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反・大学改革論4(喜んでる教員)

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ラーメン,ラーメンと連呼していたので,今日は実際に近所のラーメン屋でラーメンを食べてきました. 幸い,その店にマンゴープリンはありませんでしたよ. ここは学生街なので,その店は学生が常連のようです. 今日は部活の試合の帰りであろう女子学生グループなどが, 「ガハハハッ」 と元気に笑って騒いでおり,勘定では 「ちょい,あんた30円貸して」 などと学生らしさを振りまきつつも,きっちり最後は可愛らしく 「ごちそうサマでちたぁ」 とイケメン店員に斜め45°のアゴ引き高速まばたきで愛想も振りまいておりました.     いいですね,さっきまで鼻クソほじりながらラーメン食べてたところからの変わり様. その浅はかさが微笑ましい. 隣の席にいた男子学生はというと,ラーメンつつきながらの マックス・ウェーバー 著『社会科学と社会政策にかかわる認識の「客観性」』 . えらく真剣にページをめくってんだけど. ちゃんと読めてんのか,君. でも, こういうのが学生ですよね. うちの大学の学生にこういうのはおらんなぁ.残念. さて,大学改革論に反対する見解をずっと述べてきたわけですが,私も別に大学を改善していくこと自体は大事だと考えているわけで. 問題は,その改善・改革によってもたらされる様々な影響をしっかりと考慮した上で取り組まなければならない,という点が,あまりにも蔑ろになっているのではないかというところを憂慮しているのです. 先般の記事に書きましたように,大学改革の方向が, 学生(保護者・企業)をお客様扱いして市場原理に曝せば,大学の “悪い部分” は淘汰されるだろう,という極めて安直な思想のもと行なわれてしまうと,実は “悪い部分” だけじゃなくて,“大学全体” が機能不全に陥る状況になってしまった. それが現在進行形の大学改革なのです. そもそも大学改革というのは,国民(学生・保護者・企業)の要望に応えたものでした. これに対し,大学はあまりにも無警戒だったと思います. そして,この大学改革を最も喜んだのは,「研究ができない教員」です. 「別に研究ができなくても,教育ができるんならいいじゃないか」 という意見があって然りです

反・大学改革論3(学生はお客様じゃない)

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引き続き,この大学改革の流れをラーメン屋で例えると, 1.お客さんが減ってきた 2.原因はメニューが悪いのだということになる 3.客にアンケートをとってみる 4.客は店のマンゴープリンが美味しいと回答 5.これからはマンゴープリンだと確信 6.でも本格マンゴープリンは簡単に手に入らない 7.とりあえず市販のマンゴープリンで間に合わせる 8.予算のない店はプッチンプリンで間に合わせてる  ←今ここ 9.勘違いした店がプリンラーメンとかいうゲテモノを開発  ←近々これ 10.プリンラーメンで失敗した店に対し「正統な改革はマンゴーだ.マンゴーラーメンにするべきだ」と近所のオッサンがしゃしゃってくる 「いや,普通に醤油ラーメンの質を上げて勝負するとかさ,スープのとり方を変えるとか,そこが大事なんじゃないの?」 と考えたあなたは常識人です. 「結局,マンゴープリンはどうなったの?」 と考えたあなたは洞察力に優れています. ラーメン屋なんだから,ちゃんとラーメンの開発に力を入れるべきなんですが,なんだか上記みたいなことになっているのが現在の大学改革なのです.     これはとにかく「学生からの満足度」を高め,「保護者からの要求」を解消しようという発想のもと邁進してきたことによります. 日本人は頑張り屋さんだし 「お客様は神様です」 の思想があるし,おまけに 「学生が喜ぶ顔を見たくないのか?」 という教育観は相当な“正義”として機能しているんですよね. でも,この正義は疑ってかからなければなりません. 私見として,まずこの「学生はお客様」という考え方が根本的に間違いだと思っています. アメリカ流の大学改革を推し進めるタイプの人に多い考え方です. 前々回の記事,■ 反・大学改革論 で,この「学生はお客様」という発想から生まれる「学生のため」の大学改革がダメだということを取り上げましたが,それをもう少し詳しくみていきましょう. 私が考える大学にとっての「客」というのは,しいて言えば「社会」です. 学生ではありません. 学生という商品を,社会に納入しているという発想です. どうやら,アメリカ流大学を推す諸星氏(前々回の記事にリンク有)なんかは,この意見には賛同してくれないよ

反・大学改革論2(学生からの評価アンケート)

