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中谷彰宏 著『超高速右脳読書法』.
私がまともに読書を始めたきっかけになった本です.サブタイトルに, 〜人生を変える本にであう47の具体例〜 とありますが,まさに私の人生を変えた一冊と言えるでしょう.
これを読んでいなかったら私は一生,本を自分の意思で買うことはありませんでした.大学3年までは授業で指定された書籍や教科書以外は本にお金をかけていません.本は年に1冊読めばいい方でした.
なぜこの本を買おうと思ったのか覚えていませんが,気がついたら手にして本屋を出ていたのです.運命のようなものです.
とにかく読み始めたらのめり込みました.“まえがき” から “目次” まで,引き込まれるように読んだのを覚えています.
著者の “普通じゃない” ポジティブシンキングに圧倒されていたのでしょうか.本に対する気持ちが300°くらい変わりました.もう少しで一周です.
読みたい本は躊躇せず買うようになりましたし,読みたくない本にも手を出すようになりました.お金の無駄だという考えも小さくなったのです.
この本に出会って以来,それまでとは比べ物にならないほど本を読むようになりました.本屋に行けばとりあえず中谷彰宏氏の書籍を買うようになり,そんなこんなで本棚には氏の本が30冊くらいあります.
中谷氏の本のタイトルには “右脳” という言葉が使われているものがいくつかあります.この時期は “右脳” が一種のブームだったように思います.当時,「右脳でひらめき人間になる」 という趣旨のものを本屋でいくつか目にした記憶がありますし,今でもたまに見かけます.私も流行にのって(?),右脳本を数冊購入しました.
そこで今回は,上記の本以外で,今はすっかり下火になた “右脳” に関する書籍を取り上げてみます.
まず中谷氏のものとしては,『右脳でオンリーワンになる50の方法』 『3分で右脳が目覚めた。』があります.氏は右脳にハマっているらしく,ここではタイトルに “右脳” が入ったものを挙げていますが,右脳に触れているものはこれ以外にもわんさかあります.
他に “Mr.右脳” と言えば七田眞氏が有名で,『七田式超右脳英語勉強法』というのがあります.氏は他にも右脳に関する本を出していますが,かなり怪しい・いかがわしい本です.
先に紹介した中谷氏の本もそうでしたが,“右脳” を扱ったものには,斉藤英治 著『べんり速読術』など,速読や勉強法に関するものが多いのが特徴です.
右脳本は大きく分けて2種類あります.“右脳” が持つ能力で「直感的に読む・記憶する」 という方法論を説いたものと,そのような “右脳” の「直感的な能力」 を強調した生き方・人生観を取り扱ったものとの分かれます.
今回取り上げたものとしては,七田氏などは右脳の能力を利用した勉強方法を論じているのに対し,中谷氏は直感的人生を啓蒙している方に入ります.
しかし,そのような右脳本も最近はめっきりです.
実際のところ,右脳の能力というのは,はっきり言って似非科学なのです.
右脳・左脳に関しては,脳をまじめに捕らえた本では触れられていません.
時実利彦 著『脳を考える』や,クリス・マクナマス 著『非対称の起源』では,右脳は左半身,左脳は右半身をそれぞれ優位に支配していることと,一方の脳に障害があると身体にもそれが現れることには触れていますが,それと直感やひらめきといったことにまでは触れていません.
また,デイヴィット・ウォルマン 著『「左利き」は天才?』では,特に利き手と脳の関連について取り上げています.
氏は,右脳が左半身の運動を司っていることを前提にして 「左利きは右脳をよく使うということになる,ということは右脳をよく使う左利きは天才か?」 という視点で,膨大な量の研究データを丁寧にまとめています.ところが,「左利きに天才が多い」というデータは信憑性のあるものではなく迷信じみており,まだ立証できるような傾向ではないのだと結論づけています.
さらに,池谷裕二 著『進化しすぎた脳』では,他の書籍よりも脳に関して非常に深く考察していますが,右脳・左脳の特徴にはほとんど触れず,「右脳・左脳で役割が違う」 ということ自体がまだ未解明であることが察せられます.
世間では “右脳” と言えば「ひらめき(直感的)」 がキーワードです. 佐藤方彦 編『人間を科学する事典』では,この 「ひらめき(直感的)」 という能力は,言語中枢である “左脳” の関与が重要であるとし,“右脳” の能力というよりも,脳全体で “並列分散処理” できる・できた時の感覚であるとしています.
コンピューターで言えば,「メモリが多い」 であったり,Intel CPUで言うところのCore Solo よりも Core Duo.Core DuoよりもCore Quad の方が並列分散処理できるという例えになります.
そんなこんなで,「結局よくわかっていない」 ということ.
右脳・左脳ということに捕われず,“まじめに生きていこう” ということになります.
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