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そうだ 中国、行こう。

本学の海外研修のひとつに,
「中国の素晴らしさを経験してもらう」
という目的と趣旨のものがあります.

先日まで,その海外研修の引率として中国に渡っていました.
昨年も地震直後のこの日程でした.
当時のブログ記事は
マスコミの無恥
です.
あの時期から,すでに1年が経ったのですね.
あっという間でした.

今年も行き先は上海.
大都会のど真ん中にある高級ホテルに宿泊です.

長引く円高と固定相場による低い人民元の為替レートによって,高級ホテルにも安く泊まれます.

そんなこんなで,高級感がある割に渡航費が安いことも手伝って学生のウケは良い研修です.


私は学内で最も下っ端なうえに引率の “補佐” という形で参加していますので,研修内容や流れ・趣旨といった事にあれこれ口出しすることは避けていますが,やはり「中国」ということで言いたいことはあるわけで.



この1週間ほど,自分自身のブログを更新はもちろんのこと,閲覧も出来ない状態でした.
それもこれも,Googleが中国から検索事業を撤退しているためです.
GoogleマップやGmail,Google カレンダーは使える状態ですが,ブログやWeb検索のページは開きません.

中国がこういう事態になっていること,けっこう学生は知りません.
知っといた方がいいと思うんだけどなぁ.

せっかくの海外研修ですから,ここはひとつ,中国の現実を学生に教えにゃならんと,GoogleではなくYahooでのWeb検索.
「中国 チベット」
と入力して出てくるサイトをクリックすると “eroor” と表示されることを見せました.

「え!?どうして!?」
という反応が出るのが,ある意味残念.
本当の意味での国際関係の勉強の必要性を切に感じます.


あと,学生は実際に上海の街を歩いていますが,そこで何を見た(視た)のかも大事でしょう.
観光気分で街を歩くだけでは,海外研修の意味が薄れると思うんです.

日本円で何十万円もするスーツを売っているブティックのすぐ隣に物乞いが座っているという “不思議な” 状態.

華やかで活気のある通りの裏は,鼻をつまんで通りたくなる異臭漂う淀んだ空間.
「格差」をまざまざと見せつけられます.

実際,中国経済は「進むも地獄 退くも地獄」な状態になっています.
つまり,人民元を変動相場制にして打って出るか,このまま何もせず圧政で国民を押さえ込んで耐え忍ぶか,です.

現在の状況で変動相場制にしてしまうと間違いなく人民元高になってしまうため,安い人件費を武器にしていた輸出産業がダメージをくらい,失業者が増え,デフレになり,崩壊が始まります.
アウトです.

では,このまま国民を中国得意の圧政により押さえ続けることができるかというと,これも難しいのではないでしょうか.
Googleが撤退したとは言え,インターネットの普及は進んでいますし,中国政府に批判的な言論が増えていることは事実です.

研修中にも出会ったのですが,やはり中国とは言え,知識人には反・中国共産党の人が少なからずいるようで,今は表立って活動はしていないものの,こうした方々の言論が国民の不安や不満と相まって滲み出るのも時間の問題かと思われます.
これもアウトです.

こうした部分を研修中に考えながら過ごしてもらえると,より良い機会になるのになぁ,と考えていたのですが.
んー....


見た目の部分としても,
上海,特に外灘(ワイタン)の夜景が派手なのはたしかですが,それも一部だけ.
一カ所に集中的に光を集めた,という感じ.

私も住んでいる関西,大阪や神戸の夜景のほうが,やっぱり綺麗ですよ.
てっきり,上海の派手さに勘違いしてしまいがちですが,冷静に比べるとわかります.
贔屓しているわけではありません.ホントです.

日本の夜景は “隅々まで輝いている” という表現がぴったりです.
まんべんなく街灯,電灯,自動車灯の光で充ち満ちています.

こういうところからして,国の経済的格差の特徴が推し量れるというものです.

日本に帰ってきて,夜の湾岸線や阪神高速を通っていて感動しました.
あぁ,やっぱり日本は凄いなぁ,って.

とは言え,やっぱり “魅せ方” については海外にならうべきだとも思います.
神戸あたりの町並みも,“魅せ方” にこだわれば外灘みたいにできます.
背伸びしているわけではありません.ホントです.
日本はただ,夜景や街の魅せ方にセンスの欠片もない,というだけです.


学生たちが何を学んだのか?
けっこう大事なところですが,研修の趣旨が「中国って素晴らしい」ということを感じてもらうという,悲しい結論・結果ありきのものですから,私が求める「アカデミックさ」は期待薄です.

世の中,どうにもならないことがあるかもしれないのですが.
私も青二才なのかもしれないのですが.
それでもやっぱり大学教育ですからねぇ.
なんとかしたいですねぇ.