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一夜漬け・台風への備え方

この週末に泊りがけ出張があったんですが,台風19号の影響を受けて交通機関が運休することなったのでキャンセルになりました.
さっき,そんな連絡を事務調整役をしてくれている後輩とやり取りしていたのですけど,そこでもこの台風の話題が出てきました.

なお,電話の向こうの彼は,昨年の大阪を襲った台風21号の被害を経験している人.
私は「台風銀座」である高知県・幡多地域出身の人間です.


はっきり言って,首都圏の皆さん,騒ぎ過ぎです.
先般の台風15号によるトラウマからか,ファビョったように煽る煽る.

別に台風を甘く見ろと言いたいわけではないのですが,一般市民が今から出来ることなんてほとんどありません.
せいぜい,「命を守る判断をする」くらいです.

ただ,この「命を守る判断」というのが,台風慣れを必要とするもの.

そこで今回は,大した備えもせずに今日の夜を迎えてしまった人が,「本格的な大型台風」を明日に控えて,どうすればいいのか考えてみます.






諦めが肝心


のっけから天の邪鬼なことを言いますが,かなり重要です.

台風で被害が発生するのは仕方ありません.
それが大型台風であれば,必ず死者が出ます.
諦めましょう.

あとは,自分がその死者の一人に入らないように祈るだけです.


地方で台風が発生すると,
「5人がお亡くなりになりました」
とか,
「土砂崩れで家屋が埋まりました」
などというニュースがありますよね.

それが都市部に来たら,その分,被害が多数になるだけのこと.
首都圏は人口が多いのですから,死者も10人とか50人とかになるんじゃないでしょうか.

それは家屋損壊の被害も同様.
人口密集地も多いので,もっと大きくなるかもしれません.

「そういうもんだ」と諦めてしまえば,台風についても冷静に考えられると思います.

台風に慣れていないと「万全の体制で向き合えば助かる」と思ってしまいがちですが,どんなことをしても自然には勝てません.



祈る,もしくは台風対策をしていないことを反省する


「高知は大雨や台風がたくさんあるのに,被害が少ない」
と言われることがありますが,それは,過去に治水治山のインフラ整備に予算をまわしてきたからです.

なので,最近ではほとんど被害が発生しなくなりました.
でもこれは,県民の努力とか対策慣れしているからではありません.
インフラ整備のおかげです.

言い換えれば,近年,そうしたインフラ整備をしていなかった地域が大雨や台風被害が甚大なものになっているとも言えます.

典型的なのが,瀬戸内海地域です.
最近になって大規模災害になっているニュースがたくさん出ていますよね.
ここは元々,大雨や台風の被害が大きい地域ではありませんでしたから,その対策も遅れているのでしょう.
関東・首都圏もそういう地域です.


関東・首都圏に限らず,日本の大都市とその近郊には「どうしてそんな場所に街を作るのか?」と疑問に思うところがありますよね.
高知県民である私には,手のこんだ自殺としか思えない街づくりです.

皮肉のように聞こえてしまうでしょうが,これは仕方ありません.
そうやって経済的な利益を優先したのですから.
それに,過去の天候からすれば,その判断で良かったのでしょう.


台風は「水」と「風」です.
これを相手にするには,土地選び,建築の工夫,治水治山でしか対応できません.

台風に対応していない土地,建築物,治水治山の不足があれば,その被害を甘んじて受けるより他はありません.

今からどうこうできる話ではありませんから,前述したように諦めるしかないんです.

そうは言ってもやれることはないか?
命を守る判断とは何か?

それを以下に紹介していきます.


そして,今回の台風による被害と教訓は,これからの都市づくりに活かしましょう.
(とりあえず,低地や川の近くに街を造り過ぎだと私は思う)



窓に近づかない


台風の時には窓ガラスには近づかないようにしましょう.
なぜなら,本格的な台風では,大きく重量のあるものが飛び回るからです.


関西や関東地方の住宅やアパートには「雨戸」がついていない場合が多いですよね.
これ,地元を離れた私にはちょっとしたカルチャーショックでした.

でも,台風銀座以外の地域では,台風がとても弱いので,不要であることに納得したものです.
が,どうやら最近はそんなことを言ってられる時代ではなくなったわけです.

なので,そんな関東地方の事情から「養生テープをガラスに貼る」という対策がよく出回っています.
「窓ガラスに養生テープ」の台風対策は効果ある? 正しい方法をYKK APに聞いた(FNNプライム 2019年10月11日)
以下の図のように貼ると良いそうです.
https://www.fnn.jp/posts/00048497HDK/201910111710_FNNjpeditorsroom_HDK

まるで太平洋戦争中の空襲対策のようですね.
時代は繰り返すようです.

