元気に質問してくる学生にも温かく対応してあげている私ですので. 以下,Χ二乗検定のことを微塵も知らない人に向けた「エクセル操作」の記事ですので,統計のエキスパートの方はご容赦ください. ※後日,「そもそもアンケート調査のやり方自体で困っている」という人のために, ■ エクセルだけで統計処理する卒論・ゼミ論用アンケート調査のオススメ方 part1 とか, ■ アンケートだけで卒論・修論を乗り切るためのエクセルχ二乗検定 を書きました. こちらもどうぞ. 以下の記事を読んでも不安がある場合や,元の作業ファイルで確認したい場合は, このリンク先→「 統計記事のエクセルのファイル 」から, 「エクセルでχ二乗検定(1)」 のエクセルファイルをダウンロードしてご確認ください. Χ二乗検定というのは, 「実測度数と期待度数との差を統計的に検定する」 というものです. Χ二乗を「エックスにじょう」と読む学生は,この時点で何を言っているのか分からないかと思いますので,具体的に話しをしていきましょう. では,どんな場合にΧ二乗検定が利用されるのかというと,以下のようなデータの場合です. 何を統計処理にかけたいのかというと, 回答の比率に差があるかどうか? つまり, 「はい」と回答した人は「いいえ」と回答した人よりも【 多いor少ない 】ということを統計学的に裏付けをとりたい ということです. 35人(70%)の方が15人(30%)よりも多いに決まってんじゃん.バカなんですか? と生意気にも言い出す学生もいますが,そこは優しく対処してあげてください. こういうデータをExcelでΧ二乗検定したい場合は,上記のように入力しておきましょう. 回答パターンは2択ですね. 「はい」 か 「いいえ」 です. 2択なので,「はい」と「いいえ」のいずれかを回答する可能性は50%. と

スポーツ復活計画 さしあたってスキー

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先日まで大学の「スキー実習」で雪山にこもっておりました. 一週間経って下界に下りてきましたが,特に世の中に何か変わった様子はないようです. 受講している学生は「まだ帰りたくない」と名残惜しんでいましたが,私としてははゲレンデを離れるのが寂しいという気持ちは一切沸かず,むしろ早くネットが使える街に戻りたい,普通の大学の仕事ができる環境に戻りたいとワクワクしながらの帰り路. こちら側としては準備にエネルギーをかなり割いている企画ですので,さっさと終わらせたい重労働. 実際,昨年の1月〜2月はこの「スキー実習」があったがためにブログを休止しておりましたし. んで,実習はというと, 私が講習を受け持った班の学生達はスキー未経験組. 初日はいたるところで “産まれたての子鹿” や “雪だるま状態” になっており苦労しましたが,次の日からは緩い斜面なら安定して滑れるようになっておりました. 転倒せずに滑れるようになったら楽しさも倍増するものです. 4日目からは中級者コースを滑れるようになり, 「プライベートでも気軽にスキーを楽しめるように」 という当初の目標は達成. なにより,学生にケガや強い疲労感を起こさせずに終えることができたことに満足しています. しんどい想いをして上手くなっても,スキーを続けようとは思ってくれないでしょうから. 写真は受け持った班の学生との記念写真. バレないよう,しっかりとぼかしております. さてこのスキーですが,以前の記事, ■ 事実に基づく教育を でもふれたように,年々衰退の一途をたどっております. 一目瞭然ですね.参加人数は10年前の半分です. 実際,私としてもこの「スキー実習」という “大学の御仕事” がなければスキーをやっているかどうか怪しいもので. 「用具費や交通費が高い」,「まとまった日や時間が必要」,「初心者にハードルが高い」といったネガティブな要素がたくさんあるスポーツなのです. 「私をスキーに連れてって」とかいうTVドラマの影響を受けてブームに火がついたそうですが,当時・小学生にもなっていない私にはさっぱりの経緯です. 私としては “連れてって” などという受動的な態度でスタートしたブームだから衰退したのだと邪推しております. 他には冬季オリンピックの

【やってはいけない】卒論・ゼミ論を1日で書く方法

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この時期(12月〜2月)の大学はといいますと,いくつかの研究室のドアから 「今からでも卒業論文を書け.じゃないとゼミの単位出さないからな」 という怒声がこぼれてくる季節でもあります. 日本の冬の風物詩ですね. 「明日までだぞ!」 と言われてしょんぼりドアを後にした学生もいるかと思います. そんな学生がこの記事をググって見つけていたりするのでしょうか. 以前, ■ 卒論が終わったので紀要を書いてみた でも紹介したように,その気になれば + 方法がわかれば卒業論文は1日でできてしまいます. 切羽詰まった学生は 「その気」 にはなっているでしょうから,問題となるのは 「方法」 ですね. 少しだけ時間があるのであれば,後日記事にした, ■ 危ない大学でもちゃんと卒論を書きたいとき や,具体的な文章の書き方を示した, ■ 【卒論・ゼミ論】絶望的な君が無理矢理「急成長」する方法 ■ 【やったほうがいい】卒論・ゼミ論をまずまずの日数で書く方法 その1 ■ 【やったほうがいい】卒論・ゼミ論をまずまずの日数で書く方法 その2 を参照してもよいでしょう. でも,1日で論文を書かなければならないうえに, (1)今現在,卒論は全くゼロの状態である (2)ある程度寛大に見てくれる指導教員である (3)卒論も大事だけど,今日の夜はコンビニのバイトがある という条件の人は,以下の論文作成法に手を出してしまう可能性があります. 今回の記事では, 【絶対にこんなやり方をしてはいけない】という論文作成法を紹介します. ただし,「なぜそれがダメなのか?」 ということを取り上げるんだよ,という趣旨として読んでください. あくまで「この論文の書き方は違反だ」という認識でお願いします. この季節, いろいろな大学で以下のような悪徳論文指導法が春の萌芽に先駆けチラホラ出現するので気をつけましょう. これに水を撒くのはブラックな大学院生であることが多いようです. 数年前,関西の某体育大学には以下の方法を密かに(時に大っぴらに)学生に伝授する助手がいたようで,恐るべきことに彼は今,別の大学に移って教員をやっていると聞いております. 良い子は以下を読んでもマネしないように. ******