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前回の続きです. 大学改革について,もう少し内部からの意見を出していこうと思います. 今回は「学生からの評価」という改革について取り上げます.     日本の大学も欧米を見習えということで,私が学生の頃から始まりだした,この「学生からの評価アンケート」. もう,やってない大学は少ないんじゃないでしょうか,「授業評価アンケート」とかいうやつです. ところがこのアンケート. 全く機能していないし意味もない.文字通り,本当に紙の無駄にしかなっていないものなんですよ. 私も学生の頃にこのアンケートに回答したことがありますが,友達同士で 「こんなん意味ないよな」 と笑い合いながらマークしていた(マーク方式が多い)覚えがあります. 同年代に学生だった人なら分かってくれるはず(最近の学生はどうなんでしょうか). 大学を知らない外部の人たちからすれば, 「お客さんである学生から評価をもらい,それを次に活かすのは当たり前.これをビジネスの世界では「PDCAサイクル」というのだ」 などとドヤ顔されるかもしれませんが,残念ながらそうはなりません. なぜって,このアンケートでどんな結果が出ようと,教員の評価にはほとんど響かないからです. 教員の評価に響かないわけですから,教員もそのアンケート結果を気にするわけでもなく. そんなこと学生だって知って(勘付いて)るのですから,適当につけるでしょ. さながら人気度調査みたいなもんです. 私みたいに若い教員はポイントが高くなります.女子ばっかの授業なら相互作用もみられるでしょう. そういうわけで,日本では 『美人でセクシーで講義の質が低い上に成績が甘いんだけど頑張り屋さんに見える教員』 というのがいたら,その人は最強ということになります. 実際,満足度調査でポイントが高い教員というのは,どうやらそういう教員なんだそうです. でもそれって大学教員の評価として間違ってると思うんですけど. まぁ,大学側もバカじゃないからそんなこと百も承知なので,各大学,気にしていないのですよ(気にする教員はいますけどね.人気度調査としては機能しているので). まずもって,大学教員の評価の対象となりえないアンケートなんですから,そもそもやる価値がないのに,世間からのプレッシャーに押されてダ

反・大学改革論

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大学人になって6年.学生時代も含めると10年以上の大学生活を営んできました. 昨日は恩師と神戸・三宮の居酒屋で「これからの◯大を考える」と題して,いろいろ議論したところでもあります. 別に私は◯大に勤めているわけじゃないのですけど,3年前までお世話になっていた母校でもありますので,少し気になるのも確かで. 一昨日は学会があって岐阜に行っていましたが,そこでも恒例の飲み会で似たような話が出ました. やっぱり皆さんも,卒業生や院生として関わったからには,◯大には何かしらの思い入れがあるようです. 今日のテーマは,その「◯大の今後」という小さい話ではなくて,日本の大学の今後を取り上げたいと思います. 大学改革の話です.       ここ十数年,「腐った大学(言い過ぎ?)を叩き直すのだ!」と言わんばかりの勢いで,推し進められてきた感のある日本の大学改革. 以前, ■ 残る大学でありたい でも大学改革の話をしましたが, 就任1年目の当時は, 「もしこのブログが学内の人にバレても大丈夫なように...」 という思惑が入った文章でしたので,すべてが私の本意とは言えないものでした. それにですね,上記の記事で紹介した本が, 諸星裕 著『消える大学残る大学』  だったんですけど,本学はその著者・諸星氏を学内講演会に招いたりしてる,改革路線まっしぐらの大学でもありまして. 少しヨイショしといた方がいいのかな,という日和見な部分もありました. あれから2年. 言いたいことがだいぶ言えるようになってきましたので,その記事の改訂版をここに出そうという趣旨です. 言いたいことが言えるようになってきた,というより,むしろ,これは声を大にしなければいけないと思っています. 端的に言うと, 「大学改革をやめよう」 です. 2年前の大人しい従順な記事でも,私の想いが少し滲み出てしまっているところがありますが. ここ十数年ほど狂ったように取り組まれてきた「大学改革」というのは “百害あって一利なし” だったと言わざるを得ません. 「一利なし」というのは言い過ぎかもしれませんが,圧倒的に害の方が多かったと言えます. いやむしろ,「大学改革」は必要だったのです.

対応のある相関係数の差の検定

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先日,読者よりメールで質問をいただきました. ■ 相関係数の差を検定したいとき(エクセルでできる方法) の記事で紹介しているやつの「対応のあるデータ版」を紹介してほしい,とのことでした. 統計学の本で比較的よく紹介されているのは上記の記事の方法です. なかなか“対応のある”相関係数の差の検定は紹介されていません. メール返信をしなきゃいけないという理由もできたし,これをいい機会にと一念発起. Excelでなんとかできないものかと調べてみました. というわけで,今回はその対応のある相関係数の差の検定をexcelでなんとかするというテーマです. 以下の記事を読んでも不安がある場合や,元の作業ファイルで確認したい場合は, このリンク先→「 統計記事のエクセルのファイル 」から, 「対応のある相関関係の差の検定」 のエクセルファイルをダウンロードしてご確認ください. まず,例になるデータは以下のようなもの. 子供の給料と相関が高いのは「父親」と「母親」のどちらの給料なのか?を知りたい,という設定です. その相関係数を出してみたところ,それが以下のようなものだったとします. どうやら子供(A)と母親(C)の相関は0.73であり,父親(B)との相関である0.53よりも高いような気がしますね. 統計学的にもそう言えるかどうか,計算してみましょう. ※ちなみに,この対応のある検定のためには,「B(父親)とC(母親)」の相関係数も出しておく必要があります. とういうわけで,先に分析結果を出します. 以下のような計算をしたところ,「AとB」の相関係数と「AとC」の相関係数には有意な差が認められました. では,どんな計算をしているのか紹介していきます. まずB列13行目の「行列式」のところ. ここでは, =(1-B7^2-B8^2-B9^2)+2*B7*B8*B9 という計算をしています. 次にB列14行目ではt値を算出しています. =ABS(B7-B8)*SQRT((B6-1)*(1+B9))/SQRT(2*B13*(B6-1)/(B6-3)+(B7+B8)^2*(1-B9)^3/4) かなり長いので,間違えずにコピーしてください. まったく同じEx