けど,爆弾が直撃したらガラスが飛散るのと同じように,瓦や樹木が窓に突っ込んできたら養生テープも無力なので,とにかく「窓に近づかない」ことです.


いいですか,勘違いしないでください.
これは「窓ガラスが割れてしまって危ない」という話ではありません.
窓に突っ込んでくる物体(木とか看板とか石とか)が危ないという話です.

爆弾が落ちてきたら紙テープに意味なんかないから防空壕に入る必要があるのと一緒で,養生テープを貼っても窓に近づいてはいけません.



マジでヤバいから外に出るな


仙台出身のゼミ生が,東京に来て驚いたことがあると言います.
それは,
「雪が積もっているのに,自転車に乗ってる人が多いですよね」
というもの.
事実,それで転倒したり衝突したりと,やっぱり事故が多い.

慣れている人たちほど,その危険性の高さを知っているので慎重です.
慣れていないと,意外と大丈夫なんじゃないかと思ってしまいがち.

台風にもそれと同じことが言えます


実際,大阪とか東京の台風は全然大したことないから,私も拍子抜けして屋外を歩くこともあります.
「台風なのに出社させる会社」について,あーだこーだと言えるのは,それだけ大阪や東京の台風が弱いからなのです.
だって,現に,頑張れば出社できちゃえるから.

けど,マジモンの台風は大きな看板とか樹木を吹き飛ばすので本当にヤバい.
台風の時に外に出るなんて意味不明です.

トタン屋根の切れっ端とか,プラスチック片が高速で飛び回るので気をつけましょう.
っていうか,事実上,「気をつけ」られないですから.

命に関わらないくても,目に当たったら失明するし,後遺症を残すケガをする可能性は非常に高くなります.

なので,今回のような台風であれば,絶対に外に出てはいけません.
それこそ,手のこんだ自殺です.


どうしても台風で職場に出なければならないという場合は,泊りがけの仕事になります.
今夜もしくは早朝から職場に行って,そこで過ごすのが得策です.




地下に入るな


子供の頃,「地下室」というものに憧れて,父に「地下室を作ってみたい」と話したことがあります.
すると,地下室なんて危ないからダメだと言われました.

実際,高知のような大雨が多い気候の土地で,地下室に住むのは手のこんだ自殺です.

台風で怖いのは「水」と「風」だと話しましたが,なかでも水は本当に怖い.
排水が追いつかないと,一気にその構造物を水攻め状態にさせてしまいます.


父に限らず,高知の人は「排水」に気を使う人が多いですね.
農家が多いし,治水・洪水対策で苦労した時代が長かったからとも思いますが.

おかげで,私もその土地や構造物の排水能力を気にするクセがついています.
排水能力が低いところには近づきたくないし,その排水能力の低さをどうすれば改善できるかなどと思考実験したくなる.

アパート選びもその構造も,どうしても「排水」基準になります.
排水が良ければ,死ぬ可能性は一つ減るからです.
これはかなり大きなポイントのはず.


そういう観点からすると,首都圏はかなりマズい場所が多いですね.

実際,今回の台風ニュースのなかには高潮を警戒するよう訴えるニュースもあります.
台風高潮に注意警戒 満潮時刻は(NHKニュース2019.10.10)

いやマジでホントに高潮はヤバいので,東京湾周辺部とその川の周辺部の人たちは注意してください.
シャレにならないくらい危険です.

東京湾周辺のこの問題は,この台風を無事にやり過ごしたとしても,早急に対策を練った方がいいと思います.



危ない土地に住んでいるなら,早めに避難しておく


台風の暴風域に入ってから避難することは極めて危険です.
上述してきたように,強烈な風と雨によって,避難どころではなくなるからです.

もし住んでいる場所がハザードマップとかで危険地帯だと分かっているのであれば,早めに避難所に移動することをおすすめします.

よく,台風や大雨で避難指示が出ているのに避難しない人が槍玉に上がりますが,タイミングを逃すと,避難どころではない状態に陥ります.

避難中に死ぬか,自宅で死ぬかの選択になるんです.

だったら自宅で死んたほうが良い,と考える人,特に高齢者は多いもの.
大げさだと思われるかもしれませんが,本当です.

しょぼい台風しか経験していない人は,避難指示が出たら素直に避難場所に移動することが大事と思うかもしれませんが,勢力が強い台風の場合,急に雨風が強くなって避難できないこともあります.

そもそも,避難所にその対象地域の人々を受け入れるキャパシティは無いでしょうし.

無理に避難するのではなく,それこそ「命を守る判断」として自宅に籠もる判断も大事になってきます.




台風対策があまりされていない関東を,大型台風が襲うことになります.
あとは,この台風が予想していたよりも勢力が弱いことを祈りましょう.