2014年12月23日火曜日

続々・STAP細胞研究の件

例のSTAP細胞研究の調査が終わったようです.
これまでにも,
STAP細胞研究の件について
続・STAP細胞研究の件について
ということで感想を述べてきたところですので,改めてここに書いておくことにします.

ここにきて,ようやく研究チームを堂々と非難することができます.
※実際のところ,まだ完全な事態把握ができているわけではないですけど.

「やっぱり結局,あいつはウソをついていたんじゃないか!」
と言いたい人たちもいるでしょうが,こういうのは「科学的な批判」ではありません.
とっても情緒的で微笑ましい批判・反応です.「そうだね,君の予想,当たったねぇ(頭ポンポン)」てしてあげたいとこです.

信じる信じないとか,陰謀があるんじゃないかとか,不道徳だ,あいつムカつく,みたいな話で盛り上がっていた日々が懐かしいですね.
「やっぱり結局,多くの一般人ってウソに惑わされるんだなぁ」
というのが私の言いたいことです.これも科学的な批判じゃないですけどね.

世間が騒ごうがどうしようが,「STAP細胞研究」に関する論文というのは科学的に葬られているはずの研究と論文だったのです.
それをただバカ騒ぎしただけのことです.
で,こんなにも騒いだ理由は,研究リーダーのキャラクターとメディアに祭り上げられた状況によるものということでした.

他の研究(本件のような不正・捏造)では騒いでいないのですから,つまり「よく事情が分からない人たちにも明確に叩ける材料が揃っていて,しかもなんせ面白かった」というだけの話です.
ペナントレースの予想とか選手の評価みたいな居酒屋談義が,科学界を舞台に行われた,というだけの話ですね.
科学者のひとりとしては,特に興味深いことはありません.

しいて興味深かったこととを挙げるとすれば,過去記事でも繰り返しているように,なんぼ言うても “こんなにもいきり立って騒いだ世間の人々” の方です.
なんだか,発狂しながらコンクリの壁に頭を連打して血まみれになっている集団を見ているようで,ある意味 “興味深かった” です.ドン引きしたというのが素直な感想です.
こういうのって,学校のいじめ問題で騒いだ人たちと似ています.
参考記事■大津いじめ問題で大衆の愚かさに絶望しています

そう言えば,iPS細胞研究で有名な山中先生がこんな事を言っています.
STAP問題 山中教授「生データ保存の大切さ学んだ」(←Yahooニュース)

山中先生には悪いんですけど,これって別にノーベル賞研究者ならではの発言ってわけじゃなく,つまり特段に重要な提言じゃなくて,普通の研究者教育を受けてきた人なら(実験調査系の授業を受けた学生なら)誰しもが知っていることです.
(山中先生も高尚で特殊なことを言いたいつもりはないはずで,普通のことを普通に答えているのでしょうけど)

科学という活動もある種の「スポーツ」ですから(しかも,その競争を煽っているふしもありますし),こんな競争が激化すれば当然,どこかの誰かが不正やファール,ドーピングをやりだすでしょうね.
矩(ルール)を越えて成果を得ようとする人が現れる.そんなの当たり前です.
その参考記事としては■人間はスポーツする存在であるをどうぞ.
科学も,そういう目で見ておかなければなりません.

科学とスポーツは同様に,参加者の道徳性や倫理,互いの示し合わせで行われているものであって,その中において優れた成果を得ようとする活動です.決して不正やドーピングを容認しているわけではありません.
もし不正をしたことが明らかになれば,粛々と追放処分になるのです.

科学とスポーツが同じ倫理観や価値判断で組織・運営されていることが分かるかと思います.
(それだけに,最近の科学は近代スポーツ化してきていると考えられなくもありませんが)

だからこそ,やっぱり結論としては特に興味深い事件ではなかったんです.今回も科学の手順と判断がきちんと機能したからです.
金メダルを獲った選手が,あとになってドーピング検査に引っかかった.それと似たような話です.

私としては,スピード違反で捕まるドライバーを見るように「ああ,あいつイカれよったなぁ」という目で見てはおります.こういう目で見ている事自体,科学が近代スポーツ化してきているとも言えるでしょうけど.

あっ,でも一つ気になるのは本件における理化学研究所(りけん)の対応の仕方です.こういうのに慣れていなかったからかもしれませんが,あまりにも不手際が多過ぎやしませんか.
陰謀論めいた話(そこまで大げさじゃないけど)ですが,理研って,やっぱり何か隠していると思いますよ.もしくは,他にも怪しい奴がいるとか(実際いたし).

洗いざらい全部開示するわけないだろ,ってのが大人の見方かもしれませんけど,ちょっとね・・.今回のSTAP細胞研究について,他にも “関係者” がいるんじゃないかと・・・.
ま,これはよくあるトカゲのしっぽ切りを,“どこで切るか” っていう組織の話ですから,これ以上は触れません.

いやあ・・,でもねぇ.
こういったしょーもない話で狂ったように騒ぎ出す・・,しかも「正義」とか「道徳」「倫理」「権力」「威信」といった観点から猛烈に騒ぎ立てる人が多い社会の性分をなんとかできないものかと考えさせられます.

あぁ,でもそれが大学教育をやっている我々の使命なのかな・・,という感じです.

じゃあその「大学の使命」とは何か?っていう人は,こちらをどうぞ.
大学について2