2012年8月7日火曜日

大津いじめ問題で大衆の愚かさに絶望しています

滋賀・大津での中学生の自殺事件.

「まだ騒いでる」
というのが正直な感想.
ひと月,ふた月ほどすれば,そのうち我に返って(または飽きて)静かになるのかな,と高をくくっていたのですが,どうやら私の見込み以上に日本の大衆は感情に流されやすいようです.
端的に言えば「愚か」です.
もうそろそろお祭り騒ぎに終止符を打ったほうがいいのではないでしょうか?

西部邁やオルテガを引きながら大衆批判を上品に訴えたいところですが,そこまで閲覧数も多くないブログということもありますので少々乱暴にいきます.


本件について,私はテレビを見ていないので,この大津いじめ問題についての今現在のテレビでの取り上げ方は分かりません.
ですので,YahooニュースとかGoogleニュース,ニコニコ動画といったインターネットをみている限りではありますが,まだこの手の話題を担ぎ上げては声を張り上げる人達がいます.

事件発覚当時から加熱していた加害者の実名晒しや学校・教員の責任追及,警察捜査へのいちゃもんなんて,バカ過ぎて語りたくもありませんが,これがネットでは結構まかり通っている.それが怖ろしい.
さらに怖ろしいのは,こういった “流れ” について「それ,間違ってるよ」というネットの声があまりにも少ないことです.
むしろ合いの手を入れて,火に油を注いでいるようにも見えます.

楽しんでるんですよ彼ら.
オリンピックやワールドカップで盛り上がってるのと同じ感覚なんだと思います.
別に “事件解決” を望んでるわけじゃないのです.

私にすれば,自殺した少年を「つまみ」にして酔っぱらって楽しんでいるとしか思えません.
むしろ,彼らにしたら事件が解決したら面白くないのかもしれない,と邪推したくなるほど気持ち悪い現象です.

いじめは悪.
いじめた奴は悪.
隠そうとする学校は悪.
捜査がまどろっこしい警察も悪.
それを叩いてる私たちは善.
徹底して叩きまくる者ほど善なのだ.
なんかよく分からないけど,分からないからこそ真実を白日の下に!
という構図.

なんかよく分からないなら慎重にいけよ,というところですが.
その「真実」っていうのも,きっと単純明快なものを希望しているのでしょうが,そんなに世の中すっきりしないものですよ.と言いたい.

こんなことして誰も得しないし,事件解決には全然つながらないのに.

これは学校・教育現場で起こった少年達による事件なのですよ.
世間が騒げば騒ぐほどに,学校として,そして警察としては事件をうやむやにしなければいけなくなります.
騒ぎになったら関係者は口をつぐみだすし,虚偽やデマを流す親や生徒もいるかもしれません.
そんな状態になったら真実が見えなくなってしまい,強行な捜査は子供に悪影響が出る可能性もあります.

学校や警察の対応にまずい部分があったのは確かです.
でも,何から何まで叩いていいわけじゃない.
「隠蔽しているように見える」とか「口止めしてる」とか言ってますが,状況が状況だし,よくよく考えれば当たり前では?隠さないほうがバカだと思うんですが.

だったら聞きますけど,学校や警察がどんな対応をすれば,あなた方は喜んだのか.
どんな対応をしていても叩いたんじゃないのか?

騒ぎを大きくせず,粛々と事実関係を調査するために協力するのが “外野” である我々の務めですし,ジャーナリストはそれをしっかり監視することです.

なぜそれが分からないのか.
いや,分からないんでしょう.むしろ分かりたくもないんだ.
だって面白味がなくなるから.

単純な図式にあてはめ,
「正義は我にあり」
とすれば,批判されずに済むからです.
正義を振りかざして大見得きってる間は楽しいのです.

このブログの記念すべき2番の記事である
喫煙ルーム(黄柳野高校のこと)
でも教育現場での事件・問題の複雑さを訴えました.
そんな私なもんだから,今回もこの事件についての世間の騒ぎようが,まぁ簡単に表現すれば “ムカつきます”.

今回の件は「いじめと自殺」の問題でもあります.
これについてもう一つ関連記事を挙げておけば,
というのもあります.
子供の自殺で「いじめ」によるものは少ないよ,という記事でした.

ですが, “自殺の原因” を正確に,そしてピンポイントで特定することは困難です.
自殺の原因を作ったのはいじめの加害者かもしれません.
だけど,その自殺の全責任をいじめた生徒や学校・教員だけに負わせることはできないのです.

もっと言うと,私が頭にくるのはむしろ,「いじめ」を目撃していたという周りの生徒達をなぜ糾弾しないのか?というところです.
学校がアンケート調査を行なったところ,20人が「いじめ」を目撃してていたとのこと.そんなにたくさんの生徒が知っていたのなら,何故いじめてる奴らを止めなかったのか.

「先生に言ったけど,何もしてくれなかった」とか,君ら弱虫か.
ヒドいいじめだったんだろ? 異常だったんだろ? だったらツカツカと寄っていって,いじめてる奴らに蹴りの一発でも入れろよ,と思うのです.
そしたら,「暴力による解決はいけない」とか言うんだろうか.

「いじめ撲滅」とかお花畑なお話はどうでもいいのです.撲滅なんてできないんだから.
それより,いじめ問題を通して教えるべきは

義を見てせざるは勇なきなり

自殺した生徒の死を無駄にしないためにも,いじめが起きた時に,周りはどのような態度をとることが望ましいことなのか.それを教えることが大事なのではないでしょうか.


さて今後ですが,予想されるのが以下の3点.
(1) 新たないじめ事件探し(すでに飛び付いていると思われる)
(2) 自殺といじめの関連説明(どこからか精神医学者が出てくると思われる)
(3) 報道に影響されて自殺者が増加(ウェルテル効果と呼ぶのだそうな)

今回の騒ぎの代償はあまりにも大きいとしか思えないのですが.